第20章 女神の魂(後編)
セラ
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当然の如く、時間は流れていくもの。その中で様々な出来事が引き起こるものだ。予期せぬ出来事もその内の一つ。何ら不思議ではない。地上の人間達だけではなく、それは天界に住む私達天使にも同じく言える。光の戦車に一人乗りの所を無理やり二人乗りしているのだから着地態勢も勿論変化するであろう。私が脳内に思い描いていたのは、エンジェランドの片隅に光の戦車を停めてパルテナ様を助けるべく出発する無難な方法。一番適している。強引なやり方だって存在するだろうが無謀なのは、殆困ってしまう。私だって、心の準備がある。なのに、ピット君は悪い意味で私の想像と期待を大いに裏切ってくれた。有ろうことか、光の戦車から一歩踏み出し空から身を投げたのだ。私と共に。幾ら飛行できるからって叫ばずにはいられない。少々、飛翔の奇跡を羽翼に宿している感覚に類似している。いつの間にか、私はピット君に抱きかかえられ端から見たらお姫様抱っこと呼称されている姿勢になっている状態だ。私に怪我させたくない、だとかそんな思いを抱いてくれている……のは分からないけれど、抱きかかえている力が徐々に強まっているのだけは分かった。状況が状況なだけに、叫ばずにはいられなかったがピット君が抱きかかえてくれているお陰で無傷のまま無事エンジェランドへ着地するのに成功する。彼自身一刻も早くパルテナ様を救出したいのだろう。それは、私とて同じ。気持ちが先走りすぎたために光の戦車をないがしろにして来てしまった。それだけがどうも気がかりだ。素直な性格で可愛らしいフラッシュ シルバーであるが、前の主戦車の主を追ったりしないものか。等と考えたけれど……どうやら、その心配はいらなかったみたいだ。何者かが私達の上空を通過し、その人物が高々に叫んだからである。
「光の戦車は確保したわ。」
「おまえは……電光のエレカ!!」
『えっ?!エレカちゃん?!』
私達の上空を通過したのは、以前戦い交えた電光のエレカちゃんだったのだ。彼女はスタイリッシュに登場し、光の戦車を回収してくれた。ほっと安堵の溜息。幾ら素直な性格でも逃げ出さないとは限らないものだ。今回の戦いは、ナチュレちゃんの協力アリきで成り立っている。状況を知ってくれているからなのか、エレカちゃんも多少なりとも協力してくれるらしい。そう思うと、何処か心強い。
「私は手伝わないから あなたたちはパルテナの暴走を止めなさい。」
「言われなくても!!」
『うん。がんばってみる!』
だが、戦いに加勢してくれる訳ではないらしい。何となく察してはいたけれど、思わず肩を落胆させてしまう。彼女がいれば、きっと百人力だっただろう。戦ってみて分かる、あの強さは本物だ。でもこれは、私達パルテナ軍の問題。私達の力でパルテナ様を何とかしなければ意味がない。元より、ピット君はそのつもりだ。私は……と言うと、残念な気持ちを引きずりつつ今着地しているポイント地点からゆっくり歩行を進み始めたのだった。
「ピット……セラ……」
「『パルテナ様!』」
「まさか、あの防壁を破ってくるとは思いませんでした。ピット、セラ成長しましたね。うれしく思います。」
「だったら!人間たちへの攻撃をやめてください!」
『そうです!あんなに人々を守ってきたのに!』
「それは出来ませんね。これは私自身の罪であり あがないなのです。民を増長させ、三界に混乱を及ぼし天が成すべきことをしなかった私の。」
「その懺悔、いまさら感がただようのう。」
「いいかげんにしろッ!パルテナ様がそんなことを言うわけがない!」
『(やっぱり、誰かに操られている……?)』
「……。」
