第16章 オーラムの脅威(後編)
セラ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
要塞のシールドに戦艦と言う名の通路を作り出してくれたハデス。激突した衝撃で火の海とかした通路を暑さに耐えながら、漸く通過した私達は必死な思いで入り口……かどうかは分からないが取り敢えずこの地点に立ち尽くしている。
「あー、鼻の奥まで熱い!」
『あーあ。服のすそに煤が。』
「要塞の奥に高エネルギー反応を発見しました。恐らく動力炉でしょう。」
火の海と化した通路を通過した所為で、様々な部位に煤が付着してしまったみたいだ。眉間に皺を寄せては、地道に煤を振り払っている。奇跡が功を奏していると思うが、火達磨にならずに済んで良かった。今回の場合止むを得なかったが、出来るならばもう熱い思いをしたくはない。服に煤が付着しているのも気にせずにそのまま進もうとするピット君に制止の声を上げ、彼に近付き服や肌に付着している煤を取り払ってあげた。さすれば何故か両頬を赤く染めて、礼を述べてくれた彼。返事も兼ねて微笑めば、そっぽを向き先に進んで行ってしまった。
『……?』
「(セラちゃんが眩しくて直視できない……!!)」
先に行ってしまったピット君を追い掛けるかの様に、私も急いで後に続く。パルテナ様が目的地を告げてくれたお陰で、今回天使二人に課せられた任務が動力炉を再起不能にするのだと認識する。良く良く考えてみたら大まかに聞いていた気がするが、詳細は話されていなかった。パルテナ様の意図が瞬時に伝達され、納得したと言わんばかりの表情を浮かべつつ構える扉から更に先へ歩みを進めれば突如何かを知らせる音が周囲にけたたましく鳴り響いた。と同時に空間が赤く光り、点滅し始める。まるで侵入者を知らせる警報……みたいな。
「警報?!」
『囲まれた!!』
「侵入者が入ってきたのですから。」
「当然の反応じゃのう。むしろ人間くさくて気になるくらいじゃ。ヤツら、羽音や触角や超音波でコミュニケーションしそうじゃがのう。」
『まるで虫ね。』
「あ、そういう解釈はアリですね。」
侵入者を知らせる警報だったのかと呑気に思っていたら、何処から湧いて出たのか侵入者を撃退すべく立ち上がった者達が天使二人を取り囲む。腕に自信がある猛者 かどうかは分からないけれど、ピット君が有無を言わずバッタバッタと倒しているから強いのか区別がつかない。彼に至っては、余裕とも取れる表情を浮かべている。まだ序盤であるが、負けていられない。向かって来る敵に応戦し、手早く浄化してみせる。相も変わらず、蟻一匹入る隙のない天使二人の連携プレー。意志力は感じないし、感情が作用しているとも思えないけれど私達の戦いぶりを見て怖気付けばポテンシャルも上がるだろう。そんな願いを込めて、侵入者の警報を聞きフロアに駆け付け集結した敵全部を浄化するのに成功した。良いペースである。こういう時、強くなったなぁと実感。今迄の経験が糧になっているのだと分かって、何だか嬉しくなる。誰にも気付かれぬ様笑みを零していると、外の情報を包み隠さず教えてくれた。
「冥府軍が乗っ取った戦艦は派手にやられているようですね。」
「ムリもなかろう。運用ははじめてじゃろうし 要塞の火力が圧倒的じゃ。」
「しかし、同士討ちで数を減らしてくれるのは助かります。」
「どういたしましてぇ。これをキッカケに惚れてくれてもいいのよ?セラちゃん。」
『えっ?!いや、うん。ないかな。』
「セラちゃんったら、いけずだわぁ。」
そんなやり取りを繰り広げながら扉を抜け、一本の通路から再度扉に入る。単純に見えて、実は複雑な道程だ。扉に入って更に先へ進むのかと思いきや、一面に広がっている景色と相違する床がエレベーターの機能をしていたらしい。床へ到達した二人は重みでなのか分かりかねるが、エレベーター機能が働きゆっくり下降して行く。私達を一体何処へ連れて行ってくれるのだろう。等と考えながら周囲を見渡してみれば、目の前に紫色のタイルが設置されているのが窺えた。誰もが予想できると思う。これは明らかに紫色のタイルを一歩でも踏めば、漏れなくダメージを受けてしまう侵入者泣かせのシステムだろう。元よりオーラム軍は浮遊している敵が多いし、地に足をつけて歩行する習慣もなさそうだから設置されていたとしても味方に害はない と言った所なのか。想像上で物事を話したが、強ち間違ってもいなさそう。良く良く観察していれば、紫色のタイルが効力を失う時間が僅かながらに存在していた。もしかして侵入者泣かせのシステムではなく、元々設置されていたのだろうか。問い掛けようにも、問い掛けられないのが少々もどかしい。飛行出来たらここ迄悩まずに済むのだけれど、ピット君の手前それも出来ない。次第に口から出て来たのは何を隠そう、溜息だった。
「球の中心に重力が働いているんですね。」
「大地に対してさかさになっておる可能性もあるということかの。」
「なんだかややこしいけど要塞が大きいから気にならないなぁ。」
『規模が大きいからね。』
紫タイルについて何かしら助言があると待っていたが、触れていたのは要塞全体に関してだった。重力が働いていると言うが、それらしき要素が何処にもない。重力が働いているのに、ふわふわ浮遊出来たり……夢物語の様な現象が引き起こったりしないのだろうか。ジャンプ台とは相違する移動手段が活用できると思ったのだが、うまく事が運んだりしないらしい。妙な残念感が自身を支配し、思わず肩を落胆させてしまった。
