第23章 決戦!ハデス(後編)
セラ
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それだけに留まらず、今度はだだっ広い空間に建造物の残骸やら地上の魔物達、はたまた魂迄もが流れ着いてしまう。流れ着いた建造物の影に隠れてやり過ごし、反撃の機会を窺う。物陰に隠れて反撃を試みてみたが、うまくいった。ピット君も戦闘で先程から険しさが増して行くのが見て取れる。ふざけた調子で目に入るもの全て吸い込んでいるハデスに対して不審感を抱く。彼から言わせれば食事だと主張するのだろうが、冥府で管理すべき魂を胃袋に入れてしまうとは本来あってはならない。魂を本筋へ導かないつもりか。魂はハデスにとって食材でしかないと言うのか。それでは、冥府の主として役割を果たしていないだろう。
「ほうほう。なるほどねぇ。……じゃ転生ってなに?」
「死んだものが、別のものに生まれかわること。」
「生まれかわれたとしても 記憶も経験も身体もちがうんでしょ?“別のもの”になっている時点で根絶と同じじゃないの?」
「……だから食べていいってことにはならないだろう!!」
『そうだよ!そんなのまちがってる!』
「食っちゃいけないってこともないんじゃないの?どんな生きもんでもなんかのいのちを食ってるっしょ?」
『食物連鎖か。それでも残された人たちはきっと、悲しむわ。』
魂に意志はなく、飽く迄素材の考えを曲げないハデス。魂にもそれぞれ性質があり、転生させ別のものへ生まれ変われる可能性を信じているピット君。この論争の行く末は、明らかにハデスが押している。私はやはり、ハデスの考えに合点がいかず挙げ句腑に落ちていない。死していく者達にも別の道が存在していて、その道それぞれに突き進み新しい人生を始められる。それってとても素敵ではないか。譬え別人になっても、前世の記憶が残っている場合もあると聞いた。必ずしも意志がないとは言い切れないのでは。そう話してみても、ハデスの口達者ぶりでうまく言い包められそうだ。それを証拠に、あんなに威勢が良かったピット君がもう既にぐうの音も出なくなっている。魂を見送った生きものが皆悲しむのにハデスへと意見をぶつけてもきっとどこ吹く風だろう。ハデスの言い分は理に適っていて正しいのだろうか。
「……うぅむ。やはりハデスは超越した存在なのか。」
「神々にとって面白くはないかもね。自覚はしてるよ。」
『(……いま、ハデスが悲しんでなかった?気のせい?)』
「なら倒されろ!いや、倒す!それが生きものの救済になる!」
「じゃぁ、とっととこっから出てってよ。ホラ。待ってるから。もっとも、出口はおしりの方しか無いかもねん。」
『うわ……サイアク。』
「くそぉぉぉぉぉぉ!!」
「うんこぉぉぉぉぉぉぉ!!おトイレにぽっとんしないよう注意しなきゃね!」
『(もしかして……いまの、ダジャレかしら。)』
「わかった。わかった。ギブアップ!もうカンベンしてくれ……。」
「排泄物だって いのちのサイクルのひとつよ。そんなに嫌いなさんなって。」
会話に気を取られて忘れてしまいそうになるが、無数にも敵が向かって来ているのだった。今は未だ、第一陣ぐらいか。
たった今第一陣に登場し、私達の目の前に立ち塞がり大いに妨害していた敵達だがそれもこれで終わり。なのかと思いきやそうではなく、第二陣の戦いがゆっくり開始する。幾ら私達の腕っぷしが強く、浄化するのに手間が掛からないとは言え手抜きをしてはいけない。それでは目の前にて私達を撹乱させようと奮闘する敵達に顔向けが出来なくなってしまう。転生だとか、何とか会話を展開させていたからか敵味方関係なく、そういう気持ちが自然に芽生えてしまうものだ。この空間に存在する細胞以外の生きもの達は、見境なく吸い込まれてしまった末路である。だからせめて、きちんと浄化してあげよう。此処に存在している時点でもう既に他人事なんかでは済ませないのだ。本気で思考をフル回転している。どうやったらハデスのおしり以外から脱出出来るかどうかを。そこはかとなく押し寄せてきた不安は、強く自身の中で残っている。これで脱出出来なかったら、絶対ハデスの養分として私達は取り込まれる運命を辿るのだ。そこだけは、なんとしても阻止したい。きっと彼自身がそれを望んでいないだろう。だが、その思いに激しく同意だ。ここは絶対、切り抜ける。
『行こう。ピット君。』
「うん。セラちゃん。」
