第14章 電光石火の激突(後編)
セラ
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「いてッ!」
『……あっ』
……と思いきや、ピット君が痛みの声を上げた。どうやら電気ハードルの動きを見誤り、ダメージを喰らってしまったらしいのだ。痺れなかったのは不幸中の幸いだったが、後々回復しなければならない。天界からの施与を待つ間、変わらず神器を手中に戦う。二人で力を合わせ、自身等が今居るフロアの魔物の数が徐々に減少して来ているみたいだ。それを証拠に攻撃の手が止んでいる。そもそも魔物達は一体何を守備していたのだろう。いつもの妨害工作?エレカちゃんを守備する目的?どちらも当て嵌まるがどちらでもない気がした。魔物を全浄化し終え、電気ハードルの力を失わせてから先に進もうと歩き出した刹那先程と同様にきらめいていたコアがまたしても存在していたからだ。察するに今も尚コアを守備していたらしい。理由に納得しつつ、ピット君が強かにコアを破壊。コア付近に捧げられていた天界からの施与を彼は受けている。それを静かに見届け、もうこれ以上電気に寄る妨害は受けずに進めると安堵している矢先突如足元がお留守になった。
『ひぃぃぃっ』
「言葉を失いますね!」
少しでも時間を稼ごう、然すれば私達の足を食い止められるとの考えで設置された落とし穴に嵌ってしまったのかと推察した。が案外そういう造りだったのやも知れない。咄嗟の判断で思わず目を瞑ってしまったが、穴底に落下した衝撃が身体に来ない。不思議に思い、恐る恐る両眼を見開くと……自身の足元にグラインドレールが引かれていた。レールは真っ直ぐ私達を先へ先へ運んでくれている。攻略出来ず八方塞がりになってしまうかと心配してしまったがその必要はなかったみたいだ。パルテナ様はきちんと天界から援護して下さっている。
「グラインドレールね……。パルテナの支援、あなどれないわ」
エレカちゃんもたじろぐ程だ。気持ちは分からないでもない。先程も少々述べたが敵に回すとどれだけ厄介なのか誰でも分かる。三人寄ればもっと最強だって見せ付けてやろう。
「この螺旋通路を抜ければ いよいよ中枢部です。仕掛け満載のようだから、気をつけて!!」
グラインドレールは真っ直ぐ先へ天使二人を運び出し、螺旋通路へ導いてくれた。この通路を無事に抜けられれば、エレカちゃんが待つ中枢部へ殴り込みを掛ける寸法だ。今にも崩れそうな道程であるが、先に進まなければ話は始まらない。只管進むのみだ。
移動時間を短縮出来たなら、そう簡単に道が落ちてしまったりしないだろう。内心で密かに願いつつ、相も変わらず行く手を阻む魔物等を浄化しに掛かる。可能ならば手っ取り早くこの螺旋通路を昇り切りたい所だが、エレカちゃんが待つ中枢部へ接近しているからか好き勝手させてくれる訳でもないらしい。隣でピット君が此見よがしに浄化しているのが窺えた。彼が目にも留まらぬ速さで浄化し終えてくれたお陰で先に進む道が開けた。自画自賛していると思われそうだが、コンビネーションが良すぎる私達なら難無く攻略出来そうな予感がしている。スタミナを考えて、駆け抜ける。二階と呼称するのに似つかわしくないが重なっている二段目の通路に足を踏み入れた直後、有ろうことかボロボロボロと足場が崩れ始めた。声にならない叫びを上げながら、全力で駆け抜ける天使二人。一秒でも遅く走行してしまえば最後、真っ逆さまに落下してしまうのは目に見えている。一気に血の気が引いた。
「危なかったね……」
『……うん』
