第20章 女神の魂(後編)
セラ
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『(魂を食べられる……!そうだわ!)混沌の遣い!聞こえてるんでしょ?!パルテナ様の魂ってそんなにおいしいの?!私の魂だって目が飛ぶ出るほどおいしいわよ!!それに、私の力もあなたのものになる!!さぁ、食べれるものなら食べてみなさい!!!』
「セラちゃん!!ナニ言ってるんだ!!それじゃあキミが……!!」
「セラ!やめるんじゃ!!そなたが犠牲になる必要はないのじゃぞ!!」
ここで私の中に とある考えが脳裏を過った。それは、メデューサが私に言い放ったあの言葉。“ヤツにその力を渡すな。なにがあっても。”ヤツの正体が“混沌の遣い”で間違いないのならば、今も私の力が欲しくて堪らないだろう。喉から手が出るぐらい欲しい筈。混沌の遣いを煽るのは相当なリスクだ。パルテナ様から離れて、こちらに接近して来た所を打撃できたら……そう思った。言わば、命がけの賭けだ。勝てば、混沌の遣いを倒せる。負ければ……パルテナ様は苦しみから解放されるが、私は混沌の遣いに魂を食べられた挙げ句支配される。だけど、パルテナ様は絶対助けられるだろう。それならば、自分の身を犠牲にしてでも彼女を助けられるのならばそれでいい。混沌の遣いが搦め捕っていたパルテナ様から離れた。真っ直ぐこちらへ向かってくるのが視界に映る。明らかに標的を変えたみたいだ。これでいい。これでいいのだ。痛みはきっと想像を絶するだろう。だが、後悔はない。何せ、パルテナ様を助けられるのだから。
「いまじゃ!」
『?!』
自分の行いに後悔がある訳もない。しかし、恐怖心がないと言えば嘘になる。魂を食され、支配される私の未来。きっと、この世界は力に寄って塵と化すだろう。この世の終わりだ。だが、ピット君ならば我が身を顧みず世界と未来を希望で満たしてくれる……そう、信じている。未来の行く手を彼に託そうじゃないか。
恐怖の余り、両眼をきゅっと瞑る。両眼を瞑っているから、耳だけが頼りだ。耳を澄ましてみると、カサカサ音を立てて何者かがこちらに接近してくるのが分かる。言わずもがな、混沌の遣いだ。聴覚があるのか果てしなく謎であるが、どうやら私の声は届いたらしい。でなければ、混沌の遣いがわざわざこちらに接近して来る道理がない……私の企てた作戦は成功だ。自分の身を犠牲にしなければならないが。『さぁ、来なさい!混沌の遣い!』両腕を広げて、受け入れる準備を始める。だが、その刹那ナチュレちゃんが勢い良く叫んだ。両眼を瞑り、待ち構えていたのだが一向にそれらしき気配がない。ナチュレちゃんの叫声も気になるし、状況を知るべく恐る恐る両眼を開いた。さすれば、ピット君が神器で混沌の遣いを見事ボコボコにしていたのだ。余りにも鮮やかな打撃攻撃に拍子抜けした後、感服。複雑な感情に支配される。
「パルテナ様!やりましたよ!!」
「うぅっ……!!」
『か、勝った……。』
そのまま力が抜けてしまったが、ピット君は混沌の遣いを撃破した。私の身を案じつつピンチを回避しながらも、パルテナ様を助ける連携技。恐れ入る。そんなピット君はすぐさま倒れ込んだパルテナ様の元へ駆け寄った。私も力が抜けてしまったものの、彼に続く。
「ピット……セラ……。」
「あぁ、パルテナ様。」
『ご無事ですか……。』
パルテナ様へ駆け寄った際、操られている時は決して見せなかった微かな笑みを浮かべていた。彼女の表情から読み取る。もう大丈夫である……と。体力は消耗しているが、パルテナ様が正気に戻った事実に対しほっと胸を撫で下ろす。私達は三年の年月を経て、やっと再会を果したのである。和やかな雰囲気が周辺に流れる中、そぐわない叫声が両耳に届いた。
「ピット!セラ!後ろじゃ!!」
『?!』
ナチュレちゃんの声だ。事態を急する助言。瞬時に後ろを振り返り、一つ目と目が合う。……浄化されていない……。気付いた時には既に遅く、物事はまるでスローモーションの如く混沌の遣いはパルテナ様の身体から魂を尻尾で引き剥がした。余りの出来事に言葉を失う。魂を奪われてしまったパルテナ様は、恐らく最後の力を使い身体を石化。混沌の遣いに悪用されないように防御壁を張ったのか。その混沌の遣いは、空間を尻尾で裂き何処かへ逃げ込もうとしている真っ最中であった。
