第14章 電光石火の激突(後編)
セラ
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「エレカに直接攻撃は危険です。距離を空け、静止時を狙いなさい」
「なんだか肌がピリピリします!」
「放電の影響ね。私にとってはキモチいいけれど」
『さすが電気使い……』
円形のフィールドに一本の木が生い茂る正に自然の中での戦いが繰り広げられる。パルテナ様の言葉通り、距離を詰めず言わずもがな射撃攻撃で応戦する天使二人。エレカちゃんに素早く立ち回られ、三方向から連続弾を発射される。今は攻撃パターンが分からないのもあり反撃するのは困難だ。攻撃が当たらぬ様分散して動き、機会を窺う他ない。どうやらエレカちゃんも遠距離からの攻撃を得意としているみたいだ。肌がピリピリするのを軽く無視して次から次へと止まない攻撃をカニ歩きで回避。このフィールドは私達天使にとって不利な状態を創り出している。形勢逆転するにはどうすれば良いか。脳裏で必死に考えを巡らせている。エレカちゃんから発射された雷の弾を華麗に躱しているピット君が見えた。
「おうおう。やっておるやっておる」
「ふぅ。外での合戦でエキサイトしちゃった。本日のメインイベントを見逃すところだったよ」
「ま、結果は知れておるがの」
「すっかり神の見せ物になっているということでしょうか?」
「あら、光栄ですわ。せいぜい がんばりますよ」
「望むところだ!電光のエレカ、勝負!!」
『絶対負けないんだから!!』
たった今この瞬間、射撃での反撃を試みている。何という技名なのか知らないが、竜の形をした電撃弾がこちらへ向けて発射された。相殺を狙ったのか意図が読めないがこのままだと反撃を試みたこちらの攻撃は意味をなくしてしまう。また別の手段を考えなければ。不意に出た溜め息は静かに空間へ分散して行った。何か作戦を練って不利な状況を打開するべきか。だとすればピット君を囮にして私はエレカちゃんの背後に回り攻撃を加えるべきか。咄嗟に編み出した策であるが決して悪くはない手段だ。そうと決まれば、ピット君に攻撃を任せて私は徐々に距離を拡げて行く。正直先程射撃で反撃してみたのは無に帰すると思われていた。だが何と相殺しなかった射撃の弾はエレカちゃんにきちんと届いたのだ。少なからずダメージを与えられた成果は何より大きい。けれど過信はしない。次の手を編み出したのだから、行動に移すのみ。ピット君と作戦の共有をした訳ではないから上手くいくかは言い難いし保証はないがやらないよりかはましに思えた。エレカちゃんがピット君に気を取られている隙を狙い、彼女へ距離を狭めて行く。勿論背後に回って。あとはタイミングだ。
『エレカちゃん 覚悟ォ!』
「!セラ?!」
「セラちゃん!」
傍観者がいようといまいと関係ない。正直ピット君を囮にするのは気が引けたが、そうでもしないといつまでも反撃できず時間だけが過ぎて行くのみ。駄目で元々だ。幸いにもエレカちゃんは彼を攻撃するのに夢中で私が背後に回って機会を窺っているとは微塵も考えていない様子。地面が青く輝き、何らかの技が繰り出されると察知した頃合には羽翼で羽ばたき回避して、エレカちゃんに向けて渾身の一撃を見舞っていた。
「セラ……可愛い顔してなかなかやるわね」
『どうもありがとう』
意外にもその一撃が効いたみたいだ。それが理由かは見当が付かないが突如姿を晦ましてしまう。パルテナ様がこっそり教えてくれたのだけれどエレカちゃんは姿を晦ませたのではなくて、瞬間移動しこちらに手痛い攻撃を喰らわせようと目論んでいるらしいのだ。遠距離ではなく、接近戦に持ち込まれる可能性が高い。
「そこだ!」
ピット君がエレカちゃんの姿を捉えた。突発的に姿を現した彼女は、ピット君が携えている神器の餌食となってしまう。未だ不利な状態は続いているが、どんどん逆転出来ている。これは良い徴候だ。しかし状況は予断を許さない。彼女から反撃されない筈はなく、此見よがしに次々と攻撃を繰り出されてしまう。
「エレカの電撃を受けるとシビれることもあるでしょう」
「すべての攻撃をピシッと回避できれば どうということもないです!」
