第23章 決戦!ハデス(後編)
セラ
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ピット君が緑色へ攻撃を加え、上下運動を繰り返す足場をうまく踏み込み、歩みを進めた。一応体内であるし迷路の如く私達を惑わせに来るかと思いきや意外にも真っ直ぐな道程で半ば助かっている。もう少しくねくねした道が広がり、左右に分かれ道があったりなんかしたりして私達天使二人を混乱させるものだとばかり考えて斜に構えていた。拍子抜けはしているものの、前進あるのみだ。まぁ、細胞等が外敵と認識し、攻撃をしてくるがそれも体内構造ゆえ仕方のない仕組みだ。細胞等を無限に生み出しているあの良く分からない部分を発見したので目にも留まらぬ速さで手っ取り早く浄化しておこう。
只管真っ直ぐ突き進み、地上で言うところの円形広場みたいな場所に辿り着いた私達。周囲を見渡し、状況を探っていると突如閉ざされる空間。まさか外敵を吸い込み、ここいらでちょいと消化を促しちゃおうって魂胆なのか。ハデスならば充分有り得る。
「閉じ込められたかッ?!」
『えっ?!こんなトコロで?!』
「いやいや、焦ることはない!とにかく集中して敵を浄化しよう。ハデスに巣くう魔物たちよ!音にも聞け!以下略!!だーれも聞いてないから、省略!!」
「『……聞いてるよー。』」
「省略ッたら、省略ッ!!」
『(ピット君、きょうはひとりで勝手にしゃべるなぁ。)』
前も塞がり、後ろも塞がられている囲まれた状態。引き返す余裕も持ち合わせていないから、前に突き進むべく取り囲まれた状態を撥ね退けるしか方法はない。背中合わせで右半分をピット君、左半分を私が請け負う。士気高めでいつもの名乗りを始めるのかと思われたが、まさかの省略で勝手に終わらせてしまった。確かに半分ぐらい聞き流しているけれど、名乗らないなりに寂しいものがある。それでいて自己完結させてしまう彼。変な時に強引だ。敵をバッタバタ浄化してくれているからもうこれ以上何も考えないが苦笑いを浮かべてしまうのは自然な流れである。
細胞は私達にそれこそ隙なく襲って来て、決して攻撃の手を止めたりしない。こんな場面で道草を食っている場合ではないし、消化されないために一刻も早くこの場から抜け出したいのだが細胞達の頑張りがより一層目立つ。だがこちらも好き勝手にされては困るのだ。バテない程度に左半分を駆け抜け、一匹ずつダッシュ攻撃&ダッシュ射撃のコンボ技を見舞う。威力が高ければ高い程、浄化スピードも上がるってものだ。
「よしッ!!」
『やっと進めるね!』
細胞達は私達を閉じ込めて一網打尽にするつもりでいたみたいだが、そんな妙案さえ無に帰し天使二人は更に先へ進むため再度歩き始めた。決して順調とは世辞にも言えないけれど、私達なりのスピードで進めていると思う。閉じ込められていた扉が開き、一歩足を踏み入れるがどうにも異世界に迷い込んだかのような感覚に陥ってしまう。窪みに流れているのは血液なのだろうが、まるで溶岩だ。此処は、本当に体内か。身体の構造が異なっており、呆気に取られている。
「しかし、ここはどう見ても……。」
「胃袋の中とは思えない?」
『まるで異世界だもんね。』
「パルテナ様との交信が途絶えるのもいままでにないことだ……。」
『そっか……。はじめてだらけなんだね……。』
それでも細胞達の攻撃は止まらず、尚襲って来る。無論、蹴散らして進んでいる訳だが周囲を見渡してみても何処かの世界にありがちなダンジョンなのだ。窪みに誤って落下してしまい、そこは何と溶岩でダメージを諸に喰らってしまう最悪な展開に発展もしない。ある種、ほっと安堵の溜息だ。だからと言って危機が去ったとは言い難いが。未だにハデスの体内でさ迷っている事実は拭い去れないし。どうすればここから脱出出来るんだろう。先程から脳の片隅でそんな考えや幾つも妙案を巡らせている。どれも採用出来ないものばかりなのが非常に悔しい。こうして見ると、ピット君は何も考えてくれていなさそうだ。少しは何か思い浮かばせて、あっと驚かせてくれないものか。
「ホント、パルテナちゃんにおんぶにだっこによっとっと、なんだなぁ。」
『うッ……。否定できない。』
「せめて持ちつ持たれつと言ってくれ!」
パルテナ様に交信出来ていたならば、こんなに悩まずに済んだのかなぁなんて考えて、深い溜め息をついている。彼女に忠実なのは私達天使の強みであるが、それは弱点にも成り得るのだ。つまりは、紙一重。パルテナ様に頼ってばかりでこう言った非常事態と咄嗟の機転が効かず対応が困難になってしまう弱み。パルテナ様も私達も互いが互いを尊重し、必要としているからいいけれどこういう場面で難無く対処出来なくなってしまう。克服しなくては。そう、これは飽く迄弱点を克服する目的だ。断じて冒涜ではない。
「ならピットくんとセラちゃんに聞いてみよう。このハデスさんを倒そうとするのはナゼ?」