何と恐ろしい光景か。後ろを見遣れば崩れ去ってしまった道程が無残な形で残っていた。何とか間に合ったが危なかった。もう少しで私達は、真っ逆さまに落下する結末を迎えてしまう所謂バッドエンドと成り得てしまう所であった。息を整え、崩れ去ってしまった道程を背に再度歩き出す。今度は足場が崩れないと良い。設置されているジャンプ台で軽やかに飛び移り、更に先へ先へ進んで行く。もう少しで螺旋通路を抜けそうなのだが妙な違和感が自身を襲う。確信は持てなかったが、通路に仕掛けが施されている気がしてならないのだ。
『待って!ピット君!これはワナだよ!』
「わ、わなァ?!」
『何か、そんな気がするの!』
「……分かった。セラちゃんを信じるよ」
前を歩くピット君に静止の声を上げる。証拠は何処にも存在していなかったが、真っ直ぐ彼の両眼を見つめるぐらいならば私でも出来た。自身の真剣さに折れた彼は“石橋を叩いて渡る”かの如く片足で通路に重りを掛けた。すると通路が円形を描き、ずぼっと綺麗に抜けてしまう。落とし穴が通路の真ん中に掘られていたのだ。確信は持てなかったが予想が的中した事実に驚きを隠せない。
「やっぱりセラちゃんは凄いや!」
『えへへ』
気がしただけであるが言って良かったと思える。逆に言わずしていたら後悔していただろう。ほっと安堵の溜め息を吐き、真ん中を通らず端をゆっくり進む。漸く長いようで短い螺旋通路を無事に突破した。
「電光のエレカはもう目の前です」
「あら?もう来ちゃったの?」
高く聳える大きな扉。この先にエレカちゃんが居る……。ピット君と共に意を決し、大きな扉を掻い潜った。
「いらっしゃい」
『こんにちは』
「ナチュレの剣となるものよ!音にも聞け!爪を研げ!光の女神パルテナが使い ぅアチッ!!」
『大丈夫?ピット君』
「オトコはクチより態度で示すものよ」
飛行している際は、エレカちゃんの姿を遠巻きから見つめていたが間近で見受けるのは初めてだ。言わば初対面である。散々会話していたからか、全くそんな印象は受けない。随分前から知っていた感覚に陥る始末だ。自身がそんな気持ちに支配されているとは露知らず、戦いの幕は切って落とされるのだけれど今敢えて言うならば最後迄キメ台詞を言わせてもらえないピット君……無念。
『……あっ』
……と思いきや、ピット君が痛みの声を上げた。どうやら電気ハードルの動きを見誤り、ダメージを喰らってしまったらしいのだ。痺れなかったのは不幸中の幸いだったが、後々回復しなければならない。天界からの施与を待つ間、変わらず神器を手中に戦う。二人で力を合わせ、自身等が今居るフロアの魔物の数が徐々に減少して来ているみたいだ。それを証拠に攻撃の手が止んでいる。そもそも魔物達は一体何を守備していたのだろう。いつもの妨害工作?エレカちゃんを守備する目的?どちらも当て嵌まるがどちらでもない気がした。魔物を全浄化し終え、電気ハードルの力を失わせてから先に進もうと歩き出した刹那先程と同様にきらめいていたコアがまたしても存在していたからだ。察するに今も尚コアを守備していたらしい。理由に納得しつつ、ピット君が強かにコアを破壊。コア付近に捧げられていた天界からの施与を彼は受けている。それを静かに見届け、もうこれ以上電気に寄る妨害は受けずに進めると安堵している矢先突如足元がお留守になった。
『ひぃぃぃっ』
「言葉を失いますね!」
少しでも時間を稼ごう、然すれば私達の足を食い止められるとの考えで設置された落とし穴に嵌ってしまったのかと推察した。が案外そういう造りだったのやも知れない。咄嗟の判断で思わず目を瞑ってしまったが、穴底に落下した衝撃が身体に来ない。不思議に思い、恐る恐る両眼を見開くと……自身の足元にグラインドレールが引かれていた。レールは真っ直ぐ私達を先へ先へ運んでくれている。攻略出来ず八方塞がりになってしまうかと心配してしまったがその必要はなかったみたいだ。パルテナ様はきちんと天界から援護して下さっている。
「グラインドレールね……。パルテナの支援、あなどれないわ」
