第21章 混沌の狭間(前編)
セラ
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そんなやり取りが、天使二人の間で交わされていただなんて誰も想像しなかっただろう。そのぐらい、気持ちの切り替えが早かった。神器を手中にゲートから飛び立とうとしている。その為の助走だ。きっちり回復したし、準備万端。いざッ!出陣!
「パルテナ様!待っていてください!」
『かならずや、あなたの魂を取り返してきます!』
ゲートから勢い良く飛び立ち、目の前に映るは混沌の狭間。ナチュレちゃんは混沌の狭間の侵入口にゲートを寄せてくれた模様。真っ直ぐ曲折なく混沌の狭間へと飛行する私達。何が引き起こるか分からないけれど、怖気づいてなんていられない。気をしっかり持たなくては。
「ブラピは先に行っておるようじゃ。」
ピット君の羽翼に宿りし飛翔の奇跡に寄り、飛行スピードが更に加速する。慌てて彼の飛行スピードについて行くが、狭間の中へ入った瞬間異様な光景に思わず息を呑む。建造物が浮遊し、その中で切れ長の目の部分が幾つも存在しているのだ。まるで異世界。明らかに別次元だ。この空間の中、混沌の遣いが生活していると言うのか。私達には考えられない世界だ。
「なんという混沌……。」
「まさにカオスじゃの。」
『キモチ悪いよね。』
逆さまの建造物に浮遊する瞳。それ等を見つめ、愕然とする私達。そんな状況下でも冥府の魔物達は、変わらずこちらへ攻撃を仕掛け妨害して来る。毎度毎度、懲りない連中だ。だが妨害工作があるのはつまり、混沌の遣いを守備するハデスの思惑が垣間見えてくる。転んでもただでは起きない、ハデスの為にある言葉だ。あのニヤニヤ笑いを思い出すと妙に腹が立つ。未知の世界に踏み込んで、恐慌しそうな勢いだが負けていられない。主にナチュレちゃんの役目だが、混沌の遣いを見つけ出して前回よりも更に激しくボコボコにしてやろうと思う。異様な光景に視界を奪われしまいがちであるが、混沌の遣いを発見するに至っていない。未だ、身を潜めている模様だ。恐らく私達が入り込んだと察知しているだろう。けれどそんなに時間が経過している訳でもないから、追いつける可能性は充分にある。混沌の遣いが見つからないのは何となく頷けるが、ブラピ君さえも姿が見えない。結構先に進んでしまったのだろうか。まさか……迷子?
「「『ひぃぃぃぃぃぃっ!!』」」
色々考えを巡らせていたら、不意を衝かれてしまう。視界一杯に映るは、夥しい数の瞳。気づけば、三人で叫んでいた。幾ら混沌と言えど、夥しい数の瞳は流石にキツい。叫ばずにはいられない状況だ。恐怖の余り、反射行動が働き、両手で両眼を覆ってしまう。自力で飛行しているから指と指の間からチラリ盗み見なければとても危険だが、そのくらい背けたくなってしまった。当たり前だが、今迄にない経験をしている。混沌の遣いに出会わなければ、混沌の狭間へ出陣する未来も用意されていなかっただろう。
ここで倒しておかなければ、誰も笑顔にならない。厭、笑顔になる人物は一人だけいるのを思い出した。混沌の遣いが倒されず、女神様の魂が奪取されない結末を望み、単に面白がって高みの見物をしている人物。段々、怒りが込み上がってしまうのでその人物に関する記憶を掘り返すのは止めておいた。要は、その結末へと導かれなければいいだけ話だ。
「『……。』」
「なにが起こっても不思議はないのう。ちとびびったわ。」
言葉を失う程の混沌ぶりだ。しかし、それだけでは終わらない。今も尚、冥府の魔物達が次から次へと出現しこちらに向かって来る最中行く手を塞ぎたいのかヒラヒラした真っ黒の両腕と両手が目の前ににゅっと飛び出て来たのだ。それが幾つも続いている。目の前に両腕、両手が飛び出て来る度驚きの声をついつい上げてしまう天使二人。可能ならば、これだけに留めてもらいたいが私達の心情など露知らずビックリ箱の如き驚愕はやはり仕舞にはならないらしい。はぁ……と深い溜息。コメトの集団がこちらへ突進して来て、ピット君の餌食になっていたのは言うまでもない。
順調に進行しているのは間違いないが、どうにもそんな感覚はない。そんな折、突如視界が真っ暗闇に包まれる。何の前触れもなく、いきなりだ。お陰で何が起こったのか、イマイチ理解が追いついていない。
『急に真っ暗だね。』
「あれ?電池が切れたかな?」
「ンなわけなかろう!!恐れるでない。順調に進んではおる!!……たぶん。」
「いや、たぶんって!!」
『心配になってきたんだけど。』
「このままいくのじゃ!!」
『ナチュレちゃーん……。』
