第18章 三年の歳月(前編)
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イカロス達を全て倒し終え、更なる道が開かれる。先に進むべく扉を抜ければ、相も変わらず次から次へと攻撃を仕掛けられた。無論返り討ちにしてやったが、一つ気がかりな点がある。マグナがセラちゃんの所在を聞いた際、心臓が跳ねた気がしたのだ。僕の意志が反応して、マグナの身体に影響を及ぼしたのだと思ったが何となくそうではない、違うのだと言われている感覚がした。マグナはセラちゃんに、何か別の感情を抱いているのだろうか。数々の疑念が残るけれど、今は先へ先へ進むのを先決しよう。
「軍隊ごと乗っ取られた可能性はあるよな。」
「セラちゃんも気になるし。とにかく、カラダをなんとかしなきゃ。あれは僕じゃない。」
「意志はこっちにあってカラダは別に戦ってるってことだろ?ある意味便利だな!ピット。」
「からかわないでくれ!」
「とにかく、俺はなんにもできねぇ。俺のカラダを貸すから まず自分自身と戦ってみろ。俺は元より、おまえのカラダを仕留めるつもりで来たんだ。」
「それしかないようだし やってみる!」
「再起不能にさせないよう 気をつけろよ!」
家々が立ち並び、入り組んだ道に入る。まるでラビリンスであるが、必ずしも突破口がある。問題ない。マグナと話し合って、自分の目的が見出せる。僕は今も尚人間達に攻撃している僕の身体を取り戻すべく、目の前に立ち塞がる敵を浄化し始めたのだった。
・・・・・・
街のはずれにある教会から出発して、野原の一本道を歩いて行く。飛行して街迄ひとっ飛びでも良いのだが、私にはどうしても頭の中に流れて来た声の主に対して幾つか質疑する必要があった。誰かに問いかけるならば、飛びながらよりも歩きながらが良い。未だ街の影は見えない。
『私に呼びかけていたあなたは、いったい誰?!なんで私に話しかけるの!!』
風が吹き抜ける中、変質者と言われようが何しようが声の主にコンタクトを取ってみる。幸い周囲には人っ子一人いない。人の気配すら感じないのだ。コンタクトを取る上では最適である。声を大にして叫んでみるけれど、風の音が耳を通過するだけで何も聞こえて来ない。
『ダメか。』
空を仰ぎ、答えを待ってみるけれど依然として変わらない。的確なアドバイスであったが、少なくともパルテナ様ではない。声音に温かみがまるでなく、冷たくて深くて暗いイメージを植えつけるかの様だった。有り得ないが、冥府の住人……みたいな。本来ならば良い印象を受けないが、懐かしく感じ取ったのは何故だろう。それだけじゃない。妙な喜びにすら支配されたのだ。自身の気持ちなのにイマイチ分からない。私がこの感情に支配される要因。
『あなた……メデューサ、なの?』
風が勢いよく、自身の髪を靡かせた。なんてことない風。だけど、私にはそれが答えであると感じた。根拠はないが、メデューサが私を助けてくれたのならば自然と合点がいく。方法はいつも不器用だったけれど、全部私を思っての行動だった。ピット君とも離れ離れ、パルテナ様からも連絡がない。明らかに何かが起こっているのだろう。それを知らしめる目的であんなに名前を呼んで、眠りから目覚めさせようとしてくれていたのだろうか。
『メデューサ、なのよね。』
「………あぁ、そうだ。」
『……!やっと、話せるね。』
頭の中に流れ込んで来る声。声の主は、思った通りメデューサであった。嬉しさの余り、頬が緩む。端から見たら、独り言を話しているちょっと変な天使だろう。何せ、メデューサの姿は影も形もない。私が何処かへ話しているのだから。けれど、今はそんなの気にしている場合ではない。彼女から、色々聞き出さなければ。どうしてか、彼女は様々な事情を知っている気がしてならなかった。追求しなければ後悔するだろうって心の中で分かっていた。
『メデューサ。あなたが知ってること、すべて私に教えて!それともうひとつ、あなたはどうして話していられるの?』
「……いいだろう。話してやる。まずセラと話せているのは、おまえに直接コンタクトをとっているからだ。セラと話せないか、いろいろ試した結果だ。おかげで三年も経ってしまった。」
『さ……三年?!そ、そんなに?!もしかして私、三年間ずっと眠り続けてたの?!』
「眠り姫 だからな、セラは。」
「ちょっと!メデューサまで!」
