第22章 焼け落ちた羽根(後編)
セラ
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相も変わらず泉へ真っ逆さまに落下しないよう気を配りながら、撹乱作戦を実行する。美貌のお陰で冷静さを取り戻したパンドーラはブラピ君にだけではなく、私にも攻撃を放って来るのが目立つ。誘導性の高いハート型の弾は、いつまでも追い掛けてくるしつこさを持っている。しつこいヤツは嫌われると言うが、それは攻撃の特性でも同じく言えるだろう。ハート型の弾をぎりぎり引きつけて回避。ブラピ君と共にパンドーラへ接近戦を持ち掛け、力の限りボコボコにする。耐久力もなくなったのか、私達の攻撃に耐え兼ねてパンドーラはその場に倒れてしまった。
……これで漸く、ピット君を泉の力で復活できる。
「……なんてね。」
『えッ?!復活したの?!』
「……ではないようですよ。」
パンドーラに勝利出来たのだと安心したが、それは単なる糠喜びに過ぎなかった。驚きの事態に発展するのだが、その場に倒れたパンドーラがむくりと起き上がり私達に対して更なる追討ちをかけるかの如く攻撃を開始したのだ。正直何が起こったのか分からずにいたが、どうやらパンドーラは死んだふりをしてうまく撹乱したらしい。私は、まんまとパンドーラの罠に嵌まってしまった模様だ。羞恥の余り、顔を赤らめつつ再度ブラピ君と共に戦闘へ臨む。恥ずかしさを隠す目的で穴があるのならば是非とも入りたい気持ちである。
「やっと見つけたよ。キミたち逃げるのうまいんだから。」
「パルテナステルスバリアのおかげですね。」
「そんな能力、あったかの?」
「いえ、言ってみただけですけど。」
「『んがッ!!』」
『(一瞬でも肯定してしまったわ。)』
「それでいいのか 光の女神よ。」
ついさっきと比較して強さが倍増している気がする。これは気を引き締めなくては。恥ずかしさに見舞われている場合ではない。ワープを試み現れた直後、攻撃を見舞って来るパンドーラから距離を取り片足を踏み出しては打撃を加える。直ぐ様逃げられてしまうが隙が出来れば幾らでも反撃が出来て尚且つ勝利へと一歩一歩近付く。ハデスの声が聞こえたが、聞こえない振りを装おう。
「ハデスさまー。ハデスさまー。おひさしゅう。」
「ん?えーっと……。だれだっけ?」
「パンドーラですよぉ!ほら、トラップダンジョンのぉ!」
「……。うそッ?!」
「おおマジですって!」
『(ハデスの気持ち、わからなくもない。同意はしないけど!)』
そんな中繰り広げられるハデスとパンドーラの会話。ハデスの反応が会話から大いに察知出来て、苦笑い。同意はしないが気持ちは分からなくもない。別人と化したパンドーラが現れたら、そういう反応を見せても何の不自然さも生まれない……恐らくハデスの本心なのだろう。見違える程に変貌を遂げてしまったら、嫌でもそうなる。こう言っては難だが、幽体の姿だった時期が私は愛着があると思う。敵ながら、そんな心情に支配させてくれるパンドーラ……おそるべしである。
「うーん……。やっぱ、巻きもどしの泉は埋めちゃおう。ね。これは危険なブツと見たね。」
「それは困ります!」
『ピット君が復活できなくなっちゃう!』
「早くパンドーラを倒してしまうのじゃ!」
「任せとけ!」
だが敵である以上、倒さなければならない。敵でなかったのなら、仲良くなれていたのかな。なぁんて思いさえ芽生えてしまうが、次から次へと攻撃を仕掛けて来る。それは、有り得ない話のようだ。然すれば全力で突っかかって行くのみ。ハート型の弾だけかと思いきや剣を一線上に薙ぎ払ってみたり、大きな爆弾を仕掛けてみたり意外にも様々。技を繰り出した後、必ず隙が出来る。そこを狙い続けられれば勝利は確実のものとなりうるだろう。強敵であるが、耐久力は永遠に存在したりしない。いずれパンドーラにもその時が訪れる。それに、ピット君の復活を邪魔立てするつもりならば容赦なんてしてやらないんだから。
ここで気合いを入れ直し、ワープした直後攻撃を放ったパンドーラの隙を衝いてダッシュ打撃を加える。華麗なる攻撃捌きにブラピ君はこう思ったらしい。
「セラが……燃えている。」
一度、倒しているからだろうか。パンドーラの動きが徐々に鈍くなっている気がする。耐久力が減って来ている、この判断は恐らく間違いではない。互いに猛攻撃、回避、防御が続く中聞こえて来るパルテナ様の助言。
「ハート型のクリスタルバリアに注意しなさい。これは」
「射撃が反射されるんだろ?」
「えぇ、まぁ……。」
「俺に指図するな!」
