第16章 オーラムの脅威(前編)
セラ
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前回のあらすじを敢えて述べるとすれば、“浮遊大陸群オーラム”が突如として空に飛来した。何故飛来したのか不明、こちら側とコンタクトを取れないのだから当然目的も不明。何者であるか……それすら分かっていなかった。物知りなパルテナ様でさえ、首を横に振る程だ。オーラムに矢鱈詳しい太陽神ラーズは様々な情報を垂れ流していたが、信憑性は何とも言い難い。そんな状況下に陥っているのに、何処の軍も同盟は組まず寂しさに支配される中、私とピット君は見事オーラムの核を打ち砕いた。これで少しは勢力が衰えると思われたが、それは大きな間違いだった。何を隠そう今日もまた、パルテナ様から出陣命令が下ったのだ。夕ご飯を作るべく、キッチンに立ち始めた最中であった。恐らくパルテナ様は今迄様々な準備を進めていたのだと思われる。ピット君は……と言うと、気合い充分に鍛錬をしていたらしい。どちらもオーラム戦に備えて、努力を惜しまない様子が伝達されて来る。この場合私も鍛錬するなり、何かしらの対策を講じるべきなのだろうが例え行動を起こしていても空腹を訴えるというもの。此処に居る皆の為、私はいつもと変わらずメニューを思い描き作業に入ろうとしたのだけれどそれは一旦おあずけ。お勤めだし、未だ活動的なオーラムを放っておけないがタイミングが悪い。無事任務が終わって帰還したらピット君とパルテナ様、今でも神殿はたまたエンジェランドの警備に当たっているイカロス達に思う存分食べさせてあげようと内心思いつつ、私達は自身の神器を携えてゲートから飛び立とうと助走をつけた。
「オーラム……!!」
ゲートから垣間見えた景色は、夕雲が覆っている空だった。人々が活動を終え、家族の元へ帰宅するそろそろ夜へ変化する頃合、私達のお勤めが始まりを告げる。夜に戦いを挑むケースは多々あったが、今回もそうなるらしい。夕雲が覆っている空の隙間から僅かに星が瞬いた気がした。あれは、一番星だろうか。
「うわああッ?!」
『きゃああッ?!』
等と思っていれば何の前触れもなく、ゲートから吸い込まれ張本人達もそのつもりで居たが強制的に戦場へと赴いてしまう。突然吸い上げられ、驚愕故に思わず叫んでしまったがダメージは受けずに済む。ホッと胸を撫で下ろし、目の前の敵に向き直る。さすれば、オーラムが創り出し規模を拡大したのだろう。夥しい数の戦艦が空に散らばっていた。もしも夥しい数の戦艦を人々が眼に入れてしまえば最後、混沌と暴動が起きるに違いない。そうなっては見るに耐えない争いが勃発してしまう可能性がある。考えたくはないが、決してないとも言い切れなかった。人間達が醜い争いを引き起こさない為に、急降下して目標の戦艦へいつでも狙いを定めている。
「オーラムの空中戦艦軍に奇襲をかけます。」
「き、急降下攻撃ですね!!やってやります!」
『激しい……。やばい……。』
風を身体全体で受け流し、真っ直ぐ飛行して突き進む。激しさが増して行くばかりであるが、音をあげてもいられない。風力に負けず、両眼をしっかり見開いて戦艦に照準を合わせるが、どうやら全体に攻撃を当てて陥落させる方法を用いる訳でもなさそうなのだ。疑問符が頭上に幾つも浮上する宛ら、パルテナ様が声を荒げ叫んだ。
「いまです!」
戦艦の機体を通過するかと思われたが、表面にぽつんと緑色に輝く何かを発見する。察するに、緑色の何かを破壊すれば状況も変わるらしいのだ。言われるがままに、三隻の機体にくっ付いている緑色に輝く何かに照準を合わせて次々と壊して行く。立て続けに壊した直後、三隻の機体は爆発音を周辺に轟かせ陥落。ほっと安堵の溜息をついたのも束の間、何処から伴なく戦艦が出現し始める。それもキリがないぐらいに。
