第22章 焼け落ちた羽根(前編)
セラ
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連なっている山々を越えて、景色が変化する。山の中に入ったのか、今度は森の中。森と言っても、青々とした緑色の葉を幾つもつけた木々が立ち並んでいる訳ではない。ナチュレちゃんが居る手前、森林としては既に死に近い状態で何年も放置していた印象を受ける。枯れた大木は倒れ、生き物の気配も感じない。衰えている森林に生き物は住めないだろう。それに、魔物達がウヨウヨしているのに生き物が行動出来るとも思えない。
「言っとくが、俺に飛翔の奇跡は必要ない。 空は俺のものだ!」
『(相変わらずキザなキメゼリフ……。)』
「であれば、地上戦する必要はありませんね。」
「今回は空中戦のみかのう。それはそれでさみしいのう。」
『ね〜?なんか物足りないかんじ。』
縦方向に飛行して、木にぶつからないように気を配る。ブラピ君はピット君とは違い、飛翔の奇跡なしでも飛行可能だ。そのお陰で、タイムリミットを気にせず戦える。しかし彼が今飛行出来るのは、第三者の魔力が有効に働いているから。倍増している魔物達を神器で浄化しているブラピ君の黒き翼が視界に映り、何とも形容し難い気持ちに支配される。以前、ブラピ君と戦った際に「効果が永遠ということは いずれ振り切られる、ということかも。」と言う言葉の羅列を記憶に蘇らせていた。杞憂であればいいのだが、嫌な胸騒ぎを覚える。だがここで、足止めを喰らう訳にもいかない。首を強く左右に振り、全て払拭する努力をしてみるがそう簡単にうまくいかなかった。それでも飛行スピードは、一定である。通り道の先にトンネルのような空間が窺え、中央に難無く通過する。然すれば水晶の柱が無数に立ち並んでいた。不思議な世界に迷い込んだ感覚に陥る。
「変わったところだな。」
『見れば見るほど不思議だよね。』
「ここは死者の魂が集うところです。現世とは少し離れてますね。」
「ん?魂が集う?それは冥府じゃないのか?」
立ち並ぶ水晶にぶつからないように間を縫って飛行する。途中、冥府の魔物達がこちらを追って来るが差し迫る前にブラピ君が素早く浄化していた。そんな折、今居る場所は果たしてなんなのかパルテナ様が教えてくれる。ここは“魂が集うところ”だそうだ。生きとし生けるものは皆、最終的にここへ集う。だが、そう考えると合点がいかない。いずれ、ゴールとして生ける者達は冥府へ流れゆく筈。ブラピ君も同じく腑に落ちなかったのか、パルテナ様に問い掛けている。私も同じ意見だ。ついつい二人で顔を見合わせて、首を傾げてしまう。
「そうですとも!」
『ハデス!』
「出たな 怪人。」
「セラちゃんったら、いつにも増してかわいいねぇ。おじさん、なでたくなっちゃうよぉ。」
『それは、やめて?』
「おーっと、ピットくん!いつのまにか黒くなっちゃってぇ。人生に疲れたのかな?」
「ほざけ。」
「あーっはっはっは。冗談が通じないんだから。カリカリしてると生えぎわが後退しちゃうよ?」
私達の会話を中断させた聞き慣れた声。耳に掠めたと思えば、上空に張本人の幻影。神様という名の種族は皆、上空に幻影を映し出したい衝動にでも駆られているのだろうか。それは扠置き、冥府の主はヌッと現れて肯定してくれたがやはり魂は冥府に集うらしい。ならば何故、私達が今居る空間に魂がさ迷ってしまうのだろう。肝心な疑問は未だ解決へと導かれていない。突如出現したハデスの幻影は私達二人に言いたい事柄だけ告げてさっさと消え去ってしまう。不意に現れるその行動パターンは予想不可能。只一つ分かるのは、茶化されている。これだけだ。何処まで本気か察知出来ない。幻影が消え去って、更に先へ進む。結構進んだとは思うけれど、水晶の柱が連なる風景ばかりが視界に映り込み判別がつきにくい。まさかとは思うが、道に迷ったりしていないだろうか。飛翔の奇跡を羽翼に宿しているのならば、自動的にパルテナ様が飛行ルートをコントロールしてくれるが今回の任務は自力で飛んでいるが故に迷うリスクもあるだろう。大いに有り得る可能性だ。けれど、彼女からそういった指摘がない。どうやら、今の時点でその心配はないらしい。場面にそぐわず、ほっと安堵の溜息。
