第21章 混沌の狭間(後編)
セラ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
何発も打ち込んで、電磁キャプチャーへ誘導。混沌の遣いが電磁キャプチャーに捕縛された所を透かさずダッシュ打撃で距離を詰め、一気に叩く。早くも電磁キャプチャーが役に立つとは思いも寄らなかった。さすが、ナチュレちゃん。電磁キャプチャーに捕縛されていた混沌の遣いは、やっと思いで抜け出し、分散している私達へ連射弾を放って来る。まだ、抵抗出来る力は残っているらしい。だが、戦いの序盤に比べてスピードが遅くなっているように感じる。あと、少しだ。
「混沌の遣い!パルテナ様の魂をどうするつもりなんだ?!」
「これほど喰いがいのある魂も他にないだろうよ。」
『考えるだけでキモチ悪くなるわ。』
「パルテナの魂が計り知れない力を持っているのはたしかじゃが……。三年もの間、食い尽くされずに粘っていたほうが驚きじゃ。カラダを失ったまま必死で耐えていたのかもしれん。いつか、ピットとセラが必ず助けてくれると信じての。」
「なっ……!!」
『そんな……。』
「くそッ。混沌の遣い ますますムカつくぜ!!」
「パルテナ様から離れろッ!!いま!すぐ!!」
必死に抵抗する混沌の遣い。ピット君が凄い剣幕で問い質しているが、期待する返答は返って来なかった。そもそも、言語を発声する機能を持ち合わせているのかも怪しい。感情の起伏はありそうだが。返答がないのだから、当然私達の会話は憶測が飛び交う。しかし、全て理にかなっていて次第に沸き起こるのは怒り。自身の主が、自分達を信じてくれていた……それだけで私達は戦える。充分過ぎる糧だ。互いに信頼し合っている心。こういう場でなければ、今直ぐにでもパルテナ様に抱きつき感謝の念を言葉にしていた。伝えられないのが酷くもどかしい。でも今は、一刻も早くパルテナ様の魂を混沌の遣いから奪取し、本来の持ち主へ返してあげないと。その思いだけに駆られ、混沌の遣いを駆け足で追い詰める天使二人。ヤツを挟み撃ちに、そこから連続打撃コンボ。一発二発殴ったけれど、それだけじゃ気が済まない。今もボカッスカッぶっ叩いている私達。元々ダメージが蓄積されていた混沌の遣いは一気に耐久力を失い、そのまま倒れた。
「どうだ!」
「まいったと言え!!」
『さぁ、屈しなさい!!』
力を失った混沌の遣いは、まるで炎に焼かれたかの如く真っ黒に焦げてしまった。言わば浄化が完了した証拠。奪われていたパルテナ様の魂は、混沌の遣いから離れ 張本人の元へ。石像の状態から生身の身体に解除されたパルテナ様。その表情は安堵を含んでいる。
「あぁ、ピット……セラ……」
「パルテナ様!よくぞご無事で!!」
『よ、よかった……私はうれしいです。』
一目散に駆け寄る私とピット君に、微笑を浮かべるパルテナ様。私達三人は三年の時を経て、再会を果たしたのである。喜びと言う名の感情に支配されて仕方がない。これでやっと三人で暮らせる……エンジェランドに帰れるんだ。
そう思った矢先に……あの出来事は、起こった。
感動の再会に瞳をうるうるさせていた私。だからこそ、気が付かなかったのだ。混沌の遣いがまだ動ける事実に。ブラピ君が混沌の遣いを一瞥して私達の元へ歩き出した刹那、ヤツの残骸がカサカサ動いた。決してお化けではない。ただ、何とも形容し難い黒い虫の集団が残骸から出て来て、付近を歩いていたブラピ君を捕らえてしまう。
「ぐわッ!!」
『ブラピ君?!』
「あぁッ!!ブラピ!」
ブラピ君を捕らえ離さない黒虫集団は、陸地を越えて下へ下へ落ちて行く。一瞬だった。正直何が起こったのか分からないぐらいに。だがその姿を捉えていたピット君だけは、ブラピ君を助けようと全力で駆け出していた。
「ブラピ!!」
『ピット君!!』
ブラピ君が混沌の遣いから出て来た残骸に捕われ、連れ去られたのだと理解した頃には私もピット君の跡を全力で追い掛けていた。転んでもただでは起きぬ混沌の遣い。ブラピ君に魂を喰らい、復活する目的で道連れにしようとしているのかもしれない。何処まで卑劣なんだ、混沌の遣い。そう迄して生き続けたいか。
ピット君がブラピ君を追い、私がピット君を追う。三人の間に空いた幅広い間隔はそう簡単に埋められない。懸命にピット君へ手を伸ばすのだが、まるで届いていない。いつもは直ぐ近くに居てくれているのに。隣に居るのに、今日ほど酷くもどかしく思った時はない。
