第14章 電光石火の激突(前編)
セラ
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「こ、これはスゴい……!」
『本当。目を奪われるね』
「冥府と自然 最強幹部同士の激突です。いざとなったらムリせず撤退しましょう」
ずっと戦闘の成り行きを見守っていたい気持ちが勝っていたけれどそれではピット君の翼に宿っている飛翔の奇跡がタイムリミットを迎えてしまう。それではパルテナ様が目論んでいるだろう目的が果たせず、最悪な結末となってしまうし何より八方塞がりとなってしまう……それだけは全力で避けたい。こういう時無粋であると分かっているんだけれど、ピット君が奇跡を頼らずに飛べたらって思う。言葉にしたらきっとピット君は泣いてしまうから言えないけれど無意識にじと……っとした眼で彼を見つめてしまっている。
「……セラちゃん……何?」
『ううん。別に……ハァ』
「(今、溜め息吐かれた?!しかも明らかに呆れられてる?!僕何かした?!)」
言葉にせずとも態度には思い切り出てしまったみたいで、後々ピット君は私からの圧力で項垂れていたらしい。
「タナトスは生きていたのか……。」
『浄化されたのが嘘みたい……』
「ケロリとしてますね」
まさかそんなやり取りが私達の間でされていたとは彷彿されない様な切り返し。これぞチームワークの良さ。と言いたい所だけれどピット君は結構単純だから余り気にしない性質なのだ。羨ましいと言えば羨ましい。私も彼ぐらい気にしなければ様々な面で悩んだりしなかっただろう。今日二度目の溜め息を吐いてしまったのはご愛嬌ということで。自身が複雑な感情に支配されているとは露知らず、ピット君パルテナ様両二人は色んな会話を展開されている。複雑な感情を忘却でもするかの様に何喰わぬ顔で二人との会話に参加する。それ等は忘れても魔物浄化は忘れない。雲の中を突っ切り、岩山をひょいっと飛び越え、順調に飛行ルートも軌道に乗っている。
「ま、僕もなんだかんだでヤラレちゃってますしね!」
「貴方が昔の戦いで倒した幹部も事実再生してますし。しかしムダではありませんよ。復活には膨大な力を使うはず」
『やっぱり凄いんだね!ピット君って!』
「(うっ……今のはずるい)では、タナトスは?」
「おっと、タナトスくんは例外よ?」
「『ハデス!』」
「仮にも死を司る神だからねぇ。タナトスさん チョーホンキ出したらマジヤバでちゃけパねえわけよ」
「それ、どこの方言ですか?」
今は……タナトスと電光のエレカが繰り広げられているであろう戦いは視界に映らない。何故か宙に浮いている岩山を簡単に掻い潜り、前を見据えながらも会話の流れはどんどん進行して行く。昔ピット君が倒した幹部達。私に至ってはパルテナ様と共にメデューサの手に寄って幽閉されていたから今迄復活し、戦って来た幹部達とは初対面になっていたけれどピット君は昔と違った方法で再度倒している。そう考えると彼が如何に人々にとっての私達にとってのヒーローなのか、存在の大きさは計り知れない。実際ピット君があの時助けてくれなかったら今私はこうして人々の平和を守る為全力で戦いに身を投じていなかっただろう。彼のお陰で今私が居る。その事実はどうあっても揺るがない。何度でも何度でも思うのだ。あの救い出してくれた温かい手が自身にとっての希望なのだ……と。改めて心中ではあるが彼にこっそり“ありがとう”を伝えた。心中だから届く訳がないが胸に留めておくべき思いもあるのだ。
「うぐッ!!」
『きゃッ!!』
「たしかに、チョーホンキ出してそう」
『凄まじい戦いだね』
ピット君を見つめ、にこりと微笑んでいれば彼もその視線に気付き微笑み返してくれた。その両頬は何故か赤い。端から見ても和やかな雰囲気だったと思う。互いに微笑み合っている最中、少々油断してしまった為か遠巻きから見つめていた交戦に若干巻き込まれてしまう天使二人。ダメージは幸い受けなかったものの余りの激戦っぷりに釘付けとなってしまう。だが飛行スピードは決して減速しない。
「エレカたんもてごわいねえ」
『エレカたん?』
「ハデス様“たん”はやめましょう」
「たんでもきゅんでもいいんじゃが」
「『ナチュレ(ちゃん)!』」
「電光のエレカは我が軍最強じゃ!しかと見るがいいわ!」
『(と言う事は、アロンよりも強いのね)』
ちょこちょこ視界を遮ろうとする岩山をするりと躱し、戦いの行く末を見守る。未だ勝敗を分ける決め手はない。下手したらタナトス、電光のエレカが私達二人の前に立ちはだかる可能性も浮上して来るというもの。誰かが何を発言した訳ではないから確信は得られないが、戦いの行く末を見守りつつ魔物等を浄化しているのを見ると示唆されているのが分かる。
「とにかくエレカとタナトスの後を追いましょう。両方が消耗しているのはチャンスですけど……。二人同時に戦うことになるかもしれませんね」
「その前に勝負はつくじゃろうなぁ」
「そーかもねぇ」
パルテナ様の言葉が耳に届き、自身の想像が確証へと変化する。恐らく自然軍を失脚させる目的で電光のエレカを追跡すべく行動を起こそうとしたけれど、先に冥府軍と交戦開始させてしまったと言った所か。タナトスをこの儘野放しには出来ないから三つ巴の戦いが始まるのも視野に入れるべきとのご判断。さすがパルテナ様!と感動しているのも束の間ナチュレちゃんが余裕綽々な態度で勝敗がつくと予言して来た。彼女の言葉に首を傾げ、タナトス 電光のエレカが今も尚激戦を繰り広げているであろう様を概観しようとするがその姿は何処にも存在していなかった。大慌てで二人の後を追う。