エレカちゃんもたじろぐ程だ。気持ちは分からないでもない。先程も少々述べたが敵に回すとどれだけ厄介なのか誰でも分かる。三人寄ればもっと最強だって見せ付けてやろう。
「この螺旋通路を抜ければ いよいよ中枢部です。仕掛け満載のようだから、気をつけて!!」
グラインドレールは真っ直ぐ先へ天使二人を運び出し、螺旋通路へ導いてくれた。この通路を無事に抜けられれば、エレカちゃんが待つ中枢部へ殴り込みを掛ける寸法だ。今にも崩れそうな道程であるが、先に進まなければ話は始まらない。只管進むのみだ。
移動時間を短縮出来たなら、そう簡単に道が落ちてしまったりしないだろう。内心で密かに願いつつ、相も変わらず行く手を阻む魔物等を浄化しに掛かる。可能ならば手っ取り早くこの螺旋通路を昇り切りたい所だが、エレカちゃんが待つ中枢部へ接近しているからか好き勝手させてくれる訳でもないらしい。隣でピット君が此見よがしに浄化しているのが窺えた。彼が目にも留まらぬ速さで浄化し終えてくれたお陰で先に進む道が開けた。自画自賛していると思われそうだが、コンビネーションが良すぎる私達なら難無く攻略出来そうな予感がしている。スタミナを考えて、駆け抜ける。二階と呼称するのに似つかわしくないが重なっている二段目の通路に足を踏み入れた直後、有ろうことかボロボロボロと足場が崩れ始めた。声にならない叫びを上げながら、全力で駆け抜ける天使二人。一秒でも遅く走行してしまえば最後、真っ逆さまに落下してしまうのは目に見えている。一気に血の気が引いた。
「危なかったね……」
『……うん』
何と恐ろしい光景か。後ろを見遣れば崩れ去ってしまった道程が無残な形で残っていた。何とか間に合ったが危なかった。もう少しで私達は、真っ逆さまに落下する結末を迎えてしまう所謂バッドエンドと成り得てしまう所であった。息を整え、崩れ去ってしまった道程を背に再度歩き出す。今度は足場が崩れないと良い。設置されているジャンプ台で軽やかに飛び移り、更に先へ先へ進んで行く。もう少しで螺旋通路を抜けそうなのだが妙な違和感が自身を襲う。確信は持てなかったが、通路に仕掛けが施されている気がしてならないのだ。
『待って!ピット君!これはワナだよ!』
「わ、わなァ?!」
『何か、そんな気がするの!』
「……分かった。セラちゃんを信じるよ」
前を歩くピット君に静止の声を上げる。証拠は何処にも存在していなかったが、真っ直ぐ彼の両眼を見つめるぐらいならば私でも出来た。自身の真剣さに折れた彼は“石橋を叩いて渡る”かの如く片足で通路に重りを掛けた。すると通路が円形を描き、ずぼっと綺麗に抜けてしまう。落とし穴が通路の真ん中に掘られていたのだ。確信は持てなかったが予想が的中した事実に驚きを隠せない。
「やっぱりセラちゃんは凄いや!」
『えへへ』
気がしただけであるが言って良かったと思える。逆に言わずしていたら後悔していただろう。ほっと安堵の溜め息を吐き、真ん中を通らず端をゆっくり進む。漸く長いようで短い螺旋通路を無事に突破した。
「電光のエレカはもう目の前です」
「あら?もう来ちゃったの?」
高く聳える大きな扉。この先にエレカちゃんが居る……。ピット君と共に意を決し、大きな扉を掻い潜った。
「いらっしゃい」
『こんにちは』
「ナチュレの剣となるものよ!音にも聞け!爪を研げ!光の女神パルテナが使い ぅアチッ!!」
『大丈夫?ピット君』
「オトコはクチより態度で示すものよ」
飛行している際は、エレカちゃんの姿を遠巻きから見つめていたが間近で見受けるのは初めてだ。言わば初対面である。散々会話していたからか、全くそんな印象は受けない。随分前から知っていた感覚に陥る始末だ。自身がそんな気持ちに支配されているとは露知らず、戦いの幕は切って落とされるのだけれど今敢えて言うならば最後迄キメ台詞を言わせてもらえないピット君……無念。