第19章 光の戦車(前編)
セラ
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緑豊かな山々を越えて、提案を一蹴するピット君だったが結局ナチュレちゃんに痛い所を衝かれ、頷く他なくなってしまった。これで、私達の任務は完全に光の戦車を借りる。この一点のみとなる。思わず深い溜息をつく。光の戦車に乗って、捨て身タックルとは一体どれだけのダメージを受けるだろう。勿論、私だってパルテナ様を助け出したい。あの言葉は本心か、虚偽のものか確かめる必要がある。それに、これ以上パルテナ軍が人々に危害を加える敵なのだと認識され、脅かしたくはないのだ。けれど、命がけになると中途半端な覚悟では簡単にヤラレてしまう。幾ら復活力が高くとも、それは全てパルテナ様の加護。パルテナ様が私達の元から離れている今、その加護を受けられるとも思えない。ナチュレちゃんの力を借りて、任務を熟してはいるがそれにも限界があるだろう。寄って、自分達の力で何とかしなければならない。絶対捨て身タックルした衝撃がこちらに伝達されるが、パルテナ様が受けている痛みに比べたらどうってことないだろう。ナチュレちゃんの言い回しに行かざるを得なくなった天使二人は、新たに気合いを入れ直し飛翔の奇跡が赴くまま真っ直ぐ緑溢れるトンネルをスイスイ通過したのだった。
『(少しカラダを鍛えようかしら。)』
「セラ、なにかあったら全力でわらわが守ってやるからの。」
『あ、ありがとう……。』
念の為、捨て身タックルしてもダメージが軽減出来る様に身体能力を上げようか考えていたら、ナチュレちゃんにすかさず態度で示されてしまった。
「銀河をめぐる戦車を得るには少し高度が低いような?」
「セラはともかく。そなたのニワトリのような翼では戦車の場所まで届かないのじゃ。」
「はいはい、悪うございました。」
『銀河の中じゃ、限界があるよねぇ。』
「そこでホラ、アレじゃ。サーカスとかでよくあるじゃろう?」
「ん?」
ピット君が気付く。先程から地上に近い上空を飛行しているのでは、と。確かに、良く良く景色を視界に映せば地上にずっしり植えられ上に向かって真っ直ぐ伸びている木々の先端に余裕で届いてしまいそうだ。そのお陰で、空との距離は何処か遠い。そう思った刹那、飛行ルートが逸れた。明らかにナチュレちゃんの意向だ。一体何処に向かっているのだろう。首を傾げていれば、何キロ先か自然の中に建造物がちょこんと見えて来るではないか。
「んー……、なんて言ったかの。アレじゃアレ、大砲に入って、ドーンと!」
「『……まさか、人間大砲?!』」
「あ、そういう名前じゃったか。ストレートじゃの。」
「そんなムチャな!ダメ!ゼッタイ!!」
『そうだよ!危ないわ!!』
「文句が多いのう。少しはガマンせい!」
『文句も言いたくなるって。』
口論している間に私達は、何キロ先かに見えていた大砲周辺に辿り着く。獣四匹の装飾が施され、大砲なのに奉られている雰囲気だ。見ても分かるが、ナチュレちゃんの所有物だろう。何に使用するかは知りたくもないが。口径はやはり大きく、小柄な天使二人等簡単にすっぽり治まってしまうだろう。冷や汗が垂れ流れてきた。このまま撤退するのも一つの手であるが、生憎羽翼には“飛翔の奇跡”が宿り、強制的に飛行ルートは大砲の口径へ。正直言って、冗談じゃない。何としてでも、脱出しなければ。その思いに駆られ、ジタバタ抗ってみるものの思いも空しく脱出出来ずそのまま留まってしまう。このままでは、ダメージを受けるに決まっている。ピット君に協力して何とかしようと言葉で伝えるのだが、彼は抵抗する素振りも見せず何を思ったのか力強く私を抱きしめたのだ。
『ピット君……。』
「僕がセラちゃんを衝撃から守るよ。ゼッタイに。」
