第22章 焼け落ちた羽根(後編)
セラ
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この気持ちが存在する限り、私は何があったって負けない。
そう思わせてくれたのは数々の戦いの中で、ピット君だけだ。心の中がぽぅっと温かくなる感覚に陥り、笑みを浮かべている自分が居る。今は傍に居ないのにありのままでいさせてくれる。これだけでも原動力になっているだなんて不思議だ。そう思っていれば、上空にハデスの幻影が再度浮かび上がり、自信満々に言い放って来た。
「ま、このハデスさんが倒れない限りは冥府は安泰だけどね!おらチョーップ!!」
「ぐぅッ!!」
『きゃぁッ!!』
その直後に、ハデスの幻影は高く聳える水晶の柱へ向けて斜めに切り裂いた。その反動の衝撃でダメージを受ける二人。幻影の筈が実質攻撃出来ている。もしや、幻影がフェイクで今もこの場に留まっているのだろうか。
「ハデスはここにはいません!目的を見失わないように!」
『そうなんですね!』
「知れたこと!」
パルテナ様の助言で我に返る。今見つめているハデスはやはり幻影に過ぎず、私達を惑わせているだけなのだと知り、真っ直ぐハデスへ向けて飛行。彼女の助言通り、実体はなく体当たりしたのにも関わらず私の両眼には空が映るだけだった。それにしては感覚も本物そっくりで、つい惑わされてしまった。確かに柱を切り裂いていた。幻影にさえ力を込めるのはハデスにとってお茶の子さいさいなのだろうか。物凄く不愉快であるが。
「目指すべきはピットの復活だろ?!」
「その通りです。そのまま進んでください!」
『待ってて!ピット君!』
「そんなに張り切らなくても いいのになぁ。」
徐々に復活の街へ距離を狭める中で、魔物達の妨害が一際目立つ。言わずもがな返り討ちにしてやったが、妨害が激しさを増した所を見ると近づいているやもと推察出来る。ハデスの言葉を耳に流したが、ピット君に復活してほしくはない意味にも取れる。彼が自分の脅威であると認めているようなものだ。リスクがどうしても伴ってしまうが、復活の街へ行ってピット君を復活させなければ。力強く首を縦に頷き、前を向いて真っ直ぐ飛行する。もうそろそろ復活の街へ辿り着くだろうか。そう考えていた刹那、先々に何かの渦が中央に沿ってぐるぐる廻っているのが窺えた。あれは、一体何なのだろう。首を傾げつつも、その光景に思わず魅入る。復活の街へ通ずる道筋、初めて見受けるものばかりだ。
「魂の奔流が見えます。冥府軍も、魂がなければ維持できないようです。獲物がいなくなれば それを食べる生きものが生きられないように ともに生きるから世界が成り立つのかもしれません。」
『共存ですよね。それってとってもステキなことだなぁ。』
「だからそのバランスを崩す人間が許せないんじゃ!」
「フッ戯言を。世界のバランスをいちばん崩しているのは神々同士の戦いじゃないのか?!」
「こやつめ。ハッキリ言いよる。」
『ストレートだね、ブラピ君。』
何かの渦が中央に沿ってぐるぐる廻っている奇妙な光景。パルテナ様曰くあれが魂の奔流らしい。見ている上では、何だか良く分からない。けれどそう言われてみれば、キラキラ輝いているとも言えなくはない。あれが、魂なのか……?眉間に皺を寄せつつ難しい顔をしながら魂の奔流に接近してみる。奔流の前では、冥府軍すら手も足も出ないみたいだ。それを証拠に魔物達は浮遊するだけに留まっている。大きな流れに変化もせず、一定の時間まるで生物の呼吸かの如くぐるぐる回転する奔流を見届け、私達は空間に穴が生じるのを発見。パルテナ様は何も言わないが、あれが復活の街へ通ずる経路に違いない。もしや、隣で飛行するブラピ君はルートを既に把握しているのだろうか。余りにもスイスイ先に行くものだから、ついて行くのが大変だ。まぁ、ついて来ないと分かれば途中途中待っててくれているのも事実だが。それにしても飛行スピードは速い。
「すべてを蹂躙しようとする“冥府軍”も、人類と文化の滅亡を試みる“自然軍”も、自然を搾取し続ける“人間たち”も、あるいは世界を巻き込んで激しい戦いを繰り広げる“神々”も。すべてどこかだけ力を持ち過ぎたら困るものたちなのかもしれませんね。」
「しかし、どう考えてもハデスだけは倒さねばならん。」
「ひとり勝ちできる可能性があるのは ハデス以外に無いからな。」
『やっぱりハデスって強いのね……。』
「人間の脅威など、あやつの前ではたおやかに揺れる稲穂のようなものじゃ!」
空間に穴が生じ、その中へ入り込んで行く私とブラピ君。中に入るとそこには、カクカクしたものが張り巡らされている空間が視界に広がった。正体は不明であるが、触れたら最後。ダメージを受けるのは最早必須だろう。幸いにも四方八方に張り巡らされているが、中央だけはガラ空きになっている。言わずもがな中央を真っ直ぐ突き進んでさえいれば、そうそうダメージは喰らったりしない筈。
