第19章 光の戦車(後編)
セラ
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戦車の主と冥府軍が例えグルではないと分かっていても、タイミングが良すぎるのではとか変に勘繰ってしまう。無に等しいのは重々承知だが戦車の主と冥府軍の利害が一致している気がする。気のせいなのかもしれないが。
「それ ジャーンプ!!」
『あっ!ピット君!ちょっと待ってよー!!』
私達が今居るフロアの敵がたった今、浄化し終えた。偶然だが、冥府軍の魔物を全浄化してやっと上の階へ進める切符を手に入れ、ピット君は出現したジャンプ台に乗って早々に上の階へ跳躍してしまう。慌てて後を追う私。跳躍するのだから軽く二階三階飛び越えられたのかと思いきや、ナチュレちゃんに聞いてみたら只次の階に跳躍しただけだった。本日二度目の肩を落胆させ、仕方なく前を見据え歩き始める。やはり、まだまだ先は長い。
「なんじゃ ここは?」
『不思議な空間だね。』
「せっかくだからジャマさせてもらおうかね。プットくんを落としてしまえ!」
『(ピット君だけに……?)』
「ピットだよ!ピット!!」
ジャンプ台で到着したエリアは、またしても不思議な空間だった。十三階であるのは間違い筈なのに、道に迷ってしまったのでは?なぁんて錯覚する程だ。見るからに一本道であるが足を踏み外してしまえば落下、漏れなくダメージを受けてしまう。先程の突風エリアで痛い目見た所だ。失敗は許されない。緊張感が走る最中でも構わずハデスのお気楽調子の会話は続く。
「おっとっと。ひさしぶりなんで忘れちゃってたよぉ。指輪、昏睡生活長かったのに戦いっぷりにはブランク感じないねぇ。」
『なんでそれを……?』
「!僕が指輪にされていたことを知っているのか!!」
「あ、知らないほうがよかった?じゃ、知ーらなーい。」
「一体誰が?!おまえか、ハデス!!」
「なんだ、なんにも知らなさそうだね。」
『(ハデスは一体なにを知っているの?)』
いつものお気楽雰囲気から一変、場面は張り詰めたものへ。当然と言えば当然だ。ハデスは聞き捨てならない発言をした。ハデスは、私とピット君の空白の三年間を知っていたのだ。確実に何かの情報を掴んでいる。下手したら、何故この出来事に発展したのか分かっているのかもしれない。凄まじい勢いでハデスに問うピット君。もしも、ハデスが首謀者だったなら私だけでない……ピット君も容赦なく神器を構えるだろう。だが彼は、私達の耳を疑う発言をする。
「ピットくん、騒動の原因はキミなんだよ?」
『ピット君が……どうして……?』
「な……!いきなりなにを!!」
「惑わされるでない、ピット セラ。諸悪の根源は、冥府軍じゃ!」
「お?寛大なことだね ナチュレちゃん。」
「生命をもてあそぶそなたら この自然王が容赦せぬぞ!」
「おーこわ。お手やわらかにたのんますよ。」
この出来事の発端は、隣で神器を駆使して懸命に戦うピット君。そんな話があってたまるか。彼がパルテナ様を苦しめたりするものか。ナチュレちゃんの言葉のお陰で正気に戻れたけれど、ハデスの言い分も強ち嘘ではないってどうして思うのだろう。嫌な考えだけが、脳裏を過る。のを振り払うかの如くブンブン首を左右に振る。必死になって、身を呈して今もこうして戦ってくれているのに失礼極まりない。その熱意が痛いぐらいに伝達されるのに、一瞬疑ってしまった私はどうかしている。
「セラちゃん。」
『なぁに……?』
「セラちゃんだけは 信じていて。」
『……もちろんよ。』
戦っている最中なのもあって、彼は振り返らずそう告げた。親衛副隊長の私が、ピット君を信じないで一体誰が信じるというのだ。敵を浄化し終え、先に進む彼の後ろ姿を見つめながらこんな時だからこそ逆境にもめげずに行こうと心に決めた。
ジャンプ台で飛び越えた先には、やはり坂が続いている。十四階から、十五階の坂を登る天使二人。そろそろ、戦車の主が待ち構えている階迄辿り着いても良いようなものだが、なかなかうまく事は運んでくれない。
「もしかして、塔はまだまだ続くのか?!」
『ぜんぜんゴールが見えないね。』
「最強の天使たちもさすがにメゲたかのう?」
「さっきロードが入ったよね?」
『(んっ?ロード?)』
「そういう舞台裏のことは言うでない!!」
戦車の主は待ち構えていなかったが、さすがに半分迄は来たのではないか。だなんて思うのは結構歩いたし走ったりしたし、何よりいつもの倍の数を浄化した気がするのだ。そう、感じ取るのも無理はない。けれど、まだまだ果てしなく向かって来る冥府軍。分かりきっているが、数に限りはない模様だ。ピット君は何ら気にせず、目にも止まらぬ速さで浄化している。半歩後ろを歩いていた私は、彼が取り逃した敵の残党を浄化する羽目になり少々呆れてしまった。