メデューサから手始めに聞いたのは、驚愕な内容。メデューサが懸命にしてくれている宛ら、私は三年間全く目を開かず心地の好い眠りに就いていたのだ。正直一週間ぐらいかと思っていたから両目を大きく見開き、素っ頓狂な声を上げてしまった。手始めの話からパンチが効いていると、この後一体どんな衝撃内容が飛び出してくるか分かったものじゃない。心の準備は当然ながら、出来ていない。しかし、何故私は三年もの間ずっと眠り続けていたのだろう。月日が経過するのはあっという間だと言うが、彷彿しないにも程がある。普通そこ迄眠りこけたりしないが。
「軍隊ごと乗っ取られた可能性はあるよな。」
「セラちゃんも気になるし。とにかく、カラダをなんとかしなきゃ。あれは僕じゃない。」
「意志はこっちにあってカラダは別に戦ってるってことだろ?ある意味便利だな!ピット。」
「からかわないでくれ!」
「とにかく、俺はなんにもできねぇ。俺のカラダを貸すから まず自分自身と戦ってみろ。俺は元より、おまえのカラダを仕留めるつもりで来たんだ。」
「それしかないようだし やってみる!」
「再起不能にさせないよう 気をつけろよ!」
家々が立ち並び、入り組んだ道に入る。まるでラビリンスであるが、必ずしも突破口がある。問題ない。マグナと話し合って、自分の目的が見出せる。僕は今も尚人間達に攻撃している僕の身体を取り戻すべく、目の前に立ち塞がる敵を浄化し始めたのだった。
・・・・・・
街のはずれにある教会から出発して、野原の一本道を歩いて行く。飛行して街迄ひとっ飛びでも良いのだが、私にはどうしても頭の中に流れて来た声の主に対して幾つか質疑する必要があった。誰かに問いかけるならば、飛びながらよりも歩きながらが良い。未だ街の影は見えない。
『私に呼びかけていたあなたは、いったい誰?!なんで私に話しかけるの!!』
風が吹き抜ける中、変質者と言われようが何しようが声の主にコンタクトを取ってみる。幸い周囲には人っ子一人いない。人の気配すら感じないのだ。コンタクトを取る上では最適である。声を大にして叫んでみるけれど、風の音が耳を通過するだけで何も聞こえて来ない。
『ダメか。』
空を仰ぎ、答えを待ってみるけれど依然として変わらない。的確なアドバイスであったが、少なくともパルテナ様ではない。声音に温かみがまるでなく、冷たくて深くて暗いイメージを植えつけるかの様だった。有り得ないが、冥府の住人……みたいな。本来ならば良い印象を受けないが、懐かしく感じ取ったのは何故だろう。それだけじゃない。妙な喜びにすら支配されたのだ。自身の気持ちなのにイマイチ分からない。私がこの感情に支配される要因。
『あなた……メデューサ、なの?』
風が勢いよく、自身の髪を靡かせた。なんてことない風。だけど、私にはそれが答えであると感じた。根拠はないが、メデューサが私を助けてくれたのならば自然と合点がいく。方法はいつも不器用だったけれど、全部私を思っての行動だった。ピット君とも離れ離れ、パルテナ様からも連絡がない。明らかに何かが起こっているのだろう。それを知らしめる目的であんなに名前を呼んで、眠りから目覚めさせようとしてくれていたのだろうか。
『メデューサ、なのよね。』
「………あぁ、そうだ。」
『……!やっと、話せるね。』
頭の中に流れ込んで来る声。声の主は、思った通りメデューサであった。嬉しさの余り、頬が緩む。端から見たら、独り言を話しているちょっと変な天使だろう。何せ、メデューサの姿は影も形もない。私が何処かへ話しているのだから。けれど、今はそんなの気にしている場合ではない。彼女から、色々聞き出さなければ。どうしてか、彼女は様々な事情を知っている気がしてならなかった。追求しなければ後悔するだろうって心の中で分かっていた。
『メデューサ。あなたが知ってること、すべて私に教えて!それともうひとつ、あなたはどうして話していられるの?』
「……いいだろう。話してやる。まずセラと話せているのは、おまえに直接コンタクトをとっているからだ。セラと話せないか、いろいろ試した結果だ。おかげで三年も経ってしまった。」
『さ……三年?!そ、そんなに?!もしかして私、三年間ずっと眠り続けてたの?!』
「眠り姫 だからな、セラは。」
「ちょっと!メデューサまで!」
メデューサから手始めに聞いたのは、驚愕な内容。メデューサが懸命にしてくれている宛ら、私は三年間全く目を開かず心地の好い眠りに就いていたのだ。正直一週間ぐらいかと思っていたから両目を大きく見開き、素っ頓狂な声を上げてしまった。手始めの話からパンチが効いていると、この後一体どんな衝撃内容が飛び出してくるか分かったものじゃない。心の準備は当然ながら、出来ていない。しかし、何故私は三年もの間ずっと眠り続けていたのだろう。月日が経過するのはあっという間だと言うが、彷彿しないにも程がある。普通そこ迄眠りこけたりしないが。