第18章 三年の歳月(前編)
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「……。」
「マグナも強いと思ったが僕もてごわいな!!」
「パルテナ軍っておまえとセラだけが強いんだもんな。イカロスってやつはそんなに怖くはないが……。量が多すぎないか?」
「一般兵だから、仕方がないんだ。やられてもすぐに復活するし。」
「ん?復活するのはおまえらもそうじゃないのか?」
「うーん、たしかに。これもパルテナ様の加護のおかげかなぁ!」
「……。」
「回避を重視すればいいんだ。当たらなければ、チャンスはいくらでもある。天界スポーツ“天使の降臨”でもっと鍛えておけばよかったかなぁ。」
事実だが、自画自賛するピット君に苦笑いを浮かべる。確かに戦いの年数は彼が上だし、メデューサの戦いを二度も経て彼はここにいる。それだけじゃない、自然軍とも対等以上に渡り合えていた。それ故、オーラム軍迄。戦闘能力がずば抜けていると言わざるを得ない。今も尚、マグナさんの身体を借りて本来の実力を出し戦っているのだ。これは言わずもがな、適応力だろう。我が軍隊長ながら、頭が下がる。なんて感心していたら、危うく劇的シーンを見逃す所であった。瞬く間に、ピット君が自分の身体に向けて距離を詰める。はっと息を呑む。一分一秒も見逃せない戦い。彼はそろそろ決着をつけたいと思い立ったのか距離を詰めた先で連続打撃。そして、とどめの直線縦斬り。さすがのピット君でも耐久出来ないのではないか。そう思われたのも束の間、何と彼の身体は倒れても尚立ち上がろうとするのだ。不撓不屈である。こんな彼だから、人々は平和を託してくれたのだろう。
『あっ!ピット君!』
間合いを詰め、打撃を受けない様に回避に専念している彼の身体。だが、耐久力がなくなってしまったみたいで力尽きてその場に倒れてしまった。
「倒したぞ!」
「さて、乗り換えはうまくいくかな?」
『はぁ、よかった。』
力尽き、その場に倒れてしまったピット君の身体をゆっくり抱き起こし、マグナさんは早々に彼の左手中指に指輪をはめた。心臓に近い指であるからだろうけれど、彼は肉体を取り戻せるだろうか。
「ピット!」
「……。」
「おい!ピット!!」
『ピット君!!』
「う……うん……。大復活!!」
「成功か。やれやれだ。」
「ありがとう!マグナ!セラちゃん!」
『どういたしまして。』
「いいってことよ。」
彼の指に留まった指輪は、パキンッと音を立て消え失せた。まさか今のがピット君の精神、肉体が同調した証だろうか。成り行きを黙って見守っているが、未だに彼は目を覚まさない。マグナさんがピット君の身体を大きく揺すり、強制的に目覚めさせようとするが結果は同じ。ここは、ピット君の鼓膜に直接声をありったけぶつけてやろうじゃないか。行動あるのみ。実行に移してみれば、宙バック転で体勢を整えたピット君は勢い余って月桂樹の冠を直しつつキメキメにポーズを取っていた。無事に彼が復活してくれて良かったって思う。久し振りの再会に、涙腺が緩む。まだ全ての件が解決へと導かれた訳じゃないのに喜びの感情が沸々と込み上がってしまったんだ。
「セラちゃん……ただいま。」
『おかえり……ピット君。』
ここで泣いたら駄目だ。じわじわ目尻に滲む涙を出すまいとしていたら、ピット君が近付き優しく抱きしめてくれた。家に帰宅する際の挨拶付きで。彼からの挨拶を返答したら、踏ん張っていた涙が止めどなく流れて抑えられなかった。安心感ってこういうのを言うのだろう。決して安心出来る状況とは言えないのに、彼の体温に身を委ねている自分がいた。仲間が相棒が傍にいてくれる。これ以上心強いものはないだろう。
「しかし……。エンジェランドにどうやって帰ったらいいんだ。」
「飛べばいいじゃねぇか。」
「飛ぶのも回収されるのもパルテナ様の奇跡のおかげなんだ。」
暫し、抱擁していたみたい。マグナさんの「おいおい。いつまでそうしてるつもりだぁ?」に条件反射で同時に離れる天使二人。ピット君は名残惜しそうにしていたが、話題を振ってごまかしていた。誰かに見られていると思わなくて、内心焦る私。話題に対してどこ吹く風だった私にマグナさんが一瞬切なさそうな表情を浮かべていたなんて全く気付かなかった……微塵も。
「パルテナ様!聞こえますか!」
