第14章 電光石火の激突(後編)
セラ
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コアを破壊したからなのか、次なる道を指し示す扉が開いた。これで心置きなくダッシュ回避が出来るってもの。動きに制限が掛かってしまったら回避出来るのも出来なくなってしまう。ほっと安堵の溜め息を吐いたのは良いがエレカちゃんはまだまだ余裕らしい。そりゃそうかと苦笑いを浮かべ、天使二人は扉から次なる道を歩き出した。これで終わってしまったら呆気ないし、張り合いがないもんね。このままスムーズに進んで、エレカちゃんの所迄行けたなら……私はそれでも全然構わないのだが、ピット君が何を言うのか分からない。「もっとやる気を出したらどうなんだ!!」と大声を上げるに違いない。大いに想像出来てしまってついついくすくす笑ってしまう。
「セラちゃん、どうかした?何か面白い?」
『ふふっ何でもなーい』
「……?」
傾斜している道を昇っている最中、ついつい笑ってしまったのに対して突っ込まれてしまった。まさかピット君の事で笑ってたなあんて言える筈もないから何でもないとごまかしてみる。ピット君が何故か顔を赤くしながら首を傾げているのが窺えたが敢えて言及しようとはしなかった。『乙女には秘密の一つや二つあるものなんだから!』少しぐらい乙女心を分かっていても損はないと息を吸って発言しようとするが慌てて口を噤む。自分で乙女と言うのも何だか気が引けて心に留めておく選択をする。何も告げずに笑って場を受け流す。これもまた乙女の秘め事かと思ってしまったのだ。そんなやり取りを繰り広げては傾斜している道を昇り切ればトロッコの様なものが道順に沿ってゆっくり走行しているのが視界に入った。
「トロッコのようなものが走ってますが……」
「なにか積んでいるようですね」
『中身はなんだろう』
「壊したら、中身を出口付近に転送しますよ」
「どうぞご自由に〜」
「あら?意外と淡白な」
『そんな簡単に許しちゃっていいの?』
どうしてこんな所をトロッコが走行しているのか果てしなく疑問であるがそれよりもエレカちゃんがあっさり許諾したのが妙に気になっている。普通の反応ならばもう少し抗っても良い筈なのにそんな素振りを見せる様子もない。こういう場合にも性格とか出て来てしまうものなのだろうか。
「だってココ、私の施設じゃないし」
「廃棄された空中神殿を流用しているのですね」
『それで執着が余りないんだ』
「電気ものが多くて、ピッタリだわ。まぁ、しばらくしたら捨てちゃうけどね」
『ええ?!』
「な、なぜ?!」
聞けば、エレカちゃんが所有している訳ではないらしいのだ。それならば納得が行く……様な気もしている。こちらが神殿の設備を活用した所で負けたりしない絶対的な自信か。どうかは分からないけれど細かい部分を気にしていても仕方がないって考えてるのか。いずれにせよ貰っておくのは変え難い事実。等色々考えていたら神殿を捨ててしまう発言がエレカちゃんの口から飛び交う。突然衝撃告白をして来る彼女に驚き、戦いの手を止めてしまう。此処迄固着していない人物は初めてだ。断捨離が上手いのも程がある。
「地に根を下ろすなぞ エレカには向かないからの」
『(そんなんで良いの……?)』
「この自由人め」
『(自由過ぎるでしょ)』
ナチュレちゃんから理由を聞き、苦笑いを浮かべてしまう。実力は相当なのに下手したらナチュレちゃんでさえ手を焼いている部分があるのかと思うと何だか嬉しくなってしまった。憎めないのもまた然り。こういう自由奔放な性格と電撃でどれだけの相手を悩ませて来たのだろう。愛着が湧いてしまうのもエレカちゃんの魅力なのだろう。そんな思いに浸る中、トロッコを何の躊躇いもなくぶっ壊しているピット君を横目に会話は続いていく。
「わらわは冥府軍を相手しておるからピットの始末は頼んだぞ。セラを連れてくるのを忘れずにのう」
『(何だ……まだ諦めてないんだ)』
「セラちゃんは絶対に渡さないし、そうカンタンにヤラレるか!!」
「やれやれ。ご期待に添えるよう、がんばらないとね」
すっかり会話の中に出て来ないから諦めてくれたものと考えていたけれど、ナチュレちゃんは私を自然軍に引き入れる目論見を諦めてはいなかった。此処迄拒否をしているのだから引き下がってくれても良いものだが冥府軍と言い諦めは悪いらしい。本来ならば不安に押し潰されてしまう所だが、隣でピット君が啖呵を切ってくれているから私は自我を保ち平然としていられる。信じているのだ、心の底から。ピット君が必ず助けてくれるって。だからなのか、不思議と恐怖心がないのだ。隣で懸命に神器で魔物浄化している彼を見つめ、それに習うかの如く自身も浄化に勤しんだ。
「電光のエレカは中枢部で電気をチャージしています」
魔物を全浄化し終え次の扉を順調に進む私達。うねくねしている道を歩行しながらまるで何処からか見張っているかの様にパルテナ様からの現在進行形の情報を伝達されるのが分かる。パルテナ様おそるべし。他の軍に入りたくない理由が其処にある訳ではないが敵に回したくないタイプである。改めて彼女の偉大さを痛感した所で上へ上へと進行して行く。
