第14章 電光石火の激突(前編)
セラ
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「タナトスきゅん、キツい?」
「ぜ、ぜんぜんOKデスよ!」
「厳しいようですね」
「稲妻のスピードとパワーをそなえたクールビューティーじゃからのう」
暗雲の中を突っ切り上へ上へと上昇して行くと、暗雲の上部に綺麗な真っ青な空が窺えた。地上の人々は、当然の如く空を飛べない。良く雨が降っている雲の上は晴れているのでしょう?と質問されるがまさしくこういう景色であると地上の人々に伝えたい。きっと感動してくれるだろう。飛行が得意な私でさえ、思わず見惚れてしまうのだから。暗雲が立ち込めている中でも勝敗は未だつかない。だが話を聞くと、タナトスが明らかに押されている模様。
「とどめ!!」
「アーッ!!サヨナラデース!!」
『タナトス!』
「まいったか!まいれ!!」
しかし電光のエレカがタナトスに向けてとどめの一撃を見舞う。その一撃を真正面から喰らってしまったタナトスは、反撃も出来ずにそのまま地へ真っ逆さま。電光のエレカが一撃を喰らわせ状況は一変する。どちらとも対決しなければならないかと思われた標的は一人だけに絞られた。正直な心境を敢えて此の場で述べるとすれば、タナトスに対して余り敵意はなくて戦わずして何だかホッとしている所だ。一度戦っている相手と再戦する気持ちは全く以て存在していなかった。薄れていると言って良い。空が朝焼け。茜色に染まり始めている頃、電光のエレカを捜索し後を追う。そろそろ雨が降りそうだ。
「あーあ。ヤラレチャッタよ。どうしようかね」
「さすが セクシーダイナマイツだなぁ」
「それを言うならクールビューティーじゃ」
「まぁ いいや。司令官なくとも攻撃は続けとこ」
「もしかして指揮官なんていなくてもまったく変わらないのでは?」
「みんな アタマ悪いのよ。脳みそ落っことしちゃったみたいで」
『(冥府のリーダーがそれを言う?)』
竜巻付近に接近し、巻き込まれない程度に外側を飛行する。捜索しているが電光のエレカの姿はない。何処か別の場所へ姿を晦ましていると見た。一体電光のエレカは何処に居るのだろう。電気を自由自在に操るから雲の中とか。キョロキョロ周辺を見渡しているが所在を掴めていないのを見ると強ち外れではないかも?そんな考えに至り思わず苦笑いを浮かべていると、指揮官タナトスを失った冥府軍が撤退を始めた……のは嘘でパルテナ軍、自然軍に向けて攻撃を仕掛けて来た。普通ならば指揮官が討ち取られると別の手段を実行したりするがそう言う気配もない。それだけではない。ハデスがあろう事か配下に置いている魔物等に対して酷い言い草をしているのが耳に入る。メデューサだったら絶対にその様な発言は思っていたとしてもしないだろう。やっぱりハデスだけは受け入れられないな。なんて思いつつぷくぅと両頬を膨らませてみる。嫌悪感しか残らないのも稀なケースだ。
「セラちゃん?何か……怒ってる?」
『何でもないよ!ピット君!』
「(怒っている顔も可愛いとは……セラは罪な天使じゃな)」
「セラちゃん、どうしたの?このハデスさんに話してみてちょーだい?」
『むうぅ……ハデスなんて……知らないもん』
「(セラは本当にハデスが嫌いなのですね。まぁ、こちらとしてはライバルが減って有り難いですが)」
「セラちゃんは今日もグウかわねぇ」
緊迫した雰囲気なのは先ず間違いないのだけれど、こう言うやり取りをしてしまう私達。敵対しているのに忘れてしまいそうになるぐらい仲が良さそうな会話に不覚にも笑んでしまった。いずれ戦い合う未来が待ち受けているのは充分頭では分かっているのだけれど、こんな一時も大切にしたいなって思ってしまう。戦闘真っ只中であり、竜巻の中へ入り込むべく飛行スピードは更に加速して行く。ピット君の飛行スピードに置いて行かれない様必死に付いて行く。このままはぐれてしまわないか不安に思っていれば、彼が何も言わず手をぎゅっと握ってくれた。これは、自分を頼ってくれと言う彼からのサイン。