だが聞く前にブラピ君が自身の言葉で遮り、一蹴してしまう。お陰で私は、パルテナ様からの有り難い助言を聞きそびれてしまった。自身の両眼で誰に頼るでもなく、見極め、攻撃する……ブラピ君が今迄そうして来た経験が実を結んでいるのが分かったが、私はと言うと不服で仕方がない。何故ならパルテナ様が助言をくださるのは私にとって励みに等しい。“がんばって勝利して”の裏返しなのだと勝手な迄に思っているのだ。
……これで漸く、ピット君を泉の力で復活できる。
「……なんてね。」
『えッ?!復活したの?!』
「……ではないようですよ。」
パンドーラに勝利出来たのだと安心したが、それは単なる糠喜びに過ぎなかった。驚きの事態に発展するのだが、その場に倒れたパンドーラがむくりと起き上がり私達に対して更なる追討ちをかけるかの如く攻撃を開始したのだ。正直何が起こったのか分からずにいたが、どうやらパンドーラは死んだふりをしてうまく撹乱したらしい。私は、まんまとパンドーラの罠に嵌まってしまった模様だ。羞恥の余り、顔を赤らめつつ再度ブラピ君と共に戦闘へ臨む。恥ずかしさを隠す目的で穴があるのならば是非とも入りたい気持ちである。
「やっと見つけたよ。キミたち逃げるのうまいんだから。」
「パルテナステルスバリアのおかげですね。」
「そんな能力、あったかの?」
「いえ、言ってみただけですけど。」
「『んがッ!!』」
『(一瞬でも肯定してしまったわ。)』
「それでいいのか 光の女神よ。」
ついさっきと比較して強さが倍増している気がする。これは気を引き締めなくては。恥ずかしさに見舞われている場合ではない。ワープを試み現れた直後、攻撃を見舞って来るパンドーラから距離を取り片足を踏み出しては打撃を加える。直ぐ様逃げられてしまうが隙が出来れば幾らでも反撃が出来て尚且つ勝利へと一歩一歩近付く。ハデスの声が聞こえたが、聞こえない振りを装おう。
「ハデスさまー。ハデスさまー。おひさしゅう。」
「ん?えーっと……。だれだっけ?」
「パンドーラですよぉ!ほら、トラップダンジョンのぉ!」
「……。うそッ?!」
「おおマジですって!」
『(ハデスの気持ち、わからなくもない。同意はしないけど!)』
そんな中繰り広げられるハデスとパンドーラの会話。ハデスの反応が会話から大いに察知出来て、苦笑い。同意はしないが気持ちは分からなくもない。別人と化したパンドーラが現れたら、そういう反応を見せても何の不自然さも生まれない……恐らくハデスの本心なのだろう。見違える程に変貌を遂げてしまったら、嫌でもそうなる。こう言っては難だが、幽体の姿だった時期が私は愛着があると思う。敵ながら、そんな心情に支配させてくれるパンドーラ……おそるべしである。
「うーん……。やっぱ、巻きもどしの泉は埋めちゃおう。ね。これは危険なブツと見たね。」
「それは困ります!」
『ピット君が復活できなくなっちゃう!』
「早くパンドーラを倒してしまうのじゃ!」
「任せとけ!」
だが敵である以上、倒さなければならない。敵でなかったのなら、仲良くなれていたのかな。なぁんて思いさえ芽生えてしまうが、次から次へと攻撃を仕掛けて来る。それは、有り得ない話のようだ。然すれば全力で突っかかって行くのみ。ハート型の弾だけかと思いきや剣を一線上に薙ぎ払ってみたり、大きな爆弾を仕掛けてみたり意外にも様々。技を繰り出した後、必ず隙が出来る。そこを狙い続けられれば勝利は確実のものとなりうるだろう。強敵であるが、耐久力は永遠に存在したりしない。いずれパンドーラにもその時が訪れる。それに、ピット君の復活を邪魔立てするつもりならば容赦なんてしてやらないんだから。
ここで気合いを入れ直し、ワープした直後攻撃を放ったパンドーラの隙を衝いてダッシュ打撃を加える。華麗なる攻撃捌きにブラピ君はこう思ったらしい。
「セラが……燃えている。」
一度、倒しているからだろうか。パンドーラの動きが徐々に鈍くなっている気がする。耐久力が減って来ている、この判断は恐らく間違いではない。互いに猛攻撃、回避、防御が続く中聞こえて来るパルテナ様の助言。
「ハート型のクリスタルバリアに注意しなさい。これは」
「射撃が反射されるんだろ?」
「えぇ、まぁ……。」
「俺に指図するな!」
だが聞く前にブラピ君が自身の言葉で遮り、一蹴してしまう。お陰で私は、パルテナ様からの有り難い助言を聞きそびれてしまった。自身の両眼で誰に頼るでもなく、見極め、攻撃する……ブラピ君が今迄そうして来た経験が実を結んでいるのが分かったが、私はと言うと不服で仕方がない。何故ならパルテナ様が助言をくださるのは私にとって励みに等しい。“がんばって勝利して”の裏返しなのだと勝手な迄に思っているのだ。