第20章 女神の魂(後編)
セラ
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「ナチュレ、混沌の遣いというのは……。」
「おっと、そうじゃった。」
『そういえば、ハナシが中断してたね。』
「混沌の遣いは、おそらく冥府生まれの未知の生命体じゃ。“混沌の狭間”という、自らの巣に獲物を持ち込んで、魂を喰らうのじゃ。」
「魂を喰らう……。」
歩き始めた先で視界に映るのは、何処か見慣れた風景。目前には二機のビートル。荒んでしまっているが、忘れるなんて出来ない。この道は、ビートルのコースだったルート。ここでよくビートルに乗り込んで、腕っぷしを上達させていたものだ。今もビートルの乗り込み、すいすい進む。話の内容は“混沌の遣い”について。光の戦車に乗っている際にチラッと出て来た名前だ。その生命体がどんな影響を及ぼしているのか。私は、話に耳を傾けている。
「魂を溶かしながら、ゆっくりゆっくりかじっていくのじゃが。やっかいなのは、魂を捕らえた相手を支配することができるということじゃ。」
「じゃあ、パルテナ様も混沌の遣いに支配されている……?」
「可能性は高いと言えよう。天使であるピットを指輪になぞ変えることができるのは、支配主であるパルテナ以外にありえんのではないかの?」『そういうことね。』
「もしくはパルテナ様の加護を失ったからかもしれないけど……。とにかく、パルテナ様のところへ急がなくちゃ!かじられかけのパルテナ様なんて見たくないよ!」
「頭からまるかじりかのう。足からちぎるようにかのう。」
「言うなッ!」
『(うわぁ〜想像したくない。)』
壁が壊れてボロボロになってしまったビートルのコース。長い期間、整備されていないのか処々綻びが目立つ。ビートルのコースは、練習で出来たテクニックを本番でも活かせる様工夫が施されている。だからであるが、私達は日々の鍛錬で実戦に活かせているのだ。それもこれもパルテナ様のご意思の賜物。日々の生活や鍛錬がしっかり活かせているのも凄い話だ。ビートルのコースなのだから、カーブが存在して当たり前。いつもの如く、綺麗にカーブを曲がりきった頃ナチュレちゃんが話を切り出してきた。離し難い内容らしく、固く口を閉ざしていたらしいがいずれ耳に入るだろうとの判断らしい。
「セラ、パルテナが混沌の遣いに支配されている可能性が高いと話したじゃろう。その話には続きがあったのじゃ。」
『続き?』
「そうじゃ。落ち着いて聞くのじゃぞ?混沌の遣いが本来狙っていた獲物は……セラ、そなただったのじゃ。」
『……えっ?』
「セラの魂を喰らい、支配した上でセラの力を使ってこの星を破滅させようとしたのじゃ。じゃが、失敗した。セラの力で逆に攻撃されてしまったのじゃ。間一髪で逃れた混沌の遣いは、狙っていた獲物を変えた。」
『それが、パルテナ様かもしれない……。』
「なッ!その話はほんとうか!ナチュレ!」
「残念ながらな。じゃが、気を落とすでないぞ?セラよ。こうなったのは、決してそなたのせいではないんじゃからのう。」
「そうだよ、セラちゃん。パルテナ様は僕たちの手で助け出したらいい。かならず、僕はキミを守るから。」
『ふたりとも……ありがとう。』
思わぬ真実がひょっこり顔を出した。メデューサから話を聞いていたのもあり、驚愕はしなかったものの彼女が言っていた“ヤツ”とは“混沌の遣い”だったらしい。漸く“ヤツ”と呼称された者の正体を掴めたが、メデューサは混沌の遣いに対し警戒しろとの忠告をしてきた。理由は単純。今も尚、その力を欲しているからだ。自身の力を狙う存在がそう簡単に諦める筈がない。その話を耳にして果てしなく良心が呵責されてしまったが、二人は気に病む必要はないのだと真っ直ぐ伝えてくれた。正直、二人の気持ちが嬉しい。心の中が温かくなる感覚。決して事実は揺るがないが、チャンスを与えてくれる人達がいる。二人の言葉が私の気持ちを軽くさせてくれた。混沌の遣いの脅威は拭いされない。それは、分かっている。けれど、逃げているだけでは話は始まらない。必ずや、混沌の遣いを打ちのめそう。そうすればきっと、再度エンジェランドに平和が戻る。もうこれ以上、ヤツの好きにはさせないんだから。
カーブを突っ切り、真っ直ぐ前進するビートル。前方に立ち塞がる敵をビートルで次々に打ちのめし、スピードを上昇させて行く。坂が存在するが何のその。敵を撃破しつつ、更にスピードを上昇させながら建造物内へ向かうため直進する。目の前に見えるのは、神殿の建造物。
「ここから先は、ちょっとややこしいことになっていそうじゃ。複数の牢屋、地上と地下に分かれた構成……。」
「牢屋?エンジェランドにそんなものは必要ない!!」
「平和ボケなヤツめ。今は必要だということじゃろう?」
「ん……ぐ。」
『あんまり聞きたくなかったよね。』