「戦艦、多すぎです!!」
『キリがありません!!』
「戦艦、巡洋艦、航空母艦、駆逐艦、潜水艦と……。」
「いやいや、さすがに潜水艦はいないんじゃないでしょうか。」
『でもスゴイ戦艦ばっかり。』
「これは撤退したほうがよいでしょうか……。」
陥落させる努力は惜しまずしているけれど、天使二人だけで何隻もの戦艦を何とか出来るとも思えない。ただでさえ、戦艦からの猛攻撃を受けている。勿論ひらひらと攻撃を躱している為、一切当たらないが。性分ではないけれど、途中で諦めるのも余儀なくされるかも知れない。その考えに到達した頃合には、パルテナ様が撤退の選択を視野に入れていた。無理に突撃するよりも一旦神殿に帰還し、作戦を練るのも方法の一つなのではないか。だが、その選択肢を迫られた矢先誰かの声が耳を掠めた。
「その必要はないんじゃない?!ピンチこそ最大の好機よ!」
「『ハデス!』」
「この戦艦、冥府軍が接収してくれよう。もってけ!もってけ!今がチャーンス!」
聞き覚えのある声、声の主はハデスだった。撤退も一つの方法だと思ったが、彼女の考えをハデスは一蹴する。何か作戦でもあるのだろうか?事の末を見守っていると、何処から湧いて出たのか冥府の軍勢……それこそ数え切れぬ程の魔物等が戦艦を取り囲み、群がった。どうやら冥府軍なりにオーラムへ嗾けているらしいのだ。頭の切れるハデスならではの作戦と行動だと思う。何か悔しいけど。
「うまくいっても困ることになりますが とにかくこのスキに進みましょう。」
目を見張る光景に言葉を失っていると、オーラムが冥府軍に気を取られている隙に私達は先に進むべく飛行ルートに沿って徐々に速度を上げた。八方塞がりで撤退を余儀なくされる所だったが、何とか戦場に留まり今も尚目的地に向けて飛行中だ。回避出来ているものの、攻撃を受けている。そんな最中、パルテナ様が本題を切り出した。
「この先に、戦艦を生み出している要塞があります。」
「戦艦を生み出している……?“発進させている”じゃなくてですか?」
『(もしかして、あれが要塞かな……?)』
真っ直ぐ前を見据え、彼女の話に耳を傾けていると遥か先ではあるが前方に謎の球体が雲の上にぼうっと浮かび上がった。まだまだ遠距離ではあるが、謎の球体が要塞であり私達の目的地であるならば何となく合点が行く。それに謎の球体へ向けて飛行ルートが修正されている気がするのだ。自身の勘が確信へと変化した瞬間だった。
「あ、そうですね。まるでハチの巣のようだったので、つい。人数が少ない私たちは、双騎駆けで大将の首を取るしかありません。なにがあるのかわかりませんが行ってください、ピット セラ。」
「巨大な女王バチがいないことを祈ります!」
『行くわよーっ!』
「オーラム……!!」
ゲートから垣間見えた景色は、夕雲が覆っている空だった。人々が活動を終え、家族の元へ帰宅するそろそろ夜へ変化する頃合、私達のお勤めが始まりを告げる。夜に戦いを挑むケースは多々あったが、今回もそうなるらしい。夕雲が覆っている空の隙間から僅かに星が瞬いた気がした。あれは、一番星だろうか。
「うわああッ?!」
『きゃああッ?!』
等と思っていれば何の前触れもなく、ゲートから吸い込まれ張本人達もそのつもりで居たが強制的に戦場へと赴いてしまう。突然吸い上げられ、驚愕故に思わず叫んでしまったがダメージは受けずに済む。ホッと胸を撫で下ろし、目の前の敵に向き直る。さすれば、オーラムが創り出し規模を拡大したのだろう。夥しい数の戦艦が空に散らばっていた。もしも夥しい数の戦艦を人々が眼に入れてしまえば最後、混沌と暴動が起きるに違いない。そうなっては見るに耐えない争いが勃発してしまう可能性がある。考えたくはないが、決してないとも言い切れなかった。人間達が醜い争いを引き起こさない為に、急降下して目標の戦艦へいつでも狙いを定めている。
