第18章 三年の歳月(前編)
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思ったより鈍っていなくて、安心した。更に先に進むと、イカロスナイトが悠然に浮遊していた。武装の兜が視界を狭めているせいもあり、こちらに気付いた様子はない。このまま気付かれず、無益な戦いを避けるのも一つの方法だ。しかし、ピット君がそれに堪えられる筈がない。恐らくマグナさんも同じ行動を起こしただろうが、無益な戦いを避ける程天使と戦士は穏便に済ませたりはしない。案の定、イカロスナイトを発見したマグナさんは即座にイカロスナイトへ攻撃を仕掛けていた。思わず額を手で抑え、呆れてしまった……幾ら、中身がピット君でも容赦がない。情けは無用なのだろうか。
「にぎやかなこったな。」
「かったりぃけどやっとくぜ。おらよっと!」
「……もしかして、俺のマネか?」
私の心情など露知れず、攻撃の手は鳴り止まない。イカロスナイトを浄化し終え、階段を小走りに昇って行く。道は決して、真っ直ぐではない。一本の道は続いているが、斜線を描いているのだ。迷いはしないが、複雑な道程である。少しは軍勢も減少するかと思いきやそれはなく、今度はイカロス・イカロスマッチョに奇襲を掛けられてしまう。状況を悪化させようと取り囲み、一斉攻撃。お決まりのパターンだ。それなのに、私には攻撃をして来る気配はない。敵と認識されていないのか、はたまた別の理由が存在するのかなんなのかはっきりしない。取り敢えず、ピット君はマグナさんで然も当然の如く浄化して打ち負かしている。情けは、やはりない模様。
私に攻撃を仕掛けては来ないけれど、とばっちりが来るとも分からないからいつでも反撃できるよう警戒態勢に入る。意思疎通出来ず、イカロス達がどう思っているのか伝達されない。なのに私には、助けを求めている気がしてならなかった。人々を守りたいって願い、行動しているのは誰だって同じだ。パルテナ軍ならばそうである。
『(待ってて!かならず、みんなを元に戻してあげるから!)』
自身の願いは誰にも聞こえないが、この思い全て誓いだ。
イカロス・イカロスマッチョが次々に倒れていく様子を悲愴な表情で見つめている。突破口を切り開くには、蹴散らすしかない……そんなの分かっている。自然軍・冥府軍の魔物等を見つけたら即座に浄化していたのに、虫がいい話なのも充分承知だが倒すのを躊躇ってしまうだなんて思いも寄らなかった。誰なんだ。この状況を作り出した張本人は。
「ヤツに好き勝手させるな。」
必ず見つけ出して、一発二発神器でメッタメタにしてやるんだから!
「『あれは!』」
「でけぇもんづくしだな。こんなに食えねぇよ。」
「冥府軍のクローラーだ。冥府軍とパルテナ軍の戦いは続いているようだな。」
「てことは、パルテナ軍の反乱は冥府軍のせいじゃねぇってこったな。」
「さらにナゾだ……。」
『(冥府軍じゃない誰かの所業……か。)』
ピット君マグナさんに全ての攻撃を託し、浄化し終えたのを見計らいマグナさんの数歩前を歩いた。見えて来るは、大きな円形広場に通ずる螺旋通路。一歩一歩ゆっくり通路を降りて行く。広場の上から垣間見える二軍の戦闘シーン。互いが譲らず、攻撃し合っている光景。一瞬の内にマグナさんが、二軍の間に割って入り攻撃を開始してしまった。目にも止まらぬ速度で迎え撃つ彼。螺旋通路の手前、戦闘を見守っている。イカロス達を倒した後(のち)、冥府軍のクローラーを浄化するのが最善策らしい。矢を放つイカロスに体当りするクローラー。飛行するイカロスの背後を取るマグナさん。激闘してくれていたのもあって、余計な体力を削らずイカロス、クローラー共々浄化に成功。タイミング良く街の中には心地好い風が吹き抜けて行く。私達は、開いた扉から先へ進むのに真剣で足元に目がいかず、誰も気付かなかったが荒廃している街の地面に希望の光が射し込むのを教えてくれるかの様に、一つの芽が出始めていたのを。
「セラ。」
『……マグナさん?』
徐々に目的のピット君へ距離を狭める中、真剣な声音のマグナさんが私の名を呼んだ。何か、話でもあるのだろう。お気楽な内容ではないのは確かだ。妙に、緊迫した雰囲気が流れている。マグナさんの身体を借りているピット君はおどおどして、酷く慌てた様子があからさまに雰囲気をぶち壊す。見ていて笑いが出そうになるけど、ここはぐっと我慢。
「(ただモノじゃないな、セラは。俺が凄んでいるのに、笑ってやがる。)」
『(ほんとうにおかしいんだけど、どうしよう。)マ、グナさん。なにを……話そうと……しているの……?』
「セラちゃんが武者震いしている?!」