第二陣を全て浄化し終え、新たな道が切り開く。何かの器官のような管が出現したのだ。中は当然空洞。その中へ入り込み、突き進む。意外にも只管真っ直ぐだ。直進以外の移動が無いように思う。この長い長い道程は、もしやボスへ通ずる道筋なのだろうか。とうとう来たのだ。一体どんな敵が待ち受けているのだろう。
「……ん?なんだ?」
『あれっボスじゃない?ここは……?』
「ほうほう。なるほどねぇ。……じゃ転生ってなに?」
「死んだものが、別のものに生まれかわること。」
「生まれかわれたとしても 記憶も経験も身体もちがうんでしょ?“別のもの”になっている時点で根絶と同じじゃないの?」
「……だから食べていいってことにはならないだろう!!」
『そうだよ!そんなのまちがってる!』
「食っちゃいけないってこともないんじゃないの?どんな生きもんでもなんかのいのちを食ってるっしょ?」
『食物連鎖か。それでも残された人たちはきっと、悲しむわ。』
魂に意志はなく、飽く迄素材の考えを曲げないハデス。魂にもそれぞれ性質があり、転生させ別のものへ生まれ変われる可能性を信じているピット君。この論争の行く末は、明らかにハデスが押している。私はやはり、ハデスの考えに合点がいかず挙げ句腑に落ちていない。死していく者達にも別の道が存在していて、その道それぞれに突き進み新しい人生を始められる。それってとても素敵ではないか。譬え別人になっても、前世の記憶が残っている場合もあると聞いた。必ずしも意志がないとは言い切れないのでは。そう話してみても、ハデスの口達者ぶりでうまく言い包められそうだ。それを証拠に、あんなに威勢が良かったピット君がもう既にぐうの音も出なくなっている。魂を見送った生きものが皆悲しむのにハデスへと意見をぶつけてもきっとどこ吹く風だろう。ハデスの言い分は理に適っていて正しいのだろうか。
「……うぅむ。やはりハデスは超越した存在なのか。」
「神々にとって面白くはないかもね。自覚はしてるよ。」
『(……いま、ハデスが悲しんでなかった?気のせい?)』
「なら倒されろ!いや、倒す!それが生きものの救済になる!」
「じゃぁ、とっととこっから出てってよ。ホラ。待ってるから。もっとも、出口はおしりの方しか無いかもねん。」
『うわ……サイアク。』
「くそぉぉぉぉぉぉ!!」
「うんこぉぉぉぉぉぉぉ!!おトイレにぽっとんしないよう注意しなきゃね!」
『(もしかして……いまの、ダジャレかしら。)』
「わかった。わかった。ギブアップ!もうカンベンしてくれ……。」
「排泄物だって いのちのサイクルのひとつよ。そんなに嫌いなさんなって。」
会話に気を取られて忘れてしまいそうになるが、無数にも敵が向かって来ているのだった。今は未だ、第一陣ぐらいか。
たった今第一陣に登場し、私達の目の前に立ち塞がり大いに妨害していた敵達だがそれもこれで終わり。なのかと思いきやそうではなく、第二陣の戦いがゆっくり開始する。幾ら私達の腕っぷしが強く、浄化するのに手間が掛からないとは言え手抜きをしてはいけない。それでは目の前にて私達を撹乱させようと奮闘する敵達に顔向けが出来なくなってしまう。転生だとか、何とか会話を展開させていたからか敵味方関係なく、そういう気持ちが自然に芽生えてしまうものだ。この空間に存在する細胞以外の生きもの達は、見境なく吸い込まれてしまった末路である。だからせめて、きちんと浄化してあげよう。此処に存在している時点でもう既に他人事なんかでは済ませないのだ。本気で思考をフル回転している。どうやったらハデスのおしり以外から脱出出来るかどうかを。そこはかとなく押し寄せてきた不安は、強く自身の中で残っている。これで脱出出来なかったら、絶対ハデスの養分として私達は取り込まれる運命を辿るのだ。そこだけは、なんとしても阻止したい。きっと彼自身がそれを望んでいないだろう。だが、その思いに激しく同意だ。ここは絶対、切り抜ける。
『行こう。ピット君。』
「うん。セラちゃん。」
第二陣を全て浄化し終え、新たな道が切り開く。何かの器官のような管が出現したのだ。中は当然空洞。その中へ入り込み、突き進む。意外にも只管真っ直ぐだ。直進以外の移動が無いように思う。この長い長い道程は、もしやボスへ通ずる道筋なのだろうか。とうとう来たのだ。一体どんな敵が待ち受けているのだろう。
「……ん?なんだ?」
『あれっボスじゃない?ここは……?』