シールダーに寄って守られていたキュラが単独行動を開始する。キュラに当たってしまえば、混乱状態に陥ってしまうのは目に見え挙げ句モノリスにガンガンぶつかってしまうのだろう。有り様が既に目に見えている。これは、まずい。モノリスに当たらぬのを大前提にして、遠距離から攻撃を加えていく。その射撃が効いたのか、キュラはくるくる回転しながらさっさと浄化されていった。

「第八陣！またオームがおる！」
『ええぇぇッ！近づかれたらひとたまりもないよ！』
「今度は冥府軍のコメトもいる！……ということは？！」
「捕まったらやっかいじゃな。オーンを避けつつコメトの駆除も心がけるのじゃ！」
『次から次へといそがしいね。』

順調に浄化されているのにも関わらず、まだまだ終わりそうもない。第二陣辺りでその姿を現したのに再度登場するは、不気味な音を立てながら接近して来るガイコツのオーン。それだけに留まらず、コメトもズリーも共にフィールドへ私達の戦いの行く手を阻む。真っ先に倒さなければならないのが天使二人を捕まえ、オーンへと誘導する危険性を孕んでいるコメト。大分前にも述べたが、オーンに触れたら最後一発で“ヤラレチャッタ”。オーンに触れないように気を配るには、コメトに捕まらないのが最善策となる。ズリーの存在はとりあえず置いておいて、コメトの浄化を最優先に動き出す私達。天使二人の動きに合わせて、付いてくるコメト達。

「そういえばコメトって小さいメトロイドのこと」
「あー！あー！」
「ん？コメトって小さいメト」
「たらららったらーたらららーらー♪」
『ナチュレちゃん？』
「なんだよ　急にッ！！」
「あちらの世界とこちらの世界は関係ないんじゃ！野暮なことを言うでない！」

コメトを引きつけて浄化に繋げている。これでコメトに捕まり、オーンに触れちゃって一発で終了な最悪なる展開が繰り広げられずに済む。それを証拠にコメトを全浄化し終えたら、いつの間にかオーンの姿は何処にもなかった。言っておくが、決して怖い話ではない。私達を脅かしていた存在達は目の前から消え去り、残るは今も尚オバケの習性なのか嚇そうと目の前に突如姿を現すお約束行動。今更、そんな脅しは通用しない。せっかく来てもらって難なのだが、即刻退場してもらった。

「第九陣！まだまだ来るのか？！」
『結構来たと思うんだけど……。』

結構来たと思うのにまだまだ混沌の遣いが姿を現す様子はない。がくうっと肩を落としてまたしても生成される敵達に向き直る。ピット君と散り散りになって、敵を撹乱する手段に出るかと思ったのも束の間、空から真っ直ぐこちらに目掛けて黒き何かが飛来する。その反動で周辺の砂埃は舞い、着地するスピードが早すぎたために姿を捉えられなかったが下手したら新たな敵襲かもしれない。砂埃が風に寄って巻き取られ、黒き何かの正体が分かりそうな時警戒心を強めて空から飛来した何かへ神器の照準を合わせるのだが……

『あれッ？』
「まだまだ、だよな？」
「ブラピ！」
『ブラピ君！』
「だからブラピって言うなよ！！こんなヤツら、俺が蹴散らしてやる。黙って見物してろよ。」
「そんな手出しは、無用だね！！やってやる！！」
「「うぁぁぁ！！」」
『スゴイ気迫……。』

新たな敵襲だと思ったのだが、照準を合わせた人物は決して敵ではなく、今は共闘してくれているブラックピット君張本人だった。私達とは別行動していたのだが、漸くこの場で暫しの再会を果たす。再会を果たしたのはいいが、感動に浸る暇もなく着地したと思えばピット君と目の前に立ちはだかる敵達を浄化しに行ってしまう。せっかく反発し合っていた二人が、力を合わせて戦っているのだ。何かあってもいいものだが、そういうものは二人にとって必要性を感じさせないらしい。本当の気持ちを敢えて述べさせてもらうのならば、こういう場面だけでなく常に共闘し合い助け合ってほしいものだ。戦い合うのが悪いと言っているのではなくて、二人が共闘すればきっと向かうところ敵無しなのだがそう簡単にいかないのが世の常である。

「敵はソイヤッサとオーラムソイヤッサ！ついでにクローラーじゃ。まぁ、共闘するそなたらにはなんの障害にもならんじゃろう。」
「言われるまでもない。」
『いつもこうだといいんだけどね〜。』
「混沌の遣いがコピーしたオーラムが自然軍をコピーした敵……。」
『（なぁんか、フクザツ。）』
「深く考えるのはやめておこうかな。」

ピット君とブラピ君が共闘しているのを遠巻きから眺めつつ、思わず苦笑いからの呆れで出た溜め息。二人が懸命に倒してくれているから正直私は、浄化しきれないおこぼれの魔物達を浄化している状態にある。そのお陰ですぐさま浄化されてしまうものだから当然張り合いがない。別に今の現状に対して不満がある訳ではないのだけれど、妙な切なさが胸中を過ってしまうのは仕方がなくて機敏な動きで浄化している二人を交互に見つめては敵側じゃなくて良かったなぁんて思ってしまった。