第15章 謎の侵略者(後編)
セラ
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攻撃を試みても無駄だと判断したのか、最終的にピット君と私が打倒する選択を余儀なくされる。明らかに不本意な態度を見せる私達。世界の命運が私達の手に掛かっているのは間違いないけれど、納得がいく訳でもない。
えっ?世界の命運とかそこ迄言ってないって?ちょっとオーバーだったかしら。
「どんだけパルテナ様 好き好きなんじゃ。この天使ら。(セラに至っては羨ましいとしか言いようがないのう。)」
「アレでしょ?言うこと聞かないとアタマの月桂樹が締まるんでしょ?(まぁ、いずれおじさんのモノにするけどね。)」
「どれどれ。えいっ!(セラは私たちにとって大切な存在ですから、誰であろうと容赦しません。)」
『?』
「イテテテテテ、やめてくださいよ〜 脳みそはみでちゃいますよ〜って、なんやそれ!!」
「あ、ノッたよ。」
「ノリましたね。」
『ノリノリだね。』
「ノリがいいねぇ。」
「……なにこの空気。」
螺旋通路はまだまだ続く。ゆっくり歩行を進めながらも、展開されている会話。その中で頭の月桂樹について触れられる。実際そんな機能はないと思ったが記憶違いだったか。と考えを巡らせたのも束の間、ピット君が恐らくわざとリアクションをして見せた。だが、私の頭に痛みは当然襲って来ない。首を傾げる程だ。彼だけ痛む筈もないから、場に合わせてノッているだけだと分かる。しかも結構、面白いのだ。これで笑わずにはいられない。歩きながらくすくす笑っていたら「セラちゃんまでぇ。」なんて言われてしまった。敵対しているにも関わらず、こういった場面で面白可笑しくするからどうにも憎めない時がある。今まさにこの状況だ。こういう時間がずっと続けば、当たり前に争いは引き起こらなかっただろう。妙に残念な気持ちに支配されてしまうのは、こういう会話を聞いてしまったから。互いの軍同士が歩み寄ってくれれば、同盟を組み、オーラムを打ち倒すべく行動を起こし、互いに尊重し支え合っていたのではないか。何故、大事な局面で有りもしない願いを抱いてしまうのだろう。私の悪い癖だ。でも、直そうとは思えない。未だ諦めていないからか。様々な種族が歩み寄ってくれる未来を。
「足場の中央がエレベーターになってますよ。」
通路を降り切って辿り着いた先は、ボスへと通ずる道程。足場のエレベーターが下降して、私達を運んでくれるらしい。ひょいっと身軽にエレベーターへ乗り込み、私達は今回の最大任務と言える“オーラムの核”へ真っ直ぐ移動を開始した。どういう敵が待ち受けているのだろう。緊張感走る中、私達二人は“オーラムの核”へ神器を構え静かに向き直った。
「あれが弱点?!」
『やっぱり生き物じゃない!!』
「やっとけば?」
『カンタンに言うわね。』
漸くご対面だ。と言っても意志がない、生物でもない、オーラムの動力だ。オーラムの根源と称しても支障がないだろう。私達侵入者を発見し、ヒートアップしているのかサイレン音が頻りに聞こえて来る。それだけじゃない。至極当然なのだが核の周囲でぐるぐるぐる台座の様なものが天使二人目掛けて弾を放って来たのだ。敵と見做されているのか、激しい攻撃が続く。今の段階では、探り探りだ。
「シールドと砲台がやっかいな……。」
「シールドは特定の場所だけ空いているようです。まわりこんで、空いているところから攻撃しなさい。砲台は、側面から壊しておくとよいでしょうね。」
『(あれって砲台なのね。)』
