第22章 焼け落ちた羽根(前編)
セラ
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もしや、ブラピ君もピット君を助けるべく来てくれたのではないか。その考えに至った途端、彼は否定とも取れる言葉を言い放った。確かに彼はパルテナ軍ではない。混沌の遣いを討伐するのに全力で尽力してくれたが、あの時彼もまた事態を察知してボコボコにしたくなったのだろう。メデューサ戦の際もそう言いつつ、加勢してくれたし。彼の頑張りが功を奏し、道が開けたと後々ピット君が教えてくれた。そんなブラピ君だ。今回もそう考え、助力してくれるのかもしれない。今の彼は、負の感情が一切滲み出ていないように思える。
「わかっていますよ。あなたはピットに借りがある。それを返さなければ それとピットのかわりにセラを守らなくては、と思っているのでしょう?」
『私も、ですか?』
「……。」
溢れんばかりに向かって来る魔物達を悉く浄化しつつ、パルテナ様の言葉に暫し考えるブラピ君。ピット君に助けてもらった借りを返す、それは真っ当な理由だ。彼がそのために動くのも自然に頷ける。だが何故、私も理由の内に入っているのだ。言われてみれば、何回もピット君に「僕がセラちゃんを守るよ。」なぁんて恥ずかしげもなく言って退けるものだからこちらがどういう顔をしたら良いのか分からなくなったものだが。ブラピ君もピット君から生まれたがために、責任みたいなものが備わっているのだろうか。
「どこに行けばいいんだよ。」
「“復活の街”です。街と言っても、生きものはいないと思いますけど。」
『復活の街、か。』
少しの間静寂が続いたが、パルテナ様の的を射る発言に対し考え直したのか姿勢を改めてくれた。瞬時に目的地は復活の街へとなる。復活の街でピット君が復活出来るのだろうか。その名の通り、効力を発揮してくれるのか。私はまだ、その全貌を知らない。
「なるほどのう。巻きもどしじゃな?しかし、これは賭けじゃな。」
『ナチュレちゃん!』
「ええ。ピットを根絶してしまうかもしれません。」
「おまえら 戦争してたんじゃないのかよ?」
「余計なお世話じゃ!この状況で牙をむく気になるほど鬼畜ではないわ。」
「感謝しますよ、ナチュレ。ピットとセラの世話をしてくれたことも。」
「礼なぞ言われとうないわ!なりゆきじゃ!!」
『(ナチュレちゃん、やっぱりツンデレよね。まぁ、そこが魅力だけど。)』
話に耳を傾けていたら、ナチュレちゃんが私が抱いている疑問を解決へと導いてくれた。話の流れからどうやら復活の街にある“巻きもどし”を使用してピット君を助け出すみたいなのだが、その方法はリスクが伴う模様だ。一か八かの賭け。それでも、藁にも縋りたい思いだ。何としてでも復活の街に辿り着かなければ、本当にピット君とは永遠に会えなくなってしまう。きっと否、絶対誰もその結末を望んでいない。ピット君だってあんなにパルテナ様に会いたがっていたのだ。その思いを無下にしたくない。
だんだんそんな気持ちに支配されていく中、相当邪魔立てしたいのか次から次へと魔物が襲って来る。いつもの下等生物だけではなく、死神等々もスタンバイしている状態だ。復活の街に続く経路に何かあるのか。いつもより倍増して蔓延っている気もしている。ブラピ君が平然としつつ浄化しているものだから大した数ではないのかもなぁんて錯覚に陥りかけてしまうが、いつもより数も多く強めであると思う。もし、ひとりで出陣していたのならば危なかったかもしれない。ブラピ君が居てくれる安心感にホッと安堵の溜息をついていれば隣で飛行する彼からは
「必ず俺が守り通してやるからな。」
『う、うん。ありがとう。』
ボソッと私にだけ聞こえるように呟いてくれた。彼の双眸が真っ直ぐこちらに向き、まるで私自身を映しているかのようだ。芯の通った強い瞳、その瞳には一点の曇りもない。思わずこちらがたじろぐ程。その姿は、何処か……ピット君と重なって見えた。何分かずっと見つめ合っている私達に、誰かの咳払いが耳に届く。咳払いをした張本人は、パルテナ様。余りにも見つめ合っている時間が長過ぎたために痺れを切らして介入したそうなのだ。慌てふためく私に、ブラピ君は残念そうに舌打ちをしている。端から見たら、凄い状況だっただろう。
「ブラピばかりセラを独占して、ズルイですよ!」
「そうじゃそうじゃ。セラといい雰囲気になりおって。」
