第16章 オーラムの脅威(後編)
セラ
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用途は見出せないが、何故か線に沿って動いている巨大なものを発見する。例えるならば列車。羽根の隙間を縫って、進んだ先で見受けた光景だった。列車の様な生業でも、果たして列車として機能しているかは謎。オーラム軍が移動手段で用いているとも思えない。一つ納得出来る事実があるとするならば、あの列車にぶつかってしまったらダメージは免れない。もの凄い勢いで爆走しているから、ダメージも半端ではないだろう。余計な想像に一瞬身震いしてしまったが、気持ちを切り替えて横道に入り列車へ道を譲る。“歩行者優先”と言う名のマナーは、この列車に通用しないらしい。ここの道程も、タイミングが鍵となる。走り去ったのを見越し歩き始め、接近する列車を避け、横道へ。この繰り返し。焦りは禁物だが、なかなか前に進めないのも考えものである。
「フロートリングがありますね。」
『こういう施しは助かっちゃうなぁ。』
「これもオーラムのコピーなのでしょうか。」
漸く列車が通過する道を抜けたら、今度は回転するフィールドであった。立て続けに色々あると忙しいが、何とこのフィールドにはフロートリングが設置されている。回転しつつ尚且つ移動出来てしまうし、安易に敵浄化迄出来るし、これは乗らない手はない。私とピット君は有無を言わず、フロートリングに乗り込んだ。どうやら、パルテナ様がフロートリングを天界から送り込んだ訳ではないらしい。口調から察するに、当事者を彷彿としないのだ。
「温泉だろうと乗り物だろうと、使えるものはなんでも使う!!これが天使!これが天使の生きる道!!」
『えっ?そうなの?はじめて聞いた。』
だが、ピット君は余り気にしていない模様。オーラムが準備しようと構わず使用する精神論。正直な心境を述べるなら、今初めて聞かされた。何故かここで意見が食い違う。実を言うと、回転フィールドに辿り着く前温泉地が湯を煌めかせ存在しており、良い湯加減であったが入浴したのはピット君だけである。着衣したまま温泉に入っていたから例え誰かに見られても、仮に襲撃されても平気だけれどそんな勇気、私には到底持ち合わせていなかった。彼が温泉だとか言っているのはまさにそれ。オーラムの温泉だろうと関係ない。なんて思っているのかもしれない。強靭な心の持ち主だ。
「なにを気合い入れとるのじゃ。パルテナ。ちゃんとこづかいやっておるのか。」
「あ、それは……。考えたことありませんでした。」
「泣いてなんか、いない!!」
『(とか言ってるけどピット君、涙目……。)』
がめつい態度が逆に悟られてしまったのか、ナチュレちゃんがすかさず突っ込みを入れているのが耳に届き苦笑い。出来るなら今だけピット君と他人の振りをしたい。妙な羞恥心に支配され、何だか赤面。漢字 フローリングにて向かって来る敵に攻撃を加えては反撃され、バリアで守備。オーラムの素材で冥府・自然軍の魔物がコピーされた挙げ句こちらに攻撃を仕掛けられているのも何だか不思議な感覚だ。会話に意識が向きがちになるけど、敵に視界を合わせてみたら新たな発見もある。色んなタイプが居ると分かるのだ。涙目になりながらフロートリングで応戦しているピット君と、時折フロートリング同士搗ち合わせながらフロアに存在している敵全員を浄化。回転フィールドを利用しつつ、戦うのもなかなか楽しかった。こういう戦い方も割と悪くない。常にフロートリングに乗って戦えたら、ポテンシャルも出せるってものなのに。なぁんてふと思ってしまった。
敵全員を浄化し終えると、回転フィールドの中心からフロートリングに乗ったまま先に進める道程が開ける。幸いにもフロートリングに乗っている状態で戦闘態勢に入っている私達は、このまま回転フィールドの中心へとゆっくりゆっくりふわふわ降りて行く。この先に通じている道は、一体どんな仕掛けが施されているだろう。仕掛けが施されている前提で話を展開しているけれど、絶対何かはある筈。
「この先、つぶされないように注意してください、つぶされたら、フロートリングでもひとたまりもありません。」
『やっぱりなにかはあった!!』
私達が通過しようと試みた結果、心の準備もままならず壁が押し寄せて来た。言わずもがなトラップだ。私達をぺちゃんこにする魂胆だろう。フロートリングで通過しようとしているからダメージは受けないものの、フロートリングを失ってしまう可能性は充分にある。ここは慎重に行きたい所。
「セラちゃーん!はやくー!」
『えっ?!もうそこまで?!』
