第22章 焼け落ちた羽根(後編)
セラ
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けれど、どうしても理に適っていると認めたくなかった。口達者なハデスだ、反論してもきっと言い包められるのがオチだろう。この人物が現に冥府界を牛耳っているが、今以上に統率させてはいけないと思った瞬間はない。魂を喰う怪物から解放された魂が今度はハデスに捕われないよう、只祈るばかりだ。
魂を喰う怪物が浄化されて脅威が退けられたのか、敵が多数出現する。隣で飛行するブラピ君もピット君に負けず劣らず血の気が多いためか素早く浄化している模様。二人共、本当に頼もしい。ブラピ君がさっさと浄化してくれるので私は会話に集中出来るってものだ。でこぼこに変形した地形を抜け、水晶が幾つも連なる建造物を越える。まだまだ復活の街へは程遠いらしい。それでなのか影も形も見えて来ず、未だ異様な雰囲気が漂っている。
「仮に魂が素材として、ハデスはそれを集めてどうするつもりじゃ?」
「まさか、魂から冥府の魔物を作るのでしょうか……。」
「その通り!」
「……ん?それじゃ、冥府軍との戦いは負け戦ではないか!」
『えぇッ?魔物を浄化しても意味がないの?!』
「あ、バレた?するどいなー。」
魔物の運搬役でも知られるブーハウス。こちらをひるませたいのか主旨は不明だが、イカツイ顔をして向かって来る強豚。目立った攻撃はして来ないが、周囲に群がる魔物達がブーハウスを守備している印象を受ける。ブラピ君にばかり浄化させるのも良心が呵責された私は、透かさず浄化にかかり片っ端から魔物たちへ攻撃を加えて行く。ここ迄来ると、下等な魔物でも何処となく強く感じる。徐々に強くなっているとは言え、過信は禁物だ。自信と過信は遥かに違う。気を抜いてはならない。周囲に群がる魔物達を浄化し終え、ブラピ君がブーハウスにとどめを刺す。二人で戦う行為はなかなか機会がないが、息の合った連携が取れていると思う。互いに合わせている訳ではないのだが、自由な動きで戦えている。何だか不思議だ。けれどその理由をブラピ君は分かっているらしい。
「セラをずっと見ていたからな。そのぐらい余裕でわかるんだよ。」
自身の表情がそれ等を物語っていたのか何なのかブラピ君にこっそり耳打ちされてしまったが、無論私はブラピ君がどう思っているのか全然分からない。
「戦いによって、兵士や生物が命を落としたとして……。その魂を使って冥府軍が作られるとしたら……?」
「戦えば戦うほど冥府軍だけが大きくなれると。それに惚れてセラちゃんもモノにできちゃう。まさに勝ち組!世の中って、楽勝!」
『なんですってぇ?』
「ンなわけがあるか。計算もできないんなら“脳トレ”でもやってるんだな。」
「わらわの脳年齢は24才じゃ!」
「いや、聞いてませんから。」
連携が取れている中で、この会話だ。ハデスが世の中を舐めている言動が耳に届き、一気に不快感を抱く。そう簡単に都合良く物事が動く筈もない。それに、納得出来ない箇所が多々ある。魂を使って冥府軍が作られるのならば、必ず限界が来るだろう。だがそんな様子は窺えない。心が痛むが、必ず生物には死が訪れる。それはどうあっても免れない。冥府に向かうべき魂が道筋外れてこの場所に集うのは理解したが、本当に意志もなく主張すら出来ずに魔物へ変貌を遂げてしまうのか。ハデスの言い分は道理に合っているのだろうか……どうしてもそう思えない私が居る。
「その理屈が正しければ、いまごろ冥府はパンパンだ。魂の価値は、頭数と等価ではないってことだろ?」
「やられた冥府軍からは魂が採れないのかも……。肉体が無い魂だけですぐに生物が作れるとも思いにくいし。」「エネルギー回生効率が低いんじゃの。エコじゃないのう。」
「つまり、力押しすることもできる!」
『なんか、希望が見えてきたわ!』
やはりそうとも言い切れないみたいだ。魂を採集し、冥府の魔物に変換させる根拠が何処にもない。自信満々に言い放っていたが捻じ曲げるのも可能なのか。自身の考えを口々に、希望の兆しが垣間見えた瞬間だ。やはりハデスの言い分は道理に合わず、一蹴された。つまりはその仮説が成り立たない事実に繋がる。私がどうとか聞き捨てならない発言もあったりしたが、絶対有り得ない。ここに断言しよう。今までもこれからもハデスに揺れないだろうし、自分の身は自分で守って行く。私が冥府に落ちない働きをしていこう。勿論、私だけじゃない。人々の魂も生物の魂もハデスに捕縛されないように守っていかなければ。幾ら戦争を引き起こして魔物の餌食となりかけたとしても、見捨てるなんて私には出来ない。強い心で戦闘に臨もうと思う。厭、今までもそうしてきたけれど改めての決意表明みたいなもの。過信していると言われればそれまでだが、戦闘を通して私は強くなっている。あんなにひ弱だった自分が成長に繋がっている、その事実だけで充分。それに……傍に居てくれている存在があるから。そう思えるのは、大切な人達に対しての信頼感が強まっている証拠なのだと思う。
