第19章 光の戦車(後編)
セラ
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膨大であるが、聳える高い塔の頂上を目指し私とピット君はゆっくり歩き始めた。当たり前かもしれないが、高い塔に辿り着くには先ず地道に塔のてっぺんを目指すしかない。その道は今迄歩き、または駆けて行く道程よりも遥かに険しい。下手したら、過去にも私達の様な挑戦者が存在したかもしれないが挫折したに違いない。これは、断言出来そうな勢いだ。まだスタート地点からそう遠く離れていない位置にいる私達。ピット君はやる気に満ち溢れているが、私は反対に不安の気持ちを引きずっている。
「この塔に光の戦車が……。」
『塔のてっぺんにあるんだよね。』
「無法者め。怪我せぬうちに立ち去るがいい。」
「……?おまえは?!」
「我は戦車の主。」
私達が今いる階は、当然一階。何か仕掛けでも施されているのかとも思ったが、それはないみたいだ。天使二人を出し抜く目的で思わぬ所にトラップが仕掛けられていてもおかしくはない。今は、何も起こらないが警戒心は解かず神器は構えていよう。
一階を無事に通過する瞬間、私達の会話に口を挟む人物が出現した。聞き覚えのない声。明らかに初対面であると分かる。ピット君が名を問えば、透かさず“戦車の主”だと返答が返って来た。
「戦車の主……。ならば光の戦車を貸してほしい。戦うことが目的じゃないんだ!」
「笑止!突如として押し入り理不尽な要求を突きつける不届き者め。寄らば銀河の塵と化す!」
「怒るのも無理ないのう。まったくもって、事実じゃから。」
「ううむ……。仕方がない。とにかく、僕たちは戦車の主の元に登っていく!それしか解決方法は無いと思うんだ。」
『そうだね。口で伝えてもきっとわかってもらえないだろうし。』
「よくわかっておるではないか。大事の前の小事じゃ。強奪する気でかかるのじゃ!」
一階から二階に登れる坂を登って行く。何の仕掛けも施されていないとほっとしたのも束の間、目の前に冥府軍の魔物が通せん坊しているではないか。これはこれでお約束展開だ。困った表情を浮かべては、立ち塞がる魔物を素早く浄化。坂を登り切り、二階のエリアに入り込んだ。そんな中でも、会話は悪い方向に進んでいる。それが本名ではないと思うが、“戦車の主”は私達の傍若無人な態度に腹を立てていた。確かに、自分の家宅に侵入された上で光の戦車を貸してほしいなんて頼み込むのは、相手にとって理にかなっていない。怒るのは当然だ。だが、こちらだって誰かを助ける為に必要な手段なのだ。今更おめおめ引き下がれる筈もない。ここは穏便に済ませる……のではなく、もういっそ一発叩きのめすぐらいゴリ押すしか方法はないと思う。二階のエリアに入り込んだ天使二人は、穴から姿を現す冥府の魔物を浄化しにかかる。無論、穴の中に落下しない様に気を配りながら。二人で手分けして浄化したからか、思ったよりも早く先へ進める手段を得る。
「聖域の塔の外を坂が周回しているのか。」
「これで次の階に登ることができるのう。先は長いぞよ。」
『すごい高さだものね。』
二階から三階への坂を登って行く。モノアイ達がふわふわ浮遊し、隙が出来ているのを見計らい素早く浄化。危害を加えられた訳ではないけれど、いつ私達の邪魔をされるか分からない。その脅威を今浄化していて損はないのだ。まぁ、仮に脅威となってしまってもピット君が一匹残らず浄化するだろうから何の心配もいらないが一つだけ疑問点がある。私達天使の侵入に対して、あんなにご立腹であった戦車の主が冥府軍の侵入を許してしまうだなんて随分杜撰な気もするけれど。まさか、戦車の主と冥府軍はグルなのだろうか?それならば、ハデスが光の戦車を狙うのに合点がいかない。もしも仲間ならば、既に手中に治めたも同然。狙って奇襲を掛ける必要はない。数々の疑問や解釈が脳内を駆け巡る中、一人首を傾げている。その答えは、三階のエリアに辿り着いた先で明かされた。
「台に乗って進めるようじゃ。」
「ところで、ナチュレ?」
「なんじゃ?」
「冥府軍が平然と配備されているのはなぜだろう……?」
「この塔がまともな護衛を持たぬからじゃろう。」
『それで、かんたんに入り込んで私たちの邪魔立てをしているのね。』
三階エリアは浮遊する台に乗り込み、流れに沿って進んで行く仕掛けが施されていた。見るからに台の上へ乗り込ませないと先へ進めない仕組みになっているらしい。台に乗って、流れに身を委ねる私達。それでも尚、妨害して来る冥府軍。台の流れに身を委ねている私達目掛けて、反対側の高台から攻撃を仕掛けて来る始末。ここ迄好き勝手されて、戦車の主は何も感じないのだろうか。これまた傍若無人な真似であると思うが、目を瞑っているのだろうか……なんて思っていた矢先、ハデスの意気揚々な声が聞こえて来た。
