第22章 焼け落ちた羽根(後編)
セラ
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なのに、私の考えを大いに裏切るのはハデス率いる冥府軍だ。中央を真っ直ぐ突き進み穏便に済ませる算段の天使を此見よがしに邪魔立てして来る。妨害されたからとて何のその。お構いなしにブラピ君は、ラインを引くライナやヘルドラゴンに渾身の一撃を見舞っていた。まさかブラピ君……ストレスでも溜めているのだろうか。そのストレスを魔物達へぶつける……強ち間違ってもいないだろう。自由の身と言えど、苦労しているんだなって妙に納得していたら……
「セラ。今、しつれいなこと考えていただろう。」
呆れた表情で言い放たれてしまう。ここだけの話にしておきたかった私から一言。どうして分かったのだろう。はっ?!もしや、ブラピ君ってエスパー?!
「あそこにあるものは“巻きもどしの泉”と言われています。泉の近くに寄ってください。あなたがたのそばにピットを転送します。」
魂の奔流を抜け、カクカクした空間を抜けるとそこには……暗闇の中に聳える異質な建造物。まるで聖杯の形の如くそこに存在している。ということはつまり、この空間全てが“復活の街”であり、聖杯なる建造物として存在しているのが話に聞く“巻きもどしの泉”。個人的な主観から物を言っているが、聖杯の周囲に淡い光が宿しているようにも見えなくない。
「巻きもどしの泉は、文字通り状態を元にもどしていくのじゃ。漬け過ぎると、巻きもどりすぎてエライことになりそうじゃが。」
あの場所に降り立ち、ピット君の翼を元の状態に戻す。成功すればピット君は前みたいに目覚め、行動出来るが……失敗すれば……考えれば考える程身の毛も弥立つ。だが、ここ迄来て踵を返すなんて当然出来ないし怖じ気付いてもいられない。意を決して視界に映る巻きもどしの泉へ距離を狭め、ゆっくり降り立った。聖杯の形状をした巻きもどしの泉は中央に水が張っており、この水こそが今回の鍵になるものだ。訝し気な表情を浮かべ、泉を覗き込むブラピ君。そこで……事件は起こる。
「うぁぁぁぁぁぁぁッ?!」
『ブラピ君?!(今、なにか離れた?!)』
「な、なんじゃ?!」
突如ブラピ君が苦しみ出した。一瞬の出来事で良く見えなかったが、羽翼から何かが強制的に引き離され巻きもどしの泉へとそのままダイブしたのだ。ブラピ君の羽翼に宿っていたのは誰もが知るパンドーラの残存魔力。そこから引き離されたのはつまり。
「これはラッキーだったねェ。」
「『パンドーラ……!』」
パンドーラ張本人。残存魔力でありながら、意志はきちんとあった模様。でなかったら、巻きもどしの泉へダイブしたりはしないだろう。ブラピ君から離れ、泉へダイブした直後私達はあの時確かに戦って倒した筈の敵をもう一度倒す羽目になる。倒される前に見たあの時と同じ姿を保ち、私達に攻撃を仕掛けて来る。
「なんたる離れワザ!!」
「なんか巻きもどしの泉が目の前にあるとはねェ!黒いの!よくもいままでコキ使ってくれたねェ!!殺してやルアァァァァァァァ!!」
「まぁ、怖い。」
「ああはなりたくないのう。」
『……ホントだね。』
しかし、あの時と一つ相違する部分がある。あの時は冷静に戦っている印象を受けていたパンドーラであったが、今はブラピ君に対する怒りや恨みが強すぎて見境なしに攻撃している様子だ。それでいて、赤い。お陰でこちら迄もとばっちりを喰らう始末。思わず苦笑い。泉が中央に湧いている分、フィールドは至って狭く要領が悪く、射撃を加えているもののダメージを与えられているかは何とも言い難い。パルテナ様の助言もないから、あの時戦った戦法で充分通用するだろう。今度は連れ去られないよう、気をつけなくては。厭、その心配はどうやら無いみたいだ。怒りで我を忘れているのか、初っ端から攻撃が激しい。誘導性のあるノコギリ状の弾を無数に放ち、かと思えば炎の弾を放って来る。カニ歩きで状況を分析しつつ、攻撃の機会を今か今かと窺っているがなかなか好機は訪れてくれない。たった今この瞬間挑んでいるが、主にブラピ君へ攻撃が集中しているのは誰が見ても明らか。私に対する怒りや恨みがない事実に胸を撫で下ろしたのも束の間、サポート側に回る私。妙な置いてけぼり感。
「ブラピが自由に飛べるのはパンドーラの残存魔力のおかげ。」
「要はパンドーラの残骸を翼に宿していたと。巻きもどしの泉の力で復活できたというわけじゃな。」
「好き勝手しやがッてェェェェ!!」
「まぁまぁ便利だったぜ。また倒して同じように使ってやるよ。感謝しな。」
「フンゴォォォォォォォオォ!!」
『ブラピ君、煽るだけ煽るんだもん。パンドーラが怖くてしょうがないよ。』
それでも、攻撃の手は止めない。泉の中に誤って落ちないように気を配りながら、パンドーラへ攻撃を加えて行く。と言っても、普通の射撃・打撃ではダメージが蓄積されていても本の僅かだろう。これでは埒が明かない。何かダメージを大いに与える方法はないものか。
「セラ。今、しつれいなこと考えていただろう。」
呆れた表情で言い放たれてしまう。ここだけの話にしておきたかった私から一言。どうして分かったのだろう。はっ?!もしや、ブラピ君ってエスパー?!
