第20章 女神の魂(前編)
セラ
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「(セラちゃんに抱きつかれているのも、悪くないな。)」
各々の思いを乗せて、光の戦車は真っ直ぐ駆け抜ける。敵を蹴散らし、向かう先はパルテナ様の神殿。
「光の戦車は、ちょっとやそっとじゃビクともせんのう。しかしピット、セラ、そなたらは別。もろい。もろすぎるのじゃ。速度が増せば、石ころでも弾丸並みの衝撃であろう。頭を砕かれぬよう ゆめゆめ気をつけるのじゃ。」
「望むところだ!この手綱さばきを見せてやる!」
「その自信はどこから来るのじゃ?」
「単なるうぬぼれと言わせていただきましょう!」
「よきことじゃ。これも戦士には必要な素質じゃ!」
『それでいいんだね。』
幾ら数多の戦いを乗り越えて来たからって全てに耐性がある訳ではない。早くもピット君から両手を離してしまいそうだ。けれど、何とか力を振り絞り彼の身体にしがみつく。このスピードであればそろそろ光のトンネルが出現し、入り込みそうな気がしている。目にも止まらぬ速さで駆け抜けて行くフラッシュ シルバー。誰も私達を止められない。
「加速ポイントに到達!」
「いけぇぇぇッ!!」
猛スピードで直進して行く光の戦車。今のスピードだけでも結構な比率でついていくのが精一杯なのに、これ以上加速したらどうなるか分かったものではない。だが、光の戦車は限界という名の言葉を知らず更に加速して行く。光の戦車を乗りこなしていた戦車の主は、このスピードに耐えていたのかと思うと今でも尊敬の眼差しを送ってしまいそうだ。ピット君も、戦車の主の思いを胸に戦いに身を投じている。あの意志、魂を引き継いでいると言っていい。
「うぉぉぉぉっ!なんたるスピード!」
「光のトンネルじゃの。このまま まっすぐいけばパルテナの神殿じゃ!」
『駆け抜けて!フラッシュ!シルバー!』
今現在、光のトンネルを走行中。戦車の主はあそこ迄叫んだりはしなかっただろうが、きっと魂を引き継いでいると思う。光のトンネルであろうと関係なく、敵は前方から攻撃を仕掛けて来る。しかも、どの敵全てが冥府軍。パルテナ軍に所属するイカロス達の姿は一切見掛けない。この時点で、邪魔立てするつもりはないらしい。今度こそ、イカロス達に向けて神器を揮わなければならないのかと思えば思う程荷が重い。幾ら復活が早くても、思う所があるのだ。
「こんなところだけど……ナチュレ!」
「なんじゃ!」
「ハデスが言っていた 僕が諸悪の根源 というのは……!」
「じつは、半分当たっておる。」
「なんだって?!」
『ほんとうなの?!ナチュレちゃん!!』
叫びながら、問いかけるピット君。内容は、ハデスが発言していた言葉の羅列。“騒動の原因は彼にある”と。正直な心境、そんなの嘘っぱちだと思っている。ピット君が人々のためにこそすれ、誰かに危害を加える筈がない。きっと何かの間違いだ。そう思っていた私を大いに裏切ってくれたのは何を隠そうナチュレちゃんだ。驚愕内容に言葉を詰まらせる他方法が見つからない。けれど、彼女の言動が気になる。“半分”って……?
