第18章 三年の歳月(前編)
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敵を全浄化し終えた僕は未だマグナの身体を借りて、自分の肉体を捜していた。扉を潜り、階段を昇る。次々に浄化しているのは良いが、そこら中に潜んでいるのかわんさか居るらしい。幾ら、強靭なマグナでも骨が折れそうだ。
真っ直ぐ前を突き進めば、円形のフィールドが存在しイカロスマッチョが言葉を発さず襲って来る。戦闘に適しているフィールドに変化しているが、以前は人間達が広場として活用していたかもしれない。パルテナ軍に奇襲を掛けられ、本来の状態は失われているけれど、この場所で花々を植えていたり、緑を増やし美しく保っていたかもしれない。セラちゃんならば、喜んで花々へ駆け寄っていただろう。
「セラちゃん……いま、どこにいるの……?」
イカロスマッチョを浄化し終えた僕は、彼女を思い立ち尽くしてしまう。確信なんて持ってないけれど、セラちゃんはこの街にいる気がしてならない。僕が呟いた一言は、そのまま風に攫われていったが彼女の耳に届いてやしないかと願わずにはいられなかった。
・・・・・・
『……?』
誰かに問われた気がしたが、果たして気のせいか。声のした方向、後ろを振り返ってみるけれど当然その場に誰一人いなかった。首を傾げ、再度ふわり飛ぶ。イカロスを沈静させ、先へ先へ飛行して行く。正直数知れず襲って来るのを予期し、神器にていつでも戦える様に身構えているのも虚しく戦況に陥らない。複雑な心境の中、苦笑いを浮かべるしか方法が見つからなかった。
「ほう……。あの人間、中身と外見が複雑化しているな。」
『あのひと、まさか……マグナさん?!』
「知り合いか?」
『まぁ、ちょっとね。』
「セラ、あの人間と行動を共にしろ。そうすればきっと道は開ける。これ以上ヤツに好き勝手させるな。」
『ヤツ……?』
「信じているぞ、セラ。おまえが希望をもたらしてくれる、と。」
『メデューサ!』
「私はいつでもすぐ近くで、おまえを見守っている。」
飛行中、街の上空から下を見下ろしていれば見慣れた姿が視界に映り込む。この事態を聞きつけ、戦場に身を置いている。逞しい体つき、重々しい剣を簡単に振り払う戦闘態勢。一度だけ共闘したが忘れたりしない、あの人はマグナさんだ。マグナさんの姿を見つければ、妙な安心感が自身を襲っているのに気付いた。私の感情を察知したのか、は分からないがマグナさんと行動を共にするようにメデューサから助言をもらう。突然何を言っているんだ。出来るならば、私はずっと隣にいてもらいたい。反射で交信出来なくなると瞬時に悟った私は、メデューサの名を呼ぶが思いも空しく、とうとう声は聞こえなくなってしまった。また一つ、彼女は気になる発言をした。“ヤツに好き勝手させるな。”彼女の言う“ヤツ”とは一体誰を指すのか。今の私には答えを提示できる程、情報を持ち合わせてはいなかった。マグナさんと行動を共にすれば、戦闘も有利になるだろう。彼へ飛行の軌道を変え、ゆっくり地に降り立つ。彼の名を呼び、大きく手を振ってみたら彼にそぐわない笑顔を見せこちらへ向かって駆けて来るではないか。しかも物凄いスピードで。一体誰なんだ、あれは。
「セラちゃぁぁぁぁん!!」
『きゃぁぁぁぁッ!!』
バチーーン。
余りにも恐怖に戦いた私は、勢い良く駆けて来るマグナさんの頬に平手打ちを喰らわせた。軽快な音が周辺に響き渡る。まさか、マグナさんがそんな行動を取るなんて思いも寄らないから、反応に困ってしまったんだ。
『……それで?マグナさんのカラダには指輪にされたピット君の意志が宿っていて、おおいにコントロールされちゃってるワケなのね。』
「そうなんだよ、セラ。」
「感動の再会なのに、なにもブたなくたって……。」
『ビックリしたの!』
腕組みしつつ、仁王立ちで今迄の状況を説明してもらっている。正座を余儀なくされているマグナさんに、仁王立ちの私。何処からどう見ても修羅場だ。でも、構っていられない。二人だけの秘密があって、私だけ事情を知らないなんて耐えられなかったのだ。ブたれた頬を手で摩り、マグナさんのピット君はシュンと背中を丸めている。こう見ると、なかなかシュールだ。普段のマグナさんだったら、見られなかった仕草と表情。説明を求めているこちらが言うのも難だが、意外な一面を垣間見た気がする。
『でもなんで、そうなっちゃうのかなぁ。』
「僕にもわからないんだ。」
「それでピットが自分自身と戦おうってことでハナシがまとまったんだよ。」
仲間はずれは嫌だから、ピット君マグナさんに問い掛ければ様々な情報が答えとして返って来る。メデューサは私を思ってか情報を開示してくれなかったけれど、パルテナ軍が突如地上を襲い始めたこと。人類の敵に、なってしまったこと。そしてピット君は指輪にされ、私は力の発動で三年間眠り続け、時間が過ぎ去ってしまった。現実を受け止めきれないでいる。パルテナ様が人々に矛を向け始めてしまうだなんて、思いたくもなかった。