「混沌の狭間か!!」
『まさか逃げる気?!』
「ナチュレ!飛翔の奇跡を!!」
「わ、わかった!」
「セラちゃん!!ナニ言ってるんだ!!それじゃあキミが……!!」
「セラ!やめるんじゃ!!そなたが犠牲になる必要はないのじゃぞ!!」
ここで私の中に とある考えが脳裏を過った。それは、メデューサが私に言い放ったあの言葉。“ヤツにその力を渡すな。なにがあっても。”ヤツの正体が“混沌の遣い”で間違いないのならば、今も私の力が欲しくて堪らないだろう。喉から手が出るぐらい欲しい筈。混沌の遣いを煽るのは相当なリスクだ。パルテナ様から離れて、こちらに接近して来た所を打撃できたら……そう思った。言わば、命がけの賭けだ。勝てば、混沌の遣いを倒せる。負ければ……パルテナ様は苦しみから解放されるが、私は混沌の遣いに魂を食べられた挙げ句支配される。だけど、パルテナ様は絶対助けられるだろう。それならば、自分の身を犠牲にしてでも彼女を助けられるのならばそれでいい。混沌の遣いが搦め捕っていたパルテナ様から離れた。真っ直ぐこちらへ向かってくるのが視界に映る。明らかに標的を変えたみたいだ。これでいい。これでいいのだ。痛みはきっと想像を絶するだろう。だが、後悔はない。何せ、パルテナ様を助けられるのだから。
「いまじゃ!」
『?!』
自分の行いに後悔がある訳もない。しかし、恐怖心がないと言えば嘘になる。魂を食され、支配される私の未来。きっと、この世界は力に寄って塵と化すだろう。この世の終わりだ。だが、ピット君ならば我が身を顧みず世界と未来を希望で満たしてくれる……そう、信じている。未来の行く手を彼に託そうじゃないか。
恐怖の余り、両眼をきゅっと瞑る。両眼を瞑っているから、耳だけが頼りだ。耳を澄ましてみると、カサカサ音を立てて何者かがこちらに接近してくるのが分かる。言わずもがな、混沌の遣いだ。聴覚があるのか果てしなく謎であるが、どうやら私の声は届いたらしい。でなければ、混沌の遣いがわざわざこちらに接近して来る道理がない……私の企てた作戦は成功だ。自分の身を犠牲にしなければならないが。『さぁ、来なさい!混沌の遣い!』両腕を広げて、受け入れる準備を始める。だが、その刹那ナチュレちゃんが勢い良く叫んだ。両眼を瞑り、待ち構えていたのだが一向にそれらしき気配がない。ナチュレちゃんの叫声も気になるし、状況を知るべく恐る恐る両眼を開いた。さすれば、ピット君が神器で混沌の遣いを見事ボコボコにしていたのだ。余りにも鮮やかな打撃攻撃に拍子抜けした後、感服。複雑な感情に支配される。
「パルテナ様!やりましたよ!!」
「うぅっ……!!」
『か、勝った……。』
そのまま力が抜けてしまったが、ピット君は混沌の遣いを撃破した。私の身を案じつつピンチを回避しながらも、パルテナ様を助ける連携技。恐れ入る。そんなピット君はすぐさま倒れ込んだパルテナ様の元へ駆け寄った。私も力が抜けてしまったものの、彼に続く。
「ピット……セラ……。」
「あぁ、パルテナ様。」
『ご無事ですか……。』
パルテナ様へ駆け寄った際、操られている時は決して見せなかった微かな笑みを浮かべていた。彼女の表情から読み取る。もう大丈夫である……と。体力は消耗しているが、パルテナ様が正気に戻った事実に対しほっと胸を撫で下ろす。私達は三年の年月を経て、やっと再会を果したのである。和やかな雰囲気が周辺に流れる中、そぐわない叫声が両耳に届いた。
「ピット!セラ!後ろじゃ!!」
『?!』
ナチュレちゃんの声だ。事態を急する助言。瞬時に後ろを振り返り、一つ目と目が合う。……浄化されていない……。気付いた時には既に遅く、物事はまるでスローモーションの如く混沌の遣いはパルテナ様の身体から魂を尻尾で引き剥がした。余りの出来事に言葉を失う。魂を奪われてしまったパルテナ様は、恐らく最後の力を使い身体を石化。混沌の遣いに悪用されないように防御壁を張ったのか。その混沌の遣いは、空間を尻尾で裂き何処かへ逃げ込もうとしている真っ最中であった。
「混沌の狭間か!!」
『まさか逃げる気?!』
「ナチュレ!飛翔の奇跡を!!」
「わ、わかった!」