「オーラムの空中戦艦軍に奇襲をかけます。」
「き、急降下攻撃ですね!!やってやります!」
『激しい……。やばい……。』
風を身体全体で受け流し、真っ直ぐ飛行して突き進む。激しさが増して行くばかりであるが、音をあげてもいられない。風力に負けず、両眼をしっかり見開いて戦艦に照準を合わせるが、どうやら全体に攻撃を当てて陥落させる方法を用いる訳でもなさそうなのだ。疑問符が頭上に幾つも浮上する宛ら、パルテナ様が声を荒げ叫んだ。
「いまです!」
戦艦の機体を通過するかと思われたが、表面にぽつんと緑色に輝く何かを発見する。察するに、緑色の何かを破壊すれば状況も変わるらしいのだ。言われるがままに、三隻の機体にくっ付いている緑色に輝く何かに照準を合わせて次々と壊して行く。立て続けに壊した直後、三隻の機体は爆発音を周辺に轟かせ陥落。ほっと安堵の溜息をついたのも束の間、何処から伴なく戦艦が出現し始める。それもキリがないぐらいに。
「戦艦、多すぎです!!」
『キリがありません!!』
「戦艦、巡洋艦、航空母艦、駆逐艦、潜水艦と……。」
「いやいや、さすがに潜水艦はいないんじゃないでしょうか。」
『でもスゴイ戦艦ばっかり。』
「これは撤退したほうがよいでしょうか……。」
陥落させる努力は惜しまずしているけれど、天使二人だけで何隻もの戦艦を何とか出来るとも思えない。ただでさえ、戦艦からの猛攻撃を受けている。勿論ひらひらと攻撃を躱している為、一切当たらないが。性分ではないけれど、途中で諦めるのも余儀なくされるかも知れない。その考えに到達した頃合には、パルテナ様が撤退の選択を視野に入れていた。無理に突撃するよりも一旦神殿に帰還し、作戦を練るのも方法の一つなのではないか。だが、その選択肢を迫られた矢先誰かの声が耳を掠めた。
「その必要はないんじゃない?!ピンチこそ最大の好機よ!」
「『ハデス!』」
「この戦艦、冥府軍が接収してくれよう。もってけ!もってけ!今がチャーンス!」
聞き覚えのある声、声の主はハデスだった。撤退も一つの方法だと思ったが、彼女の考えをハデスは一蹴する。何か作戦でもあるのだろうか?事の末を見守っていると、何処から湧いて出たのか冥府の軍勢……それこそ数え切れぬ程の魔物等が戦艦を取り囲み、群がった。どうやら冥府軍なりにオーラムへ嗾けているらしいのだ。頭の切れるハデスならではの作戦と行動だと思う。何か悔しいけど。
「うまくいっても困ることになりますが とにかくこのスキに進みましょう。」
目を見張る光景に言葉を失っていると、オーラムが冥府軍に気を取られている隙に私達は先に進むべく飛行ルートに沿って徐々に速度を上げた。八方塞がりで撤退を余儀なくされる所だったが、何とか戦場に留まり今も尚目的地に向けて飛行中だ。回避出来ているものの、攻撃を受けている。そんな最中、パルテナ様が本題を切り出した。
「この先に、戦艦を生み出している要塞があります。」
「戦艦を生み出している……?“発進させている”じゃなくてですか?」
『(もしかして、あれが要塞かな……?)』
真っ直ぐ前を見据え、彼女の話に耳を傾けていると遥か先ではあるが前方に謎の球体が雲の上にぼうっと浮かび上がった。まだまだ遠距離ではあるが、謎の球体が要塞であり私達の目的地であるならば何となく合点が行く。それに謎の球体へ向けて飛行ルートが修正されている気がするのだ。自身の勘が確信へと変化した瞬間だった。
「あ、そうですね。まるでハチの巣のようだったので、つい。人数が少ない私たちは、双騎駆けで大将の首を取るしかありません。なにがあるのかわかりませんが行ってください、ピット セラ。」
「巨大な女王バチがいないことを祈ります!」
『行くわよーっ!』
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