第20章 女神の魂(後編)
セラ
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私達の姿が見えないのならば、自動的にパルテナ様へ話を聞きに行くのを余儀なくされる。まぁ、当然の流れだ。一番理由を知っていそうな人物に話を聞きに行くのが妥当な判断。彼は、神殿内にいると思われるパルテナ様の元へ会いに行った。けれど、ファイター君は とある場面を目撃してしまい余りの衝撃に絶句。その……衝撃的内容とは。私も一番最初見てしまった際は、複雑な感情が自身を支配したものだ。まさかパルテナ様が人々の敵側に寝返るなんて予想すらしていなかった。ファイター君だって、その内の一人。人々の街を守るべく私達を向かわせていたパルテナ様は、イカロス達に街を奇襲する指示を出していたのだ。半信半疑であったファイター君は、パルテナ様に説明を求めたが全て事実上の出来事だった。彼女の行いに対し、猛反発するファイター君。彼もああ見えて、正義感が強い。実直な人柄なのだ。パルテナ様の命に従う所か、正しい方向へと導く努力する彼。けれど、結果は空しく反逆者のレッテルを貼られた彼はまんまと牢屋に幽閉されてしまったのだそうだ。そして、今に至る。
話を親身に聞いていた私達は、苦笑いを浮かべる他にこの場をやり過ごす策が思いつかなかった。ファイター君の立場は、私達からしたら不運と称するには他人行儀で、惨敗と称するには何処か知ったかぶり。それでも、彼の頑張りは本物だ。彼の思いを無下にしないためにも私達が“混沌の遣い”をメッタメタにしてやるしかない。
『ファイター君、お疲れさま。あとは、私たちに任せといて。』
「僕たちが、かならずパルテナ様を元に戻すから。」
「セラさん、ピットさんならやり遂げてくれるでしょう。ですがその前に……。」
「『?』」
「牢屋の錠をはずしてもらえませんか。」
「『……。』」
牢屋に閉じ込められているファイター君は、当然私達に加勢は出来ない。それだけは疎か、見れば彼の神器もない。戦える訳がないのだ。戦えないのなら加勢は出来ないし、私達二人でパルテナ様を止める。厭、二人ではなかった。この場にいないけれど、ナチュレちゃんも協力してくれている。心強いったら、ない。大丈夫。私達、三人で何とかできる。とんだ道草を食ってしまったが、全て水に流し再度先へ進もうと思う。だが、話はこれで終わりではなかった。なんと有ろうことか、ファイター君は天使二人に牢屋の錠を外せ だの要求してきたのだ。話を聞き終えたし、この場には思い残す事柄なんてないだろう。等と思っていた矢先であった。私とピット君は、彼の要求に顔と顔を見合わせ、沈黙。単純に錠を外す術を持ち合わせていなかったのだ。
『ファイター君。』
「?ハイ。」
『このままでもよくない?』
「異議ナシ。」
『……ねっ?』
「だ、ダメですよ!俺はここから出たいんです!(セラさんの可愛さに思わず頷くトコだった……。)」
「(僕だったら、もう頷いていたなぁ。)」
私の出した答えは、“このまま牢屋の中に入っている”手段だった。それならば、錠を外すのに悩んだりしない。こうしている間にも、パルテナ様が心配だ。ここで言うのも難だが、ファイター君は自力で何とかできるのだ。私達がわざわざしてあげなくてもいい。だが、パルテナ様は違う。きっと、助けるを求める心の叫びをあげているだろう。ここは、是非譲ってもらいたいのだ。
「セラよ。助けてあげたらどうじゃ?おぬしなら、牢屋の鍵なぞ簡単に開けられるのじゃ。」
「えっ?そうなの?!セラちゃんったら、おじさんには内緒にしてぇ。ぜひ、その姿を見たいわぁ。」
『もーう。みんな、勝手なんだから。』
「ケッキョク、こうなるんだね。」
とか思っていたのにナチュレちゃんが煽り、ハデスが乗っかり結局は私が牢屋の錠を外す作業に取りかかざるを得なくなってしまう。はぁ……と深い溜息。素直に述べるのなら、少し嘘をついてしまった。錠を外す術を持ち合わせていなかったのではない。単に、使いたくなかっただけなのだ。それを丁寧に公表するのも、違う気がする。私の思いも空しく、ナチュレちゃんにネタバラシされてしまうが彼女の煽りがなければこのままやり過ごすつもりでいた。自分の言うのも難だが、乙女心は複雑なのだ。だが、今回は仕方ない。使うしかない模様だ。