『ありがとう。ピット君』
私は何度もこの優しさと力強さに助けられた。
「エレカは?!」
「なんだかんだでタナトスとの戦いは互角。消耗しているようだからそこを狙っていきましょう」
「ここで倒しておかなければ、明日は無い!」
『うん。私も頑張らなきゃ!』
「行きましょう!エレカたん マジヤバでちゃけパねぇですから」
「チョーがんばります!!」
『うん?どうしたの……急に……』
何処からともなく出現し、迫り上がる岩山を直線で越えて行く。電光のエレカへの道程で、こちらに対する妨害が凄まじい気もする。誰かが仕組んでいる様子もないから偶然の一致だと思う。けれど妨害されている事実は変化しない。妨害されればされる程燃えるってもの。目前の魔物が差し迫るのを見、神器で意志を示す。迫り上がる岩山を越えた先で視界に映ったのは、黒く暗く何処迄も広がる雷雲であった。
「エレカはあの雷雲の中にいます」
「しつこいなあ!」
『しつこいのが私達のウリだもの!』
「雷雲に穴を開けてくぐります。気をつけて!!」
雷雲の巨大さに圧倒されていると、パルテナ様がいつもの落ち着いた声音で助言をくれた。聞けば、巨大な雷雲の中に電光のエレカが潜んでいると言う。雲の中から私達に向かって竜巻攻撃を仕掛けられる。これはまさに自然からの攻撃かと思われたが良く良く観察してみると、自然軍の魔物ポックリが回転活動をし続け、体当たりにてダメージを喰らわせる算段らしく次から次へと攻撃の手は止まない。これは確実に妨害工作だ。自然軍が電光のエレカを守備しているとしか思えない。妨害工作は極普通の手口だし、今更感がある。只どうやってこの状況を打破しよう。ずっと回転し続ける体当たりを回避するだけに留めればいずれタイムリミットを迎えてしまう。
「ぜ、ぜんぜんOKデスよ!」
「厳しいようですね」
「稲妻のスピードとパワーをそなえたクールビューティーじゃからのう」
暗雲の中を突っ切り上へ上へと上昇して行くと、暗雲の上部に綺麗な真っ青な空が窺えた。地上の人々は、当然の如く空を飛べない。良く雨が降っている雲の上は晴れているのでしょう?と質問されるがまさしくこういう景色であると地上の人々に伝えたい。きっと感動してくれるだろう。飛行が得意な私でさえ、思わず見惚れてしまうのだから。暗雲が立ち込めている中でも勝敗は未だつかない。だが話を聞くと、タナトスが明らかに押されている模様。
「とどめ!!」
「アーッ!!サヨナラデース!!」
『タナトス!』
「まいったか!まいれ!!」
しかし電光のエレカがタナトスに向けてとどめの一撃を見舞う。その一撃を真正面から喰らってしまったタナトスは、反撃も出来ずにそのまま地へ真っ逆さま。電光のエレカが一撃を喰らわせ状況は一変する。どちらとも対決しなければならないかと思われた標的は一人だけに絞られた。正直な心境を敢えて此の場で述べるとすれば、タナトスに対して余り敵意はなくて戦わずして何だかホッとしている所だ。一度戦っている相手と再戦する気持ちは全く以て存在していなかった。薄れていると言って良い。空が朝焼け。茜色に染まり始めている頃、電光のエレカを捜索し後を追う。そろそろ雨が降りそうだ。
「あーあ。ヤラレチャッタよ。どうしようかね」
「さすが セクシーダイナマイツだなぁ」
「それを言うならクールビューティーじゃ」
「まぁ いいや。司令官なくとも攻撃は続けとこ」
「もしかして指揮官なんていなくてもまったく変わらないのでは?」
「みんな アタマ悪いのよ。脳みそ落っことしちゃったみたいで」
『(冥府のリーダーがそれを言う?)』