「わらわの留守中に“月の神殿”を陥落させたじゃろう。」
「あの、静寂のアロンの……?!」
『もしかして……』
「あの“月の神殿”は一匹の怪物を封印していたのじゃ。それが“混沌の遣い”!!」
「『混沌の遣い……?!』」
目の前に厳つい顔つきのブーハウスが、自分の家から魔物を放出している。けれど、そんなのお構いなしに彼は浄化に勤しんでいるのが分かる。それどころではないのだろう。私だって、そうだ。ナチュレちゃんの口から出て来た“混沌の遣い”。その生物が、今回の騒動と何の関係があるのだろう。それだけではない、先程からメデューサからの言葉がまたしても脳内をぐるぐる巡っているのだ。「ヤツに好き勝手させるな。」メデューサの言う“ヤツ”ってもしかして、話題の中心にいる“混沌の遣い”なのではないか。陥落させた“月の神殿”と神殿に封印していた“混沌の遣い”それ等が指し示す答えはまさか……。
各々の思いを乗せて、光の戦車は真っ直ぐ駆け抜ける。敵を蹴散らし、向かう先はパルテナ様の神殿。
「光の戦車は、ちょっとやそっとじゃビクともせんのう。しかしピット、セラ、そなたらは別。もろい。もろすぎるのじゃ。速度が増せば、石ころでも弾丸並みの衝撃であろう。頭を砕かれぬよう ゆめゆめ気をつけるのじゃ。」
「望むところだ!この手綱さばきを見せてやる!」
「その自信はどこから来るのじゃ?」
「単なるうぬぼれと言わせていただきましょう!」
「よきことじゃ。これも戦士には必要な素質じゃ!」
『それでいいんだね。』
幾ら数多の戦いを乗り越えて来たからって全てに耐性がある訳ではない。早くもピット君から両手を離してしまいそうだ。けれど、何とか力を振り絞り彼の身体にしがみつく。このスピードであればそろそろ光のトンネルが出現し、入り込みそうな気がしている。目にも止まらぬ速さで駆け抜けて行くフラッシュ シルバー。誰も私達を止められない。
「加速ポイントに到達!」
「いけぇぇぇッ!!」
猛スピードで直進して行く光の戦車。今のスピードだけでも結構な比率でついていくのが精一杯なのに、これ以上加速したらどうなるか分かったものではない。だが、光の戦車は限界という名の言葉を知らず更に加速して行く。光の戦車を乗りこなしていた戦車の主は、このスピードに耐えていたのかと思うと今でも尊敬の眼差しを送ってしまいそうだ。ピット君も、戦車の主の思いを胸に戦いに身を投じている。あの意志、魂を引き継いでいると言っていい。
「うぉぉぉぉっ!なんたるスピード!」
「光のトンネルじゃの。このまま まっすぐいけばパルテナの神殿じゃ!」
『駆け抜けて!フラッシュ!シルバー!』
今現在、光のトンネルを走行中。戦車の主はあそこ迄叫んだりはしなかっただろうが、きっと魂を引き継いでいると思う。光のトンネルであろうと関係なく、敵は前方から攻撃を仕掛けて来る。しかも、どの敵全てが冥府軍。パルテナ軍に所属するイカロス達の姿は一切見掛けない。この時点で、邪魔立てするつもりはないらしい。今度こそ、イカロス達に向けて神器を揮わなければならないのかと思えば思う程荷が重い。幾ら復活が早くても、思う所があるのだ。
「こんなところだけど……ナチュレ!」
「なんじゃ!」
「ハデスが言っていた 僕が諸悪の根源 というのは……!」
「じつは、半分当たっておる。」
「なんだって?!」
『ほんとうなの?!ナチュレちゃん!!』
叫びながら、問いかけるピット君。内容は、ハデスが発言していた言葉の羅列。“騒動の原因は彼にある”と。正直な心境、そんなの嘘っぱちだと思っている。ピット君が人々のためにこそすれ、誰かに危害を加える筈がない。きっと何かの間違いだ。そう思っていた私を大いに裏切ってくれたのは何を隠そうナチュレちゃんだ。驚愕内容に言葉を詰まらせる他方法が見つからない。けれど、彼女の言動が気になる。“半分”って……?
「わらわの留守中に“月の神殿”を陥落させたじゃろう。」
「あの、静寂のアロンの……?!」
『もしかして……』
「あの“月の神殿”は一匹の怪物を封印していたのじゃ。それが“混沌の遣い”!!」
「『混沌の遣い……?!』」
目の前に厳つい顔つきのブーハウスが、自分の家から魔物を放出している。けれど、そんなのお構いなしに彼は浄化に勤しんでいるのが分かる。それどころではないのだろう。私だって、そうだ。ナチュレちゃんの口から出て来た“混沌の遣い”。その生物が、今回の騒動と何の関係があるのだろう。それだけではない、先程からメデューサからの言葉がまたしても脳内をぐるぐる巡っているのだ。「ヤツに好き勝手させるな。」メデューサの言う“ヤツ”ってもしかして、話題の中心にいる“混沌の遣い”なのではないか。陥落させた“月の神殿”と神殿に封印していた“混沌の遣い”それ等が指し示す答えはまさか……。