第19章 光の戦車(後編)
セラ
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「その鋼の肉体で!圧倒的な火力で!群がる敵を一掃するのじゃ!」
「おおッ!」
『やってやるわよ!』
ギガスに乗り込んだ私達は、まさに無敵。敵がこちらにダメージを喰らわせようとして来ても、無意味に値する。ギガスの手に寄って、打撃を加えれば終わりだ。一撃必殺である。ピット君が右半分の敵を請け負い、私は左半分の敵を請け負う。神器で倒すのもスカッとするのだが、ギガスで浄化する楽しみは割と特別だ。いつでもどこでも装備できたら良いのだけれど、なかなか難しいらしい。少々もどかしくもある。
「ギガスで戦うセラは、いきいきしておる。美しいのう。」
「セラちゃんはこう見えて、ギガスの操縦がうまいからね。」
「セラちゃーん!よっ!世界一!」
『なんかハズカシイなぁ。』
ギガスで戦闘しているのもあって、いつもよりスムーズに浄化出来ている。三人が色々発言しているのを聞き、急な羞恥心に襲われてしまう。お陰で顔が真っ赤だ。ピット君は既に知っているから良いものの、ナチュレちゃんとハデスは初めて故に好奇の眼差しで向けているだろうし、何より会話に喰い気味で参加している。非常にいたたまれない。自分の話をされるとどうして妙な居心地の悪さを感じてしまうのだろう……不思議だ。
『もうッ!このハナシはここでおしまい!!』
「浄化完了!」
「先に進むのじゃ。ここまで来たら、あと少し!その前に、お楽しみがあるようじゃ。」
『(……ホッ。話が逸れた。)』
敵を全浄化し終え、話がうまく逸れてくれた。胸を撫で下ろしたのも束の間、ピット君が早々にギガスから降り十七階を後にした。“先に行っちゃうなんてぇ!”とかなんとか思いつつ、唇を尖らせてみたけれど十七階から十八階の坂入り口にて立ち尽くしていたのだ。察するに彼は先に進まず、待っていてくれた様子。なんだかんだ言いつつも彼は優しいのだ、誰よりも。優しく尚且つ強いだなんてモテる要素満載なのに、ナチュレちゃんはピット君に揺さぶられている風には窺えない。今の所、やむなく同じ屋根を共にしているのに、二人が互いの気持ちに気付くのはいつになるやら。本来あるべき姿は、二人が互いの気持ちに気付き、惹かれ合う。まるで引力が働いているかの如く。誰かが気付かせてあげるのもアリだが、ここは見守ってあげたいとも思う。ううむ、究極の選択。
『私は見守っているからね!腕の見せどころだよ!』
「えっ……?セラちゃん……?」
私がネタバラシしたら意味がない。ピット君にそれとなく伝えてみたが分かっていない様子で、首を傾げていた。十七階から十八階の坂をジャンプ台で登り切る。十八階に到達して見た光景は、広大な温泉であった。当然、温泉に勢い良く飛び込むピット君。戦車の主との戦いも控えているのに、全裸になる訳にはいかない為に服を着用したまま温泉に浸かっているが、それでも英気は養っているみたいだ。服を着用しようと、着脱していようと効力が変化しないのは返って楽である。私は……と言うと、一応英気を養う目的で温泉に浸かっているが、両足だけに留めておいた。何せ、思ったよりダメージを受けていなかったからである。それもこれも、隣で懸命に戦ってくれているピット君のお陰だけど。
「戦車の主は、この先じゃ。ヤツめ、本当に冥府軍を一掃しおったようじゃ。準備はよいかの?」
『いよいよだね。』
温泉地を抜けて、十八階から十九階の坂をゆっくり登って行く。この坂を登り切れば、漏れなく光の戦車を所有している戦車の主と戦い交えるのだ。一体どういうフィールドで、どういう戦法を繰り出してくるのか皆目見当がつかない。緊張感が高まる中、十九階目に聳える大きな扉がゆっくり開いた。
「光の戦車……!」
『一頭のみ……?!』
「その“フラッシュ”の手綱を持て。」
「それは!」
「勘違いせぬことだ。くれてやる訳では無い。」
戦車の主が待ち構えているであろう塔のてっぺん。真っ直ぐ駆け寄れば、一頭の馬が早く乗り込めと言わんばかりに待っていてくれたのだ。戦車の主は、こちら側に譲る気は毛頭ないらしい。ならば、どうして。首を傾げていれば、合点の行く説明が戦車の主から成された。
「我が駆る“シルバー”と勝負して見事討ち果して見せよ。先に言っておくが、女人禁制だ。」
『ちょっと!私だってもう立派に戦えるのに!!それって、差別じゃない?!』
「まぁまぁ。セラ、ここは耐えるのじゃ。両方の馬がそろってはじめて“光の戦車”になるんじゃ。ピット。この勝負見ぬふりをするわけではあるまいの?」
「もちろん!受けて立つ!!」
