第15章 謎の侵略者(後編)
セラ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
移動時間が短縮出来る……なんて素晴らしいんだろう。このままずっとビートルで走り抜けられたら、どんなに良いだろう。と思うが、例の如くそんなうまい話はない。何故ならば数メートル先、ビートル降車地点が窺えたからだ。天使の視力は、特に良い。遠巻きの風景さえも、良く見えてしまうのだ。その手前には、何と宝箱。
「また宝箱がありますね。」
「ほこらしげじゃな。」
『逆に怪しいね。』
最早隠し立てするつもりもないのか、堂々と存在している。明らかに罠だと分かるがピット君は……
「ミミッ子ォォォォ!!」
「つくづくオンナにゃかなわないねぇ。」
『(なにがあったの、ハデス。)』
「オオオオオオオ!!」
わざとなのかそうでないのか、宝箱へわざわざビートルを降りて近付いて行った。だが、誰でも分かる様にそれは罠。言わずもがなミミッ子がすらりとした両足で、連続蹴りを繰り出して来た。溜息をつき、ピット君の援護に回る。素直過ぎるだろう。ハデスが含みのある言い方をしていたが、まさか私の事だとは知る由もない。
「この先、グラインドレールを引いてみたのですが……。」
「それはありがとうございます!」
『とっても助かります!』
「どうもうまくいきませんでした。ちょっといびつな感じになっていますがあまり気にしないでくださいね。」
まだ乗っていたかったビートルを渋々降りて扉を抜けると、目の前にはグラインドレールが引かれ行き止まりだった道程が新たに出来た。これで八方塞がりであったのが解消される。レールに乗り込んだ天使二人はグラインドレールに身を委ね、敵を浄化して行く。ここから景色全体を見つめると、壮大であるのが分かった。スケールが大きいとはまさにこの事。まさかこの場所が気に入ってしまったなんて言わないよね。もしもそうであるならば、全力で撤退させなければならない。人類、はたまたこの世の生物全ての存続がピット君と私の手に掛かっている。頑張らなければならない。
「な、なんかカクカクしてる。」
「未知の力が働いているようで……。」
「神の力もねじ曲げるか。オーラム恐るべしじゃのう。」
「ゴメンナサイ……。」
『オーラムってほんとう何者なの……。』
不安がないと言えば嘘になるけれどそれでも隣にピット君、パルテナ様も天界から温かく見守って下さるから使命を胸に戦える。自身の思いを強く持ち、向かって来る敵を悉く浄化していれば「気合い入ってるね!セラちゃん!」と褒められてしまった。思わず、照れ笑いをする私。目線を合わせていたピット君だったが、何故か顔毎、目を逸らしてしまう。首を傾げ、頭上に疑問符を飛ばしてしまったが彼の両耳は此見よがしに真っ赤だったし、顔を手で覆っていた。
「(ほんとうセラちゃんって……尊い!!)」
長々しくグラインドレールが引かれており、一旦地に足がついたものの何処迄もレールは続いている。地に足をつき、レールに乗り込む動作が繰り返され、その合間に敵を浄化してみたりもする。そこには如何にも倒してくれと言わんばかりに、浮遊している敵が。やり過ごすのもまた手の内なのだが、隣のピット君は明らかにそういうタイプではない。
「あ、それを攻撃すると怒って反撃してくるみたいですよ。」
「は、早く言ってくださいよッ!!」
『時すでに遅かりし由良之助。』
迅速に浄化すべき行動を起こしたの良いが、返って仇となってしまう。目の前の敵を怒らせてしまったピット君は、追われつつも確実に浄化する機会を窺っていた。だが、なかなか隙を狙えない。あの敵はどうやら攻撃した相手にしか、危害を加えないらしい。それを証拠に、私に対して攻撃を仕掛けて来る様子はない。ピット君だけ集中的に攻撃を喰らい、回避出来ているものの大変そうだ。手を出すのもどうかと思ったが、やむを得ない。ここは彼に加勢しよう。大分苦戦を強いられたが、何とか浄化に成功した。汗だくになりながら、浄化出来た達成感もなかなか良いものだ。喜び故ににこりと微笑み合って、互いにグータッチしてしまったのもまた絆の強さである。
