第17章 新生オーラム(前編)
セラ
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オーラムブレインに繋がる一直線の道、それが長通路だった。侵入者を撃退し、ブレインを守る算段なのか長い通路内でさえ戦場と化する。本来ならば生きとし生けるもの全てに生き長らえる権利が与えられるものだが、星を侵略しよう等と目論む不届き者にその権利は奪われるみたいだ。以前ナチュレちゃんがそんな話をしていた様な気がするが、要はやむを得ない状態だ。神器を携え、妨害者を退ける。ピット君は気付いた様子はなかったが、私は……偶然にも目撃してしまった。太陽神ラーズが、口角を上げ目的が成し遂げる際に纏う不敵な笑みを。嫌な予感が直ちに胸中を過る。ラーズは何かを企んでいるのでは……?
『ピット君!今すぐ引き返そう!!』
「?!な、なに言ってるの?!セラちゃん!オーラムブレインをなんとかしなきゃ!!」
『そうだけど……このまま進んでしまったら、ダメな気がするの。』
「怖気づいたのか?セラ。」
『そうじゃないの!ゼンゼンちがうわ!』
「なら、ノー・プロブレムだな!」
嫌な予感は全く薄れず、寧ろ濃厚になっていった。普段ならば、引き返すだなんて発言はしない。只、ラーズのあの表情を見てしまったら何とかして避けるべきだと判断してしまう。けれど、胸中に存在する蟠りを取り払えなくてピット君に提案してみるが案の定一蹴されてしまった。予想はしていたのだが、そう簡単にルートを変更出来ない模様だ。ラーズへ核心に触れた言動をすれば、どうなってしまうか分かったものじゃない。相手に悟られず、何とかしてこの場を後にしたいけれど最早叶わぬ願い。
「これが……オーラムブレイン?!」
「撃ちまくれ、ピット!セラ!神器が焼け付くまで撃ちつくせ!!」
有ろうことか“オーラムブレイン”に到達してしまう。ラーズの声を皮切りに、ピット君はブレインへ攻撃を開始。ダメージ蓄積を狙い、連続攻撃は続く。私は……と言うと、神器でピット君に続き射撃してみるのだがどうしても嫌な予感は払拭出来ず、そのまま攻撃する手を止めてしまった。オーラムブレインを打ち砕かなければ、この星に住む人々も私達も神様も動物もどうなってしまうか想像はつく。だのに、自身の力は何も発揮してくれなかったのだ。
「チャンス!」
「ラーズ?!」
『えっ?!』
「脱出を!飛ばします!!」
「うわぁぁぁっ!!」
『きゃあああっ!!』
「もう少しです!」
攻撃の手を止め、事の流れを見守っていたのだけれど信じられない光景が自身の眼に飛び込んで来た。オーラムブレインに攻撃を加えていた迄はパルテナ様も計画していただろう、予想外はこの後。倒さんとしているオーラムブレインの中へ、ラーズが自ら飛び込んだのだ。この場でまさか血迷ったのかと思われたが、考えるにそうではないらしい。その反動で天使二人が存在していた空間は火の海と化し、脱出を余儀なくされてしまう。元来た通路を引き返し、火達磨になるのを避けるべく全速力で飛行する。間一髪の所で私達はパルテナ様の尽力に寄り、入り口から見事脱出に成功した。
『た、助かった。』
「ラーズは?!」
「HAHAHAHAHA……HAHAHAHAHAHA!!よくやってくれた!ピットくん!!セラちゃん!!」
「ラーズ?!」
ほっと胸を撫で下ろしていたのも束の間、ラーズの安否を問うピット君。今の流れからして、彼は恐らくラーズが血迷ってブレインの中へ突入したのだと思い込んでいるだろう。実際は違ったらしい。それを証拠に、ラーズは高らかに笑っている。こういう時、ウンザリしてしまうが自身が抱いていた嫌な予感は的中してしまったのだ。
「おかげでこんなにスバラシイ、無敵の!無敵の!無敵の!無敵の!最ッ強のパワーを手に入れたよ!」
「どういう意味だ?」
「こういう意味さ……!」
『!』
ラーズの幻影が浮かび上がり、嬉々とした声が耳に届く。ラーズが何故オーラムに詳しかったのか、内部構造を熟知し助言して来たのか、真の目的がやっと見えた。全てはオーラムの力を手中に治め、大いに活用する為。私達は、彼の手の平で踊らされていたのだ。無垢な心を忘れてはいけないが、疑う心も時に大事なのだと身を以て知る。例え引き返しても同じ道を辿っただろうが、別の結末が待ち受けていたのは言うまでもない。オーラムブレインの力を得たラーズは、私達に見せつけるべく攻撃を放って来た。ご丁寧にも敵は炎を纏い、こちらに向かって来る始末。これを支配と呼ばずして、何と呼べばいい。
「まさか……ラーズ?!」
「HAHAHAHAHAHA!!オーラムはもはや私の手足!新生オーラムの船出だ!派手に相手してやれ!」
