第21章 混沌の狭間(前編)
セラ
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それなのに、未確認生物に見える目の錯覚が生じている。フシギフシギ。本来のガニラスやスピムであるならば浄化の方法は一緒だ。それに、混沌の狭間だけに生息している未確認生物ならばナチュレちゃんが透かさず助言してくれるだろう。そんな素振りは一切見せない。そこから導き出される答えは、一つ。言わずもがな、今迄培ってきた戦いの経験を活かし状況を味方に戦えの意。未だ真っ暗闇の中を飛行中であるが、目に見える敵を全て浄化するだけだ。
『あれ。光が見えてきた。』
「おっと。出口かな?」
迷わず直進、前方に窺えるは出口の形を象った光が射し込む場所。漸く不気味な空間を抜けられる。安堵の溜息をついた直後、光が射し込む出口ポイントを通過する。しかし、今度は私達が存在する空間が真っ暗なのではなく私達天使二人が炭だらけの如く真っ黒なのだ。
「『……む?』」
「まっくろじゃのう。」
ナチュレちゃんの言葉にギョッとする私。見事に真っ黒なのだ、全身が。翼までも黒いなんて……これぞまさしくブラックセラか。自分で言うのも難なのだが、ここまで違和感の塊と成り得るのも珍しい。薄ら寒いのだ、どう足掻こうとも。ピット君とブラピ君を端から見つめていたら、ケンカはするけれど兄弟みたいで羨ましく思う時もある。私にもそういう存在がいてくれたら……なぁんて願望を抱いたりするのだ。良く良く考えてみたら、ケンカが絶えない関係性を築いてしまいそうだし“セラはひとりで充分よ。”とかなんとか言われて攻撃されてしまいそうだ。それだけは、ご免蒙る。勝手に心中で呟いただけなのに、ここ迄恥ずかしい感情を抱くとは。思いきり話が脱線してしまったが、たった今この瞬間真っ黒な状態で敵を浄化している。何処かに真っ黒なのを洗い流してくれる所はないだろうか。すると、前方に滝の如く流れる何かを発見する。
「あれは温泉 ふぶぶぶッ!!」
『うわわわッ!!』
「お?色がもどったのう。」
「やれやれ……。」
『もとに戻ってよかったぁ……。』
それが温泉だと気付いたときには、天使二人温泉の滝に打たれていた。頭から勢い良く打たれたため、通過した際に水っ気を弾く目的で首を左右に振っている。どうやら今の温泉パワーが効力を得たのか、私達は真っ黒から本来の色に戻った。これから様々な難関にぶち当たりそうだし、今にも音を上げてしまいそうだがぐっと我慢。真っ逆さまの建造物に幾つもの瞳、真っ暗闇の空間、真っ黒の天使二人。今度は何が引き起こるだろう。感覚は失われそうだが、結構進んだ気がするのは果たして私だけだろうか。だが、ブラピ君は疎か混沌の遣いさえも姿を捉えていない。
「って、ジャマだよ!」
『ちょ!ちょっと、離れてよ!』
向かって右方向からゆっくり左方向へ進路変更し、軌道を修正する。次の瞬間迫りくるモノアイの影、大きな両目が顔全体を覆いはたまた至る部分にまとわりつかれてしまう。正直、身動きが取れない。何が目的なのか皆目見当もつかないけれど、見られたくない後ろめたい何かでもあるのだろうか。あるとすれば混沌の遣いに関する情報だけだが、兎に角まとわりついているモノアイ達を何とかしなければ先へは進めない。このままでは飛翔の奇跡で飛ばしてもらっているピット君との距離が空いて挙げ句はぐれてしまう。決して有り得ない話ではない。こんな……右も左も分からない地点で迷子になってしまったら絶体絶命だ。それだけは何としてでも避けたい。この思いだけに支配されていた私はモノアイ達を引き剥がそうと必死にジタバタしてみるのだけれど、これがまたなかなか業突張りで簡単に離れてくれない。
「ジャマだって!!」
『もーうッ!離れてくれない!!』
喩えるなら、タコの吸引力だ。両手で伸ばして伸ばして剥がす試みを何度もしてみるが、貼りついて結局取れずに終わる。このままでは私は確実にピット君との距離が開き、迷子になってしまう。既に嫌な考えしか脳裏を過らない。今、私はこの時点でどの辺りを飛行中なのだろう。モノアイのお陰で元々正確な位置が分からないのに、益々分からなくなってしまうではないか。非常に恐ろしい。何としてでもこの状況を打開しなければ なんて考え行動した傍ら、私の思いが通じたのか否かあんなにジタバタしたのも空しく簡単に離れてくれた。視界が塞がっていたのが開け、あっという間に見えるようになる。思わず安堵の溜息。どうやら、ピット君との距離も大して差が出ずに済んだらしい。一時はどうなるか一抹の不安があったけれど、それはたった今払拭された。何の目的で視界を遮られたのかは謎に包まれているが、この際解明に勤しむのはやめておく。それよりも、混沌の遣いだ。
「混沌の遣いに近づいておる。じゃが……。」
「じゃが?」
『どうしたの?』