「ここは迷路のように複雑じゃ。迷わないように、周囲の通路をよく覚えるがいいわ。」
「おっと、そうじゃった。」
『そういえば、ハナシが中断してたね。』
「混沌の遣いは、おそらく冥府生まれの未知の生命体じゃ。“混沌の狭間”という、自らの巣に獲物を持ち込んで、魂を喰らうのじゃ。」
「魂を喰らう……。」
歩き始めた先で視界に映るのは、何処か見慣れた風景。目前には二機のビートル。荒んでしまっているが、忘れるなんて出来ない。この道は、ビートルのコースだったルート。ここでよくビートルに乗り込んで、腕っぷしを上達させていたものだ。今もビートルの乗り込み、すいすい進む。話の内容は“混沌の遣い”について。光の戦車に乗っている際にチラッと出て来た名前だ。その生命体がどんな影響を及ぼしているのか。私は、話に耳を傾けている。
「魂を溶かしながら、ゆっくりゆっくりかじっていくのじゃが。やっかいなのは、魂を捕らえた相手を支配することができるということじゃ。」
「じゃあ、パルテナ様も混沌の遣いに支配されている……?」
「可能性は高いと言えよう。天使であるピットを指輪になぞ変えることができるのは、支配主であるパルテナ以外にありえんのではないかの?」『そういうことね。』
「もしくはパルテナ様の加護を失ったからかもしれないけど……。とにかく、パルテナ様のところへ急がなくちゃ!かじられかけのパルテナ様なんて見たくないよ!」
「頭からまるかじりかのう。足からちぎるようにかのう。」
「言うなッ!」
『(うわぁ〜想像したくない。)』
壁が壊れてボロボロになってしまったビートルのコース。長い期間、整備されていないのか処々綻びが目立つ。ビートルのコースは、練習で出来たテクニックを本番でも活かせる様工夫が施されている。だからであるが、私達は日々の鍛錬で実戦に活かせているのだ。それもこれもパルテナ様のご意思の賜物。日々の生活や鍛錬がしっかり活かせているのも凄い話だ。ビートルのコースなのだから、カーブが存在して当たり前。いつもの如く、綺麗にカーブを曲がりきった頃ナチュレちゃんが話を切り出してきた。離し難い内容らしく、固く口を閉ざしていたらしいがいずれ耳に入るだろうとの判断らしい。
「セラ、パルテナが混沌の遣いに支配されている可能性が高いと話したじゃろう。その話には続きがあったのじゃ。」
『続き?』
「そうじゃ。落ち着いて聞くのじゃぞ?混沌の遣いが本来狙っていた獲物は……セラ、そなただったのじゃ。」
『……えっ?』
「セラの魂を喰らい、支配した上でセラの力を使ってこの星を破滅させようとしたのじゃ。じゃが、失敗した。セラの力で逆に攻撃されてしまったのじゃ。間一髪で逃れた混沌の遣いは、狙っていた獲物を変えた。」
『それが、パルテナ様かもしれない……。』
「なッ!その話はほんとうか!ナチュレ!」
「残念ながらな。じゃが、気を落とすでないぞ?セラよ。こうなったのは、決してそなたのせいではないんじゃからのう。」
「そうだよ、セラちゃん。パルテナ様は僕たちの手で助け出したらいい。かならず、僕はキミを守るから。」
『ふたりとも……ありがとう。』
思わぬ真実がひょっこり顔を出した。メデューサから話を聞いていたのもあり、驚愕はしなかったものの彼女が言っていた“ヤツ”とは“混沌の遣い”だったらしい。漸く“ヤツ”と呼称された者の正体を掴めたが、メデューサは混沌の遣いに対し警戒しろとの忠告をしてきた。理由は単純。今も尚、その力を欲しているからだ。自身の力を狙う存在がそう簡単に諦める筈がない。その話を耳にして果てしなく良心が呵責されてしまったが、二人は気に病む必要はないのだと真っ直ぐ伝えてくれた。正直、二人の気持ちが嬉しい。心の中が温かくなる感覚。決して事実は揺るがないが、チャンスを与えてくれる人達がいる。二人の言葉が私の気持ちを軽くさせてくれた。混沌の遣いの脅威は拭いされない。それは、分かっている。けれど、逃げているだけでは話は始まらない。必ずや、混沌の遣いを打ちのめそう。そうすればきっと、再度エンジェランドに平和が戻る。もうこれ以上、ヤツの好きにはさせないんだから。
カーブを突っ切り、真っ直ぐ前進するビートル。前方に立ち塞がる敵をビートルで次々に打ちのめし、スピードを上昇させて行く。坂が存在するが何のその。敵を撃破しつつ、更にスピードを上昇させながら建造物内へ向かうため直進する。目の前に見えるのは、神殿の建造物。
「ここから先は、ちょっとややこしいことになっていそうじゃ。複数の牢屋、地上と地下に分かれた構成……。」
「牢屋?エンジェランドにそんなものは必要ない!!」
「平和ボケなヤツめ。今は必要だということじゃろう?」
「ん……ぐ。」
『あんまり聞きたくなかったよね。』
「ここは迷路のように複雑じゃ。迷わないように、周囲の通路をよく覚えるがいいわ。」