「ほうほう。おもしろいヤツ、発見ー!」
「よろこんでおる場合じゃないと思うがの。」
『最悪な展開だよ!』
オーラムは既に、ラーズの支配下で動き始めている。次々と繰り出される攻撃に、回避しては反撃。ラーズのせいで、オーラムが更に凶暴化した気もする。攻撃の手立てがない訳ではないのだけれど、正直自分の身を守るので精一杯だ。
『ピット君!今すぐ引き返そう!!』
「?!な、なに言ってるの?!セラちゃん!オーラムブレインをなんとかしなきゃ!!」
『そうだけど……このまま進んでしまったら、ダメな気がするの。』
「怖気づいたのか?セラ。」
『そうじゃないの!ゼンゼンちがうわ!』
「なら、ノー・プロブレムだな!」
嫌な予感は全く薄れず、寧ろ濃厚になっていった。普段ならば、引き返すだなんて発言はしない。只、ラーズのあの表情を見てしまったら何とかして避けるべきだと判断してしまう。けれど、胸中に存在する蟠りを取り払えなくてピット君に提案してみるが案の定一蹴されてしまった。予想はしていたのだが、そう簡単にルートを変更出来ない模様だ。ラーズへ核心に触れた言動をすれば、どうなってしまうか分かったものじゃない。相手に悟られず、何とかしてこの場を後にしたいけれど最早叶わぬ願い。
「これが……オーラムブレイン?!」
「撃ちまくれ、ピット!セラ!神器が焼け付くまで撃ちつくせ!!」
有ろうことか“オーラムブレイン”に到達してしまう。ラーズの声を皮切りに、ピット君はブレインへ攻撃を開始。ダメージ蓄積を狙い、連続攻撃は続く。私は……と言うと、神器でピット君に続き射撃してみるのだがどうしても嫌な予感は払拭出来ず、そのまま攻撃する手を止めてしまった。オーラムブレインを打ち砕かなければ、この星に住む人々も私達も神様も動物もどうなってしまうか想像はつく。だのに、自身の力は何も発揮してくれなかったのだ。
「チャンス!」
「ラーズ?!」
『えっ?!』
「脱出を!飛ばします!!」
「うわぁぁぁっ!!」
『きゃあああっ!!』
「もう少しです!」
攻撃の手を止め、事の流れを見守っていたのだけれど信じられない光景が自身の眼に飛び込んで来た。オーラムブレインに攻撃を加えていた迄はパルテナ様も計画していただろう、予想外はこの後。倒さんとしているオーラムブレインの中へ、ラーズが自ら飛び込んだのだ。この場でまさか血迷ったのかと思われたが、考えるにそうではないらしい。その反動で天使二人が存在していた空間は火の海と化し、脱出を余儀なくされてしまう。元来た通路を引き返し、火達磨になるのを避けるべく全速力で飛行する。間一髪の所で私達はパルテナ様の尽力に寄り、入り口から見事脱出に成功した。
『た、助かった。』
「ラーズは?!」
「HAHAHAHAHA……HAHAHAHAHAHA!!よくやってくれた!ピットくん!!セラちゃん!!」
「ラーズ?!」
ほっと胸を撫で下ろしていたのも束の間、ラーズの安否を問うピット君。今の流れからして、彼は恐らくラーズが血迷ってブレインの中へ突入したのだと思い込んでいるだろう。実際は違ったらしい。それを証拠に、ラーズは高らかに笑っている。こういう時、ウンザリしてしまうが自身が抱いていた嫌な予感は的中してしまったのだ。
「おかげでこんなにスバラシイ、無敵の!無敵の!無敵の!無敵の!最ッ強のパワーを手に入れたよ!」
「どういう意味だ?」
「こういう意味さ……!」
『!』
ラーズの幻影が浮かび上がり、嬉々とした声が耳に届く。ラーズが何故オーラムに詳しかったのか、内部構造を熟知し助言して来たのか、真の目的がやっと見えた。全てはオーラムの力を手中に治め、大いに活用する為。私達は、彼の手の平で踊らされていたのだ。無垢な心を忘れてはいけないが、疑う心も時に大事なのだと身を以て知る。例え引き返しても同じ道を辿っただろうが、別の結末が待ち受けていたのは言うまでもない。オーラムブレインの力を得たラーズは、私達に見せつけるべく攻撃を放って来た。ご丁寧にも敵は炎を纏い、こちらに向かって来る始末。これを支配と呼ばずして、何と呼べばいい。
「まさか……ラーズ?!」
「HAHAHAHAHAHA!!オーラムはもはや私の手足!新生オーラムの船出だ!派手に相手してやれ!」
「ほうほう。おもしろいヤツ、発見ー!」
「よろこんでおる場合じゃないと思うがの。」
『最悪な展開だよ!』
オーラムは既に、ラーズの支配下で動き始めている。次々と繰り出される攻撃に、回避しては反撃。ラーズのせいで、オーラムが更に凶暴化した気もする。攻撃の手立てがない訳ではないのだけれど、正直自分の身を守るので精一杯だ。