魂を喰う怪物が浄化されて脅威が退けられたのか、敵が多数出現する。隣で飛行するブラピ君もピット君に負けず劣らず血の気が多いためか素早く浄化している模様。二人共、本当に頼もしい。ブラピ君がさっさと浄化してくれるので私は会話に集中出来るってものだ。でこぼこに変形した地形を抜け、水晶が幾つも連なる建造物を越える。まだまだ復活の街へは程遠いらしい。それでなのか影も形も見えて来ず、未だ異様な雰囲気が漂っている。
「仮に魂が素材として、ハデスはそれを集めてどうするつもりじゃ?」
「まさか、魂から冥府の魔物を作るのでしょうか……。」
「その通り!」
「……ん?それじゃ、冥府軍との戦いは負け戦ではないか!」
『えぇッ?魔物を浄化しても意味がないの?!』
「あ、バレた?するどいなー。」
魔物の運搬役でも知られるブーハウス。こちらをひるませたいのか主旨は不明だが、イカツイ顔をして向かって来る強豚。目立った攻撃はして来ないが、周囲に群がる魔物達がブーハウスを守備している印象を受ける。ブラピ君にばかり浄化させるのも良心が呵責された私は、透かさず浄化にかかり片っ端から魔物たちへ攻撃を加えて行く。ここ迄来ると、下等な魔物でも何処となく強く感じる。徐々に強くなっているとは言え、過信は禁物だ。自信と過信は遥かに違う。気を抜いてはならない。周囲に群がる魔物達を浄化し終え、ブラピ君がブーハウスにとどめを刺す。二人で戦う行為はなかなか機会がないが、息の合った連携が取れていると思う。互いに合わせている訳ではないのだが、自由な動きで戦えている。何だか不思議だ。けれどその理由をブラピ君は分かっているらしい。
「セラをずっと見ていたからな。そのぐらい余裕でわかるんだよ。」
自身の表情がそれ等を物語っていたのか何なのかブラピ君にこっそり耳打ちされてしまったが、無論私はブラピ君がどう思っているのか全然分からない。
「戦いによって、兵士や生物が命を落としたとして……。その魂を使って冥府軍が作られるとしたら……?」
「戦えば戦うほど冥府軍だけが大きくなれると。それに惚れてセラちゃんもモノにできちゃう。まさに勝ち組!世の中って、楽勝!」
『なんですってぇ?』
「ンなわけがあるか。計算もできないんなら“脳トレ”でもやってるんだな。」
「わらわの脳年齢は24才じゃ!」
「いや、聞いてませんから。」
連携が取れている中で、この会話だ。ハデスが世の中を舐めている言動が耳に届き、一気に不快感を抱く。そう簡単に都合良く物事が動く筈もない。それに、納得出来ない箇所が多々ある。魂を使って冥府軍が作られるのならば、必ず限界が来るだろう。だがそんな様子は窺えない。心が痛むが、必ず生物には死が訪れる。それはどうあっても免れない。冥府に向かうべき魂が道筋外れてこの場所に集うのは理解したが、本当に意志もなく主張すら出来ずに魔物へ変貌を遂げてしまうのか。ハデスの言い分は道理に合っているのだろうか……どうしてもそう思えない私が居る。
「その理屈が正しければ、いまごろ冥府はパンパンだ。魂の価値は、頭数と等価ではないってことだろ?」
「やられた冥府軍からは魂が採れないのかも……。肉体が無い魂だけですぐに生物が作れるとも思いにくいし。」「エネルギー回生効率が低いんじゃの。エコじゃないのう。」
「つまり、力押しすることもできる!」
『なんか、希望が見えてきたわ!』
やはりそうとも言い切れないみたいだ。魂を採集し、冥府の魔物に変換させる根拠が何処にもない。自信満々に言い放っていたが捻じ曲げるのも可能なのか。自身の考えを口々に、希望の兆しが垣間見えた瞬間だ。やはりハデスの言い分は道理に合わず、一蹴された。つまりはその仮説が成り立たない事実に繋がる。私がどうとか聞き捨てならない発言もあったりしたが、絶対有り得ない。ここに断言しよう。今までもこれからもハデスに揺れないだろうし、自分の身は自分で守って行く。私が冥府に落ちない働きをしていこう。勿論、私だけじゃない。人々の魂も生物の魂もハデスに捕縛されないように守っていかなければ。幾ら戦争を引き起こして魔物の餌食となりかけたとしても、見捨てるなんて私には出来ない。強い心で戦闘に臨もうと思う。厭、今までもそうしてきたけれど改めての決意表明みたいなもの。過信していると言われればそれまでだが、戦闘を通して私は強くなっている。あんなにひ弱だった自分が成長に繋がっている、その事実だけで充分。それに……傍に居てくれている存在があるから。そう思えるのは、大切な人達に対しての信頼感が強まっている証拠なのだと思う。