「ガチャガチャと動けば少しは早くシビれが取れますよ」
『(……んっ?ガチャガチャ?)』
不覚にも攻撃を喰らってしまった天使二人は、ダメージを受けてしまいそれだけに留まらず全身が痺れてしまう……これはさすがに痛い。全身の自由が効かず、僅かな動作をするのさえ困難となる。パルテナ様の助言が突破口だ。全身の自由が効かないこの瞬間、鳴り止まない攻撃を何とかカニ歩きで回避して行く。パルテナ様の言う“ガチャガチャ”動きを実践した結果、漸く痺れが取れてきた。こういう状況に陥るのを見ると油断は禁物である。いつどうなるか分かったものじゃない。だからこそ勝負は面白いのかも知れない、そんな気がしている。
けれどそろそろ勝敗をつけたいのが本音。恐らくエレカちゃんもピット君も同じ思いを抱いているだろう。だが出たとこ勝負になってしまっては一気にこちらが不利になってしまう。遠距離で攻撃して来ていたエレカちゃんがいつの間にか至近距離でこちら側へ攻撃を仕掛けて来るのが窺える。これはもしかしたらチャンスかも知れない。今迄は至近距離で攻撃される度手痛い一撃を喰らってしまうと距離を置いていたけれどそれではエレカちゃんに渾身の一撃を与えられない。それを考慮して繰り出される攻撃を回避しつつ、反撃出来る機会を今か今かと待ち侘びている天使二人。何とかエレカちゃんにもう一度喰らわせたいけれど……?どうしたものかと動きながら、射撃を加え場を凌いでみる。ピット君を援護している点で言えば正解だと思う。彼は今、カニ歩きで打撃出来ないものかと思案している最中だ。恐らく次の一撃で勝敗が決まる。私もいつの間にかナチュレちゃんやハデスと同じく戦いを端から見つめている立場に治まっていた。勿論パルテナ軍が勝利する最後の一秒迄決して諦めない。ピット君の勝利を心の底から信じていたが、彼が勝利する未来を両手で合わせては願っていた。
緊迫した雰囲気が流れている。誰も言葉を発さない。ピット君もエレカちゃんも攻撃を仕掛けず、動いているのみであったが次の瞬間同時に距離を狭めて行く……目にも止まらぬ速さで。眼を塞ぎたくなったが、この戦いも一秒逃さず見届けなければならない。そんな使命がある様な気がした。
「電光!」
「石火ぁぁぁぁ!!」
何より彼が人々の為そして私の為全力で戦ってくれていると痛感したからだ。どちらも引けを取らなかったが、ピット君がエレカちゃんの懐に入り力一杯打撃を加えた。力一杯打撃を喰らったエレカちゃんは何とか膝を付いて態勢を整えたが反撃する余力はもう残っていない様だ。
「まさかここまでとはね。さすがだわ」
『エレカちゃん……』
「まさか、電光のエレカを退けるとは!」
「ナチュレ!次はおまえだ!」
ピット君……パルテナ軍の勝利は確実のものとなった。全身の自由が効かず、僅かな動作をするのさえ困難となる。パルテナ様の助言が突破口だ。全身の自由が効かないこの瞬間、鳴り止まない攻撃を何とかカニ歩きで回避して行く。パルテナ様の言う“ガチャガチャ”動きを実践した結果、漸く痺れが取れてきた。こういう状況に陥るのを見ると油断は禁物である。いつどうなるか分かったものじゃない。だからこそ勝負は面白いのかも知れない、そんな気がしている。
けれどそろそろ勝敗をつけたいのが本音。恐らくエレカちゃんもピット君も同じ思いを抱いているだろう。だが出たとこ勝負になってしまっては一気にこちらが不利になってしまう。遠距離で攻撃して来ていたエレカちゃんがいつの間にか至近距離でこちら側へ攻撃を仕掛けて来るのが窺える。これはもしかしたらチャンスかも知れない。今迄は至近距離で攻撃される度手痛い一撃を喰らってしまうと距離を置いていたけれどそれではエレカちゃんに渾身の一撃を与えられない。それを考慮して繰り出される攻撃を回避しつつ、反撃出来る機会を今か今かと待ち侘びている天使二人。何とかエレカちゃんにもう一度喰らわせたいけれど……?どうしたものかと動きながら、射撃を加え場を凌いでみる。ピット君を援護している点で言えば正解だと思う。彼は今、カニ歩きで打撃出来ないものかと思案している最中だ。敗北してしまったエレカちゃんは、私達の目の前から姿を消してしまう。勝利したお陰で人々を危険に晒す脅威も諦めていないと思うが私をつけ狙う魔の手も衰えたと見える。これで一安心だと言いたい所だがエレカちゃんともっと仲良くなれなかったかとどうしても思わずには居られなくて自然と伏し目がちになってしまったのは幸い誰にも見られてはいなかった。