壁が押し寄せて来るタイミングはどの辺りなのか見極めていたのだけれど、フロートリングを私より乗りこなしているピット君は……と言うと、早々に押し寄せて来る壁のタイミングを掴みスムーズにも先へ進んで行ってしまった。こちらを呼び掛ける彼の声が耳に届き、思わず驚きの声を上げてしまう。慎重に行きたいけれど、存外止まらずに先へ進んでしまうのが有効なのかもしれない。どうしてだろう、ピット君を見ていたらそんな考えに至ってしまう。
『よしっ!いくわ!』
意を決し、フロートリングを直進させてみる。少しばかり伸縮する壁に挟まれてしまったけれど、ダメージは幸いにも最小限で済んでいる……永久に使用できる訳じゃないけれどピット君の元へ辿り着いた現在地点、フロートリングに守られている状態だ。何とかこのまま進める事実にホッと安堵の溜息をついていれば、にこりと微笑むピット君と目が合った。
「フロートリングがありますね。」
『こういう施しは助かっちゃうなぁ。』
「これもオーラムのコピーなのでしょうか。」
漸く列車が通過する道を抜けたら、今度は回転するフィールドであった。立て続けに色々あると忙しいが、何とこのフィールドにはフロートリングが設置されている。回転しつつ尚且つ移動出来てしまうし、安易に敵浄化迄出来るし、これは乗らない手はない。私とピット君は有無を言わず、フロートリングに乗り込んだ。どうやら、パルテナ様がフロートリングを天界から送り込んだ訳ではないらしい。口調から察するに、当事者を彷彿としないのだ。
「温泉だろうと乗り物だろうと、使えるものはなんでも使う!!これが天使!これが天使の生きる道!!」
『えっ?そうなの?はじめて聞いた。』
だが、ピット君は余り気にしていない模様。オーラムが準備しようと構わず使用する精神論。正直な心境を述べるなら、今初めて聞かされた。何故かここで意見が食い違う。実を言うと、回転フィールドに辿り着く前温泉地が湯を煌めかせ存在しており、良い湯加減であったが入浴したのはピット君だけである。着衣したまま温泉に入っていたから例え誰かに見られても、仮に襲撃されても平気だけれどそんな勇気、私には到底持ち合わせていなかった。彼が温泉だとか言っているのはまさにそれ。オーラムの温泉だろうと関係ない。なんて思っているのかもしれない。強靭な心の持ち主だ。
「なにを気合い入れとるのじゃ。パルテナ。ちゃんとこづかいやっておるのか。」
「あ、それは……。考えたことありませんでした。」
「泣いてなんか、いない!!」
『(とか言ってるけどピット君、涙目……。)』
がめつい態度が逆に悟られてしまったのか、ナチュレちゃんがすかさず突っ込みを入れているのが耳に届き苦笑い。出来るなら今だけピット君と他人の振りをしたい。妙な羞恥心に支配され、何だか赤面。
敵全員を浄化し終えると、回転フィールドの中心からフロートリングに乗ったまま先に進める道程が開ける。幸いにもフロートリングに乗っている状態で戦闘態勢に入っている私達は、このまま回転フィールドの中心へとゆっくりゆっくりふわふわ降りて行く。この先に通じている道は、一体どんな仕掛けが施されているだろう。仕掛けが施されている前提で話を展開しているけれど、絶対何かはある筈。
「この先、つぶされないように注意してください、つぶされたら、フロートリングでもひとたまりもありません。」
『やっぱりなにかはあった!!』
私達が通過しようと試みた結果、心の準備もままならず壁が押し寄せて来た。言わずもがなトラップだ。私達をぺちゃんこにする魂胆だろう。フロートリングで通過しようとしているからダメージは受けないものの、フロートリングを失ってしまう可能性は充分にある。ここは慎重に行きたい所。
「セラちゃーん!はやくー!」
『えっ?!もうそこまで?!』
壁が押し寄せて来るタイミングはどの辺りなのか見極めていたのだけれど、フロートリングを私より乗りこなしているピット君は……と言うと、早々に押し寄せて来る壁のタイミングを掴みスムーズにも先へ進んで行ってしまった。こちらを呼び掛ける彼の声が耳に届き、思わず驚きの声を上げてしまう。慎重に行きたいけれど、存外止まらずに先へ進んでしまうのが有効なのかもしれない。どうしてだろう、ピット君を見ていたらそんな考えに至ってしまう。
『よしっ!いくわ!』
意を決し、フロートリングを直進させてみる。少しばかり伸縮する壁に挟まれてしまったけれど、ダメージは幸いにも最小限で済んでいる……永久に使用できる訳じゃないけれどピット君の元へ辿り着いた現在地点、フロートリングに守られている状態だ。何とかこのまま進める事実にホッと安堵の溜息をついていれば、にこりと微笑むピット君と目が合った。