彼は大声で叫ぶ。パルテナ様の耳に声が届く様に。けれど、彼女からの応答はない。
「マグナも強いと思ったが僕もてごわいな!!」
「パルテナ軍っておまえとセラだけが強いんだもんな。イカロスってやつはそんなに怖くはないが……。量が多すぎないか?」
「一般兵だから、仕方がないんだ。やられてもすぐに復活するし。」
「ん?復活するのはおまえらもそうじゃないのか?」
「うーん、たしかに。これもパルテナ様の加護のおかげかなぁ!」
「……。」
「回避を重視すればいいんだ。当たらなければ、チャンスはいくらでもある。天界スポーツ“天使の降臨”でもっと鍛えておけばよかったかなぁ。」
事実だが、自画自賛するピット君に苦笑いを浮かべる。確かに戦いの年数は彼が上だし、メデューサの戦いを二度も経て彼はここにいる。それだけじゃない、自然軍とも対等以上に渡り合えていた。それ故、オーラム軍迄。戦闘能力がずば抜けていると言わざるを得ない。今も尚、マグナさんの身体を借りて本来の実力を出し戦っているのだ。これは言わずもがな、適応力だろう。我が軍隊長ながら、頭が下がる。なんて感心していたら、危うく劇的シーンを見逃す所であった。瞬く間に、ピット君が自分の身体に向けて距離を詰める。はっと息を呑む。一分一秒も見逃せない戦い。彼はそろそろ決着をつけたいと思い立ったのか距離を詰めた先で連続打撃。そして、とどめの直線縦斬り。さすがのピット君でも耐久出来ないのではないか。そう思われたのも束の間、何と彼の身体は倒れても尚立ち上がろうとするのだ。不撓不屈である。こんな彼だから、人々は平和を託してくれたのだろう。
『あっ!ピット君!』
間合いを詰め、打撃を受けない様に回避に専念している彼の身体。だが、耐久力がなくなってしまったみたいで力尽きてその場に倒れてしまった。
「倒したぞ!」
「さて、乗り換えはうまくいくかな?」
『はぁ、よかった。』
力尽き、その場に倒れてしまったピット君の身体をゆっくり抱き起こし、マグナさんは早々に彼の左手中指に指輪をはめた。心臓に近い指であるからだろうけれど、彼は肉体を取り戻せるだろうか。
「ピット!」
「……。」
「おい!ピット!!」
『ピット君!!』
「う……うん……。大復活!!」
「成功か。やれやれだ。」
「ありがとう!マグナ!セラちゃん!」
『どういたしまして。』
「いいってことよ。」
彼の指に留まった指輪は、パキンッと音を立て消え失せた。まさか今のがピット君の精神、肉体が同調した証だろうか。成り行きを黙って見守っているが、未だに彼は目を覚まさない。マグナさんがピット君の身体を大きく揺すり、強制的に目覚めさせようとするが結果は同じ。ここは、ピット君の鼓膜に直接声をありったけぶつけてやろうじゃないか。行動あるのみ。実行に移してみれば、宙バック転で体勢を整えたピット君は勢い余って月桂樹の冠を直しつつキメキメにポーズを取っていた。無事に彼が復活してくれて良かったって思う。久し振りの再会に、涙腺が緩む。まだ全ての件が解決へと導かれた訳じゃないのに喜びの感情が沸々と込み上がってしまったんだ。
「セラちゃん……ただいま。」
『おかえり……ピット君。』
ここで泣いたら駄目だ。じわじわ目尻に滲む涙を出すまいとしていたら、ピット君が近付き優しく抱きしめてくれた。家に帰宅する際の挨拶付きで。彼からの挨拶を返答したら、踏ん張っていた涙が止めどなく流れて抑えられなかった。安心感ってこういうのを言うのだろう。決して安心出来る状況とは言えないのに、彼の体温に身を委ねている自分がいた。仲間が相棒が傍にいてくれる。これ以上心強いものはないだろう。
「しかし……。エンジェランドにどうやって帰ったらいいんだ。」
「飛べばいいじゃねぇか。」
「飛ぶのも回収されるのもパルテナ様の奇跡のおかげなんだ。」
暫し、抱擁していたみたい。マグナさんの「おいおい。いつまでそうしてるつもりだぁ?」に条件反射で同時に離れる天使二人。ピット君は名残惜しそうにしていたが、話題を振ってごまかしていた。誰かに見られていると思わなくて、内心焦る私。話題に対してどこ吹く風だった私にマグナさんが一瞬切なさそうな表情を浮かべていたなんて全く気付かなかった……微塵も。
「パルテナ様!聞こえますか!」
彼は大声で叫ぶ。パルテナ様の耳に声が届く様に。けれど、彼女からの応答はない。