飽く迄平然を装っているが、笑いを堪えるのに必死で喉に負荷が掛かっている。だが、持ち前の根性で何とかやり過ごす。お陰で小刻みに震えているし、笑いは止まらないし、状況は最悪だ。ここで襲われたら、絶対見放されている。……見放されているって分かって、正直へこんでいる所だ。何本の柱が、円に囲っている。あの場所が、最終地点だろうか。その前にイカロス等が私達目掛けて攻撃して来たのだ。そんなに、ピット君の身体を守りたいか。……語弊がある言い方はやめておこう。
「にぎやかなこったな。」
「かったりぃけどやっとくぜ。おらよっと!」
「……もしかして、俺のマネか?」
私の心情など露知れず、攻撃の手は鳴り止まない。イカロスナイトを浄化し終え、階段を小走りに昇って行く。道は決して、真っ直ぐではない。一本の道は続いているが、斜線を描いているのだ。迷いはしないが、複雑な道程である。少しは軍勢も減少するかと思いきやそれはなく、今度はイカロス・イカロスマッチョに奇襲を掛けられてしまう。状況を悪化させようと取り囲み、一斉攻撃。お決まりのパターンだ。それなのに、私には攻撃をして来る気配はない。敵と認識されていないのか、はたまた別の理由が存在するのかなんなのかはっきりしない。取り敢えず、ピット君はマグナさんで然も当然の如く浄化して打ち負かしている。情けは、やはりない模様。
私に攻撃を仕掛けては来ないけれど、とばっちりが来るとも分からないからいつでも反撃できるよう警戒態勢に入る。意思疎通出来ず、イカロス達がどう思っているのか伝達されない。なのに私には、助けを求めている気がしてならなかった。人々を守りたいって願い、行動しているのは誰だって同じだ。パルテナ軍ならばそうである。
『(待ってて!かならず、みんなを元に戻してあげるから!)』
自身の願いは誰にも聞こえないが、この思い全て誓いだ。
イカロス・イカロスマッチョが次々に倒れていく様子を悲愴な表情で見つめている。突破口を切り開くには、蹴散らすしかない……そんなの分かっている。自然軍・冥府軍の魔物等を見つけたら即座に浄化していたのに、虫がいい話なのも充分承知だが倒すのを躊躇ってしまうだなんて思いも寄らなかった。誰なんだ。この状況を作り出した張本人は。
「ヤツに好き勝手させるな。」
必ず見つけ出して、一発二発神器でメッタメタにしてやるんだから!
「『あれは!』」
「でけぇもんづくしだな。こんなに食えねぇよ。」
「冥府軍のクローラーだ。冥府軍とパルテナ軍の戦いは続いているようだな。」
「てことは、パルテナ軍の反乱は冥府軍のせいじゃねぇってこったな。」
「さらにナゾだ……。」
『(冥府軍じゃない誰かの所業……か。)』
ピット君マグナさんに全ての攻撃を託し、浄化し終えたのを見計らいマグナさんの数歩前を歩いた。見えて来るは、大きな円形広場に通ずる螺旋通路。一歩一歩ゆっくり通路を降りて行く。広場の上から垣間見える二軍の戦闘シーン。互いが譲らず、攻撃し合っている光景。一瞬の内にマグナさんが、二軍の間に割って入り攻撃を開始してしまった。目にも止まらぬ速度で迎え撃つ彼。螺旋通路の手前、戦闘を見守っている。イカロス達を倒した後(のち)、冥府軍のクローラーを浄化するのが最善策らしい。矢を放つイカロスに体当りするクローラー。飛行するイカロスの背後を取るマグナさん。激闘してくれていたのもあって、余計な体力を削らずイカロス、クローラー共々浄化に成功。タイミング良く街の中には心地好い風が吹き抜けて行く。私達は、開いた扉から先へ進むのに真剣で足元に目がいかず、誰も気付かなかったが荒廃している街の地面に希望の光が射し込むのを教えてくれるかの様に、一つの芽が出始めていたのを。
「セラ。」
『……マグナさん?』
徐々に目的のピット君へ距離を狭める中、真剣な声音のマグナさんが私の名を呼んだ。何か、話でもあるのだろう。お気楽な内容ではないのは確かだ。妙に、緊迫した雰囲気が流れている。マグナさんの身体を借りているピット君はおどおどして、酷く慌てた様子があからさまに雰囲気をぶち壊す。見ていて笑いが出そうになるけど、ここはぐっと我慢。
「(ただモノじゃないな、セラは。俺が凄んでいるのに、笑ってやがる。)」
『(ほんとうにおかしいんだけど、どうしよう。)マ、グナさん。なにを……話そうと……しているの……?』
「セラちゃんが武者震いしている?!」
飽く迄平然を装っているが、笑いを堪えるのに必死で喉に負荷が掛かっている。だが、持ち前の根性で何とかやり過ごす。お陰で小刻みに震えているし、笑いは止まらないし、状況は最悪だ。ここで襲われたら、絶対見放されている。……見放されているって分かって、正直へこんでいる所だ。何本の柱が、円に囲っている。あの場所が、最終地点だろうか。その前にイカロス等が私達目掛けて攻撃して来たのだ。そんなに、ピット君の身体を守りたいか。……語弊がある言い方はやめておこう。