「勝手に入り込んでやりたい放題!クセになっちゃうね。」
「痴れ者共めが。聖域の上まで登ってこい。光の戦車で、まとめて抹殺してくれる。」
『やっぱり怒ってる……。』
「この塔に光の戦車が……。」
『塔のてっぺんにあるんだよね。』
「無法者め。怪我せぬうちに立ち去るがいい。」
「……?おまえは?!」
「我は戦車の主。」
私達が今いる階は、当然一階。何か仕掛けでも施されているのかとも思ったが、それはないみたいだ。天使二人を出し抜く目的で思わぬ所にトラップが仕掛けられていてもおかしくはない。今は、何も起こらないが警戒心は解かず神器は構えていよう。
一階を無事に通過する瞬間、私達の会話に口を挟む人物が出現した。聞き覚えのない声。明らかに初対面であると分かる。ピット君が名を問えば、透かさず“戦車の主”だと返答が返って来た。
「戦車の主……。ならば光の戦車を貸してほしい。戦うことが目的じゃないんだ!」
「笑止!突如として押し入り理不尽な要求を突きつける不届き者め。寄らば銀河の塵と化す!」
「怒るのも無理ないのう。まったくもって、事実じゃから。」
「ううむ……。仕方がない。とにかく、僕たちは戦車の主の元に登っていく!それしか解決方法は無いと思うんだ。」
『そうだね。口で伝えてもきっとわかってもらえないだろうし。』
「よくわかっておるではないか。大事の前の小事じゃ。強奪する気でかかるのじゃ!」
一階から二階に登れる坂を登って行く。何の仕掛けも施されていないとほっとしたのも束の間、目の前に冥府軍の魔物が通せん坊しているではないか。これはこれでお約束展開だ。困った表情を浮かべては、立ち塞がる魔物を素早く浄化。坂を登り切り、二階のエリアに入り込んだ。そんな中でも、会話は悪い方向に進んでいる。それが本名ではないと思うが、“戦車の主”は私達の傍若無人な態度に腹を立てていた。確かに、自分の家宅に侵入された上で光の戦車を貸してほしいなんて頼み込むのは、相手にとって理にかなっていない。怒るのは当然だ。だが、こちらだって誰かを助ける為に必要な手段なのだ。今更おめおめ引き下がれる筈もない。ここは穏便に済ませる……のではなく、もういっそ一発叩きのめすぐらいゴリ押すしか方法はないと思う。二階のエリアに入り込んだ天使二人は、穴から姿を現す冥府の魔物を浄化しにかかる。無論、穴の中に落下しない様に気を配りながら。二人で手分けして浄化したからか、思ったよりも早く先へ進める手段を得る。
「聖域の塔の外を坂が周回しているのか。」
「これで次の階に登ることができるのう。先は長いぞよ。」
『すごい高さだものね。』
二階から三階への坂を登って行く。モノアイ達がふわふわ浮遊し、隙が出来ているのを見計らい素早く浄化。危害を加えられた訳ではないけれど、いつ私達の邪魔をされるか分からない。その脅威を今浄化していて損はないのだ。まぁ、仮に脅威となってしまってもピット君が一匹残らず浄化するだろうから何の心配もいらないが一つだけ疑問点がある。私達天使の侵入に対して、あんなにご立腹であった戦車の主が冥府軍の侵入を許してしまうだなんて随分杜撰な気もするけれど。まさか、戦車の主と冥府軍はグルなのだろうか?それならば、ハデスが光の戦車を狙うのに合点がいかない。もしも仲間ならば、既に手中に治めたも同然。狙って奇襲を掛ける必要はない。数々の疑問や解釈が脳内を駆け巡る中、一人首を傾げている。その答えは、三階のエリアに辿り着いた先で明かされた。
「台に乗って進めるようじゃ。」
「ところで、ナチュレ?」
「なんじゃ?」
「冥府軍が平然と配備されているのはなぜだろう……?」
「この塔がまともな護衛を持たぬからじゃろう。」
『それで、かんたんに入り込んで私たちの邪魔立てをしているのね。』
三階エリアは浮遊する台に乗り込み、流れに沿って進んで行く仕掛けが施されていた。見るからに台の上へ乗り込ませないと先へ進めない仕組みになっているらしい。台に乗って、流れに身を委ねる私達。それでも尚、妨害して来る冥府軍。台の流れに身を委ねている私達目掛けて、反対側の高台から攻撃を仕掛けて来る始末。ここ迄好き勝手されて、戦車の主は何も感じないのだろうか。これまた傍若無人な真似であると思うが、目を瞑っているのだろうか……なんて思っていた矢先、ハデスの意気揚々な声が聞こえて来た。
「勝手に入り込んでやりたい放題!クセになっちゃうね。」
「痴れ者共めが。聖域の上まで登ってこい。光の戦車で、まとめて抹殺してくれる。」
『やっぱり怒ってる……。』
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