戦車の主の思惑は、一対一の勝負。失礼極まりない程に、私は彼と共に力を合わせて戦わせてもくれないそうなのだ。
「おおッ!」
『やってやるわよ!』
ギガスに乗り込んだ私達は、まさに無敵。敵がこちらにダメージを喰らわせようとして来ても、無意味に値する。ギガスの手に寄って、打撃を加えれば終わりだ。一撃必殺である。ピット君が右半分の敵を請け負い、私は左半分の敵を請け負う。神器で倒すのもスカッとするのだが、ギガスで浄化する楽しみは割と特別だ。いつでもどこでも装備できたら良いのだけれど、なかなか難しいらしい。少々もどかしくもある。
「ギガスで戦うセラは、いきいきしておる。美しいのう。」
「セラちゃんはこう見えて、ギガスの操縦がうまいからね。」
「セラちゃーん!よっ!世界一!」
『なんかハズカシイなぁ。』
ギガスで戦闘しているのもあって、いつもよりスムーズに浄化出来ている。三人が色々発言しているのを聞き、急な羞恥心に襲われてしまう。お陰で顔が真っ赤だ。ピット君は既に知っているから良いものの、ナチュレちゃんとハデスは初めて故に好奇の眼差しで向けているだろうし、何より会話に喰い気味で参加している。非常にいたたまれない。自分の話をされるとどうして妙な居心地の悪さを感じてしまうのだろう……不思議だ。
『もうッ!このハナシはここでおしまい!!』
「浄化完了!」
「先に進むのじゃ。ここまで来たら、あと少し!その前に、お楽しみがあるようじゃ。」
『(……ホッ。話が逸れた。)』
敵を全浄化し終え、話がうまく逸れてくれた。胸を撫で下ろしたのも束の間、ピット君が早々にギガスから降り十七階を後にした。“先に行っちゃうなんてぇ!”とかなんとか思いつつ、唇を尖らせてみたけれど十七階から十八階の坂入り口にて立ち尽くしていたのだ。察するに彼は先に進まず、待っていてくれた様子。なんだかんだ言いつつも彼は優しいのだ、誰よりも。優しく尚且つ強いだなんてモテる要素満載なのに、ナチュレちゃんはピット君に揺さぶられている風には窺えない。今の所、やむなく同じ屋根を共にしているのに、二人が互いの気持ちに気付くのはいつになるやら。本来あるべき姿は、二人が互いの気持ちに気付き、惹かれ合う。まるで引力が働いているかの如く。誰かが気付かせてあげるのもアリだが、ここは見守ってあげたいとも思う。ううむ、究極の選択。
『私は見守っているからね!腕の見せどころだよ!』
「えっ……?セラちゃん……?」
私がネタバラシしたら意味がない。ピット君にそれとなく伝えてみたが分かっていない様子で、首を傾げていた。十七階から十八階の坂をジャンプ台で登り切る。十八階に到達して見た光景は、広大な温泉であった。当然、温泉に勢い良く飛び込むピット君。戦車の主との戦いも控えているのに、全裸になる訳にはいかない為に服を着用したまま温泉に浸かっているが、それでも英気は養っているみたいだ。服を着用しようと、着脱していようと効力が変化しないのは返って楽である。私は……と言うと、一応英気を養う目的で温泉に浸かっているが、両足だけに留めておいた。何せ、思ったよりダメージを受けていなかったからである。それもこれも、隣で懸命に戦ってくれているピット君のお陰だけど。
「戦車の主は、この先じゃ。ヤツめ、本当に冥府軍を一掃しおったようじゃ。準備はよいかの?」
『いよいよだね。』
温泉地を抜けて、十八階から十九階の坂をゆっくり登って行く。この坂を登り切れば、漏れなく光の戦車を所有している戦車の主と戦い交えるのだ。一体どういうフィールドで、どういう戦法を繰り出してくるのか皆目見当がつかない。緊張感が高まる中、十九階目に聳える大きな扉がゆっくり開いた。
「光の戦車……!」
『一頭のみ……?!』
「その“フラッシュ”の手綱を持て。」
「それは!」
「勘違いせぬことだ。くれてやる訳では無い。」
戦車の主が待ち構えているであろう塔のてっぺん。真っ直ぐ駆け寄れば、一頭の馬が早く乗り込めと言わんばかりに待っていてくれたのだ。戦車の主は、こちら側に譲る気は毛頭ないらしい。ならば、どうして。首を傾げていれば、合点の行く説明が戦車の主から成された。
「我が駆る“シルバー”と勝負して見事討ち果して見せよ。先に言っておくが、女人禁制だ。」
『ちょっと!私だってもう立派に戦えるのに!!それって、差別じゃない?!』
「まぁまぁ。セラ、ここは耐えるのじゃ。両方の馬がそろってはじめて“光の戦車”になるんじゃ。ピット。この勝負見ぬふりをするわけではあるまいの?」
「もちろん!受けて立つ!!」
戦車の主の思惑は、一対一の勝負。失礼極まりない程に、私は彼と共に力を合わせて戦わせてもくれないそうなのだ。