第19章 光の戦車(前編)
セラ
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それだけではない。のうのうと不純な動機を恥ずかしげもなく話し始めたのだ。ハデスのあの性質は今に始まったことではないが、不純な動機を持つ者にみすみす光の戦車を渡す訳にはいかない。所有者は勿論いるが、ハデスの手に渡れば所有者の命も危険に晒されるかも分からない。邪魔立てするならば、全力で掻い潜らなければ。私が言うのも難なのだが、光の戦車が同時に狙われるとは所有者もついていないと思う。
苦笑いを浮かべていれば、前方の稲妻が無数にこちらへ攻撃を加えようとしている。それだけではない。目の前に稲妻が走っている所を見ると明らかに人工が創り出した稲妻だ。
「あらら。ナマイキにも抵抗してるよ。」
「しかし見えてきたようじゃ。光の戦車がいる銀河の聖域が!!」
「なんとしてでも 冥府軍より先にいただく!!」
『がんばるわよ!エイ・エイ・オー!』
だが冥府軍が奪取しようとする光の戦車を守備すべく、所有者は戦っているらしい。奪取されるのも時間の問題だが、今のところは大丈夫そう。ほっと安堵の溜息。そんな最中、雲の中をすり抜け見えてきた建造物。高い塔が聳え、周囲はラビリンスと化し、平面している。あの場所が、銀河の聖域らしい。言われてみれば確かに、聖域と呼称するのに相応する佇まいだ。
「光の戦車とその主は高い塔におる。しかし、侵入できるのは地上階だけのようじゃな。」
「かまわないから寄せてくれ!あとは自力で探る!」
「塔は死ぬほど高いぞよ。脚の筋肉痛を覚悟するんじゃな。」
『骨が折れそうだね。』
「いまさら脅しなど!」
だが、あの高い塔へ真っ直ぐ侵入するのは不可能。地に降り立ち、光の戦車が存在する高い塔迄辿り着かなければならないらしい。そうそう甘くはないか。ピット君はやる気充分に、高い塔を登るつもりだ。自動的に、私も高い塔を目指して登らなければならないらしい。出来るのであれば、ここで退却し頑張って来るピット君の為に美味しい料理を作って待っていてあげたいが、何とも言い難い雰囲気。早くも挫折しそうだけれど、こういう時誰も私の心境を察してはくれない。
「セラちゃん!がんばろうね!」
『う、うん。』
決め手はピット君からの言葉と、屈託のない笑顔だった。そんな笑顔を見せられてしまっては“NO”とも言えず、高い塔を登り切り光の戦車を借りる任務を二人で熟す流れにまんまと持っていかれてしまう。彼に悪意は全く感じられない。素で言っているのが見て取れる。平面世界が広がる高い塔に距離を狭める中、ナチュレちゃんの声が両耳に届いた。
「地上戦じゃ、ピット!セラ!」『合点ッ!!』
「承知ッ!!」
半ば自棄になりながら、滑空態勢に入る。無事に聖域へと侵入出来た私とピット君は、光の戦車を貸してもらう目的を達成するべく真剣な面持ちで地に足を一歩一歩踏み出し、ゆっくり歩き始めたのだった。貸してもらうだけと言っても、所有者にとってはきっと私達は不埒な存在。そう簡単に、物事は運んでくれないだろう。一種の興味か、光の戦車を所有する人物は一体どういう性格なのだろう。そんな思いが、ぐるぐる胸中を駆け巡っている。
(To be continued……)
苦笑いを浮かべていれば、前方の稲妻が無数にこちらへ攻撃を加えようとしている。それだけではない。目の前に稲妻が走っている所を見ると明らかに人工が創り出した稲妻だ。
「あらら。ナマイキにも抵抗してるよ。」
「しかし見えてきたようじゃ。光の戦車がいる銀河の聖域が!!」
「なんとしてでも 冥府軍より先にいただく!!」
『がんばるわよ!エイ・エイ・オー!』
だが冥府軍が奪取しようとする光の戦車を守備すべく、所有者は戦っているらしい。奪取されるのも時間の問題だが、今のところは大丈夫そう。ほっと安堵の溜息。そんな最中、雲の中をすり抜け見えてきた建造物。高い塔が聳え、周囲はラビリンスと化し、平面している。あの場所が、銀河の聖域らしい。言われてみれば確かに、聖域と呼称するのに相応する佇まいだ。
「光の戦車とその主は高い塔におる。しかし、侵入できるのは地上階だけのようじゃな。」
「かまわないから寄せてくれ!あとは自力で探る!」
「塔は死ぬほど高いぞよ。脚の筋肉痛を覚悟するんじゃな。」
『骨が折れそうだね。』
「いまさら脅しなど!」
だが、あの高い塔へ真っ直ぐ侵入するのは不可能。地に降り立ち、光の戦車が存在する高い塔迄辿り着かなければならないらしい。そうそう甘くはないか。ピット君はやる気充分に、高い塔を登るつもりだ。自動的に、私も高い塔を目指して登らなければならないらしい。出来るのであれば、ここで退却し頑張って来るピット君の為に美味しい料理を作って待っていてあげたいが、何とも言い難い雰囲気。早くも挫折しそうだけれど、こういう時誰も私の心境を察してはくれない。
「セラちゃん!がんばろうね!」
『う、うん。』
決め手はピット君からの言葉と、屈託のない笑顔だった。そんな笑顔を見せられてしまっては“NO”とも言えず、高い塔を登り切り光の戦車を借りる任務を二人で熟す流れにまんまと持っていかれてしまう。彼に悪意は全く感じられない。素で言っているのが見て取れる。平面世界が広がる高い塔に距離を狭める中、ナチュレちゃんの声が両耳に届いた。
「地上戦じゃ、ピット!セラ!」『合点ッ!!』
「承知ッ!!」
半ば自棄になりながら、滑空態勢に入る。無事に聖域へと侵入出来た私とピット君は、光の戦車を貸してもらう目的を達成するべく真剣な面持ちで地に足を一歩一歩踏み出し、ゆっくり歩き始めたのだった。貸してもらうだけと言っても、所有者にとってはきっと私達は不埒な存在。そう簡単に、物事は運んでくれないだろう。一種の興味か、光の戦車を所有する人物は一体どういう性格なのだろう。そんな思いが、ぐるぐる胸中を駆け巡っている。
(To be continued……)
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