会話に発展しなかった紫色のタイルを効力が失われた隙に飛び越え、歩行を進める。紫色のタイルと言い、全てオーラム軍が編み出したのだろうか。やはりオーラム軍は、謎が多い。
「あー、鼻の奥まで熱い!」
『あーあ。服のすそに煤が。』
「要塞の奥に高エネルギー反応を発見しました。恐らく動力炉でしょう。」
火の海と化した通路を通過した所為で、様々な部位に煤が付着してしまったみたいだ。眉間に皺を寄せては、地道に煤を振り払っている。奇跡が功を奏していると思うが、火達磨にならずに済んで良かった。今回の場合止むを得なかったが、出来るならばもう熱い思いをしたくはない。服に煤が付着しているのも気にせずにそのまま進もうとするピット君に制止の声を上げ、彼に近付き服や肌に付着している煤を取り払ってあげた。さすれば何故か両頬を赤く染めて、礼を述べてくれた彼。返事も兼ねて微笑めば、そっぽを向き先に進んで行ってしまった。
『……?』
「(セラちゃんが眩しくて直視できない……!!)」
先に行ってしまったピット君を追い掛けるかの様に、私も急いで後に続く。パルテナ様が目的地を告げてくれたお陰で、今回天使二人に課せられた任務が動力炉を再起不能にするのだと認識する。良く良く考えてみたら大まかに聞いていた気がするが、詳細は話されていなかった。パルテナ様の意図が瞬時に伝達され、納得したと言わんばかりの表情を浮かべつつ構える扉から更に先へ歩みを進めれば突如何かを知らせる音が周囲にけたたましく鳴り響いた。と同時に空間が赤く光り、点滅し始める。まるで侵入者を知らせる警報……みたいな。
「警報?!」
『囲まれた!!』
「侵入者が入ってきたのですから。」
「当然の反応じゃのう。むしろ人間くさくて気になるくらいじゃ。ヤツら、羽音や触角や超音波でコミュニケーションしそうじゃがのう。」
『まるで虫ね。』
「あ、そういう解釈はアリですね。」
侵入者を知らせる警報だったのかと呑気に思っていたら、何処から湧いて出たのか侵入者を撃退すべく立ち上がった者達が天使二人を取り囲む。腕に自信がある猛者 かどうかは分からないけれど、ピット君が有無を言わずバッタバッタと倒しているから強いのか区別がつかない。彼に至っては、余裕とも取れる表情を浮かべている。まだ序盤であるが、負けていられない。向かって来る敵に応戦し、手早く浄化してみせる。相も変わらず、蟻一匹入る隙のない天使二人の連携プレー。意志力は感じないし、感情が作用しているとも思えないけれど私達の戦いぶりを見て怖気付けばポテンシャルも上がるだろう。そんな願いを込めて、侵入者の警報を聞きフロアに駆け付け集結した敵全部を浄化するのに成功した。良いペースである。こういう時、強くなったなぁと実感。今迄の経験が糧になっているのだと分かって、何だか嬉しくなる。誰にも気付かれぬ様笑みを零していると、外の情報を包み隠さず教えてくれた。
「冥府軍が乗っ取った戦艦は派手にやられているようですね。」
「ムリもなかろう。運用ははじめてじゃろうし 要塞の火力が圧倒的じゃ。」
「しかし、同士討ちで数を減らしてくれるのは助かります。」
「どういたしましてぇ。これをキッカケに惚れてくれてもいいのよ?セラちゃん。」
『えっ?!いや、うん。ないかな。』
「セラちゃんったら、いけずだわぁ。」
そんなやり取りを繰り広げながら扉を抜け、一本の通路から再度扉に入る。単純に見えて、実は複雑な道程だ。扉に入って更に先へ進むのかと思いきや、一面に広がっている景色と相違する床がエレベーターの機能をしていたらしい。床へ到達した二人は重みでなのか分かりかねるが、エレベーター機能が働きゆっくり下降して行く。私達を一体何処へ連れて行ってくれるのだろう。等と考えながら周囲を見渡してみれば、目の前に紫色のタイルが設置されているのが窺えた。誰もが予想できると思う。これは明らかに紫色のタイルを一歩でも踏めば、漏れなくダメージを受けてしまう侵入者泣かせのシステムだろう。元よりオーラム軍は浮遊している敵が多いし、地に足をつけて歩行する習慣もなさそうだから設置されていたとしても味方に害はない と言った所なのか。想像上で物事を話したが、強ち間違ってもいなさそう。良く良く観察していれば、紫色のタイルが効力を失う時間が僅かながらに存在していた。もしかして侵入者泣かせのシステムではなく、元々設置されていたのだろうか。問い掛けようにも、問い掛けられないのが少々もどかしい。飛行出来たらここ迄悩まずに済むのだけれど、ピット君の手前それも出来ない。次第に口から出て来たのは何を隠そう、溜息だった。
「球の中心に重力が働いているんですね。」
「大地に対してさかさになっておる可能性もあるということかの。」
「なんだかややこしいけど要塞が大きいから気にならないなぁ。」
『規模が大きいからね。』
紫タイルについて何かしら助言があると待っていたが、触れていたのは要塞全体に関してだった。重力が働いていると言うが、それらしき要素が何処にもない。重力が働いているのに、ふわふわ浮遊出来たり……夢物語の様な現象が引き起こったりしないのだろうか。ジャンプ台とは相違する移動手段が活用できると思ったのだが、うまく事が運んだりしないらしい。妙な残念感が自身を支配し、思わず肩を落胆させてしまった。
会話に発展しなかった紫色のタイルを効力が失われた隙に飛び越え、歩行を進める。紫色のタイルと言い、全てオーラム軍が編み出したのだろうか。やはりオーラム軍は、謎が多い。
1/7ページ