第22章 焼け落ちた羽根(後編)
セラ
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吐き捨てられてしまったパルテナ様は、ブラピ君に言われて押し黙ってしまう。オロオロしながらも、パルテナ様の助言が欲しいと伝えればさも嬉しそうに礼を述べてくれた。
そんなやり取りがありつつも、ブラピ君は大して気にした様子もなくパンドーラへ一気に畳み掛けている。もうそろそろ勝負をつけたいのだろうか。パルテナ様の助言にもあったクリスタルバリアに気をつけながらこれでもかと言わんばかりにボコボコにしている。思わずこちらが身を引いてしまう程。ブラピ君も大概容赦がない。私のやる気は何処へやら。彼を見ていたら一気に興醒めしてしまった。今も尚、ボコボコにしている彼。周囲が引く程ボコボコにしているのだ。当然耐久力が減って来ていたパンドーラは復活もままならず、そのまま地に倒れてしまった。
「あァん!」
「こいつ、ホントにパンドーラか?」
『(ブラピ君も敵に回せないタイプだよね……。)』
ブラピ君がパンドーラを見事にボコボコメッタメタにしてくれたからか、勝利を治められた。やる気に満ち溢れていたのに、それを一切合切削ぎ落としたのは何を隠そうブラピ君だ。勝利出来たからいいものの、複雑な気持ちに支配されたのをどうか許して欲しい。パンドーラを倒し、次に行うべき行動はピット君の復活だ。パルテナ様が昏睡状態のピット君を私達の元に転送してくれた。姿はあの時……数時間前のままだ。
「ちょっとだけつけるんじゃ。ちょっとじゃぞ!!」
ピット君の羽翼を泉側に向けてチョンッとつけるブラピ君。私は……事の成り行きを見守っている。ブラピ君がピット君の羽翼を少々つけてくれたお陰でピット君の羽翼はみるみる内に再生していく。あんなにボロボロで痛ましく目も当てられなかった状態であるが、真っ白な天使の羽根はもうそこに存在していた。羽根が復活したのだからもう彼が昏睡する理由もなくなる。拍子に閉じられていた両眼は開き、元気よく宙返りして着地するピット君。
「うぉぉぉぉおお!!……あッ。あれここは?!」
彼はもう大丈夫。この言葉が脳裏を過った瞬間、次第に流れた涙は溢れ止まらなくなる。ピット君が無事に目覚めてくれた。喜ばしいことこの上ない。彼の元気そうな姿と状況を飲み込めない鈍さに安堵してついつい彼に思いきり抱き着いてしまう。
『ピット君……!よかった!ホントによかった!!』
「セラちゃん。」(なんだろ……このおいしい状況は。もう少しこのままでいたいなぁ。)
一生目を覚まさなかったらどうしようと本気で思った。不安が心を押し潰し、どうにかなってしまいそうだったが、たった今これは解消される。何故私が泣いているのかピット君は分からない様子だったが、ぎこちないながらも私の頭を引き寄せてくれた。
「ブラピ?!」
『ありがとーう!ブラピ君ー!』
何の言葉を発さず只黙って見守ってくれていたブラピ君。私の頭を引き寄せてくれたピット君の手を視界に映し、一瞬険しい表情を見せるも助走をつけて飛び去ろうとする彼。だが、巻きもどしの泉から一歩踏み出したブラピ君は飛行出来ずにそのままの状態で落下してしまう。パンドーラの残存魔力がない今、彼に飛行手段はない。今更だが、ここで振り切られるなんて予想すらしていなかった。嫌な予感が胸中を過ったが、これを指し示しているとは思いも寄らずこの場を以て納得する。今考えても全て後の祭りであるが。
「うわぁぁぁッ?!」
「ブラピ、もう飛べませんからね。」
「しょうがないのう。転送。」
ジタバタするものの無に帰すブラピ君。見兼ねたナチュレちゃんがブラピ君をエンジェランドへ転送してくれたから良かったが、もう少しで彼はこの地をさ迷う最悪な展開へ発展するところだった。危ない、危ない。危険な目に遭っているブラピ君は一足先に。私達は巻きもどしの泉にて抱き着いてしまったピット君から身を離しては天を仰いでいる。ここで漸く、ピット君はパルテナ様と本当の意味で再会を果たした。何の障害もない、本来あるべき姿。
「パルテナ様!……パルテナ様!」
「ピット、おかえりなさい。」
「あぁ、パルテナ様!!」
「さぁ、帰りましょう。」
その事実さえ今は嬉しい。喜びの余り止めどなく流れる涙を拭い、ピット君とパルテナ様が再会を果たす光景をずっとずっとこの眼に焼き付けていた。ピット君も無事に復活できたし、ブラピ君も居てくれているし今日は豪勢な手料理を振る舞おう。せっかくだし、イカロス達にも手伝ってもらっちゃおうかなぁ。そんな思いを胸に私は再会の場を後にして神殿内をゆっくり歩き始めた。
(To be continued……)
皆様、如何お過ごしでしょうか。この章はブラピが最前線に立つのもあって気合いを入れて書かせていただきました。セラ嬢と共闘だなんてまたとない機会だとも思います。ブラピに守ってもらいながらも戦うヒロイン、とても絵になりますね。えぇ、そりゃあもう。守ってもらうのもヒロインの醍醐味なのですが、その中でも管理人が譲れないスローガンがありまして……それは“強く、凛々しく、美しく”です。どんなときでも戦える強さと毅然な態度で何事にも動じない凛々しさと兼ね備わっている美しさと。これが管理人の思う絶対的条件。これだけは外せなくて内容を一部全部変更したりしたものです。それでも私が書くとどうしても不器用さが目立ってしまいがちですが(汗)そこも含めて楽しんでいただければ幸いです。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