真っ直ぐ前を突き進めば、円形のフィールドが存在しイカロスマッチョが言葉を発さず襲って来る。戦闘に適しているフィールドに変化しているが、以前は人間達が広場として活用していたかもしれない。パルテナ軍に奇襲を掛けられ、本来の状態は失われているけれど、この場所で花々を植えていたり、緑を増やし美しく保っていたかもしれない。セラちゃんならば、喜んで花々へ駆け寄っていただろう。
「セラちゃん……いま、どこにいるの……?」
イカロスマッチョを浄化し終えた僕は、彼女を思い立ち尽くしてしまう。確信なんて持ってないけれど、セラちゃんはこの街にいる気がしてならない。僕が呟いた一言は、そのまま風に攫われていったが彼女の耳に届いてやしないかと願わずにはいられなかった。
・・・・・・
『……?』
誰かに問われた気がしたが、果たして気のせいか。声のした方向、後ろを振り返ってみるけれど当然その場に誰一人いなかった。首を傾げ、再度ふわり飛ぶ。イカロスを沈静させ、先へ先へ飛行して行く。正直数知れず襲って来るのを予期し、神器にていつでも戦える様に身構えているのも虚しく戦況に陥らない。複雑な心境の中、苦笑いを浮かべるしか方法が見つからなかった。
「ほう……。あの人間、中身と外見が複雑化しているな。」
『あのひと、まさか……マグナさん?!』
「知り合いか?」
『まぁ、ちょっとね。』
「セラ、あの人間と行動を共にしろ。そうすればきっと道は開ける。これ以上ヤツに好き勝手させるな。」
『ヤツ……?』
「信じているぞ、セラ。おまえが希望をもたらしてくれる、と。」
『メデューサ!』
「私はいつでもすぐ近くで、おまえを見守っている。」
飛行中、街の上空から下を見下ろしていれば見慣れた姿が視界に映り込む。この事態を聞きつけ、戦場に身を置いている。逞しい体つき、重々しい剣を簡単に振り払う戦闘態勢。一度だけ共闘したが忘れたりしない、あの人はマグナさんだ。マグナさんの姿を見つければ、妙な安心感が自身を襲っているのに気付いた。私の感情を察知したのか、は分からないがマグナさんと行動を共にするようにメデューサから助言をもらう。突然何を言っているんだ。出来るならば、私はずっと隣にいてもらいたい。反射で交信出来なくなると瞬時に悟った私は、メデューサの名を呼ぶが思いも空しく、とうとう声は聞こえなくなってしまった。また一つ、彼女は気になる発言をした。“ヤツに好き勝手させるな。”彼女の言う“ヤツ”とは一体誰を指すのか。今の私には答えを提示できる程、情報を持ち合わせてはいなかった。マグナさんと行動を共にすれば、戦闘も有利になるだろう。彼へ飛行の軌道を変え、ゆっくり地に降り立つ。彼の名を呼び、大きく手を振ってみたら彼にそぐわない笑顔を見せこちらへ向かって駆けて来るではないか。しかも物凄いスピードで。一体誰なんだ、あれは。
「セラちゃぁぁぁぁん!!」
『きゃぁぁぁぁッ!!』
バチーーン。
余りにも恐怖に戦いた私は、勢い良く駆けて来るマグナさんの頬に平手打ちを喰らわせた。軽快な音が周辺に響き渡る。まさか、マグナさんがそんな行動を取るなんて思いも寄らないから、反応に困ってしまったんだ。
『……それで?マグナさんのカラダには指輪にされたピット君の意志が宿っていて、おおいにコントロールされちゃってるワケなのね。』
「そうなんだよ、セラ。」
「感動の再会なのに、なにもブたなくたって……。」
『ビックリしたの!』
腕組みしつつ、仁王立ちで今迄の状況を説明してもらっている。正座を余儀なくされているマグナさんに、仁王立ちの私。何処からどう見ても修羅場だ。でも、構っていられない。二人だけの秘密があって、私だけ事情を知らないなんて耐えられなかったのだ。ブたれた頬を手で摩り、マグナさんのピット君はシュンと背中を丸めている。こう見ると、なかなかシュールだ。普段のマグナさんだったら、見られなかった仕草と表情。説明を求めているこちらが言うのも難だが、意外な一面を垣間見た気がする。
『でもなんで、そうなっちゃうのかなぁ。』
「僕にもわからないんだ。」
「それでピットが自分自身と戦おうってことでハナシがまとまったんだよ。」
仲間はずれは嫌だから、ピット君マグナさんに問い掛ければ様々な情報が答えとして返って来る。メデューサは私を思ってか情報を開示してくれなかったけれど、パルテナ軍が突如地上を襲い始めたこと。人類の敵に、なってしまったこと。そしてピット君は指輪にされ、私は力の発動で三年間眠り続け、時間が過ぎ去ってしまった。現実を受け止めきれないでいる。パルテナ様が人々に矛を向け始めてしまうだなんて、思いたくもなかった。