第20章 女神の魂(前編)
セラ
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だが、どうしても悪意は感じられないのだ。あの街で、色々手引きしてくれたからだろうか。今回もそのつもりで居てくれているのでは。そう、考えを巡らせていたら自然にも意見を促す言葉が口から出てしまっていた。殆どの情報が掴めていない今この瞬間、メデューサからの伝えたい事柄は何分信憑性が高い。彼女が嘘をつくメリットもないし、この話に乗っかるべきであると神経が囁いている。
「ヤツにその力を渡すな。なにがあっても。」
『言われなくてもそうするつもりよ。』
「フン。そうか。」
(ヤツのほんとうの目的はセラだけだ。それを気づけばいいが……。)
相も変わらず“ヤツ”が誰なのか皆目見当も付かないが、メデューサの忠告に対して素直に首を縦に頷いた。根拠なんて何処にもなかったが、頭の片隅に置いておいても損ではないと思ったのが最大の理由だ。この情報と忠告が吉と出るか凶と出るかは、誰にも分からない。
『いつもありがとう。メデューサ。』
「言っただろう。私はいつでもセラを見守っていると。これぐらいは当然だ。」
『……うん。』
敵対していた頃は、絶対に聞けなかった言葉の羅列。心の中が温かくなったのは、気のせいではない。できるならば、敵対するずっと前に聞きたかったが、私の本音を聞けば恐らく彼女は困り果ててしまうだろう。だから、決して告げたりはしないがもっと早い段階で分かり合えていれば少し違う未来が待ち受けていたと思わずにはいられなかった。
『そろそろ、私も寝ようかな。またね、メデューサ。』
「……あぁ。健闘を祈ってるぞ、セラ。」
会話が途切れて少しの間、冷たい夜の風に身を委ねていたのだが丁度好い眠気に襲われ、床につく意思表示をメデューサに示した。拒まれるかと思いきや、彼女はすんなり受け入れ瞬く間に気配を消し、ついには声すら聞こえなくなってしまう。けれど、なぜだかまた話せるような……そんな気がしている。私が拒否しない限り、きっと会話が可能となろう。澄み切った表情を浮かべつつ、次の戦いに備えるべく神殿へと踵を返す私。その足元には、ストックの花達が綺麗に咲き誇っていた。
・・・・・・
「さぁ いくぞ!フラッシュ!シルバー!」
『レッツ・ゴー!!』
「セラちゃん、しっかりつかまっていてね!」
『うん!』
コンディションはバッチリ。ピット君が光の戦車に乗るや否やフラッシュ、シルバーの手綱を手に物凄いスピードでゲートから飛び出した。いつもだったら“飛翔の奇跡”を発動させるべくゲートとの間の距離を助走で埋めていただろう。だが、今回は彗星の如きスピードで神殿のフォースフィールドを打ち破るつもりでいる。最早、命がけだ。下手したら、突撃した際にフォースフィールドと共に空の塵と化してしまうかもしれない。ピット君の後ろに乗り込み彼の身体に両腕を回しつつ嫌な考えを脳裏を過らせていれば、ナチュレちゃんが透かさず私を必ず守るって約束してくれた。
「発進!」
猛スピードで空中から銀河へと駆けて行く光の戦車。未だ銀河には到達していないが、猛スピードで進んでいるのもありもう既に銀河の中へ到達しそうな勢いだ。私は一度も手綱に触っていないから変に物は言えないが、ピット君は前回に比べて光の戦車を乗りこなしている様子。フラッシュ シルバーも活き活きした表情で駆けているのが窺える。乗られているだけであるが、スピードにうまくついていけず両眼をうまく開けていられない。状況を観察するのでさえ、難儀している。ピット君が死ぬ気で頑張っているのだ。私だって、意地を見せつけなければ。等と意気込むものの、両眼を半開きにして前を見据えているだけで精一杯である。きっと、凄い顔へ変化しているに違いない。
「方角と速度に合わせるのじゃ!高速で駆けるから、わずかなズレが命取りになるぞ!!」
「了解!」
『ピット君、がんばって!』
「加速ポイントまで、約一分で到着じゃ!」
「ぐぅぅぅっ!カラダがちぎれそうだ!!」
『……早くもしんどい……。』
「まだまだじゃ。もっともっと飛ばせ!そなたらは光じゃ。闇を貫く光になるのじゃ!!」
あっという間に光の戦車は物凄いスピードで銀河の中へ到達し、目の前に立ち塞がる敵を蹴散らしながら進んで行く。半眼で見据える世界は、余り周囲を見渡せない。心細さからピット君の身体にしがみついている両腕の力を強め、事の成り行きを見守っている。早くも風圧に負け前髪はオールバック、後ろ髪は垂直に靡いている……光の戦車の勢いに負け、髪がスポーンと抜けたらどうしよう。私、一生戦いに赴ける気がしない。最悪な展開ばかり想像を膨らませ、思わず顔を青ざめてしまった。そうとは知らず、手綱を持っているピット君は何故か顔を赤く染めていたらしい。相反である。
