第18章 三年の歳月(前編)
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敵に攻略させたくないのは、誰でもそうだろう。兎に角、私はマグナさんの件がある。ピット君に動かされているから思いきり身体を使って戦っているが。こちらは平然を装うのに必死だと言うのに。
『マグナさんがなにを思ったのかは知らないけど、私は私よ!私の信じた道を突き進むだけ。』
「……そうか。疑ってワルかったな!」
「(あれっ。また心臓が……。)」
口角が上がってしまうのはどうあっても隠しきれず、そのままになってしまう。だが、彼に偽りのない思いを伝えた。どうやら、分かってくれた様だ。私が余りにも、イカロス等に対して神器を駆使し戦わないから不審感を抱いたらしい。分からなくはない。私も同じ立場ならば、同等の思いを抱いていたに違いない。目に見えている。
「そろそろ大詰めか?得物の調子はチェックしとけよ。」
疑心が生じていたマグナさんは全て解消されたのか、それ以上は何も言って来なかった。マグナさんに燻っていた不審感を取り除けて良かったと思う。身体を使って全浄化しているのを見ている上でそんな感じは一切窺えないのが本当に不思議でならない。中身と外見が反比例していて、妙に面白い。マグナさんに言われ、念の為神器の調子をチェックしてみたが何の問題も生じない程、絶好調だった。
「……。」
「くそう。僕のカラダが!!」
『ほんとうに意志を感じない……。まるでお人形みたいだわ。』
「とりあえず倒しとけ!おっ死んじまわない程度にな!」
何本もの柱が円に囲っている、祭壇場。今地面を踏みしめているこの場は、戦うのにうってつけだろう。まるで抜け殻の如く、言葉を発さない表情も変化しない、虚ろなピット君を前にして背筋を凍て付かせる。誰が見ても異変に気付く。けれど、誰も逆らわず時が流れてしまった。……時が流れ過ぎた。三年分、きっちり取り返さなくちゃ。そんな気持ちでいる。
一直線に伸びる射撃、ぎりぎり引き付けて華麗に躱す。それはピット君マグナさんも同じく高い身体能力を大いに活かし、場に慣れようとしている。何処で間合いを詰められるかも探り探りだ。マグナさんは接近戦を主としているから一つ一つの打撃攻撃が勝利の鍵となって来る。だが、そう簡単に攻撃させてくれる抜け殻ピット君ではない。接近戦に持ち込もうとする彼を逆手に連続打撃が見舞われる。幾らタフネスのマグナさんでも今のはダメージを受けてしまっただろう。……えっ?私は何をしているのかって?それは勿論、戦況を逸早くお届け。そして、マグナさんのサポートに回っている。私が直ぐ近くのピット君に手を出したら、意味がない気がしているから。状況を知っている為にここ迄冷静でいられるが、知らなければ『ピット君、目をさまして!』なぁんて小っ恥ずかしい台詞を言い放っていたと思う。我ながら、赤面モノだ。
「セラちゃん!まだそこにいて!」
『?えッ?なんで?』
雑念は捨てて、遠巻きから戦いの行く末を見守っている。戦闘に集中しなければ。ピット君の身体に少しだけでもダメージを蓄積させようとするのだが、有ろうことか動いてダメだなんて言われてしまう。首を傾げて、その場に留まる。イマイチ何が起こったのか分からない。ぐるぐるぐる。私を取り囲み、二人は廻りに廻って接近しようと試みる。漸く彼の言葉の意味を理解した気がした。意志を持たないピット君の身体は無差別に攻撃しているのかと思いきや、私が彼の照準に位置している場所は一切攻撃を加えようとしないのだ。まるで、イカロス達だ。意思疎通は出来ないが本能が覚えている、みたいに。
「セラちゃんをずっと守ってきたからね。カラダは覚えてるみたいだ。」
「あのお転婆天使は、いつも危ない目にあってるのか?」
『誤解よ!マグナさん!』
私に攻撃出来ないのを良いことに、ピット君は自分の渦に持っていこうとしている。己の弱点を衝くとは、容赦がない。だが、これでは攻撃の手を封じても接近戦には持ち込めない筈。どうにかしなくては。
『ピット君!接近戦に持ち込んで!』
「セラちゃん……。うん、わかった。」
攻撃の手を封じつつ、尚且つ攻撃する。この方法ならば、有効に活用出来るだろう。それには、ピット君が接近しなければ流れに乗れない。それには、私も接近しなければならなくなるのだが。共に接近し、両サイドからダメージを与えるのも手だ。えげつないかもしれないが、ここは気にしていられない。
速度がずば抜けているピット君の身体に接近すべく、歩幅を詰めて行く。彼が今、所持している神器は球の誘導性が低いのだ。攻撃性は富んでいるけれど、私の横を通過してマグナさんの身体に射撃する芸当は持ち合わせていない。不幸中の幸いか。作戦どおりに進んでいる。攻撃を受けず、ピット君の身体へ距離を狭めている私達。
『ピット君、いまよ!』