「避雷針を使って 充電しているというわけですね」
『電気を蓄えちゃったら大変ですね』
「チャージが済んでしまわないうちに早めに移動するのです」
「『はいッ パルテナ様!!』」
「はいッ ぱるてなさまぁっ!!ピットくん セラちゃんたらなーんでも言うこと聞いちゃってかわいい〜」
「ば、バカにするな!!」
『……?そんなにおかしいかな?』
「セラちゃん、どうかした?何か面白い?」
『ふふっ何でもなーい』
「……?」
傾斜している道を昇っている最中、ついつい笑ってしまったのに対して突っ込まれてしまった。まさかピット君の事で笑ってたなあんて言える筈もないから何でもないとごまかしてみる。ピット君が何故か顔を赤くしながら首を傾げているのが窺えたが敢えて言及しようとはしなかった。『乙女には秘密の一つや二つあるものなんだから!』少しぐらい乙女心を分かっていても損はないと息を吸って発言しようとするが慌てて口を噤む。自分で乙女と言うのも何だか気が引けて心に留めておく選択をする。何も告げずに笑って場を受け流す。これもまた乙女の秘め事かと思ってしまったのだ。そんなやり取りを繰り広げては傾斜している道を昇り切ればトロッコの様なものが道順に沿ってゆっくり走行しているのが視界に入った。
「トロッコのようなものが走ってますが……」
「なにか積んでいるようですね」
『中身はなんだろう』
「壊したら、中身を出口付近に転送しますよ」
「どうぞご自由に〜」
「あら?意外と淡白な」
『そんな簡単に許しちゃっていいの?』
どうしてこんな所をトロッコが走行しているのか果てしなく疑問であるがそれよりもエレカちゃんがあっさり許諾したのが妙に気になっている。普通の反応ならばもう少し抗っても良い筈なのにそんな素振りを見せる様子もない。こういう場合にも性格とか出て来てしまうものなのだろうか。
「だってココ、私の施設じゃないし」
「廃棄された空中神殿を流用しているのですね」
『それで執着が余りないんだ』
「電気ものが多くて、ピッタリだわ。まぁ、しばらくしたら捨てちゃうけどね」
『ええ?!』
「な、なぜ?!」
聞けば、エレカちゃんが所有している訳ではないらしいのだ。それならば納得が行く……様な気もしている。こちらが神殿の設備を活用した所で負けたりしない絶対的な自信か。どうかは分からないけれど細かい部分を気にしていても仕方がないって考えてるのか。いずれにせよ貰っておくのは変え難い事実。等色々考えていたら神殿を捨ててしまう発言がエレカちゃんの口から飛び交う。突然衝撃告白をして来る彼女に驚き、戦いの手を止めてしまう。此処迄固着していない人物は初めてだ。断捨離が上手いのも程がある。
「地に根を下ろすなぞ エレカには向かないからの」
『(そんなんで良いの……?)』
「この自由人め」
『(自由過ぎるでしょ)』
ナチュレちゃんから理由を聞き、苦笑いを浮かべてしまう。実力は相当なのに下手したらナチュレちゃんでさえ手を焼いている部分があるのかと思うと何だか嬉しくなってしまった。憎めないのもまた然り。こういう自由奔放な性格と電撃でどれだけの相手を悩ませて来たのだろう。愛着が湧いてしまうのもエレカちゃんの魅力なのだろう。そんな思いに浸る中、トロッコを何の躊躇いもなくぶっ壊しているピット君を横目に会話は続いていく。
「わらわは冥府軍を相手しておるからピットの始末は頼んだぞ。セラを連れてくるのを忘れずにのう」
『(何だ……まだ諦めてないんだ)』
「セラちゃんは絶対に渡さないし、そうカンタンにヤラレるか!!」
「やれやれ。ご期待に添えるよう、がんばらないとね」
すっかり会話の中に出て来ないから諦めてくれたものと考えていたけれど、ナチュレちゃんは私を自然軍に引き入れる目論見を諦めてはいなかった。此処迄拒否をしているのだから引き下がってくれても良いものだが冥府軍と言い諦めは悪いらしい。本来ならば不安に押し潰されてしまう所だが、隣でピット君が啖呵を切ってくれているから私は自我を保ち平然としていられる。信じているのだ、心の底から。ピット君が必ず助けてくれるって。だからなのか、不思議と恐怖心がないのだ。隣で懸命に神器で魔物浄化している彼を見つめ、それに習うかの如く自身も浄化に勤しんだ。
「電光のエレカは中枢部で電気をチャージしています」
魔物を全浄化し終え次の扉を順調に進む私達。うねくねしている道を歩行しながらまるで何処からか見張っているかの様にパルテナ様からの現在進行形の情報を伝達されるのが分かる。パルテナ様おそるべし。他の軍に入りたくない理由が其処にある訳ではないが敵に回したくないタイプである。改めて彼女の偉大さを痛感した所で上へ上へと進行して行く。
「避雷針を使って 充電しているというわけですね」
『電気を蓄えちゃったら大変ですね』
「チャージが済んでしまわないうちに早めに移動するのです」
「『はいッ パルテナ様!!』」
「はいッ ぱるてなさまぁっ!!ピットくん セラちゃんたらなーんでも言うこと聞いちゃってかわいい〜」
「ば、バカにするな!!」
『……?そんなにおかしいかな?』