「それ ジャーンプ!!」
『あっ!ピット君!ちょっと待ってよー!!』
私達が今居るフロアの敵がたった今、浄化し終えた。偶然だが、冥府軍の魔物を全浄化してやっと上の階へ進める切符を手に入れ、ピット君は出現したジャンプ台に乗って早々に上の階へ跳躍してしまう。慌てて後を追う私。跳躍するのだから軽く二階三階飛び越えられたのかと思いきや、ナチュレちゃんに聞いてみたら只次の階に跳躍しただけだった。本日二度目の肩を落胆させ、仕方なく前を見据え歩き始める。やはり、まだまだ先は長い。
「なんじゃ ここは?」
『不思議な空間だね。』
「せっかくだからジャマさせてもらおうかね。プットくんを落としてしまえ!」
『(ピット君だけに……?)』
「ピットだよ!ピット!!」
ジャンプ台で到着したエリアは、またしても不思議な空間だった。十三階であるのは間違い筈なのに、道に迷ってしまったのでは?なぁんて錯覚する程だ。見るからに一本道であるが足を踏み外してしまえば落下、漏れなくダメージを受けてしまう。先程の突風エリアで痛い目見た所だ。失敗は許されない。緊張感が走る最中でも構わずハデスのお気楽調子の会話は続く。
「おっとっと。ひさしぶりなんで忘れちゃってたよぉ。指輪、昏睡生活長かったのに戦いっぷりにはブランク感じないねぇ。」
『なんでそれを……?』
「!僕が指輪にされていたことを知っているのか!!」
「あ、知らないほうがよかった?じゃ、知ーらなーい。」
「一体誰が?!おまえか、ハデス!!」
「なんだ、なんにも知らなさそうだね。」
『(ハデスは一体なにを知っているの?)』
いつものお気楽雰囲気から一変、場面は張り詰めたものへ。当然と言えば当然だ。ハデスは聞き捨てならない発言をした。ハデスは、私とピット君の空白の三年間を知っていたのだ。確実に何かの情報を掴んでいる。下手したら、何故この出来事に発展したのか分かっているのかもしれない。凄まじい勢いでハデスに問うピット君。もしも、ハデスが首謀者だったなら私だけでない……ピット君も容赦なく神器を構えるだろう。だが彼は、私達の耳を疑う発言をする。
「ピットくん、騒動の原因はキミなんだよ?」
『ピット君が……どうして……?』
「な……!いきなりなにを!!」
「惑わされるでない、ピット セラ。諸悪の根源は、冥府軍じゃ!」
「お?寛大なことだね ナチュレちゃん。」
「生命をもてあそぶそなたら この自然王が容赦せぬぞ!」
「おーこわ。お手やわらかにたのんますよ。」
この出来事の発端は、隣で神器を駆使して懸命に戦うピット君。そんな話があってたまるか。彼がパルテナ様を苦しめたりするものか。ナチュレちゃんの言葉のお陰で正気に戻れたけれど、ハデスの言い分も強ち嘘ではないってどうして思うのだろう。嫌な考えだけが、脳裏を過る。のを振り払うかの如くブンブン首を左右に振る。必死になって、身を呈して今もこうして戦ってくれているのに失礼極まりない。その熱意が痛いぐらいに伝達されるのに、一瞬疑ってしまった私はどうかしている。
「セラちゃん。」
『なぁに……?』
「セラちゃんだけは 信じていて。」
『……もちろんよ。』
戦っている最中なのもあって、彼は振り返らずそう告げた。親衛副隊長の私が、ピット君を信じないで一体誰が信じるというのだ。敵を浄化し終え、先に進む彼の後ろ姿を見つめながらこんな時だからこそ逆境にもめげずに行こうと心に決めた。
ジャンプ台で飛び越えた先には、やはり坂が続いている。十四階から、十五階の坂を登る天使二人。そろそろ、戦車の主が待ち構えている階迄辿り着いても良いようなものだが、なかなかうまく事は運んでくれない。
「もしかして、塔はまだまだ続くのか?!」
『ぜんぜんゴールが見えないね。』
「最強の天使たちもさすがにメゲたかのう?」
「さっきロードが入ったよね?」
『(んっ?ロード?)』
「そういう舞台裏のことは言うでない!!」
戦車の主は待ち構えていなかったが、さすがに半分迄は来たのではないか。だなんて思うのは結構歩いたし走ったりしたし、何よりいつもの倍の数を浄化した気がするのだ。そう、感じ取るのも無理はない。けれど、まだまだ果てしなく向かって来る冥府軍。分かりきっているが、数に限りはない模様だ。ピット君は何ら気にせず、目にも止まらぬ速さで浄化している。半歩後ろを歩いていた私は、彼が取り逃した敵の残党を浄化する羽目になり少々呆れてしまった。