「フン。悔しかったらここまで来てみるんだな。ふたりで飛ぶのも悪くないぜ。」
『あ、あのぅ……なんの話……?』
だが、この状況を喜んでいる様子のブラピ君が垣間見えた気がした。口角が上がり、優越感に浸っている感じだ。何の話を繰り広げているのかまるで分からない私は、首を傾げている他方法が見つからなかった。
「わかっていますよ。あなたはピットに借りがある。それを返さなければ それとピットのかわりにセラを守らなくては、と思っているのでしょう?」
『私も、ですか?』
「……。」
溢れんばかりに向かって来る魔物達を悉く浄化しつつ、パルテナ様の言葉に暫し考えるブラピ君。ピット君に助けてもらった借りを返す、それは真っ当な理由だ。彼がそのために動くのも自然に頷ける。だが何故、私も理由の内に入っているのだ。言われてみれば、何回もピット君に「僕がセラちゃんを守るよ。」なぁんて恥ずかしげもなく言って退けるものだからこちらがどういう顔をしたら良いのか分からなくなったものだが。ブラピ君もピット君から生まれたがために、責任みたいなものが備わっているのだろうか。
「どこに行けばいいんだよ。」
「“復活の街”です。街と言っても、生きものはいないと思いますけど。」
『復活の街、か。』
少しの間静寂が続いたが、パルテナ様の的を射る発言に対し考え直したのか姿勢を改めてくれた。瞬時に目的地は復活の街へとなる。復活の街でピット君が復活出来るのだろうか。その名の通り、効力を発揮してくれるのか。私はまだ、その全貌を知らない。
「なるほどのう。巻きもどしじゃな?しかし、これは賭けじゃな。」
『ナチュレちゃん!』
「ええ。ピットを根絶してしまうかもしれません。」
「おまえら 戦争してたんじゃないのかよ?」
「余計なお世話じゃ!この状況で牙をむく気になるほど鬼畜ではないわ。」
「感謝しますよ、ナチュレ。ピットとセラの世話をしてくれたことも。」
「礼なぞ言われとうないわ!なりゆきじゃ!!」
『(ナチュレちゃん、やっぱりツンデレよね。まぁ、そこが魅力だけど。)』
話に耳を傾けていたら、ナチュレちゃんが私が抱いている疑問を解決へと導いてくれた。話の流れからどうやら復活の街にある“巻きもどし”を使用してピット君を助け出すみたいなのだが、その方法はリスクが伴う模様だ。一か八かの賭け。それでも、藁にも縋りたい思いだ。何としてでも復活の街に辿り着かなければ、本当にピット君とは永遠に会えなくなってしまう。きっと否、絶対誰もその結末を望んでいない。ピット君だってあんなにパルテナ様に会いたがっていたのだ。その思いを無下にしたくない。
だんだんそんな気持ちに支配されていく中、相当邪魔立てしたいのか次から次へと魔物が襲って来る。いつもの下等生物だけではなく、死神等々もスタンバイしている状態だ。復活の街に続く経路に何かあるのか。いつもより倍増して蔓延っている気もしている。ブラピ君が平然としつつ浄化しているものだから大した数ではないのかもなぁんて錯覚に陥りかけてしまうが、いつもより数も多く強めであると思う。もし、ひとりで出陣していたのならば危なかったかもしれない。ブラピ君が居てくれる安心感にホッと安堵の溜息をついていれば隣で飛行する彼からは
「必ず俺が守り通してやるからな。」
『う、うん。ありがとう。』
ボソッと私にだけ聞こえるように呟いてくれた。彼の双眸が真っ直ぐこちらに向き、まるで私自身を映しているかのようだ。芯の通った強い瞳、その瞳には一点の曇りもない。思わずこちらがたじろぐ程。その姿は、何処か……ピット君と重なって見えた。何分かずっと見つめ合っている私達に、誰かの咳払いが耳に届く。咳払いをした張本人は、パルテナ様。余りにも見つめ合っている時間が長過ぎたために痺れを切らして介入したそうなのだ。慌てふためく私に、ブラピ君は残念そうに舌打ちをしている。端から見たら、凄い状況だっただろう。
「ブラピばかりセラを独占して、ズルイですよ!」
「そうじゃそうじゃ。セラといい雰囲気になりおって。」
「フン。悔しかったらここまで来てみるんだな。ふたりで飛ぶのも悪くないぜ。」
『あ、あのぅ……なんの話……?』
だが、この状況を喜んでいる様子のブラピ君が垣間見えた気がした。口角が上がり、優越感に浸っている感じだ。何の話を繰り広げているのかまるで分からない私は、首を傾げている他方法が見つからなかった。