レールに乗り継ぎ、そろそろグラインドレールに寄る移動が終わりを迎えそうな頃合い、パルテナ様からレールの終わりを告げる声が聞こえて来た。
「そろそろグラインドレール地帯も最後です。」
「最後はキメます!キメキメです!!」
『気合い充分だね!ピット君。』
テンポ良く敵を倒して行くピット君に負けないよう、私も神器で応戦する。戦いに夢中で気付かなかったが、いつの間にかグラインドレールは終わりを迎え、私達は地に足をつき戦場に適した身のこなしで浄化に専念していた。グラインドレールを乗り終えた私達が次に向かったのはエレベーター。エレベーターで下降し、そこからあの高い塔へ向かうみたいだ。
「塔の周囲に降りていける穴があるはずです。」
変わらずパルテナ様がナビゲーションしてくれている。試しに今、立ち尽くしている道程を覗き込んでみるとそこには、複雑な道程が下にずっと続いていた。螺旋通路だ。
「ここを降りていけばいいんですね。」
『この先になにかがいるのね。(得体の知れないなにかが……)』
「塔の根本に高いエネルギー反応があります。そこを叩けば、あるいは……。」
「自信なさげだねぇ。では、わが冥府軍を突っ込ませよう。行っとき!」
螺旋通路をゆっくり下に降りて行く。塔の上……ではなく、下に何かがあるとはこの大陸の栄養源か。言葉にするのは難しいが、強ち間違いではないだろう。けれどパルテナ様は確信が持てず、自信がないご様子。はっきり断言出来る程の根拠はないらしい。彼女の言葉を耳に留めたハデスは、冥府軍の魔物達を突入させる命を下した。よくもまあ、命知らずな行動を起こせるものだ。相変わらず、愛は感じられない。主観の問題なのかもしれないけれど、メデューサだったらそんな命令を下さなかったと思う……きっと。そんな思いに駆られながら、下へと降りて行く天使二人。下の状況は全く以て分からないが、冥府の魔物達が懸命に攻撃している音が聞こえて来た。激しいバトルの模様。
「あらら。こりゃぁダメだね。」
だが、結果は惨敗だったらしい。
「ここはピットとセラに任せるがよかろう。」
「しゃくにさわるなぁ。」
『頼られ感が……ねぇ。』
「まぁまぁ。がんばって、ピット セラ。」
「はいッ!!」
『任せてくださいッ!!』
「また宝箱がありますね。」
「ほこらしげじゃな。」
『逆に怪しいね。』
最早隠し立てするつもりもないのか、堂々と存在している。明らかに罠だと分かるがピット君は……
「ミミッ子ォォォォ!!」
「つくづくオンナにゃかなわないねぇ。」
『(なにがあったの、ハデス。)』
「オオオオオオオ!!」
わざとなのかそうでないのか、宝箱へわざわざビートルを降りて近付いて行った。だが、誰でも分かる様にそれは罠。言わずもがなミミッ子がすらりとした両足で、連続蹴りを繰り出して来た。溜息をつき、ピット君の援護に回る。素直過ぎるだろう。ハデスが含みのある言い方をしていたが、まさか私の事だとは知る由もない。
「この先、グラインドレールを引いてみたのですが……。」
「それはありがとうございます!」
『とっても助かります!』
「どうもうまくいきませんでした。ちょっといびつな感じになっていますがあまり気にしないでくださいね。」
まだ乗っていたかったビートルを渋々降りて扉を抜けると、目の前にはグラインドレールが引かれ行き止まりだった道程が新たに出来た。これで八方塞がりであったのが解消される。レールに乗り込んだ天使二人はグラインドレールに身を委ね、敵を浄化して行く。ここから景色全体を見つめると、壮大であるのが分かった。スケールが大きいとはまさにこの事。まさかこの場所が気に入ってしまったなんて言わないよね。もしもそうであるならば、全力で撤退させなければならない。人類、はたまたこの世の生物全ての存続がピット君と私の手に掛かっている。頑張らなければならない。
「な、なんかカクカクしてる。」
「未知の力が働いているようで……。」
「神の力もねじ曲げるか。オーラム恐るべしじゃのう。」
「ゴメンナサイ……。」