竜巻付近に接近し、巻き込まれない程度に外側を飛行する。捜索しているが電光のエレカの姿はない。何処か別の場所へ姿を晦ましていると見た。一体電光のエレカは何処に居るのだろう。電気を自由自在に操るから雲の中とか。キョロキョロ周辺を見渡しているが所在を掴めていないのを見ると強ち外れではないかも?そんな考えに至り思わず苦笑いを浮かべていると、指揮官タナトスを失った冥府軍が撤退を始めた……のは嘘でパルテナ軍、自然軍に向けて攻撃を仕掛けて来た。普通ならば指揮官が討ち取られると別の手段を実行したりするがそう言う気配もない。それだけではない。ハデスがあろう事か配下に置いている魔物等に対して酷い言い草をしているのが耳に入る。メデューサだったら絶対にその様な発言は思っていたとしてもしないだろう。やっぱりハデスだけは受け入れられないな。なんて思いつつぷくぅと両頬を膨らませてみる。嫌悪感しか残らないのも稀なケースだ。
「セラちゃん?何か……怒ってる?」
『何でもないよ!ピット君!』
「(怒っている顔も可愛いとは……セラは罪な天使じゃな)」
「セラちゃん、どうしたの?このハデスさんに話してみてちょーだい?」
『むうぅ……ハデスなんて……知らないもん』
「(セラは本当にハデスが嫌いなのですね。まぁ、こちらとしてはライバルが減って有り難いですが)」
「セラちゃんは今日もグウかわねぇ」
緊迫した雰囲気なのは先ず間違いないのだけれど、こう言うやり取りをしてしまう私達。敵対しているのに忘れてしまいそうになるぐらい仲が良さそうな会話に不覚にも笑んでしまった。いずれ戦い合う未来が待ち受けているのは充分頭では分かっているのだけれど、こんな一時も大切にしたいなって思ってしまう。戦闘真っ只中であり、竜巻の中へ入り込むべく飛行スピードは更に加速して行く。ピット君の飛行スピードに置いて行かれない様必死に付いて行く。このままはぐれてしまわないか不安に思っていれば、彼が何も言わず手をぎゅっと握ってくれた。これは、自分を頼ってくれと言う彼からのサイン。
『ありがとう。ピット君』
私は何度もこの優しさと力強さに助けられた。
「エレカは?!」
「なんだかんだでタナトスとの戦いは互角。消耗しているようだからそこを狙っていきましょう」
「ここで倒しておかなければ、明日は無い!」
『うん。私も頑張らなきゃ!』
「行きましょう!エレカたん マジヤバでちゃけパねぇですから」
「チョーがんばります!!」
『うん?どうしたの……急に……』
何処からともなく出現し、迫り上がる岩山を直線で越えて行く。電光のエレカへの道程で、こちらに対する妨害が凄まじい気もする。誰かが仕組んでいる様子もないから偶然の一致だと思う。けれど妨害されている事実は変化しない。妨害されればされる程燃えるってもの。目前の魔物が差し迫るのを見、神器で意志を示す。迫り上がる岩山を越えた先で視界に映ったのは、黒く暗く何処迄も広がる雷雲であった。
「エレカはあの雷雲の中にいます」
「しつこいなあ!」
『しつこいのが私達のウリだもの!』
「雷雲に穴を開けてくぐります。気をつけて!!」
雷雲の巨大さに圧倒されていると、パルテナ様がいつもの落ち着いた声音で助言をくれた。聞けば、巨大な雷雲の中に電光のエレカが潜んでいると言う。雲の中から私達に向かって竜巻攻撃を仕掛けられる。これはまさに自然からの攻撃かと思われたが良く良く観察してみると、自然軍の魔物ポックリが回転活動をし続け、体当たりにてダメージを喰らわせる算段らしく次から次へと攻撃の手は止まない。これは確実に妨害工作だ。自然軍が電光のエレカを守備しているとしか思えない。妨害工作は極普通の手口だし、今更感がある。只どうやってこの状況を打破しよう。ずっと回転し続ける体当たりを回避するだけに留めればいずれタイムリミットを迎えてしまう。