第19章 光の戦車(後編)
セラ
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『転がってくる鉄球。』
「そして手前にはジャンプ台。」
「やることはひとつだなぁ。」
「[ドンキーコング]って知ってる?」
補修されていない道を通過し、六階エリアに到着。これで半分も登れていないのだから、先が思いやられる。そうして目の前に差し迫るどでかい鉄球。間一髪道を逸れてダメージは受けなかったものの、冷や汗がたらり。ぶつかってしまえば最後、多大なダメージは避けられないだろう。ここは、ジャンプ台で得られる跳躍力でどでかい鉄球を回避しながら、先に進むしか方法はない。こういうのって大体タイミングが重要になってくるけれど、鉄球がどの辺りで迫った拍子にジャンプ台に乗れば良いんだろう。考えるよりも先に身体が勝手に動いている場合だってある。それは様々だ。感覚で物を言わせる場合だってある。けれど……これは、ずるい。さも平然とピット君はジャンプ台を活用し、するり鉄球を躱していた。彼の性分はよく分かっているつもりだけれど、妙に腑に落ちない。ピット君には悪いけれど、飛んで行ってしまおうかしら。……なんて色々考えたけれど、結局は彼の様にジャンプ台に乗ってうまく鉄球を躱し、先に進むべきだと思う。接近しすぎても、ダメージを受けてしまうだろう。どの辺りが的確だろうか。鉄球がジャンプ台と道の端との幅が真ん中あたりに転がって来たら、ジャンプ台に乗ってみよう。
『それッ!』
「セラちゃん、その調子だ!」
タイミングはバッチリ。難無く鉄球は避けられ、ダメージも受けずに済んだ。ほっと安堵の溜息をつけた迄は良いがまだあと二回ぐらい、そのトラップを掻い潜らなければならないらしい。がくうっと肩を落としたのは極自然の反応であった。何とか鉄球を二回掻い潜り、六階から七階への坂を登る。侵入者を許さないとは言え、戦車の主もめげずによくやるよなぁなんてふと思ってしまう。ピット君の言う通り、只単に仕掛けが好きなのだろうが引っ掛かっている誰かを見て楽しんでいるに違いない。でなければ、手の込んだトラップを造ったりはしないだろう。六階から七階への坂を登り切ると、七階のエリアが視界に飛び込んで来る。氷一面……まるでスケートリンクだ。
「おおッ。氷が一面に!!」
「フロートリングに乗ればツルツルは問題なさそうじゃな。」
『なぁんだ。私のスケートさばきを見せつけるチャンスだったのに。』
「見せつけても別にかまわないぞよ?」
『……今回はいいかな。』
「それにしても戦車の主。天界の乗り物まで持ち出すとは……。」
「必然の至り。」
「つまり、天界の関係者ということかの?」
「詮索無用。」
「まぁよい。そなたに答える義務はないからのう。」
『(戦車の主って、不思議な存在よね。)』
氷一面にフロートリングが二機設置されていた。言わずもがな、好きに乗り込んで活用しろの意。それでは心置きなく、使わせてもらおう。氷一面がフィールドになっており、私としてはスケーターのプライドが疼いているけれど、今回は折角なのでフロートリングに乗って浄化させてもらおうと思う。身軽にフロートリングへ乗り込み、性能を駆使し魔物に立ち向かう天使二人。フロートリング内にいる限り、ダメージを受ける心配はない。だが、フロートリングが持ち堪えられる攻撃にも限度がある。バリアを使用せず、敵の攻撃を受け続ければ最後に動かなくなってしまうのだ。それは、避けなければならない。氷のフィールドだからか、氷の使いフロウザムが浮遊しこちらへダイアモンドダストを発動して来る。フロウザムの攻撃は然程脅威ではないのだが、問題はもう一体の氷使いスノーマンだ。極太のアイスブレスを喰らってしまえば、使用不可能になってしまうだろう。そうなる前に、攻撃を発動する瞬間を見極めてフロートリング搭載のバリア機能を発動させれば使用不可能状態を防げ、敵へ一発二発はたまた三発見舞える。なんて、素敵な天界の乗り物。ウットリする程だ。フロートリングを設置してくれた事実に内心感謝を述べるけれど、戦車の主は天界の乗り物を難無く自身の根城に持って来た。天界に通ずる人物なのか。自身の素性を語らない戦車の主。こんな所で彼が一体何者なのか、新たな謎が残った。
「塔は続くか……。」
「まだまだじゃ。」
『先は長いね。』
フロートリングを降りて、氷の間を後にする。それから、七階から八階への坂を登って行く天使二人。またしても冥府軍がウヨウヨしているのかと思いきや、今回は敵一匹おらず当然襲撃もない。随分手薄な守備ではないか。何処か呆気なさを感じていたが、良く良く考えて気が付いた。結構登った感覚に陥っていたけれど、まだまだ坂は序盤。もっと上を登れば、ウヨウヨした冥府軍に遭遇するのではないか。大いに有り得る。