「あそこにあるものは“巻きもどしの泉”と言われています。泉の近くに寄ってください。あなたがたのそばにピットを転送します。」
魂の奔流を抜け、カクカクした空間を抜けるとそこには……暗闇の中に聳える異質な建造物。まるで聖杯の形の如くそこに存在している。ということはつまり、この空間全てが“復活の街”であり、聖杯なる建造物として存在しているのが話に聞く“巻きもどしの泉”。個人的な主観から物を言っているが、聖杯の周囲に淡い光が宿しているようにも見えなくない。
「巻きもどしの泉は、文字通り状態を元にもどしていくのじゃ。漬け過ぎると、巻きもどりすぎてエライことになりそうじゃが。」
あの場所に降り立ち、ピット君の翼を元の状態に戻す。成功すればピット君は前みたいに目覚め、行動出来るが……失敗すれば……考えれば考える程身の毛も弥立つ。だが、ここ迄来て踵を返すなんて当然出来ないし怖じ気付いてもいられない。意を決して視界に映る巻きもどしの泉へ距離を狭め、ゆっくり降り立った。聖杯の形状をした巻きもどしの泉は中央に水が張っており、この水こそが今回の鍵になるものだ。訝し気な表情を浮かべ、泉を覗き込むブラピ君。そこで……事件は起こる。
「うぁぁぁぁぁぁぁッ?!」
『ブラピ君?!(今、なにか離れた?!)』
「な、なんじゃ?!」
突如ブラピ君が苦しみ出した。一瞬の出来事で良く見えなかったが、羽翼から何かが強制的に引き離され巻きもどしの泉へとそのままダイブしたのだ。ブラピ君の羽翼に宿っていたのは誰もが知るパンドーラの残存魔力。そこから引き離されたのはつまり。
「これはラッキーだったねェ。」
「『パンドーラ……!』」
パンドーラ張本人。残存魔力でありながら、意志はきちんとあった模様。でなかったら、巻きもどしの泉へダイブしたりはしないだろう。ブラピ君から離れ、泉へダイブした直後私達はあの時確かに戦って倒した筈の敵をもう一度倒す羽目になる。倒される前に見たあの時と同じ姿を保ち、私達に攻撃を仕掛けて来る。
「なんたる離れワザ!!」
「なんか巻きもどしの泉が目の前にあるとはねェ!黒いの!よくもいままでコキ使ってくれたねェ!!殺してやルアァァァァァァァ!!」
「まぁ、怖い。」
「ああはなりたくないのう。」
『……ホントだね。』
しかし、あの時と一つ相違する部分がある。あの時は冷静に戦っている印象を受けていたパンドーラであったが、今はブラピ君に対する怒りや恨みが強すぎて見境なしに攻撃している様子だ。それでいて、赤い。お陰でこちら迄もとばっちりを喰らう始末。思わず苦笑い。泉が中央に湧いている分、フィールドは至って狭く要領が悪く、射撃を加えているもののダメージを与えられているかは何とも言い難い。パルテナ様の助言もないから、あの時戦った戦法で充分通用するだろう。今度は連れ去られないよう、気をつけなくては。厭、その心配はどうやら無いみたいだ。怒りで我を忘れているのか、初っ端から攻撃が激しい。誘導性のあるノコギリ状の弾を無数に放ち、かと思えば炎の弾を放って来る。カニ歩きで状況を分析しつつ、攻撃の機会を今か今かと窺っているがなかなか好機は訪れてくれない。たった今この瞬間挑んでいるが、主にブラピ君へ攻撃が集中しているのは誰が見ても明らか。私に対する怒りや恨みがない事実に胸を撫で下ろしたのも束の間、サポート側に回る私。妙な置いてけぼり感。
「ブラピが自由に飛べるのはパンドーラの残存魔力のおかげ。」
「要はパンドーラの残骸を翼に宿していたと。巻きもどしの泉の力で復活できたというわけじゃな。」
「好き勝手しやがッてェェェェ!!」
「まぁまぁ便利だったぜ。また倒して同じように使ってやるよ。感謝しな。」
「フンゴォォォォォォォオォ!!」
『ブラピ君、煽るだけ煽るんだもん。パンドーラが怖くてしょうがないよ。』
それでも、攻撃の手は止めない。泉の中に誤って落ちないように気を配りながら、パンドーラへ攻撃を加えて行く。と言っても、普通の射撃・打撃ではダメージが蓄積されていても本の僅かだろう。これでは埒が明かない。何かダメージを大いに与える方法はないものか。