「パルテナ様も言っていたけど! 1!冥府の神でありながら 魂の尊厳を奪う!」
『2!地上や天界に混乱を招いている!』
「3!冥府軍の侵略を防ぎ 多くの生物を救済するため!」
『4!』
「あ、わかった。もういい。もういいから。思わず反省しちゃったよ。反省が過ぎて、賽の河原の石積みツアーに参加しそうになったよ。」
「よく言うよ!」
『反省なんてしていないくせに!』
只管真っ直ぐ突き進み、地上で言うところの円形広場みたいな場所に辿り着いた私達。周囲を見渡し、状況を探っていると突如閉ざされる空間。まさか外敵を吸い込み、ここいらでちょいと消化を促しちゃおうって魂胆なのか。ハデスならば充分有り得る。
「閉じ込められたかッ?!」
『えっ?!こんなトコロで?!』
「いやいや、焦ることはない!とにかく集中して敵を浄化しよう。ハデスに巣くう魔物たちよ!音にも聞け!以下略!!だーれも聞いてないから、省略!!」
「『……聞いてるよー。』」
「省略ッたら、省略ッ!!」
『(ピット君、きょうはひとりで勝手にしゃべるなぁ。)』
前も塞がり、後ろも塞がられている囲まれた状態。引き返す余裕も持ち合わせていないから、前に突き進むべく取り囲まれた状態を撥ね退けるしか方法はない。背中合わせで右半分をピット君、左半分を私が請け負う。士気高めでいつもの名乗りを始めるのかと思われたが、まさかの省略で勝手に終わらせてしまった。確かに半分ぐらい聞き流しているけれど、名乗らないなりに寂しいものがある。それでいて自己完結させてしまう彼。変な時に強引だ。敵をバッタバタ浄化してくれているからもうこれ以上何も考えないが苦笑いを浮かべてしまうのは自然な流れである。
細胞は私達にそれこそ隙なく襲って来て、決して攻撃の手を止めたりしない。こんな場面で道草を食っている場合ではないし、消化されないために一刻も早くこの場から抜け出したいのだが細胞達の頑張りがより一層目立つ。だがこちらも好き勝手にされては困るのだ。バテない程度に左半分を駆け抜け、一匹ずつダッシュ攻撃&ダッシュ射撃のコンボ技を見舞う。威力が高ければ高い程、浄化スピードも上がるってものだ。
「よしッ!!」
『やっと進めるね!』
細胞達は私達を閉じ込めて一網打尽にするつもりでいたみたいだが、そんな妙案さえ無に帰し天使二人は更に先へ進むため再度歩き始めた。決して順調とは世辞にも言えないけれど、私達なりのスピードで進めていると思う。閉じ込められていた扉が開き、一歩足を踏み入れるがどうにも異世界に迷い込んだかのような感覚に陥ってしまう。窪みに流れているのは血液なのだろうが、まるで溶岩だ。此処は、本当に体内か。身体の構造が異なっており、呆気に取られている。
「しかし、ここはどう見ても……。」
「胃袋の中とは思えない?」
『まるで異世界だもんね。』
「パルテナ様との交信が途絶えるのもいままでにないことだ……。」
『そっか……。はじめてだらけなんだね……。』
それでも細胞達の攻撃は止まらず、尚襲って来る。無論、蹴散らして進んでいる訳だが周囲を見渡してみても何処かの世界にありがちなダンジョンなのだ。窪みに誤って落下してしまい、そこは何と溶岩でダメージを諸に喰らってしまう最悪な展開に発展もしない。ある種、ほっと安堵の溜息だ。だからと言って危機が去ったとは言い難いが。未だにハデスの体内でさ迷っている事実は拭い去れないし。どうすればここから脱出出来るんだろう。先程から脳の片隅でそんな考えや幾つも妙案を巡らせている。どれも採用出来ないものばかりなのが非常に悔しい。こうして見ると、ピット君は何も考えてくれていなさそうだ。少しは何か思い浮かばせて、あっと驚かせてくれないものか。
「ホント、パルテナちゃんにおんぶにだっこによっとっと、なんだなぁ。」
『うッ……。否定できない。』
「せめて持ちつ持たれつと言ってくれ!」
パルテナ様に交信出来ていたならば、こんなに悩まずに済んだのかなぁなんて考えて、深い溜め息をついている。彼女に忠実なのは私達天使の強みであるが、それは弱点にも成り得るのだ。つまりは、紙一重。パルテナ様に頼ってばかりでこう言った非常事態と咄嗟の機転が効かず対応が困難になってしまう弱み。パルテナ様も私達も互いが互いを尊重し、必要としているからいいけれどこういう場面で難無く対処出来なくなってしまう。克服しなくては。そう、これは飽く迄弱点を克服する目的だ。断じて冒涜ではない。
「ならピットくんとセラちゃんに聞いてみよう。このハデスさんを倒そうとするのはナゼ?」
「パルテナ様も言っていたけど! 1!冥府の神でありながら 魂の尊厳を奪う!」
『2!地上や天界に混乱を招いている!』
「3!冥府軍の侵略を防ぎ 多くの生物を救済するため!」
『4!』
「あ、わかった。もういい。もういいから。思わず反省しちゃったよ。反省が過ぎて、賽の河原の石積みツアーに参加しそうになったよ。」
「よく言うよ!」
『反省なんてしていないくせに!』