距離を狭めた私はすかさず身を引く。そう、宙へ勢い良くジャンプしたのだ。視界が一気に開ける両二人。スピードは、どちらが速いか。先手を打ったのは、ピット君だった。視界が一気に開けた瞬間、手痛い連続打撃を喰らわせ戦いの勝敗率は五分五分となった。素早く距離を保つピット君の身体は、まだ倒れる気配はない。
『マグナさんがなにを思ったのかは知らないけど、私は私よ!私の信じた道を突き進むだけ。』
「……そうか。疑ってワルかったな!」
「(あれっ。また心臓が……。)」
口角が上がってしまうのはどうあっても隠しきれず、そのままになってしまう。だが、彼に偽りのない思いを伝えた。どうやら、分かってくれた様だ。私が余りにも、イカロス等に対して神器を駆使し戦わないから不審感を抱いたらしい。分からなくはない。私も同じ立場ならば、同等の思いを抱いていたに違いない。目に見えている。
「そろそろ大詰めか?得物の調子はチェックしとけよ。」
疑心が生じていたマグナさんは全て解消されたのか、それ以上は何も言って来なかった。マグナさんに燻っていた不審感を取り除けて良かったと思う。身体を使って全浄化しているのを見ている上でそんな感じは一切窺えないのが本当に不思議でならない。中身と外見が反比例していて、妙に面白い。マグナさんに言われ、念の為神器の調子をチェックしてみたが何の問題も生じない程、絶好調だった。
「……。」
「くそう。僕のカラダが!!」
『ほんとうに意志を感じない……。まるでお人形みたいだわ。』
「とりあえず倒しとけ!おっ死んじまわない程度にな!」
何本もの柱が円に囲っている、祭壇場。今地面を踏みしめているこの場は、戦うのにうってつけだろう。まるで抜け殻の如く、言葉を発さない表情も変化しない、虚ろなピット君を前にして背筋を凍て付かせる。誰が見ても異変に気付く。けれど、誰も逆らわず時が流れてしまった。……時が流れ過ぎた。三年分、きっちり取り返さなくちゃ。そんな気持ちでいる。
一直線に伸びる射撃、ぎりぎり引き付けて華麗に躱す。それはピット君マグナさんも同じく高い身体能力を大いに活かし、場に慣れようとしている。何処で間合いを詰められるかも探り探りだ。マグナさんは接近戦を主としているから一つ一つの打撃攻撃が勝利の鍵となって来る。だが、そう簡単に攻撃させてくれる抜け殻ピット君ではない。接近戦に持ち込もうとする彼を逆手に連続打撃が見舞われる。幾らタフネスのマグナさんでも今のはダメージを受けてしまっただろう。……えっ?私は何をしているのかって?それは勿論、戦況を逸早くお届け。そして、マグナさんのサポートに回っている。私が直ぐ近くのピット君に手を出したら、意味がない気がしているから。状況を知っている為にここ迄冷静でいられるが、知らなければ『ピット君、目をさまして!』なぁんて小っ恥ずかしい台詞を言い放っていたと思う。我ながら、赤面モノだ。
「セラちゃん!まだそこにいて!」
『?えッ?なんで?』
雑念は捨てて、遠巻きから戦いの行く末を見守っている。戦闘に集中しなければ。ピット君の身体に少しだけでもダメージを蓄積させようとするのだが、有ろうことか動いてダメだなんて言われてしまう。首を傾げて、その場に留まる。イマイチ何が起こったのか分からない。ぐるぐるぐる。私を取り囲み、二人は廻りに廻って接近しようと試みる。漸く彼の言葉の意味を理解した気がした。意志を持たないピット君の身体は無差別に攻撃しているのかと思いきや、私が彼の照準に位置している場所は一切攻撃を加えようとしないのだ。まるで、イカロス達だ。意思疎通は出来ないが本能が覚えている、みたいに。
「セラちゃんをずっと守ってきたからね。カラダは覚えてるみたいだ。」
「あのお転婆天使は、いつも危ない目にあってるのか?」
『誤解よ!マグナさん!』
私に攻撃出来ないのを良いことに、ピット君は自分の渦に持っていこうとしている。己の弱点を衝くとは、容赦がない。だが、これでは攻撃の手を封じても接近戦には持ち込めない筈。どうにかしなくては。
『ピット君!接近戦に持ち込んで!』
「セラちゃん……。うん、わかった。」
攻撃の手を封じつつ、尚且つ攻撃する。この方法ならば、有効に活用出来るだろう。それには、ピット君が接近しなければ流れに乗れない。それには、私も接近しなければならなくなるのだが。共に接近し、両サイドからダメージを与えるのも手だ。えげつないかもしれないが、ここは気にしていられない。
速度がずば抜けているピット君の身体に接近すべく、歩幅を詰めて行く。彼が今、所持している神器は球の誘導性が低いのだ。攻撃性は富んでいるけれど、私の横を通過してマグナさんの身体に射撃する芸当は持ち合わせていない。不幸中の幸いか。作戦どおりに進んでいる。攻撃を受けず、ピット君の身体へ距離を狭めている私達。
『ピット君、いまよ!』
距離を狭めた私はすかさず身を引く。そう、宙へ勢い良くジャンプしたのだ。視界が一気に開ける両二人。スピードは、どちらが速いか。先手を打ったのは、ピット君だった。視界が一気に開けた瞬間、手痛い連続打撃を喰らわせ戦いの勝敗率は五分五分となった。素早く距離を保つピット君の身体は、まだ倒れる気配はない。