第20章 女神の魂(後編)
セラ
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ひらり躱し、ピット君はイカロスマッチョへ渾身の一撃を見舞っていた。パルテノートを浄化し終えた私は、ピット君と共に最後の妨害を撥ね退けては三つ目の柵の前へ歩みを進めている。
「よし!いよいよパルテナと対面じゃ。」
「得物の調子はチェックしとけよ。なーんつって。」
「『……。』」
三つ目の柵が開き、パルテナ様を象徴した銅像が見守る中建造物からヨロヨロ歩きながらパルテナ様が姿を現した。
「来ましたね、ピット セラ。」
「パルテナ様……。ピット、」『セラ』
「『参ります!!』」
背後の脅威に寄るものか、疲弊されているパルテナ様。見ていれば、立っているのもやっとな状態だ。あの活発なパルテナ様をこんなにした“混沌の遣い”は一体何処だ。何処にいる?痛ましくて見ていられないが、視線を逸らす訳にはいかない。
「気配を感じるぞ……。狙いはパルテナではなく混沌の遣いじゃ。それを見極めることじゃ!」
「混沌の遣い……。パルテナ様とは別の場所にいる?」
パルテナ様が所持する杖から連続弾が発射される。戦闘の序盤で接近戦に持ち込むにはリスクが伴う。まだ観察して、じっくり好機を狙うのが得策。パルテナ様が攻撃を仕掛ける傍らで、高みの見物をしている者がいる……それが混沌の遣い。自分の手を汚さず、全て彼女にさせる捩じ曲がった根性。冥府生まれと言われ、合点が行くのはこういう部分だ。今も尚、パルテナ様の直ぐ近くで身を潜めている。感情があるかは知らないが、この状況を見つめほくそ笑んでいるに違いない。絶対に倒してやる。
何処かに潜んでいる混沌の遣いを四方八方隈なく探す。私達目掛けて、光の弾を連射して来るのを華麗に躱し目を凝らしてみる。……今、紫色の何かがパルテナ様の上を浮遊していたような……。
「上のほうをよく見るんじゃ!」
「いや、見なくていいと思うなぁ。」
『やっぱり上なのね!』
「音にも注意するのじゃ。上の方、音がする方が怪しいぞ。」
ナチュレちゃんが私達に助言をくれた刹那、パルテナ様が光を放ち私達の両眼を晦ます。やはり、パルテナ様頭上に何者かが潜んでいる模様だ。目くらましされたとしても、私達には耳がある。耳をよく済まし、動きを探ってみる。何か……羽音のような音がカサカサ聞こえて来るみたいだ。まさか混沌の遣いは、虫?それが正体なのか。ナチュレちゃんの指示通り、漸く慣れてきた両眼を凝らし上を見据える。紫色のモヤ、羽音、パルテナ様の上。
「そこか!!」
『そこね!!』
「その調子じゃ!!」
紫色のモヤ目掛けて二人同時に射撃する。見えた。あれが、混沌の遣い。
一つ目、虫とサソリを合体させたようなディティール。卑怯者のお出ましだ。あいつがパルテナ様を追い込み、エンジェランドを崩壊させた主犯者。許せる筈がない。下唇を噛みしめ、パルテナ様上空を目掛けて射撃。だが未だ上空を離れ、単体で行動する気配を見せない。慎重さゆえだろうか。警戒心を露にしているらしい。射撃攻撃を止めず、継続していたのだがついつい手元が狂ってパルテナ様へダメージを喰らわせてしまう。
「コラコラ!パルテナを攻撃するでない!!敵はほかにおる!!周囲をよく見るのじゃ!!」
だが、持ち堪えてくれたらしい。ほっと安堵の溜息。パルテナ様が倒れてしまっては、元も子もない。落ち着いて、冷静に対処しなくては。一息深呼吸して気持ちを切り替え、紫色のモヤが掛かっている部分を集中的に攻撃する。混沌の遣いは、相当自分という存在を隠したいのか目線を逸らすべく行動を起こした。パルテナ様がイカロスやイカロスナイトを召喚したのだ。自分に対する注意を引かないためだと考えられる。けれど、ピット君はお構いなしに攻撃を続行させているみたいだ。この作戦は、私達に通用しない模様。ピット君は混沌の遣いを、私はイカロス達を請け負う。ダメージを蓄積させているのか、混沌の遣いがヒョッコリ顔を出した。と思えば、何とパルテナ様の身体に巻き付いたのだ。卑怯なのも程がある。まさか、パルテナ様を盾にするなんて。
「ひきょうな!これじゃ狙えない!」
「落ち着くのじゃ。チャンスは必ず来るハズじゃ!」
『じっと待つのも戦法ね!』
パルテナ様を盾にされ、攻撃を加えていたピット君は一旦中断する。搦め捕られたパルテナ様は、自力で脱出して卑怯者へ報復するのも適わないらしい。普段の彼女ならば、容易くしていただろう。大いに想像できる。だが、それをしない……或いは出来ない所を見ると魂を食べられた時点で力を発動できないぐらい支配されている事実に繋がってくる……ダメージも並大抵ではないだろう。魂を食べられているのだから、無理もない。想像を絶する痛みが伴っていたかもしれない。目の前に戦っておられるパルテナ様を見つめ、不意に泣きそうになる。お労しい。
