第20章 女神の魂(前編)
セラ
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悲しきお別れもあったけれど、私とピット君……自然軍は無事に“フラッシュ”“シルバー”率いる光の戦車を手に入れた。光の戦車を用いり、私達はフォースフィールドに守られているパルテナ様の神殿に殴り込みをかける。ピット君の言葉を借りるならば「パルテナ様を操っている」何処かの誰かを仕留めるつもりだ。明らかに決戦の日となるのは間違いない。決戦の日に備えてピット君とナチュレちゃんそれぞれ寝静まっているのだが、私は興奮しているのかなんなのか妙に眠れず心地の好い風を肌に感じるべく、こっそりナチュレちゃんの神殿を抜け出した。自然の女神なのもあって、神殿だけでなく周囲も緑や花々で満ち溢れている。こういうのも何処かパルテナ様の神殿に通ずるものがあって、居心地がいい。外に出て、空気を吸いながらうーんと伸びをする。満天の星空が拡がる夜特有の少し冷たい風が自身の髪を撫でてはふわり擦り抜けていった。
……そうして、何分経過しただろう。そろそろ眠気に襲われてきた頃、風の音に混じって何か聞こえて来るのだ。こう見えて天使の視力と聴力には、かなりの自信がある。聞き間違える筈がない。確かに、風の音に混じって……声、誰かの声が耳を掠めている。神経を研ぎ澄まさなければ、未だ言葉は聞き取れない。耳に手を充て、もう一度聞き取るべく両眼を閉じる。
「……!……セラ……」
よくよく聞けば、私の名を呼んでくれている……気がする。最近も聞いた、私に助言をしてくれてはたまた私を助けてくれた人物。
『……メデューサ……。』
「……セラ、聞こえるか?」
『えぇ。やっと、はっきり聞こえるわ。』
声の主は、何とメデューサだった。パルテナ軍が人々の敵になってしまった事実を知らずにいた私を、ピット君と引き合わせここ迄手助けしてくれた私の……、今は大切な存在。
『また話せてうれしいよ。』
「あぁ。いまはこうじゃないと、話せなくてな。」
『もしかして、私になにか伝えたいことでも?』
「ハナシが早いな。そのとおりだ。」
メデューサが私に、コンタクトを取ってきた理由は未だ不明であるが伝えるべき話があるのだけは分かった。彼女が言わんとしている話に、耳を傾けている。時間の流れが解決してくれたのもあるが、昔だったならばメデューサと対話するのも有り得なかっただろう。仕えていた時期があったのも事実だが、それも差し引いても不思議な感覚に陥っている。私がそんな感覚に陥っているとは露知らず、メデューサはあの街で話した内容には続きがあるとの発言をする。面食らいだ。あの街で話した内容……と言えば、“私が三年間眠り続けていた経緯”だ。メデューサは、久し振りなのにも関わらず世間話をするノリさえ持ち合わせておらず本題に入り私に情報を開示してくれた。あの情報がなければ、私は今頃無知の状態で模索していただろう。大いに想像できる。
『それで?私に伝えたいことってなんなの?』
苦笑いを浮かべつつ、メデューサが話しておきたい内容について問いかける。さすれば、メデューサは素直な迄に口を開いた。私が力を発動したから眠り姫のごとく眠り続けていたからでそれ以外に気付いた点は正直ないと言っていい。だが、メデューサは別の情報を開示する目的で改めてコンタクトを図ってきた。幾ら冥府界と言えど、女神は女神。参謀したりもしていたからか、頭が切れる。
「今回の戦いでヤツの正体が明らかになるだろうが、ソイツがセラの力を利用しようとしていた張本人だ。」
『……えっ?』
「ヤツはまだ生きている。セラの力が発動するのを察知し、間一髪で逃げたのだ。」
『……ってことは、つまり……?』
「セラの力を今もしつこく狙っているだろうな。」
『(もーうッ!その“ヤツ”っていったい誰なのよ〜!)』
メデューサからの助言、「ヤツに好き勝手させるな」が今でも脳内をぐるぐる駆け巡っている。だが、彼女は一切核心には触れず伝えたいこととやらを話している。私にとって重要な内容ではあるがメデューサがわざわざコンタクトを取ってくる程でもない。とするならば、何か別の情報を掴んでいるのではないか。今回の戦いで明らかになるらしいが、“ヤツ”とは一体誰に当て嵌まるのか是非教えてもらいたい所だが、彼女は絶対肝心な詳細は口を割らないだろう。何か考えがあって、この発言に至っているのは分かるけれど妙にもどかしい。