by虹
そんなやり取りがありつつも、ブラピ君は大して気にした様子もなくパンドーラへ一気に畳み掛けている。もうそろそろ勝負をつけたいのだろうか。パルテナ様の助言にもあったクリスタルバリアに気をつけながらこれでもかと言わんばかりにボコボコにしている。思わずこちらが身を引いてしまう程。ブラピ君も大概容赦がない。私のやる気は何処へやら。彼を見ていたら一気に興醒めしてしまった。今も尚、ボコボコにしている彼。周囲が引く程ボコボコにしているのだ。当然耐久力が減って来ていたパンドーラは復活もままならず、そのまま地に倒れてしまった。
「あァん!」
「こいつ、ホントにパンドーラか?」
『(ブラピ君も敵に回せないタイプだよね……。)』
ブラピ君がパンドーラを見事にボコボコメッタメタにしてくれたからか、勝利を治められた。やる気に満ち溢れていたのに、それを一切合切削ぎ落としたのは何を隠そうブラピ君だ。勝利出来たからいいものの、複雑な気持ちに支配されたのをどうか許して欲しい。パンドーラを倒し、次に行うべき行動はピット君の復活だ。パルテナ様が昏睡状態のピット君を私達の元に転送してくれた。姿はあの時……数時間前のままだ。
「ちょっとだけつけるんじゃ。ちょっとじゃぞ!!」
ピット君の羽翼を泉側に向けてチョンッとつけるブラピ君。私は……事の成り行きを見守っている。ブラピ君がピット君の羽翼を少々つけてくれたお陰でピット君の羽翼はみるみる内に再生していく。あんなにボロボロで痛ましく目も当てられなかった状態であるが、真っ白な天使の羽根はもうそこに存在していた。羽根が復活したのだからもう彼が昏睡する理由もなくなる。拍子に閉じられていた両眼は開き、元気よく宙返りして着地するピット君。
「うぉぉぉぉおお!!……あッ。あれここは?!」
彼はもう大丈夫。この言葉が脳裏を過った瞬間、次第に流れた涙は溢れ止まらなくなる。ピット君が無事に目覚めてくれた。喜ばしいことこの上ない。彼の元気そうな姿と状況を飲み込めない鈍さに安堵してついつい彼に思いきり抱き着いてしまう。
『ピット君……!よかった!ホントによかった!!』
「セラちゃん。」(なんだろ……このおいしい状況は。もう少しこのままでいたいなぁ。)
一生目を覚まさなかったらどうしようと本気で思った。不安が心を押し潰し、どうにかなってしまいそうだったが、たった今これは解消される。何故私が泣いているのかピット君は分からない様子だったが、ぎこちないながらも私の頭を引き寄せてくれた。
「ブラピ?!」
『ありがとーう!ブラピ君ー!』
何の言葉を発さず只黙って見守ってくれていたブラピ君。私の頭を引き寄せてくれたピット君の手を視界に映し、一瞬険しい表情を見せるも助走をつけて飛び去ろうとする彼。だが、巻きもどしの泉から一歩踏み出したブラピ君は飛行出来ずにそのままの状態で落下してしまう。パンドーラの残存魔力がない今、彼に飛行手段はない。今更だが、ここで振り切られるなんて予想すらしていなかった。嫌な予感が胸中を過ったが、これを指し示しているとは思いも寄らずこの場を以て納得する。今考えても全て後の祭りであるが。
「うわぁぁぁッ?!」
「ブラピ、もう飛べませんからね。」
「しょうがないのう。転送。」
ジタバタするものの無に帰すブラピ君。見兼ねたナチュレちゃんがブラピ君をエンジェランドへ転送してくれたから良かったが、もう少しで彼はこの地をさ迷う最悪な展開へ発展するところだった。危ない、危ない。危険な目に遭っているブラピ君は一足先に。私達は巻きもどしの泉にて抱き着いてしまったピット君から身を離しては天を仰いでいる。ここで漸く、ピット君はパルテナ様と本当の意味で再会を果たした。何の障害もない、本来あるべき姿。
「パルテナ様!……パルテナ様!」
「ピット、おかえりなさい。」
「あぁ、パルテナ様!!」
「さぁ、帰りましょう。」
その事実さえ今は嬉しい。喜びの余り止めどなく流れる涙を拭い、ピット君とパルテナ様が再会を果たす光景をずっとずっとこの眼に焼き付けていた。ピット君も無事に復活できたし、ブラピ君も居てくれているし今日は豪勢な手料理を振る舞おう。せっかくだし、イカロス達にも手伝ってもらっちゃおうかなぁ。そんな思いを胸に私は再会の場を後にして神殿内をゆっくり歩き始めた。
(To be continued……)
皆様、如何お過ごしでしょうか。この章はブラピが最前線に立つのもあって気合いを入れて書かせていただきました。セラ嬢と共闘だなんてまたとない機会だとも思います。ブラピに守ってもらいながらも戦うヒロイン、とても絵になりますね。えぇ、そりゃあもう。守ってもらうのもヒロインの醍醐味なのですが、その中でも管理人が譲れないスローガンがありまして……それは“強く、凛々しく、美しく”です。どんなときでも戦える強さと毅然な態度で何事にも動じない凛々しさと兼ね備わっている美しさと。これが管理人の思う絶対的条件。これだけは外せなくて内容を一部全部変更したりしたものです。それでも私が書くとどうしても不器用さが目立ってしまいがちですが(汗)そこも含めて楽しんでいただければ幸いです。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
by虹
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