「よし!いよいよパルテナと対面じゃ。」
「得物の調子はチェックしとけよ。なーんつって。」
「『……。』」
三つ目の柵が開き、パルテナ様を象徴した銅像が見守る中建造物からヨロヨロ歩きながらパルテナ様が姿を現した。
「来ましたね、ピット セラ。」
「パルテナ様……。ピット、」『セラ』
「『参ります!!』」
背後の脅威に寄るものか、疲弊されているパルテナ様。見ていれば、立っているのもやっとな状態だ。あの活発なパルテナ様をこんなにした“混沌の遣い”は一体何処だ。何処にいる?痛ましくて見ていられないが、視線を逸らす訳にはいかない。
「気配を感じるぞ……。狙いはパルテナではなく混沌の遣いじゃ。それを見極めることじゃ!」
「混沌の遣い……。パルテナ様とは別の場所にいる?」
パルテナ様が所持する杖から連続弾が発射される。戦闘の序盤で接近戦に持ち込むにはリスクが伴う。まだ観察して、じっくり好機を狙うのが得策。パルテナ様が攻撃を仕掛ける傍らで、高みの見物をしている者がいる……それが混沌の遣い。自分の手を汚さず、全て彼女にさせる捩じ曲がった根性。冥府生まれと言われ、合点が行くのはこういう部分だ。今も尚、パルテナ様の直ぐ近くで身を潜めている。感情があるかは知らないが、この状況を見つめほくそ笑んでいるに違いない。絶対に倒してやる。
何処かに潜んでいる混沌の遣いを四方八方隈なく探す。私達目掛けて、光の弾を連射して来るのを華麗に躱し目を凝らしてみる。……今、紫色の何かがパルテナ様の上を浮遊していたような……。
「上のほうをよく見るんじゃ!」
「いや、見なくていいと思うなぁ。」
『やっぱり上なのね!』
「音にも注意するのじゃ。上の方、音がする方が怪しいぞ。」
ナチュレちゃんが私達に助言をくれた刹那、パルテナ様が光を放ち私達の両眼を晦ます。やはり、パルテナ様頭上に何者かが潜んでいる模様だ。目くらましされたとしても、私達には耳がある。耳をよく済まし、動きを探ってみる。何か……羽音のような音がカサカサ聞こえて来るみたいだ。まさか混沌の遣いは、虫?それが正体なのか。ナチュレちゃんの指示通り、漸く慣れてきた両眼を凝らし上を見据える。紫色のモヤ、羽音、パルテナ様の上。
「そこか!!」
『そこね!!』
「その調子じゃ!!」
紫色のモヤ目掛けて二人同時に射撃する。見えた。あれが、混沌の遣い。
一つ目、虫とサソリを合体させたようなディティール。卑怯者のお出ましだ。あいつがパルテナ様を追い込み、エンジェランドを崩壊させた主犯者。許せる筈がない。下唇を噛みしめ、パルテナ様上空を目掛けて射撃。だが未だ上空を離れ、単体で行動する気配を見せない。慎重さゆえだろうか。警戒心を露にしているらしい。射撃攻撃を止めず、継続していたのだがついつい手元が狂ってパルテナ様へダメージを喰らわせてしまう。
「コラコラ!パルテナを攻撃するでない!!敵はほかにおる!!周囲をよく見るのじゃ!!」
だが、持ち堪えてくれたらしい。ほっと安堵の溜息。パルテナ様が倒れてしまっては、元も子もない。落ち着いて、冷静に対処しなくては。一息深呼吸して気持ちを切り替え、紫色のモヤが掛かっている部分を集中的に攻撃する。混沌の遣いは、相当自分という存在を隠したいのか目線を逸らすべく行動を起こした。パルテナ様がイカロスやイカロスナイトを召喚したのだ。自分に対する注意を引かないためだと考えられる。けれど、ピット君はお構いなしに攻撃を続行させているみたいだ。この作戦は、私達に通用しない模様。ピット君は混沌の遣いを、私はイカロス達を請け負う。ダメージを蓄積させているのか、混沌の遣いがヒョッコリ顔を出した。と思えば、何とパルテナ様の身体に巻き付いたのだ。卑怯なのも程がある。まさか、パルテナ様を盾にするなんて。
「ひきょうな!これじゃ狙えない!」
「落ち着くのじゃ。チャンスは必ず来るハズじゃ!」
『じっと待つのも戦法ね!』
パルテナ様を盾にされ、攻撃を加えていたピット君は一旦中断する。搦め捕られたパルテナ様は、自力で脱出して卑怯者へ報復するのも適わないらしい。普段の彼女ならば、容易くしていただろう。大いに想像できる。だが、それをしない……或いは出来ない所を見ると魂を食べられた時点で力を発動できないぐらい支配されている事実に繋がってくる……ダメージも並大抵ではないだろう。魂を食べられているのだから、無理もない。想像を絶する痛みが伴っていたかもしれない。目の前に戦っておられるパルテナ様を見つめ、不意に泣きそうになる。お労しい。