『それで。その情報を踏まえて、私はなにをすればいいの?』
正体を知りたい気持ちをぐっと抑え、教えてくれる気配を見せずにいるメデューサに対し肩を落胆させつつ話に乗っかってみる。メデューサが諸悪の根源だった時代も当然存在するのだから、仮に騙そうとしても何ら不思議ではない。
……そうして、何分経過しただろう。そろそろ眠気に襲われてきた頃、風の音に混じって何か聞こえて来るのだ。こう見えて天使の視力と聴力には、かなりの自信がある。聞き間違える筈がない。確かに、風の音に混じって……声、誰かの声が耳を掠めている。神経を研ぎ澄まさなければ、未だ言葉は聞き取れない。耳に手を充て、もう一度聞き取るべく両眼を閉じる。
「……!……セラ……」
よくよく聞けば、私の名を呼んでくれている……気がする。最近も聞いた、私に助言をしてくれてはたまた私を助けてくれた人物。
『……メデューサ……。』
「……セラ、聞こえるか?」
『えぇ。やっと、はっきり聞こえるわ。』
声の主は、何とメデューサだった。パルテナ軍が人々の敵になってしまった事実を知らずにいた私を、ピット君と引き合わせここ迄手助けしてくれた私の……、今は大切な存在。
『また話せてうれしいよ。』
「あぁ。いまはこうじゃないと、話せなくてな。」
『もしかして、私になにか伝えたいことでも?』
「ハナシが早いな。そのとおりだ。」
メデューサが私に、コンタクトを取ってきた理由は未だ不明であるが伝えるべき話があるのだけは分かった。彼女が言わんとしている話に、耳を傾けている。時間の流れが解決してくれたのもあるが、昔だったならばメデューサと対話するのも有り得なかっただろう。仕えていた時期があったのも事実だが、それも差し引いても不思議な感覚に陥っている。私がそんな感覚に陥っているとは露知らず、メデューサはあの街で話した内容には続きがあるとの発言をする。面食らいだ。あの街で話した内容……と言えば、“私が三年間眠り続けていた経緯”だ。メデューサは、久し振りなのにも関わらず世間話をするノリさえ持ち合わせておらず本題に入り私に情報を開示してくれた。あの情報がなければ、私は今頃無知の状態で模索していただろう。大いに想像できる。
『それで?私に伝えたいことってなんなの?』
苦笑いを浮かべつつ、メデューサが話しておきたい内容について問いかける。さすれば、メデューサは素直な迄に口を開いた。私が力を発動したから眠り姫のごとく眠り続けていたからでそれ以外に気付いた点は正直ないと言っていい。だが、メデューサは別の情報を開示する目的で改めてコンタクトを図ってきた。幾ら冥府界と言えど、女神は女神。参謀したりもしていたからか、頭が切れる。
「今回の戦いでヤツの正体が明らかになるだろうが、ソイツがセラの力を利用しようとしていた張本人だ。」
『……えっ?』
「ヤツはまだ生きている。セラの力が発動するのを察知し、間一髪で逃げたのだ。」
『……ってことは、つまり……?』
「セラの力を今もしつこく狙っているだろうな。」
『(もーうッ!その“ヤツ”っていったい誰なのよ〜!)』
メデューサからの助言、「ヤツに好き勝手させるな」が今でも脳内をぐるぐる駆け巡っている。だが、彼女は一切核心には触れず伝えたいこととやらを話している。私にとって重要な内容ではあるがメデューサがわざわざコンタクトを取ってくる程でもない。とするならば、何か別の情報を掴んでいるのではないか。今回の戦いで明らかになるらしいが、“ヤツ”とは一体誰に当て嵌まるのか是非教えてもらいたい所だが、彼女は絶対肝心な詳細は口を割らないだろう。何か考えがあって、この発言に至っているのは分かるけれど妙にもどかしい。
『それで。その情報を踏まえて、私はなにをすればいいの?』
正体を知りたい気持ちをぐっと抑え、教えてくれる気配を見せずにいるメデューサに対し肩を落胆させつつ話に乗っかってみる。メデューサが諸悪の根源だった時代も当然存在するのだから、仮に騙そうとしても何ら不思議ではない。
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