「うわぁぁぁぁぁッ!!」
「ナチュレ、飛翔の奇跡を!」
「バカめ!忘れたか?!飛翔の奇跡はもう使用限界じゃ。これ以上使ったら そなたの翼が燃え尽きてしまうぞ!!」
「いいんだ!少しだけでいいんだ!!いざとなったら翼が燃え尽きても かまわないから!!」
「混沌の遣い!パルテナ様の魂をどうするつもりなんだ?!」
「これほど喰いがいのある魂も他にないだろうよ。」
『考えるだけでキモチ悪くなるわ。』
「パルテナの魂が計り知れない力を持っているのはたしかじゃが……。三年もの間、食い尽くされずに粘っていたほうが驚きじゃ。カラダを失ったまま必死で耐えていたのかもしれん。いつか、ピットとセラが必ず助けてくれると信じての。」
「なっ……!!」
『そんな……。』
「くそッ。混沌の遣い ますますムカつくぜ!!」
「パルテナ様から離れろッ!!いま!すぐ!!」
必死に抵抗する混沌の遣い。ピット君が凄い剣幕で問い質しているが、期待する返答は返って来なかった。そもそも、言語を発声する機能を持ち合わせているのかも怪しい。感情の起伏はありそうだが。返答がないのだから、当然私達の会話は憶測が飛び交う。しかし、全て理にかなっていて次第に沸き起こるのは怒り。自身の主が、自分達を信じてくれていた……それだけで私達は戦える。充分過ぎる糧だ。互いに信頼し合っている心。こういう場でなければ、今直ぐにでもパルテナ様に抱きつき感謝の念を言葉にしていた。伝えられないのが酷くもどかしい。でも今は、一刻も早くパルテナ様の魂を混沌の遣いから奪取し、本来の持ち主へ返してあげないと。その思いだけに駆られ、混沌の遣いを駆け足で追い詰める天使二人。ヤツを挟み撃ちに、そこから連続打撃コンボ。一発二発殴ったけれど、それだけじゃ気が済まない。今もボカッスカッぶっ叩いている私達。元々ダメージが蓄積されていた混沌の遣いは一気に耐久力を失い、そのまま倒れた。
「どうだ!」
「まいったと言え!!」
『さぁ、屈しなさい!!』
力を失った混沌の遣いは、まるで炎に焼かれたかの如く真っ黒に焦げてしまった。言わば浄化が完了した証拠。奪われていたパルテナ様の魂は、混沌の遣いから離れ 張本人の元へ。石像の状態から生身の身体に解除されたパルテナ様。その表情は安堵を含んでいる。
「あぁ、ピット……セラ……」
「パルテナ様!よくぞご無事で!!」
『よ、よかった……私はうれしいです。』
一目散に駆け寄る私とピット君に、微笑を浮かべるパルテナ様。私達三人は三年の時を経て、再会を果たしたのである。喜びと言う名の感情に支配されて仕方がない。これでやっと三人で暮らせる……エンジェランドに帰れるんだ。
そう思った矢先に……あの出来事は、起こった。
感動の再会に瞳をうるうるさせていた私。だからこそ、気が付かなかったのだ。混沌の遣いがまだ動ける事実に。ブラピ君が混沌の遣いを一瞥して私達の元へ歩き出した刹那、ヤツの残骸がカサカサ動いた。決してお化けではない。ただ、何とも形容し難い黒い虫の集団が残骸から出て来て、付近を歩いていたブラピ君を捕らえてしまう。
「ぐわッ!!」
『ブラピ君?!』
「あぁッ!!ブラピ!」
ブラピ君を捕らえ離さない黒虫集団は、陸地を越えて下へ下へ落ちて行く。一瞬だった。正直何が起こったのか分からないぐらいに。だがその姿を捉えていたピット君だけは、ブラピ君を助けようと全力で駆け出していた。
「ブラピ!!」
『ピット君!!』
ブラピ君が混沌の遣いから出て来た残骸に捕われ、連れ去られたのだと理解した頃には私もピット君の跡を全力で追い掛けていた。転んでもただでは起きぬ混沌の遣い。ブラピ君に魂を喰らい、復活する目的で道連れにしようとしているのかもしれない。何処まで卑劣なんだ、混沌の遣い。そう迄して生き続けたいか。
ピット君がブラピ君を追い、私がピット君を追う。三人の間に空いた幅広い間隔はそう簡単に埋められない。懸命にピット君へ手を伸ばすのだが、まるで届いていない。いつもは直ぐ近くに居てくれているのに。隣に居るのに、今日ほど酷くもどかしく思った時はない。
「うわぁぁぁぁぁッ!!」
「ナチュレ、飛翔の奇跡を!」
「バカめ!忘れたか?!飛翔の奇跡はもう使用限界じゃ。これ以上使ったら そなたの翼が燃え尽きてしまうぞ!!」
「いいんだ!少しだけでいいんだ!!いざとなったら翼が燃え尽きても かまわないから!!」