ゴツゴツした道程が目の前に広がっている。神器を手中に歩行を進めて行けば、お出ましだと言わんばかりにイカロス達が弓を構え矢を射る。あの弓の構え、矢の射る方法全て私達が鍛錬場で教授したもの。一寸の狂いもなく、どうやって標的に向けて矢を射るかコツを教えたものだ。今は、その標的が冥府軍ではなく私達に向けられ発射されている。分かりきっているのに、悲しみが感情に混ざってしまうのは仕方がなくて悲愴な表情を浮かべてしまう。その直後、何故か攻撃の手がピタッと止んだ。不思議に思い、後ろを振り返ればイカロス達は攻撃を止めて何処かへ飛んでいくさまを見た。ピット君が反撃をしたから、驚愕して逃走した訳ではない。急に態度を改めたのだ。何が起こったのか分からず、キョトンとしつつ首を傾げるのみ。イカロスだけではない、その場にいたイカロスナイトさえ攻撃を止め、逃走を計ったのだ。お陰で、私達の目の前には妨害工作を仕掛ける者は誰一人としていなくなった。これは、どういう風の吹き回しか。戦闘する気力がなくなってしまったのか、理由は定かではないが無益な戦いを避けられて良かったと思う。悲愴な表情から安心した表情へと一変させていれば、深刻な会話の真っ最中であるがナチュレちゃんにコッソリ「セラの威力は絶大じゃな。」と言われてしまった。
「光の戦車は確保したわ。」
「おまえは……電光のエレカ!!」
『えっ?!エレカちゃん?!』
私達の上空を通過したのは、以前戦い交えた電光のエレカちゃんだったのだ。彼女はスタイリッシュに登場し、光の戦車を回収してくれた。ほっと安堵の溜息。幾ら素直な性格でも逃げ出さないとは限らないものだ。今回の戦いは、ナチュレちゃんの協力アリきで成り立っている。状況を知ってくれているからなのか、エレカちゃんも多少なりとも協力してくれるらしい。そう思うと、何処か心強い。
「私は手伝わないから あなたたちはパルテナの暴走を止めなさい。」
「言われなくても!!」
『うん。がんばってみる!』
だが、戦いに加勢してくれる訳ではないらしい。何となく察してはいたけれど、思わず肩を落胆させてしまう。彼女がいれば、きっと百人力だっただろう。戦ってみて分かる、あの強さは本物だ。でもこれは、私達パルテナ軍の問題。私達の力でパルテナ様を何とかしなければ意味がない。元より、ピット君はそのつもりだ。私は……と言うと、残念な気持ちを引きずりつつ今着地しているポイント地点からゆっくり歩行を進み始めたのだった。
「ピット……セラ……」
「『パルテナ様!』」
「まさか、あの防壁を破ってくるとは思いませんでした。ピット、セラ成長しましたね。うれしく思います。」
「だったら!人間たちへの攻撃をやめてください!」
『そうです!あんなに人々を守ってきたのに!』
「それは出来ませんね。これは私自身の罪であり あがないなのです。民を増長させ、三界に混乱を及ぼし天が成すべきことをしなかった私の。」
「その懺悔、いまさら感がただようのう。」
「いいかげんにしろッ!パルテナ様がそんなことを言うわけがない!」
『(やっぱり、誰かに操られている……?)』
「……。」
ゴツゴツした道程が目の前に広がっている。神器を手中に歩行を進めて行けば、お出ましだと言わんばかりにイカロス達が弓を構え矢を射る。あの弓の構え、矢の射る方法全て私達が鍛錬場で教授したもの。一寸の狂いもなく、どうやって標的に向けて矢を射るかコツを教えたものだ。今は、その標的が冥府軍ではなく私達に向けられ発射されている。分かりきっているのに、悲しみが感情に混ざってしまうのは仕方がなくて悲愴な表情を浮かべてしまう。その直後、何故か攻撃の手がピタッと止んだ。不思議に思い、後ろを振り返ればイカロス達は攻撃を止めて何処かへ飛んでいくさまを見た。ピット君が反撃をしたから、驚愕して逃走した訳ではない。急に態度を改めたのだ。何が起こったのか分からず、キョトンとしつつ首を傾げるのみ。イカロスだけではない、その場にいたイカロスナイトさえ攻撃を止め、逃走を計ったのだ。お陰で、私達の目の前には妨害工作を仕掛ける者は誰一人としていなくなった。これは、どういう風の吹き回しか。戦闘する気力がなくなってしまったのか、理由は定かではないが無益な戦いを避けられて良かったと思う。悲愴な表情から安心した表情へと一変させていれば、深刻な会話の真っ最中であるがナチュレちゃんにコッソリ「セラの威力は絶大じゃな。」と言われてしまった。
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