そう思わせてくれたのは数々の戦いの中で、ピット君だけだ。心の中がぽぅっと温かくなる感覚に陥り、笑みを浮かべている自分が居る。今は傍に居ないのにありのままでいさせてくれる。これだけでも原動力になっているだなんて不思議だ。そう思っていれば、上空にハデスの幻影が再度浮かび上がり、自信満々に言い放って来た。
「ま、このハデスさんが倒れない限りは冥府は安泰だけどね!おらチョーップ!!」
「ぐぅッ!!」
『きゃぁッ!!』
その直後に、ハデスの幻影は高く聳える水晶の柱へ向けて斜めに切り裂いた。その反動の衝撃でダメージを受ける二人。幻影の筈が実質攻撃出来ている。もしや、幻影がフェイクで今もこの場に留まっているのだろうか。
「ハデスはここにはいません!目的を見失わないように!」
『そうなんですね!』
「知れたこと!」
パルテナ様の助言で我に返る。今見つめているハデスはやはり幻影に過ぎず、私達を惑わせているだけなのだと知り、真っ直ぐハデスへ向けて飛行。彼女の助言通り、実体はなく体当たりしたのにも関わらず私の両眼には空が映るだけだった。それにしては感覚も本物そっくりで、つい惑わされてしまった。確かに柱を切り裂いていた。幻影にさえ力を込めるのはハデスにとってお茶の子さいさいなのだろうか。物凄く不愉快であるが。
「目指すべきはピットの復活だろ?!」
「その通りです。そのまま進んでください!」
『待ってて!ピット君!』
「そんなに張り切らなくても いいのになぁ。」
徐々に復活の街へ距離を狭める中で、魔物達の妨害が一際目立つ。言わずもがな返り討ちにしてやったが、妨害が激しさを増した所を見ると近づいているやもと推察出来る。ハデスの言葉を耳に流したが、ピット君に復活してほしくはない意味にも取れる。彼が自分の脅威であると認めているようなものだ。リスクがどうしても伴ってしまうが、復活の街へ行ってピット君を復活させなければ。力強く首を縦に頷き、前を向いて真っ直ぐ飛行する。もうそろそろ復活の街へ辿り着くだろうか。そう考えていた刹那、先々に何かの渦が中央に沿ってぐるぐる廻っているのが窺えた。あれは、一体何なのだろう。首を傾げつつも、その光景に思わず魅入る。復活の街へ通ずる道筋、初めて見受けるものばかりだ。
「魂の奔流が見えます。冥府軍も、魂がなければ維持できないようです。獲物がいなくなれば それを食べる生きものが生きられないように ともに生きるから世界が成り立つのかもしれません。」
『共存ですよね。それってとってもステキなことだなぁ。』
「だからそのバランスを崩す人間が許せないんじゃ!」
「フッ戯言を。世界のバランスをいちばん崩しているのは神々同士の戦いじゃないのか?!」
「こやつめ。ハッキリ言いよる。」
『ストレートだね、ブラピ君。』
何かの渦が中央に沿ってぐるぐる廻っている奇妙な光景。パルテナ様曰くあれが魂の奔流らしい。見ている上では、何だか良く分からない。けれどそう言われてみれば、キラキラ輝いているとも言えなくはない。あれが、魂なのか……?眉間に皺を寄せつつ難しい顔をしながら魂の奔流に接近してみる。奔流の前では、冥府軍すら手も足も出ないみたいだ。それを証拠に魔物達は浮遊するだけに留まっている。大きな流れに変化もせず、一定の時間まるで生物の呼吸かの如くぐるぐる回転する奔流を見届け、私達は空間に穴が生じるのを発見。パルテナ様は何も言わないが、あれが復活の街へ通ずる経路に違いない。もしや、隣で飛行するブラピ君はルートを既に把握しているのだろうか。余りにもスイスイ先に行くものだから、ついて行くのが大変だ。まぁ、ついて来ないと分かれば途中途中待っててくれているのも事実だが。それにしても飛行スピードは速い。
「すべてを蹂躙しようとする“冥府軍”も、人類と文化の滅亡を試みる“自然軍”も、自然を搾取し続ける“人間たち”も、あるいは世界を巻き込んで激しい戦いを繰り広げる“神々”も。すべてどこかだけ力を持ち過ぎたら困るものたちなのかもしれませんね。」
「しかし、どう考えてもハデスだけは倒さねばならん。」
「ひとり勝ちできる可能性があるのは ハデス以外に無いからな。」
『やっぱりハデスって強いのね……。』
「人間の脅威など、あやつの前ではたおやかに揺れる稲穂のようなものじゃ!」
空間に穴が生じ、その中へ入り込んで行く私とブラピ君。中に入るとそこには、カクカクしたものが張り巡らされている空間が視界に広がった。正体は不明であるが、触れたら最後。ダメージを受けるのは最早必須だろう。幸いにも四方八方に張り巡らされているが、中央だけはガラ空きになっている。言わずもがな中央を真っ直ぐ突き進んでさえいれば、そうそうダメージは喰らったりしない筈。