核の周囲でぐるぐるぐる回転しているのがシールドであり、核を守備している防御壁。あのシールドを破壊出来たらどれだけ戦闘が有利になるか、分かったものじゃない。だけど、パルテナ様からの口振りからしてその行為は不可能に値し、シールドの隙間から攻撃を加える方法しか見つからないみたいだ。それを証拠に、試しにシールドへ攻撃を加えてみたが変化は見られなかった。気を取り直して、砲台に照準を合わせ射撃する。今は不利な状態であるが、少しでも有利に傾く為のフィールドを勝手に作る。ピット君が攻撃しやすい様に仕向けてみれば、彼は自身の思惑を察知してくれたのか。ここぞとばかりにシールドの隙間から攻撃を加えている。彼の順応が早くて、助かるばかりだ。砲台やシールドに気を取られてしまいがちだが、床部分も忘れてはいけない。何と、床にもトラップが仕掛けられているのだ。床の色が紫色に変色すると、痺れてしまう特徴を持っているらしい。まるで何処かのタイルゲームだ。砲台を破壊し、シールドの隙間から核へ攻撃を加えダメージを蓄積させ、尚且つ紫に変色した床を踏むとダメージを受ける為、踏まぬよう足元さえ注意を払わなければならない。なんて色々忙しい。
「おたくのピット君とセラちゃんは強いねぇ。がんばるね。」
「はい。ふたりがいなければ 私は生きていけません。」
「そんな、もったいない!僕たちが戦えるのもパルテナ様のおかげです!」
『そうです!すごく誇りに思います!』
砲台を全て破壊し、反撃に入る。紫色の床を踏まない努力を心がけ、シールドの隙間から射撃を加えて行く。さすがに打撃は勇気がいる。攪乱……出来ているかどうかは分からないが、四方八方に散り射撃を加えているのがたった今。チャンスだと言わんばかりに乱射していると思う。勝利に繋げる意図だ。無論妥協はしない。順調に核へ向けて攻撃を続ける最中、ハデスから褒め言葉を貰う。正直嬉しくない。
「どうじゃ?この無欲、無償、無警戒、無疑惑の強いきずなは。」
「ん?無償っつーのは少しちがうんじゃないの?」
「そんなことありませんことよ。」
「ハートとか……ゴホンゴホン。」
「献上したり……ウェッホオッホ。」
『どうしたの、いきなり。』
「コメントは控えさせていただきます。」
「えーと……。僕はアタマが悪いのでよくわかりません。それでいいでしょう!もー!!」
『(ピット君、メンドウくさくなったのね。)』
パルテナ様からお言葉を頂戴するのとでは訳が違う。それは、彼女に対する欽慕の念であると信じて疑わない。改めて自身の気持ちを再確認した所で、核へ向けて次か次へとダメージを蓄積させて行く。砲台も破壊して、紫色の床に気を遣えば恐れるものは何もない。そろそろ核側に異変……つまりはダメージに耐えかね、力を失ってくれるのではないかと期待を寄せているのだけれど、そうそううまくは行かないらしい。
えっ?世界の命運とかそこ迄言ってないって?ちょっとオーバーだったかしら。
「どんだけパルテナ様 好き好きなんじゃ。この天使ら。(セラに至っては羨ましいとしか言いようがないのう。)」
「アレでしょ?言うこと聞かないとアタマの月桂樹が締まるんでしょ?(まぁ、いずれおじさんのモノにするけどね。)」
「どれどれ。えいっ!(セラは私たちにとって大切な存在ですから、誰であろうと容赦しません。)」
『?』
「イテテテテテ、やめてくださいよ〜 脳みそはみでちゃいますよ〜って、なんやそれ!!」
「あ、ノッたよ。」
「ノリましたね。」
『ノリノリだね。』
「ノリがいいねぇ。」
「……なにこの空気。」
螺旋通路はまだまだ続く。ゆっくり歩行を進めながらも、展開されている会話。その中で頭の月桂樹について触れられる。実際そんな機能はないと思ったが記憶違いだったか。と考えを巡らせたのも束の間、ピット君が恐らくわざとリアクションをして見せた。だが、私の頭に痛みは当然襲って来ない。首を傾げる程だ。彼だけ痛む筈もないから、場に合わせてノッているだけだと分かる。しかも結構、面白いのだ。これで笑わずにはいられない。歩きながらくすくす笑っていたら「セラちゃんまでぇ。」なんて言われてしまった。敵対しているにも関わらず、こういった場面で面白可笑しくするからどうにも憎めない時がある。今まさにこの状況だ。こういう時間がずっと続けば、当たり前に争いは引き起こらなかっただろう。妙に残念な気持ちに支配されてしまうのは、こういう会話を聞いてしまったから。互いの軍同士が歩み寄ってくれれば、同盟を組み、オーラムを打ち倒すべく行動を起こし、互いに尊重し支え合っていたのではないか。何故、大事な局面で有りもしない願いを抱いてしまうのだろう。私の悪い癖だ。でも、直そうとは思えない。未だ諦めていないからか。様々な種族が歩み寄ってくれる未来を。
