第22章 焼け落ちた羽根(後編)
セラ
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絶えず絶えず襲って来る魔物達を強制的に浄化して撥ね退ける私とブラピ君は、復活の街へ向かうべく水晶の間を縫って飛行中である。少し行くと、広大な通路の如く空間が窺え迷いなく入り込み只管進む。いつもならば、ピット君が羽翼に宿している飛翔の奇跡でパルテナ様が進むべきルートへ導いてくださる。そのお陰で迷わず目的地へと辿り着けるのだが、ブラピ君と共に自力で飛行しているからか一抹の不安は拭えない。けれど、仮に間違っているのならばパルテナ様から透かさず指摘がある筈だ。しかし、それもない。彼を疑っている訳ではないのだが、自由奔放に生きているのを見ているとそんな不安を抱いてしまっても仕方がなかった。道が間違っていない事実にこっそり安堵の溜息をつきつつ、出口と思わしき道筋を直進する。出口周辺には光が射し込み、故に私達二人も光に包まれた。順調に先へ先へ移動している。光で目が眩みながら両眼を細め、現状を見つめる私。広大な通路を抜けたその先は、現実で引き起こっているのか疑ってしまいたくなる程に異様な世界がそこには広がっていた。思わず目を見張る。まるで異世界にでも迷い込んでしまった感覚に陥る程度に。と同時に強い風が横へ吹き、静寂を覆い悍しい音を立てている。この時点で直感的に察知した。得体の知れない何ものかが存在している気配を。明らかに冥府軍の類いではない。姿は未だ発見に至らないが、確実に……近くにいる。ブラピ君も気配を察知したのか、眼差しが鋭くなった。これは……狩人の眼だ。
「ウワサをすれば 大物がやってきましたよ。」
パルテナ様の言葉に耳を澄ませ、存在を確認する。然すれば、飛行する何フィートか先に未確認生物がひっそり浮遊しているのが見えた。遠巻きから見ても分かるがでかい図体を誇り、悠々閑々に泳ぐように飛行している。端から見たら、どでかい魚の如く。こちらに気付いた様子もなく、水晶の柱の影に消え入ったがもしかしたら戦わずに済むかもしれない。そう思っていたのだが……
「魂を喰う怪物じゃな。」
そんなうまい話は何処にも用意されていなかった。名称がないのか、はたまたそれが名称なのか。
魂を喰う怪物がこちらの背後に回り、喰らおうと口を大きく開けて奇襲をかけて来た。真正面から姿を見ていなかったからか、改めて間近で見ると非常に気味が悪い。目玉は幾つも存在しており、歯は鋭く、ヒレが無数にある。コブの部分は大きく膨らんでおり、何かが貯蔵されているのが分かるがここ迄気味の悪い生物もなかなかいない。条件反射で引き攣った顔を浮かべた程だ。早くこの戦いが終わらないか願うばかり。
「フン!こいつは狩りがいがありそうだ!」
私の気持ちとは裏腹に、ブラピ君はやる気に満ち溢れている様子だ。猛スピードで追って来る魂を喰う怪物。追いつかれぬよう、こちらも自然と飛行スピードを上昇させて行く。見た所、コブの部位にカラクリがあるらしくブラピ君はコブに向けて射撃している。もしかして、弱点がコブの部位なのだろうか。ブラピ君に習ってコブに射撃を加えてみるが、この瞬間変わった様子は……たった今コブの部位が攻撃を受け、無数の魂が解放された。その反動で魂を喰う怪物が反撃を仕掛けて来る。更に勢いが増した気がした。しかし、ブラピ君からは余裕とも取れる表情が垣間見える。根拠は何処にもないのだけれど、大丈夫な気がした。次々にコブの部位を潰している中で、ハデスが急に口を開き語り掛けてくる。
「魂を喰う怪物ねぇ。“魂”っていうと意志や性格があるみたいでしょ?」
「……無いのか?!」
「ボカぁ ぜーんぜん無いと思ってるけどね!生きものから採れる単なる素材さ。」
「なんとドライな!!命に尊厳は無いと申すのか?!」
『そ、そんな……。』
軽薄な調子で淡々に発言するハデス。言い分では一理あるのかもしれないが、冥府の主とは思えない発言だ。絶賛戦闘中ではあるけれど、次第に顔を俯かせてしまう。そんな私をブラピ君は自分なりに気にかけてくれていたとは、顔を俯かせた所為で全く気付かなかった。そんな中でも話は発展する。