『(早くもへばりそう……。)』
登り切る覚悟は出来ているものの、余りの長さに気が遠くなりそうだ。
「そして手前にはジャンプ台。」
「やることはひとつだなぁ。」
「[ドンキーコング]って知ってる?」
補修されていない道を通過し、六階エリアに到着。これで半分も登れていないのだから、先が思いやられる。そうして目の前に差し迫るどでかい鉄球。間一髪道を逸れてダメージは受けなかったものの、冷や汗がたらり。ぶつかってしまえば最後、多大なダメージは避けられないだろう。ここは、ジャンプ台で得られる跳躍力でどでかい鉄球を回避しながら、先に進むしか方法はない。こういうのって大体タイミングが重要になってくるけれど、鉄球がどの辺りで迫った拍子にジャンプ台に乗れば良いんだろう。考えるよりも先に身体が勝手に動いている場合だってある。それは様々だ。感覚で物を言わせる場合だってある。けれど……これは、ずるい。さも平然とピット君はジャンプ台を活用し、するり鉄球を躱していた。彼の性分はよく分かっているつもりだけれど、妙に腑に落ちない。ピット君には悪いけれど、飛んで行ってしまおうかしら。……なんて色々考えたけれど、結局は彼の様にジャンプ台に乗ってうまく鉄球を躱し、先に進むべきだと思う。接近しすぎても、ダメージを受けてしまうだろう。どの辺りが的確だろうか。鉄球がジャンプ台と道の端との幅が真ん中あたりに転がって来たら、ジャンプ台に乗ってみよう。
『それッ!』
「セラちゃん、その調子だ!」
タイミングはバッチリ。難無く鉄球は避けられ、ダメージも受けずに済んだ。ほっと安堵の溜息をつけた迄は良いがまだあと二回ぐらい、そのトラップを掻い潜らなければならないらしい。がくうっと肩を落としたのは極自然の反応であった。何とか鉄球を二回掻い潜り、六階から七階への坂を登る。侵入者を許さないとは言え、戦車の主もめげずによくやるよなぁなんてふと思ってしまう。ピット君の言う通り、只単に仕掛けが好きなのだろうが引っ掛かっている誰かを見て楽しんでいるに違いない。でなければ、手の込んだトラップを造ったりはしないだろう。六階から七階への坂を登り切ると、七階のエリアが視界に飛び込んで来る。氷一面……まるでスケートリンクだ。
「おおッ。氷が一面に!!」
「フロートリングに乗ればツルツルは問題なさそうじゃな。」
『なぁんだ。私のスケートさばきを見せつけるチャンスだったのに。』
「見せつけても別にかまわないぞよ?」
『……今回はいいかな。』
「それにしても戦車の主。天界の乗り物まで持ち出すとは……。」
「必然の至り。」
「つまり、天界の関係者ということかの?」
「詮索無用。」
「まぁよい。そなたに答える義務はないからのう。」
『(戦車の主って、不思議な存在よね。)』
氷一面にフロートリングが二機設置されていた。言わずもがな、好きに乗り込んで活用しろの意。それでは心置きなく、使わせてもらおう。氷一面がフィールドになっており、私としてはスケーターのプライドが疼いているけれど、今回は折角なのでフロートリングに乗って浄化させてもらおうと思う。身軽にフロートリングへ乗り込み、性能を駆使し魔物に立ち向かう天使二人。フロートリング内にいる限り、ダメージを受ける心配はない。だが、フロートリングが持ち堪えられる攻撃にも限度がある。バリアを使用せず、敵の攻撃を受け続ければ最後に動かなくなってしまうのだ。それは、避けなければならない。氷のフィールドだからか、氷の使いフロウザムが浮遊しこちらへダイアモンドダストを発動して来る。フロウザムの攻撃は然程脅威ではないのだが、問題はもう一体の氷使いスノーマンだ。極太のアイスブレスを喰らってしまえば、使用不可能になってしまうだろう。そうなる前に、攻撃を発動する瞬間を見極めてフロートリング搭載のバリア機能を発動させれば使用不可能状態を防げ、敵へ一発二発はたまた三発見舞える。なんて、素敵な天界の乗り物。ウットリする程だ。フロートリングを設置してくれた事実に内心感謝を述べるけれど、戦車の主は天界の乗り物を難無く自身の根城に持って来た。天界に通ずる人物なのか。自身の素性を語らない戦車の主。こんな所で彼が一体何者なのか、新たな謎が残った。
「塔は続くか……。」
「まだまだじゃ。」
『先は長いね。』
フロートリングを降りて、氷の間を後にする。それから、七階から八階への坂を登って行く天使二人。またしても冥府軍がウヨウヨしているのかと思いきや、今回は敵一匹おらず当然襲撃もない。随分手薄な守備ではないか。何処か呆気なさを感じていたが、良く良く考えて気が付いた。結構登った感覚に陥っていたけれど、まだまだ坂は序盤。もっと上を登れば、ウヨウヨした冥府軍に遭遇するのではないか。大いに有り得る。
『(早くもへばりそう……。)』
登り切る覚悟は出来ているものの、余りの長さに気が遠くなりそうだ。