「復活の手始めに人間共を血祭りにあげてやろうぞ。また混沌と呼べるのが楽しみだ。…セラ…」

『？！』

「貴様が持つ強大な力…諦めた訳ではない。必ず我が冥府軍が頂く…大人しく待っていろ。」

『メデューサ…』


私に対する言葉を発した後、メデューサの幻影は跡形もなく消え、先程まで暗闇だった空は明るさを取り戻し暖かい陽の光に照らされる。


メデューサは決して諦めた訳ではなかった、私の中に潜在する強大な力を。25年前に比べ、私は強くなった…神器を使いこなし、パルテナ軍親衛副隊長としてパルテナ様を…エンジェランドに住む皆を守ってきた…でも私がメデューサに打ち勝つ自信なんてこれっぽっちもなくて…。悔しさや虚しさ、色んな感情がごちゃごちゃと入り混じり、下唇を噛み締めては下を俯いた。


『（結局、私は…25年前と何一つ変わっていないんだ…）』

「…大丈夫だよ。セラちゃんは僕達が付いてる、一人じゃない。絶対メデューサの思惑通りになんてさせないよ。」

『ピット君…』

「セラ、気に病む事はありません。貴方は強くなりました…心身共に。パルテナ軍親衛副隊長の名に相応しいのはセラしかいないのですから。」

『パルテナ様…』


“私はもう一人じゃない”

この時を持って実感した、私にはもう仲間という大切なものがある…と。あの時私にはなかった確かな優しさ…いや、あの時から既に持ち合わせていたのかもしれない。

彼女が守ると言ってくれた瞬間も、彼が私を助け出して光を見せてくれた瞬間も。心強い言葉を掛けてくれたピット君と温かい言葉を掛けてくれたパルテナ様に感謝の意を込め“ありがとう”を伝える。すれば（パルテナ様は雰囲気で）二人が嬉しそうに笑ってくれた。（ピット君に至っては顔が赤く染まっている気がした）



『（本当に…本当に…ありがとう。）』