『じゃあ、いくよ?』
「おねがいします!」
「セラちゃん、がんばって!」
期待に満ちた視線が多方面から感じ取れる。言わずもがな、力を揮わなければならないらしい。諦めの感情が自身を支配する中、すっと静かに瞼を閉じた。錠が外れるイメージを膨らませ、念じる。さすれば、牢屋の錠がガシャンと音を立て忽ち壊れた。晴れてファイター君は自由の身になり、誰も彼を閉じ込めておく理由がなくなる。何の行動を起こしても、彼を咎めたりはしない。
話を親身に聞いていた私達は、苦笑いを浮かべる他にこの場をやり過ごす策が思いつかなかった。ファイター君の立場は、私達からしたら不運と称するには他人行儀で、惨敗と称するには何処か知ったかぶり。それでも、彼の頑張りは本物だ。彼の思いを無下にしないためにも私達が“混沌の遣い”をメッタメタにしてやるしかない。
『ファイター君、お疲れさま。あとは、私たちに任せといて。』
「僕たちが、かならずパルテナ様を元に戻すから。」
「セラさん、ピットさんならやり遂げてくれるでしょう。ですがその前に……。」
「『?』」
「牢屋の錠をはずしてもらえませんか。」
「『……。』」
牢屋に閉じ込められているファイター君は、当然私達に加勢は出来ない。それだけは疎か、見れば彼の神器もない。戦える訳がないのだ。戦えないのなら加勢は出来ないし、私達二人でパルテナ様を止める。厭、二人ではなかった。この場にいないけれど、ナチュレちゃんも協力してくれている。心強いったら、ない。大丈夫。私達、三人で何とかできる。とんだ道草を食ってしまったが、全て水に流し再度先へ進もうと思う。だが、話はこれで終わりではなかった。なんと有ろうことか、ファイター君は天使二人に牢屋の錠を外せ だの要求してきたのだ。話を聞き終えたし、この場には思い残す事柄なんてないだろう。等と思っていた矢先であった。私とピット君は、彼の要求に顔と顔を見合わせ、沈黙。単純に錠を外す術を持ち合わせていなかったのだ。
『ファイター君。』
「?ハイ。」
『このままでもよくない?』
「異議ナシ。」
『……ねっ?』
「だ、ダメですよ!俺はここから出たいんです!(セラさんの可愛さに思わず頷くトコだった……。)」
「(僕だったら、もう頷いていたなぁ。)」
私の出した答えは、“このまま牢屋の中に入っている”手段だった。それならば、錠を外すのに悩んだりしない。こうしている間にも、パルテナ様が心配だ。ここで言うのも難だが、ファイター君は自力で何とかできるのだ。私達がわざわざしてあげなくてもいい。だが、パルテナ様は違う。きっと、助けるを求める心の叫びをあげているだろう。ここは、是非譲ってもらいたいのだ。
「セラよ。助けてあげたらどうじゃ?おぬしなら、牢屋の鍵なぞ簡単に開けられるのじゃ。」
「えっ?そうなの?!セラちゃんったら、おじさんには内緒にしてぇ。ぜひ、その姿を見たいわぁ。」
『もーう。みんな、勝手なんだから。』
「ケッキョク、こうなるんだね。」
とか思っていたのにナチュレちゃんが煽り、ハデスが乗っかり結局は私が牢屋の錠を外す作業に取りかかざるを得なくなってしまう。はぁ……と深い溜息。素直に述べるのなら、少し嘘をついてしまった。錠を外す術を持ち合わせていなかったのではない。単に、使いたくなかっただけなのだ。それを丁寧に公表するのも、違う気がする。私の思いも空しく、ナチュレちゃんにネタバラシされてしまうが彼女の煽りがなければこのままやり過ごすつもりでいた。自分の言うのも難だが、乙女心は複雑なのだ。だが、今回は仕方ない。使うしかない模様だ。
『じゃあ、いくよ?』
「おねがいします!」
「セラちゃん、がんばって!」
期待に満ちた視線が多方面から感じ取れる。言わずもがな、力を揮わなければならないらしい。諦めの感情が自身を支配する中、すっと静かに瞼を閉じた。錠が外れるイメージを膨らませ、念じる。さすれば、牢屋の錠がガシャンと音を立て忽ち壊れた。晴れてファイター君は自由の身になり、誰も彼を閉じ込めておく理由がなくなる。何の行動を起こしても、彼を咎めたりはしない。