「似たような輩が多いようじゃの。」
「うわわわっ!イヤすぎるッ!!」
『まさか大量発生じゃ……。チョーイヤだけど!』
「混沌の遣いが分身しておる……?いや、単に同じ種類の生物じゃな。」
「あんな凶悪なヤツらが量産されたら、たまらないよ!!」
『よかったわ。分身とかじゃなくて。』
『あれ。光が見えてきた。』
「おっと。出口かな?」
迷わず直進、前方に窺えるは出口の形を象った光が射し込む場所。漸く不気味な空間を抜けられる。安堵の溜息をついた直後、光が射し込む出口ポイントを通過する。しかし、今度は私達が存在する空間が真っ暗なのではなく私達天使二人が炭だらけの如く真っ黒なのだ。
「『……む?』」
「まっくろじゃのう。」
ナチュレちゃんの言葉にギョッとする私。見事に真っ黒なのだ、全身が。翼までも黒いなんて……これぞまさしくブラックセラか。自分で言うのも難なのだが、ここまで違和感の塊と成り得るのも珍しい。薄ら寒いのだ、どう足掻こうとも。ピット君とブラピ君を端から見つめていたら、ケンカはするけれど兄弟みたいで羨ましく思う時もある。私にもそういう存在がいてくれたら……なぁんて願望を抱いたりするのだ。良く良く考えてみたら、ケンカが絶えない関係性を築いてしまいそうだし“セラはひとりで充分よ。”とかなんとか言われて攻撃されてしまいそうだ。それだけは、ご免蒙る。勝手に心中で呟いただけなのに、ここ迄恥ずかしい感情を抱くとは。思いきり話が脱線してしまったが、たった今この瞬間真っ黒な状態で敵を浄化している。何処かに真っ黒なのを洗い流してくれる所はないだろうか。すると、前方に滝の如く流れる何かを発見する。
「あれは温泉 ふぶぶぶッ!!」
『うわわわッ!!』
「お?色がもどったのう。」
「やれやれ……。」
『もとに戻ってよかったぁ……。』
それが温泉だと気付いたときには、天使二人温泉の滝に打たれていた。頭から勢い良く打たれたため、通過した際に水っ気を弾く目的で首を左右に振っている。どうやら今の温泉パワーが効力を得たのか、私達は真っ黒から本来の色に戻った。これから様々な難関にぶち当たりそうだし、今にも音を上げてしまいそうだがぐっと我慢。真っ逆さまの建造物に幾つもの瞳、真っ暗闇の空間、真っ黒の天使二人。今度は何が引き起こるだろう。感覚は失われそうだが、結構進んだ気がするのは果たして私だけだろうか。だが、ブラピ君は疎か混沌の遣いさえも姿を捉えていない。
「って、ジャマだよ!」
『ちょ!ちょっと、離れてよ!』
向かって右方向からゆっくり左方向へ進路変更し、軌道を修正する。次の瞬間迫りくるモノアイの影、大きな両目が顔全体を覆いはたまた至る部分にまとわりつかれてしまう。正直、身動きが取れない。何が目的なのか皆目見当もつかないけれど、見られたくない後ろめたい何かでもあるのだろうか。あるとすれば混沌の遣いに関する情報だけだが、兎に角まとわりついているモノアイ達を何とかしなければ先へは進めない。このままでは飛翔の奇跡で飛ばしてもらっているピット君との距離が空いて挙げ句はぐれてしまう。決して有り得ない話ではない。こんな……右も左も分からない地点で迷子になってしまったら絶体絶命だ。それだけは何としてでも避けたい。この思いだけに支配されていた私はモノアイ達を引き剥がそうと必死にジタバタしてみるのだけれど、これがまたなかなか業突張りで簡単に離れてくれない。
「ジャマだって!!」
『もーうッ!離れてくれない!!』
喩えるなら、タコの吸引力だ。両手で伸ばして伸ばして剥がす試みを何度もしてみるが、貼りついて結局取れずに終わる。このままでは私は確実にピット君との距離が開き、迷子になってしまう。既に嫌な考えしか脳裏を過らない。今、私はこの時点でどの辺りを飛行中なのだろう。モノアイのお陰で元々正確な位置が分からないのに、益々分からなくなってしまうではないか。非常に恐ろしい。何としてでもこの状況を打開しなければ なんて考え行動した傍ら、私の思いが通じたのか否かあんなにジタバタしたのも空しく簡単に離れてくれた。視界が塞がっていたのが開け、あっという間に見えるようになる。思わず安堵の溜息。どうやら、ピット君との距離も大して差が出ずに済んだらしい。一時はどうなるか一抹の不安があったけれど、それはたった今払拭された。何の目的で視界を遮られたのかは謎に包まれているが、この際解明に勤しむのはやめておく。それよりも、混沌の遣いだ。
「混沌の遣いに近づいておる。じゃが……。」
「じゃが?」
『どうしたの?』
「似たような輩が多いようじゃの。」
「うわわわっ!イヤすぎるッ!!」
『まさか大量発生じゃ……。チョーイヤだけど!』
「混沌の遣いが分身しておる……?いや、単に同じ種類の生物じゃな。」
「あんな凶悪なヤツらが量産されたら、たまらないよ!!」
『よかったわ。分身とかじゃなくて。』