「魂には考えられる脳も無ければ、行動できるカラダも無い。どう見ても素材でしょ?」
「ぐッ……む。」
「ブラピくんの魂は、怪物に喰われる前にこっちでいただいちゃおうかね。素材としては、最上級だろうしね!!」
コブを全て潰し終え、魂を喰う怪物の口が開きっぱなしになる。どうやら口内に弱点を隠していたらしいのだ。攻撃出来る今がチャンス。口内に向けて連続射撃を加える私達。然すれば、耐久力を失った魂を喰う怪物は立ち所に浄化されて行った。取り敢えず一安心だ。それでも全く気が晴れなかった。無論、ハデスの一言。魂を素材だなんて断言する、仮にも冥府の主とは思えない発言。腑に落ちない、この表現がしっくり来る。あのナチュレちゃんでさえ反論出来ないなんて相当だ。
「ウワサをすれば 大物がやってきましたよ。」
パルテナ様の言葉に耳を澄ませ、存在を確認する。然すれば、飛行する何フィートか先に未確認生物がひっそり浮遊しているのが見えた。遠巻きから見ても分かるがでかい図体を誇り、悠々閑々に泳ぐように飛行している。端から見たら、どでかい魚の如く。こちらに気付いた様子もなく、水晶の柱の影に消え入ったがもしかしたら戦わずに済むかもしれない。そう思っていたのだが……
「魂を喰う怪物じゃな。」
そんなうまい話は何処にも用意されていなかった。名称がないのか、はたまたそれが名称なのか。
魂を喰う怪物がこちらの背後に回り、喰らおうと口を大きく開けて奇襲をかけて来た。真正面から姿を見ていなかったからか、改めて間近で見ると非常に気味が悪い。目玉は幾つも存在しており、歯は鋭く、ヒレが無数にある。コブの部分は大きく膨らんでおり、何かが貯蔵されているのが分かるがここ迄気味の悪い生物もなかなかいない。条件反射で引き攣った顔を浮かべた程だ。早くこの戦いが終わらないか願うばかり。
「フン!こいつは狩りがいがありそうだ!」
私の気持ちとは裏腹に、ブラピ君はやる気に満ち溢れている様子だ。猛スピードで追って来る魂を喰う怪物。追いつかれぬよう、こちらも自然と飛行スピードを上昇させて行く。見た所、コブの部位にカラクリがあるらしくブラピ君はコブに向けて射撃している。もしかして、弱点がコブの部位なのだろうか。ブラピ君に習ってコブに射撃を加えてみるが、この瞬間変わった様子は……たった今コブの部位が攻撃を受け、無数の魂が解放された。その反動で魂を喰う怪物が反撃を仕掛けて来る。更に勢いが増した気がした。しかし、ブラピ君からは余裕とも取れる表情が垣間見える。根拠は何処にもないのだけれど、大丈夫な気がした。次々にコブの部位を潰している中で、ハデスが急に口を開き語り掛けてくる。
「魂を喰う怪物ねぇ。“魂”っていうと意志や性格があるみたいでしょ?」
「……無いのか?!」
「ボカぁ ぜーんぜん無いと思ってるけどね!生きものから採れる単なる素材さ。」
「なんとドライな!!命に尊厳は無いと申すのか?!」
『そ、そんな……。』
軽薄な調子で淡々に発言するハデス。言い分では一理あるのかもしれないが、冥府の主とは思えない発言だ。絶賛戦闘中ではあるけれど、次第に顔を俯かせてしまう。そんな私をブラピ君は自分なりに気にかけてくれていたとは、顔を俯かせた所為で全く気付かなかった。そんな中でも話は発展する。
「魂には考えられる脳も無ければ、行動できるカラダも無い。どう見ても素材でしょ?」
「ぐッ……む。」
「ブラピくんの魂は、怪物に喰われる前にこっちでいただいちゃおうかね。素材としては、最上級だろうしね!!」
コブを全て潰し終え、魂を喰う怪物の口が開きっぱなしになる。どうやら口内に弱点を隠していたらしいのだ。攻撃出来る今がチャンス。口内に向けて連続射撃を加える私達。然すれば、耐久力を失った魂を喰う怪物は立ち所に浄化されて行った。取り敢えず一安心だ。それでも全く気が晴れなかった。無論、ハデスの一言。魂を素材だなんて断言する、仮にも冥府の主とは思えない発言。腑に落ちない、この表現がしっくり来る。あのナチュレちゃんでさえ反論出来ないなんて相当だ。
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