真っ暗闇の中で不気味に見える様々な魔物。ガニラスであるのに暗闇効果か、全く別の生物に見えなくもない。手と腕がニョキニョキ伸びてまるでムカデの様だ。ガニラスだけではない。あの、こちらに突進して来る姿は明らかにスピムだろう。
「パルテナ様!待っていてください!」
『かならずや、あなたの魂を取り返してきます!』
ゲートから勢い良く飛び立ち、目の前に映るは混沌の狭間。ナチュレちゃんは混沌の狭間の侵入口にゲートを寄せてくれた模様。真っ直ぐ曲折なく混沌の狭間へと飛行する私達。何が引き起こるか分からないけれど、怖気づいてなんていられない。気をしっかり持たなくては。
「ブラピは先に行っておるようじゃ。」
ピット君の羽翼に宿りし飛翔の奇跡に寄り、飛行スピードが更に加速する。慌てて彼の飛行スピードについて行くが、狭間の中へ入った瞬間異様な光景に思わず息を呑む。建造物が浮遊し、その中で切れ長の目の部分が幾つも存在しているのだ。まるで異世界。明らかに別次元だ。この空間の中、混沌の遣いが生活していると言うのか。私達には考えられない世界だ。
「なんという混沌……。」
「まさにカオスじゃの。」
『キモチ悪いよね。』
逆さまの建造物に浮遊する瞳。それ等を見つめ、愕然とする私達。そんな状況下でも冥府の魔物達は、変わらずこちらへ攻撃を仕掛け妨害して来る。毎度毎度、懲りない連中だ。だが妨害工作があるのはつまり、混沌の遣いを守備するハデスの思惑が垣間見えてくる。転んでもただでは起きない、ハデスの為にある言葉だ。あのニヤニヤ笑いを思い出すと妙に腹が立つ。未知の世界に踏み込んで、恐慌しそうな勢いだが負けていられない。主にナチュレちゃんの役目だが、混沌の遣いを見つけ出して前回よりも更に激しくボコボコにしてやろうと思う。異様な光景に視界を奪われしまいがちであるが、混沌の遣いを発見するに至っていない。未だ、身を潜めている模様だ。恐らく私達が入り込んだと察知しているだろう。けれどそんなに時間が経過している訳でもないから、追いつける可能性は充分にある。混沌の遣いが見つからないのは何となく頷けるが、ブラピ君さえも姿が見えない。結構先に進んでしまったのだろうか。まさか……迷子?
「「『ひぃぃぃぃぃぃっ!!』」」
色々考えを巡らせていたら、不意を衝かれてしまう。視界一杯に映るは、夥しい数の瞳。気づけば、三人で叫んでいた。幾ら混沌と言えど、夥しい数の瞳は流石にキツい。叫ばずにはいられない状況だ。恐怖の余り、反射行動が働き、両手で両眼を覆ってしまう。自力で飛行しているから指と指の間からチラリ盗み見なければとても危険だが、そのくらい背けたくなってしまった。当たり前だが、今迄にない経験をしている。混沌の遣いに出会わなければ、混沌の狭間へ出陣する未来も用意されていなかっただろう。
ここで倒しておかなければ、誰も笑顔にならない。厭、笑顔になる人物は一人だけいるのを思い出した。混沌の遣いが倒されず、女神様の魂が奪取されない結末を望み、単に面白がって高みの見物をしている人物。段々、怒りが込み上がってしまうのでその人物に関する記憶を掘り返すのは止めておいた。要は、その結末へと導かれなければいいだけ話だ。
「『……。』」
「なにが起こっても不思議はないのう。ちとびびったわ。」
言葉を失う程の混沌ぶりだ。しかし、それだけでは終わらない。今も尚、冥府の魔物達が次から次へと出現しこちらに向かって来る最中行く手を塞ぎたいのかヒラヒラした真っ黒の両腕と両手が目の前ににゅっと飛び出て来たのだ。それが幾つも続いている。目の前に両腕、両手が飛び出て来る度驚きの声をついつい上げてしまう天使二人。可能ならば、これだけに留めてもらいたいが私達の心情など露知らずビックリ箱の如き驚愕はやはり仕舞にはならないらしい。はぁ……と深い溜息。コメトの集団がこちらへ突進して来て、ピット君の餌食になっていたのは言うまでもない。
順調に進行しているのは間違いないが、どうにもそんな感覚はない。そんな折、突如視界が真っ暗闇に包まれる。何の前触れもなく、いきなりだ。お陰で何が起こったのか、イマイチ理解が追いついていない。
『急に真っ暗だね。』
「あれ?電池が切れたかな?」
「ンなわけなかろう!!恐れるでない。順調に進んではおる!!……たぶん。」
「いや、たぶんって!!」
『心配になってきたんだけど。』
「このままいくのじゃ!!」
『ナチュレちゃーん……。』
真っ暗闇の中で不気味に見える様々な魔物。ガニラスであるのに暗闇効果か、全く別の生物に見えなくもない。手と腕がニョキニョキ伸びてまるでムカデの様だ。ガニラスだけではない。あの、こちらに突進して来る姿は明らかにスピムだろう。