「魂は冥府に行くもの。その認識は正しいんじゃ。魂を持ち運ぶ役は死神になるのじゃが……。」
『魂の運搬役は死神ってよく聞くものね。』
「ホント、生きものって増えたでしょ?だから、死神が持ちきれない魂もあるってわけ!」
『(それ……冥府のミスなんじゃあ……。)』
「言っとくが、俺に飛翔の奇跡は必要ない。 空は俺のものだ!」
『(相変わらずキザなキメゼリフ……。)』
「であれば、地上戦する必要はありませんね。」
「今回は空中戦のみかのう。それはそれでさみしいのう。」
『ね〜?なんか物足りないかんじ。』
縦方向に飛行して、木にぶつからないように気を配る。ブラピ君はピット君とは違い、飛翔の奇跡なしでも飛行可能だ。そのお陰で、タイムリミットを気にせず戦える。しかし彼が今飛行出来るのは、第三者の魔力が有効に働いているから。倍増している魔物達を神器で浄化しているブラピ君の黒き翼が視界に映り、何とも形容し難い気持ちに支配される。以前、ブラピ君と戦った際に「効果が永遠ということは いずれ振り切られる、ということかも。」と言う言葉の羅列を記憶に蘇らせていた。杞憂であればいいのだが、嫌な胸騒ぎを覚える。だがここで、足止めを喰らう訳にもいかない。首を強く左右に振り、全て払拭する努力をしてみるがそう簡単にうまくいかなかった。それでも飛行スピードは、一定である。通り道の先にトンネルのような空間が窺え、中央に難無く通過する。然すれば水晶の柱が無数に立ち並んでいた。不思議な世界に迷い込んだ感覚に陥る。
「変わったところだな。」
『見れば見るほど不思議だよね。』
「ここは死者の魂が集うところです。現世とは少し離れてますね。」
「ん?魂が集う?それは冥府じゃないのか?」
立ち並ぶ水晶にぶつからないように間を縫って飛行する。途中、冥府の魔物達がこちらを追って来るが差し迫る前にブラピ君が素早く浄化していた。そんな折、今居る場所は果たしてなんなのかパルテナ様が教えてくれる。ここは“魂が集うところ”だそうだ。生きとし生けるものは皆、最終的にここへ集う。だが、そう考えると合点がいかない。いずれ、ゴールとして生ける者達は冥府へ流れゆく筈。ブラピ君も同じく腑に落ちなかったのか、パルテナ様に問い掛けている。私も同じ意見だ。ついつい二人で顔を見合わせて、首を傾げてしまう。
「そうですとも!」
『ハデス!』
「出たな 怪人。」
「セラちゃんったら、いつにも増してかわいいねぇ。おじさん、なでたくなっちゃうよぉ。」
『それは、やめて?』
「おーっと、ピットくん!いつのまにか黒くなっちゃってぇ。人生に疲れたのかな?」
「ほざけ。」
「あーっはっはっは。冗談が通じないんだから。カリカリしてると生えぎわが後退しちゃうよ?」
私達の会話を中断させた聞き慣れた声。耳に掠めたと思えば、上空に張本人の幻影。神様という名の種族は皆、上空に幻影を映し出したい衝動にでも駆られているのだろうか。それは扠置き、冥府の主はヌッと現れて肯定してくれたがやはり魂は冥府に集うらしい。ならば何故、私達が今居る空間に魂がさ迷ってしまうのだろう。肝心な疑問は未だ解決へと導かれていない。突如出現したハデスの幻影は私達二人に言いたい事柄だけ告げてさっさと消え去ってしまう。不意に現れるその行動パターンは予想不可能。只一つ分かるのは、茶化されている。これだけだ。何処まで本気か察知出来ない。幻影が消え去って、更に先へ進む。結構進んだとは思うけれど、水晶の柱が連なる風景ばかりが視界に映り込み判別がつきにくい。まさかとは思うが、道に迷ったりしていないだろうか。飛翔の奇跡を羽翼に宿しているのならば、自動的にパルテナ様が飛行ルートをコントロールしてくれるが今回の任務は自力で飛んでいるが故に迷うリスクもあるだろう。大いに有り得る可能性だ。けれど、彼女からそういった指摘がない。どうやら、今の時点でその心配はないらしい。場面にそぐわず、ほっと安堵の溜息。
「魂は冥府に行くもの。その認識は正しいんじゃ。魂を持ち運ぶ役は死神になるのじゃが……。」
『魂の運搬役は死神ってよく聞くものね。』
「ホント、生きものって増えたでしょ?だから、死神が持ちきれない魂もあるってわけ!」
『(それ……冥府のミスなんじゃあ……。)』