『オーラムってほんとう何者なの……。』
不安がないと言えば嘘になるけれどそれでも隣にピット君、パルテナ様も天界から温かく見守って下さるから使命を胸に戦える。自身の思いを強く持ち、向かって来る敵を悉く浄化していれば「気合い入ってるね!セラちゃん!」と褒められてしまった。思わず、照れ笑いをする私。目線を合わせていたピット君だったが、何故か顔毎、目を逸らしてしまう。首を傾げ、頭上に疑問符を飛ばしてしまったが彼の両耳は此見よがしに真っ赤だったし、顔を手で覆っていた。
「(ほんとうセラちゃんって……尊い!!)」
長々しくグラインドレールが引かれており、一旦地に足がついたものの何処迄もレールは続いている。地に足をつき、レールに乗り込む動作が繰り返され、その合間に敵を浄化してみたりもする。そこには如何にも倒してくれと言わんばかりに、浮遊している敵が。やり過ごすのもまた手の内なのだが、隣のピット君は明らかにそういうタイプではない。
「あ、それを攻撃すると怒って反撃してくるみたいですよ。」
「は、早く言ってくださいよッ!!」
『時すでに遅かりし由良之助。』
迅速に浄化すべき行動を起こしたの良いが、返って仇となってしまう。目の前の敵を怒らせてしまったピット君は、追われつつも確実に浄化する機会を窺っていた。だが、なかなか隙を狙えない。あの敵はどうやら攻撃した相手にしか、危害を加えないらしい。それを証拠に、私に対して攻撃を仕掛けて来る様子はない。ピット君だけ集中的に攻撃を喰らい、回避出来ているものの大変そうだ。手を出すのもどうかと思ったが、やむを得ない。ここは彼に加勢しよう。大分苦戦を強いられたが、何とか浄化に成功した。汗だくになりながら、浄化出来た達成感もなかなか良いものだ。喜び故ににこりと微笑み合って、互いにグータッチしてしまったのもまた絆の強さである。
レールに乗り継ぎ、そろそろグラインドレールに寄る移動が終わりを迎えそうな頃合い、パルテナ様からレールの終わりを告げる声が聞こえて来た。
「そろそろグラインドレール地帯も最後です。」
「最後はキメます!キメキメです!!」
『気合い充分だね!ピット君。』
テンポ良く敵を倒して行くピット君に負けないよう、私も神器で応戦する。戦いに夢中で気付かなかったが、いつの間にかグラインドレールは終わりを迎え、私達は地に足をつき戦場に適した身のこなしで浄化に専念していた。グラインドレールを乗り終えた私達が次に向かったのはエレベーター。エレベーターで下降し、そこからあの高い塔へ向かうみたいだ。
「塔の周囲に降りていける穴があるはずです。」
変わらずパルテナ様がナビゲーションしてくれている。試しに今、立ち尽くしている道程を覗き込んでみるとそこには、複雑な道程が下にずっと続いていた。螺旋通路だ。
「ここを降りていけばいいんですね。」
『この先になにかがいるのね。(得体の知れないなにかが……)』
「塔の根本に高いエネルギー反応があります。そこを叩けば、あるいは……。」
「自信なさげだねぇ。では、わが冥府軍を突っ込ませよう。行っとき!」
螺旋通路をゆっくり下に降りて行く。塔の上……ではなく、下に何かがあるとはこの大陸の栄養源か。言葉にするのは難しいが、強ち間違いではないだろう。けれどパルテナ様は確信が持てず、自信がないご様子。はっきり断言出来る程の根拠はないらしい。彼女の言葉を耳に留めたハデスは、冥府軍の魔物達を突入させる命を下した。よくもまあ、命知らずな行動を起こせるものだ。相変わらず、愛は感じられない。主観の問題なのかもしれないけれど、メデューサだったらそんな命令を下さなかったと思う……きっと。そんな思いに駆られながら、下へと降りて行く天使二人。下の状況は全く以て分からないが、冥府の魔物達が懸命に攻撃している音が聞こえて来た。激しいバトルの模様。
「あらら。こりゃぁダメだね。」
だが、結果は惨敗だったらしい。
「ここはピットとセラに任せるがよかろう。」
「しゃくにさわるなぁ。」
『頼られ感が……ねぇ。』
「まぁまぁ。がんばって、ピット セラ。」
「はいッ!!」
『任せてくださいッ!!』