『?!』
寂しい気持ちに支配されていると、突如神殿がガタガタ揺れ始め、様々な建造が崩壊し始めた。エレカちゃんが姿を消し、神殿が力を失ったからだ。もうこの神殿は誰かからの支配も受けず、只無に帰るだけ。私達の足場が段々崩れて行くのが分かる。
「エレカたんがいなくなったことで ここは廃墟に逆戻りと」
「ハデス様、“たん”はやめましょう」
崩壊していく神殿を眼に映しながら、任務を終えた天使二人は静かに天界へと帰還した。
(To be continued……)
やっと書き上げられた……。皆様如何お過ごしでしょうか?世の中は早くも……否そうでもないかもしれませんが梅雨前線が到来しましたね。お陰様で雨が散々降っている……訳でもなく私が住んでいる所は雨が降る気配すらありません。水不足が危惧されているこの頃です。それはさておき、漸く自然軍編が書き終わりました( ´∀`)書き終わった後の安心感って半端ないですね。(それはいつもなんですが(汗))エレカちゃんとセラ嬢をどう絡ませるべきか正直悩みました。悩んで悩んだ末ああいう話の筋になりましたが、どうだったでしょうか?皆様もそうだと思いますがパルテナの鏡って悪役で敵対すると分かっていながら何処か憎めないですよね。情が移ってしまうと言いますか何と言いますか。出来るなら戦いたくはないけれど、でも話の進行上その道を通過しなければならない究極の選択。エレカちゃんも絶対そのタイプだと思います。出来るならば戦いたくはなかったのですが致し方なし。最終的にセラ嬢は応戦するのではなく、ピット君との戦いを見守るのは管理人の微妙な心境が反映しているのかもしれません(苦笑)
次は誰もが頭を悩ませたオーラム軍ですね。またもや新キャラも登場しますし、引き続き頑張りたいと思います(*´∀`)
此処まで読んで下さってありがとうございました!
by虹
「なんだか肌がピリピリします!」
「放電の影響ね。私にとってはキモチいいけれど」
『さすが電気使い……』
円形のフィールドに一本の木が生い茂る正に自然の中での戦いが繰り広げられる。パルテナ様の言葉通り、距離を詰めず言わずもがな射撃攻撃で応戦する天使二人。エレカちゃんに素早く立ち回られ、三方向から連続弾を発射される。今は攻撃パターンが分からないのもあり反撃するのは困難だ。攻撃が当たらぬ様分散して動き、機会を窺う他ない。どうやらエレカちゃんも遠距離からの攻撃を得意としているみたいだ。肌がピリピリするのを軽く無視して次から次へと止まない攻撃をカニ歩きで回避。このフィールドは私達天使にとって不利な状態を創り出している。形勢逆転するにはどうすれば良いか。脳裏で必死に考えを巡らせている。エレカちゃんから発射された雷の弾を華麗に躱しているピット君が見えた。
「おうおう。やっておるやっておる」
「ふぅ。外での合戦でエキサイトしちゃった。本日のメインイベントを見逃すところだったよ」
「ま、結果は知れておるがの」
「すっかり神の見せ物になっているということでしょうか?」
「あら、光栄ですわ。せいぜい がんばりますよ」
「望むところだ!電光のエレカ、勝負!!」
『絶対負けないんだから!!』
たった今この瞬間、射撃での反撃を試みている。何という技名なのか知らないが、竜の形をした電撃弾がこちらへ向けて発射された。相殺を狙ったのか意図が読めないがこのままだと反撃を試みたこちらの攻撃は意味をなくしてしまう。また別の手段を考えなければ。不意に出た溜め息は静かに空間へ分散して行った。何か作戦を練って不利な状況を打開するべきか。だとすればピット君を囮にして私はエレカちゃんの背後に回り攻撃を加えるべきか。咄嗟に編み出した策であるが決して悪くはない手段だ。そうと決まれば、ピット君に攻撃を任せて私は徐々に距離を拡げて行く。正直先程射撃で反撃してみたのは無に帰すると思われていた。だが何と相殺しなかった射撃の弾はエレカちゃんにきちんと届いたのだ。少なからずダメージを与えられた成果は何より大きい。けれど過信はしない。次の手を編み出したのだから、行動に移すのみ。ピット君と作戦の共有をした訳ではないから上手くいくかは言い難いし保証はないがやらないよりかはましに思えた。エレカちゃんがピット君に気を取られている隙を狙い、彼女へ距離を狭めて行く。勿論背後に回って。あとはタイミングだ。