「ヤツにその力を渡すな。なにがあっても。」
『言われなくてもそうするつもりよ。』
「フン。そうか。」
(ヤツのほんとうの目的はセラだけだ。それを気づけばいいが……。)
相も変わらず“ヤツ”が誰なのか皆目見当も付かないが、メデューサの忠告に対して素直に首を縦に頷いた。根拠なんて何処にもなかったが、頭の片隅に置いておいても損ではないと思ったのが最大の理由だ。この情報と忠告が吉と出るか凶と出るかは、誰にも分からない。
『いつもありがとう。メデューサ。』
「言っただろう。私はいつでもセラを見守っていると。これぐらいは当然だ。」
『……うん。』
敵対していた頃は、絶対に聞けなかった言葉の羅列。心の中が温かくなったのは、気のせいではない。できるならば、敵対するずっと前に聞きたかったが、私の本音を聞けば恐らく彼女は困り果ててしまうだろう。だから、決して告げたりはしないがもっと早い段階で分かり合えていれば少し違う未来が待ち受けていたと思わずにはいられなかった。
『そろそろ、私も寝ようかな。またね、メデューサ。』
「……あぁ。健闘を祈ってるぞ、セラ。」
会話が途切れて少しの間、冷たい夜の風に身を委ねていたのだが丁度好い眠気に襲われ、床につく意思表示をメデューサに示した。拒まれるかと思いきや、彼女はすんなり受け入れ瞬く間に気配を消し、ついには声すら聞こえなくなってしまう。けれど、なぜだかまた話せるような……そんな気がしている。私が拒否しない限り、きっと会話が可能となろう。澄み切った表情を浮かべつつ、次の戦いに備えるべく神殿へと踵を返す私。その足元には、ストックの花達が綺麗に咲き誇っていた。
・・・・・・
「さぁ いくぞ!フラッシュ!シルバー!」
『レッツ・ゴー!!』
「セラちゃん、しっかりつかまっていてね!」
『うん!』
コンディションはバッチリ。ピット君が光の戦車に乗るや否やフラッシュ、シルバーの手綱を手に物凄いスピードでゲートから飛び出した。いつもだったら“飛翔の奇跡”を発動させるべくゲートとの間の距離を助走で埋めていただろう。だが、今回は彗星の如きスピードで神殿のフォースフィールドを打ち破るつもりでいる。最早、命がけだ。下手したら、突撃した際にフォースフィールドと共に空の塵と化してしまうかもしれない。ピット君の後ろに乗り込み彼の身体に両腕を回しつつ嫌な考えを脳裏を過らせていれば、ナチュレちゃんが透かさず私を必ず守るって約束してくれた。
「発進!」
猛スピードで空中から銀河へと駆けて行く光の戦車。未だ銀河には到達していないが、猛スピードで進んでいるのもありもう既に銀河の中へ到達しそうな勢いだ。私は一度も手綱に触っていないから変に物は言えないが、ピット君は前回に比べて光の戦車を乗りこなしている様子。フラッシュ シルバーも活き活きした表情で駆けているのが窺える。乗られているだけであるが、スピードにうまくついていけず両眼をうまく開けていられない。状況を観察するのでさえ、難儀している。ピット君が死ぬ気で頑張っているのだ。私だって、意地を見せつけなければ。等と意気込むものの、両眼を半開きにして前を見据えているだけで精一杯である。きっと、凄い顔へ変化しているに違いない。
「方角と速度に合わせるのじゃ!高速で駆けるから、わずかなズレが命取りになるぞ!!」
「了解!」
『ピット君、がんばって!』
「加速ポイントまで、約一分で到着じゃ!」
「ぐぅぅぅっ!カラダがちぎれそうだ!!」
『……早くもしんどい……。』
「まだまだじゃ。もっともっと飛ばせ!そなたらは光じゃ。闇を貫く光になるのじゃ!!」
あっという間に光の戦車は物凄いスピードで銀河の中へ到達し、目の前に立ち塞がる敵を蹴散らしながら進んで行く。半眼で見据える世界は、余り周囲を見渡せない。心細さからピット君の身体にしがみついている両腕の力を強め、事の成り行きを見守っている。早くも風圧に負け前髪はオールバック、後ろ髪は垂直に靡いている……光の戦車の勢いに負け、髪がスポーンと抜けたらどうしよう。私、一生戦いに赴ける気がしない。最悪な展開ばかり想像を膨らませ、思わず顔を青ざめてしまった。そうとは知らず、手綱を持っているピット君は何故か顔を赤く染めていたらしい。相反である。