「足場の中央がエレベーターになってますよ。」
通路を降り切って辿り着いた先は、ボスへと通ずる道程。足場のエレベーターが下降して、私達を運んでくれるらしい。ひょいっと身軽にエレベーターへ乗り込み、私達は今回の最大任務と言える“オーラムの核”へ真っ直ぐ移動を開始した。どういう敵が待ち受けているのだろう。緊張感走る中、私達二人は“オーラムの核”へ神器を構え静かに向き直った。
「あれが弱点?!」
『やっぱり生き物じゃない!!』
「やっとけば?」
『カンタンに言うわね。』
漸くご対面だ。と言っても意志がない、生物でもない、オーラムの動力だ。オーラムの根源と称しても支障がないだろう。私達侵入者を発見し、ヒートアップしているのかサイレン音が頻りに聞こえて来る。それだけじゃない。至極当然なのだが核の周囲でぐるぐるぐる台座の様なものが天使二人目掛けて弾を放って来たのだ。敵と見做されているのか、激しい攻撃が続く。今の段階では、探り探りだ。
「シールドと砲台がやっかいな……。」
「シールドは特定の場所だけ空いているようです。まわりこんで、空いているところから攻撃しなさい。砲台は、側面から壊しておくとよいでしょうね。」
『(あれって砲台なのね。)』
核の周囲でぐるぐるぐる回転しているのがシールドであり、核を守備している防御壁。あのシールドを破壊出来たらどれだけ戦闘が有利になるか、分かったものじゃない。だけど、パルテナ様からの口振りからしてその行為は不可能に値し、シールドの隙間から攻撃を加える方法しか見つからないみたいだ。それを証拠に、試しにシールドへ攻撃を加えてみたが変化は見られなかった。気を取り直して、砲台に照準を合わせ射撃する。今は不利な状態であるが、少しでも有利に傾く為のフィールドを勝手に作る。ピット君が攻撃しやすい様に仕向けてみれば、彼は自身の思惑を察知してくれたのか。ここぞとばかりにシールドの隙間から攻撃を加えている。彼の順応が早くて、助かるばかりだ。砲台やシールドに気を取られてしまいがちだが、床部分も忘れてはいけない。何と、床にもトラップが仕掛けられているのだ。床の色が紫色に変色すると、痺れてしまう特徴を持っているらしい。まるで何処かのタイルゲームだ。砲台を破壊し、シールドの隙間から核へ攻撃を加えダメージを蓄積させ、尚且つ紫に変色した床を踏むとダメージを受ける為、踏まぬよう足元さえ注意を払わなければならない。なんて色々忙しい。
「おたくのピット君とセラちゃんは強いねぇ。がんばるね。」
「はい。ふたりがいなければ 私は生きていけません。」
「そんな、もったいない!僕たちが戦えるのもパルテナ様のおかげです!」
『そうです!すごく誇りに思います!』
砲台を全て破壊し、反撃に入る。紫色の床を踏まない努力を心がけ、シールドの隙間から射撃を加えて行く。さすがに打撃は勇気がいる。攪乱……出来ているかどうかは分からないが、四方八方に散り射撃を加えているのがたった今。チャンスだと言わんばかりに乱射していると思う。勝利に繋げる意図だ。無論妥協はしない。順調に核へ向けて攻撃を続ける最中、ハデスから褒め言葉を貰う。正直嬉しくない。
「どうじゃ?この無欲、無償、無警戒、無疑惑の強いきずなは。」
「ん?無償っつーのは少しちがうんじゃないの?」
「そんなことありませんことよ。」
「ハートとか……ゴホンゴホン。」
「献上したり……ウェッホオッホ。」
『どうしたの、いきなり。』
「コメントは控えさせていただきます。」
「えーと……。僕はアタマが悪いのでよくわかりません。それでいいでしょう!もー!!」
『(ピット君、メンドウくさくなったのね。)』
パルテナ様からお言葉を頂戴するのとでは訳が違う。それは、彼女に対する欽慕の念であると信じて疑わない。改めて自身の気持ちを再確認した所で、核へ向けて次か次へとダメージを蓄積させて行く。砲台も破壊して、紫色の床に気を遣えば恐れるものは何もない。そろそろ核側に異変……つまりはダメージに耐えかね、力を失ってくれるのではないかと期待を寄せているのだけれど、そうそううまくは行かないらしい。