『エレカちゃん 覚悟ォ!』
「!セラ?!」
「セラちゃん!」
傍観者がいようといまいと関係ない。正直ピット君を囮にするのは気が引けたが、そうでもしないといつまでも反撃できず時間だけが過ぎて行くのみ。駄目で元々だ。幸いにもエレカちゃんは彼を攻撃するのに夢中で私が背後に回って機会を窺っているとは微塵も考えていない様子。地面が青く輝き、何らかの技が繰り出されると察知した頃合には羽翼で羽ばたき回避して、エレカちゃんに向けて渾身の一撃を見舞っていた。
「セラ……可愛い顔してなかなかやるわね」
『どうもありがとう』
意外にもその一撃が効いたみたいだ。それが理由かは見当が付かないが突如姿を晦ましてしまう。パルテナ様がこっそり教えてくれたのだけれどエレカちゃんは姿を晦ませたのではなくて、瞬間移動しこちらに手痛い攻撃を喰らわせようと目論んでいるらしいのだ。遠距離ではなく、接近戦に持ち込まれる可能性が高い。
「そこだ!」
ピット君がエレカちゃんの姿を捉えた。突発的に姿を現した彼女は、ピット君が携えている神器の餌食となってしまう。未だ不利な状態は続いているが、どんどん逆転出来ている。これは良い徴候だ。しかし状況は予断を許さない。彼女から反撃されない筈はなく、此見よがしに次々と攻撃を繰り出されてしまう。
「エレカの電撃を受けるとシビれることもあるでしょう」
「すべての攻撃をピシッと回避できれば どうということもないです!」
「ガチャガチャと動けば少しは早くシビれが取れますよ」
『(……んっ?ガチャガチャ?)』
不覚にも攻撃を喰らってしまった天使二人は、ダメージを受けてしまいそれだけに留まらず全身が痺れてしまう……これはさすがに痛い。全身の自由が効かず、僅かな動作をするのさえ困難となる。パルテナ様の助言が突破口だ。全身の自由が効かないこの瞬間、鳴り止まない攻撃を何とかカニ歩きで回避して行く。パルテナ様の言う“ガチャガチャ”動きを実践した結果、漸く痺れが取れてきた。こういう状況に陥るのを見ると油断は禁物である。いつどうなるか分かったものじゃない。だからこそ勝負は面白いのかも知れない、そんな気がしている。
けれどそろそろ勝敗をつけたいのが本音。恐らくエレカちゃんもピット君も同じ思いを抱いているだろう。だが出たとこ勝負になってしまっては一気にこちらが不利になってしまう。遠距離で攻撃して来ていたエレカちゃんがいつの間にか至近距離でこちら側へ攻撃を仕掛けて来るのが窺える。これはもしかしたらチャンスかも知れない。今迄は至近距離で攻撃される度手痛い一撃を喰らってしまうと距離を置いていたけれどそれではエレカちゃんに渾身の一撃を与えられない。それを考慮して繰り出される攻撃を回避しつつ、反撃出来る機会を今か今かと待ち侘びている天使二人。何とかエレカちゃんにもう一度喰らわせたいけれど……?どうしたものかと動きながら、射撃を加え場を凌いでみる。ピット君を援護している点で言えば正解だと思う。彼は今、カニ歩きで打撃出来ないものかと思案している最中だ。恐らく次の一撃で勝敗が決まる。私もいつの間にかナチュレちゃんやハデスと同じく戦いを端から見つめている立場に治まっていた。勿論パルテナ軍が勝利する最後の一秒迄決して諦めない。ピット君の勝利を心の底から信じていたが、彼が勝利する未来を両手で合わせては願っていた。
緊迫した雰囲気が流れている。誰も言葉を発さない。ピット君もエレカちゃんも攻撃を仕掛けず、動いているのみであったが次の瞬間同時に距離を狭めて行く……目にも止まらぬ速さで。眼を塞ぎたくなったが、この戦いも一秒逃さず見届けなければならない。そんな使命がある様な気がした。
「電光!」
「石火ぁぁぁぁ!!」