暗がりの口径で表情は窺えなかったが、守ろうとしてくれている気持ちは痛い程伝わって来た。自分だってどうなるか分からないのに、自分の身よりも私の身を案じ優先してくれている。私だって数々の苦境を乗り越えて来たのだから柔に成り下がったつもりは毛頭ないのだけれど、彼の勇気に対して何か言える筈なかった。
「3!2!1!ファイア!!」
「うわぁぁぁぁッ!!」
『きゃぁぁぁぁッ!!』
口径は真っ直ぐ空を指し、天使二人は瞬く間に空の彼方へと弾き飛ばされてしまう。衝撃に寄り、私達はくるくるくる回転しながら目的地に近づく為に空を抜け、雲を突っ切り、銀河系に漸く到着する。衝撃はあったものの、大した大怪我もなくて良かった。思わぬ展開に発展してしまったけれど、取り敢えずは一安心だ。
『(少しカラダを鍛えようかしら。)』
「セラ、なにかあったら全力でわらわが守ってやるからの。」
『あ、ありがとう……。』
念の為、捨て身タックルしてもダメージが軽減出来る様に身体能力を上げようか考えていたら、ナチュレちゃんにすかさず態度で示されてしまった。
「銀河をめぐる戦車を得るには少し高度が低いような?」
「セラはともかく。そなたのニワトリのような翼では戦車の場所まで届かないのじゃ。」
「はいはい、悪うございました。」
『銀河の中じゃ、限界があるよねぇ。』
「そこでホラ、アレじゃ。サーカスとかでよくあるじゃろう?」
「ん?」
ピット君が気付く。先程から地上に近い上空を飛行しているのでは、と。確かに、良く良く景色を視界に映せば地上にずっしり植えられ上に向かって真っ直ぐ伸びている木々の先端に余裕で届いてしまいそうだ。そのお陰で、空との距離は何処か遠い。そう思った刹那、飛行ルートが逸れた。明らかにナチュレちゃんの意向だ。一体何処に向かっているのだろう。首を傾げていれば、何キロ先か自然の中に建造物がちょこんと見えて来るではないか。
「んー……、なんて言ったかの。アレじゃアレ、大砲に入って、ドーンと!」
「『……まさか、人間大砲?!』」
「あ、そういう名前じゃったか。ストレートじゃの。」
「そんなムチャな!ダメ!ゼッタイ!!」
『そうだよ!危ないわ!!』
「文句が多いのう。少しはガマンせい!」
『文句も言いたくなるって。』
口論している間に私達は、何キロ先かに見えていた大砲周辺に辿り着く。獣四匹の装飾が施され、大砲なのに奉られている雰囲気だ。見ても分かるが、ナチュレちゃんの所有物だろう。何に使用するかは知りたくもないが。口径はやはり大きく、小柄な天使二人等簡単にすっぽり治まってしまうだろう。冷や汗が垂れ流れてきた。このまま撤退するのも一つの手であるが、生憎羽翼には“飛翔の奇跡”が宿り、強制的に飛行ルートは大砲の口径へ。正直言って、冗談じゃない。何としてでも、脱出しなければ。その思いに駆られ、ジタバタ抗ってみるものの思いも空しく脱出出来ずそのまま留まってしまう。このままでは、ダメージを受けるに決まっている。ピット君に協力して何とかしようと言葉で伝えるのだが、彼は抵抗する素振りも見せず何を思ったのか力強く私を抱きしめたのだ。
『ピット君……。』
「僕がセラちゃんを衝撃から守るよ。ゼッタイに。」
暗がりの口径で表情は窺えなかったが、守ろうとしてくれている気持ちは痛い程伝わって来た。自分だってどうなるか分からないのに、自分の身よりも私の身を案じ優先してくれている。私だって数々の苦境を乗り越えて来たのだから柔に成り下がったつもりは毛頭ないのだけれど、彼の勇気に対して何か言える筈なかった。
「3!2!1!ファイア!!」
「うわぁぁぁぁッ!!」
『きゃぁぁぁぁッ!!』
口径は真っ直ぐ空を指し、天使二人は瞬く間に空の彼方へと弾き飛ばされてしまう。衝撃に寄り、私達はくるくるくる回転しながら目的地に近づく為に空を抜け、雲を突っ切り、銀河系に漸く到着する。衝撃はあったものの、大した大怪我もなくて良かった。思わぬ展開に発展してしまったけれど、取り敢えずは一安心だ。