何より彼が人々の為そして私の為全力で戦ってくれていると痛感したからだ。どちらも引けを取らなかったが、ピット君がエレカちゃんの懐に入り力一杯打撃を加えた。力一杯打撃を喰らったエレカちゃんは何とか膝を付いて態勢を整えたが反撃する余力はもう残っていない様だ。
「まさかここまでとはね。さすがだわ」
『エレカちゃん……』
「まさか、電光のエレカを退けるとは!」
「ナチュレ!次はおまえだ!」
ピット君……パルテナ軍の勝利は確実のものとなった。全身の自由が効かず、僅かな動作をするのさえ困難となる。パルテナ様の助言が突破口だ。全身の自由が効かないこの瞬間、鳴り止まない攻撃を何とかカニ歩きで回避して行く。パルテナ様の言う“ガチャガチャ”動きを実践した結果、漸く痺れが取れてきた。こういう状況に陥るのを見ると油断は禁物である。いつどうなるか分かったものじゃない。だからこそ勝負は面白いのかも知れない、そんな気がしている。
けれどそろそろ勝敗をつけたいのが本音。恐らくエレカちゃんもピット君も同じ思いを抱いているだろう。だが出たとこ勝負になってしまっては一気にこちらが不利になってしまう。遠距離で攻撃して来ていたエレカちゃんがいつの間にか至近距離でこちら側へ攻撃を仕掛けて来るのが窺える。これはもしかしたらチャンスかも知れない。今迄は至近距離で攻撃される度手痛い一撃を喰らってしまうと距離を置いていたけれどそれではエレカちゃんに渾身の一撃を与えられない。それを考慮して繰り出される攻撃を回避しつつ、反撃出来る機会を今か今かと待ち侘びている天使二人。何とかエレカちゃんにもう一度喰らわせたいけれど……?どうしたものかと動きながら、射撃を加え場を凌いでみる。ピット君を援護している点で言えば正解だと思う。彼は今、カニ歩きで打撃出来ないものかと思案している最中だ。敗北してしまったエレカちゃんは、私達の目の前から姿を消してしまう。勝利したお陰で人々を危険に晒す脅威も諦めていないと思うが私をつけ狙う魔の手も衰えたと見える。これで一安心だと言いたい所だがエレカちゃんともっと仲良くなれなかったかとどうしても思わずには居られなくて自然と伏し目がちになってしまったのは幸い誰にも見られてはいなかった。
『?!』
寂しい気持ちに支配されていると、突如神殿がガタガタ揺れ始め、様々な建造が崩壊し始めた。エレカちゃんが姿を消し、神殿が力を失ったからだ。もうこの神殿は誰かからの支配も受けず、只無に帰るだけ。私達の足場が段々崩れて行くのが分かる。
「エレカたんがいなくなったことで ここは廃墟に逆戻りと」
「ハデス様、“たん”はやめましょう」
崩壊していく神殿を眼に映しながら、任務を終えた天使二人は静かに天界へと帰還した。
(To be continued……)
やっと書き上げられた……。皆様如何お過ごしでしょうか?世の中は早くも……否そうでもないかもしれませんが梅雨前線が到来しましたね。お陰様で雨が散々降っている……訳でもなく私が住んでいる所は雨が降る気配すらありません。水不足が危惧されているこの頃です。それはさておき、漸く自然軍編が書き終わりました( ´∀`)書き終わった後の安心感って半端ないですね。(それはいつもなんですが(汗))エレカちゃんとセラ嬢をどう絡ませるべきか正直悩みました。悩んで悩んだ末ああいう話の筋になりましたが、どうだったでしょうか?皆様もそうだと思いますがパルテナの鏡って悪役で敵対すると分かっていながら何処か憎めないですよね。情が移ってしまうと言いますか何と言いますか。出来るなら戦いたくはないけれど、でも話の進行上その道を通過しなければならない究極の選択。エレカちゃんも絶対そのタイプだと思います。出来るならば戦いたくはなかったのですが致し方なし。最終的にセラ嬢は応戦するのではなく、ピット君との戦いを見守るのは管理人の微妙な心境が反映しているのかもしれません(苦笑)
次は誰もが頭を悩ませたオーラム軍ですね。またもや新キャラも登場しますし、引き続き頑張りたいと思います(*´∀`)
此処まで読んで下さってありがとうございました!
by虹
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