『本当。目を奪われるね』
「冥府と自然 最強幹部同士の激突です。いざとなったらムリせず撤退しましょう」
ずっと戦闘の成り行きを見守っていたい気持ちが勝っていたけれどそれではピット君の翼に宿っている飛翔の奇跡がタイムリミットを迎えてしまう。それではパルテナ様が目論んでいるだろう目的が果たせず、最悪な結末となってしまうし何より八方塞がりとなってしまう……それだけは全力で避けたい。こういう時無粋であると分かっているんだけれど、ピット君が奇跡を頼らずに飛べたらって思う。言葉にしたらきっとピット君は泣いてしまうから言えないけれど無意識にじと……っとした眼で彼を見つめてしまっている。
「……セラちゃん……何?」
『ううん。別に……ハァ』
「(今、溜め息吐かれた?!しかも明らかに呆れられてる?!僕何かした?!)」
言葉にせずとも態度には思い切り出てしまったみたいで、後々ピット君は私からの圧力で項垂れていたらしい。
「タナトスは生きていたのか……。」
『浄化されたのが嘘みたい……』
「ケロリとしてますね」
まさかそんなやり取りが私達の間でされていたとは彷彿されない様な切り返し。これぞチームワークの良さ。と言いたい所だけれどピット君は結構単純だから余り気にしない性質なのだ。羨ましいと言えば羨ましい。私も彼ぐらい気にしなければ様々な面で悩んだりしなかっただろう。今日二度目の溜め息を吐いてしまったのはご愛嬌ということで。自身が複雑な感情に支配されているとは露知らず、ピット君パルテナ様両二人は色んな会話を展開されている。複雑な感情を忘却でもするかの様に何喰わぬ顔で二人との会話に参加する。それ等は忘れても魔物浄化は忘れない。雲の中を突っ切り、岩山をひょいっと飛び越え、順調に飛行ルートも軌道に乗っている。
「ま、僕もなんだかんだでヤラレちゃってますしね!」
「貴方が昔の戦いで倒した幹部も事実再生してますし。しかしムダではありませんよ。復活には膨大な力を使うはず」
『やっぱり凄いんだね!ピット君って!』
「(うっ……今のはずるい)では、タナトスは?」
「おっと、タナトスくんは例外よ?」
「『ハデス!』」
「仮にも死を司る神だからねぇ。タナトスさん チョーホンキ出したらマジヤバでちゃけパねえわけよ」
「それ、どこの方言ですか?」
今は……タナトスと電光のエレカが繰り広げられているであろう戦いは視界に映らない。何故か宙に浮いている岩山を簡単に掻い潜り、前を見据えながらも会話の流れはどんどん進行して行く。昔ピット君が倒した幹部達。私に至ってはパルテナ様と共にメデューサの手に寄って幽閉されていたから今迄復活し、戦って来た幹部達とは初対面になっていたけれどピット君は昔と違った方法で再度倒している。そう考えると彼が如何に人々にとっての私達にとってのヒーローなのか、存在の大きさは計り知れない。実際ピット君があの時助けてくれなかったら今私はこうして人々の平和を守る為全力で戦いに身を投じていなかっただろう。彼のお陰で今私が居る。その事実はどうあっても揺るがない。何度でも何度でも思うのだ。あの救い出してくれた温かい手が自身にとっての希望なのだ……と。改めて心中ではあるが彼にこっそり“ありがとう”を伝えた。心中だから届く訳がないが胸に留めておくべき思いもあるのだ。
「うぐッ!!」
『きゃッ!!』
「たしかに、チョーホンキ出してそう」
『凄まじい戦いだね』
ピット君を見つめ、にこりと微笑んでいれば彼もその視線に気付き微笑み返してくれた。その両頬は何故か赤い。端から見ても和やかな雰囲気だったと思う。互いに微笑み合っている最中、少々油断してしまった為か遠巻きから見つめていた交戦に若干巻き込まれてしまう天使二人。ダメージは幸い受けなかったものの余りの激戦っぷりに釘付けとなってしまう。だが飛行スピードは決して減速しない。
「エレカたんもてごわいねえ」
『エレカたん?』
「ハデス様“たん”はやめましょう」
「たんでもきゅんでもいいんじゃが」
「『ナチュレ(ちゃん)!』」
「電光のエレカは我が軍最強じゃ!しかと見るがいいわ!」
『(と言う事は、アロンよりも強いのね)』
ちょこちょこ視界を遮ろうとする岩山をするりと躱し、戦いの行く末を見守る。未だ勝敗を分ける決め手はない。下手したらタナトス、電光のエレカが私達二人の前に立ちはだかる可能性も浮上して来るというもの。誰かが何を発言した訳ではないから確信は得られないが、戦いの行く末を見守りつつ魔物等を浄化しているのを見ると示唆されているのが分かる。
「とにかくエレカとタナトスの後を追いましょう。両方が消耗しているのはチャンスですけど……。二人同時に戦うことになるかもしれませんね」
「その前に勝負はつくじゃろうなぁ」
「そーかもねぇ」
パルテナ様の言葉が耳に届き、自身の想像が確証へと変化する。恐らく自然軍を失脚させる目的で電光のエレカを追跡すべく行動を起こそうとしたけれど、先に冥府軍と交戦開始させてしまったと言った所か。タナトスをこの儘野放しには出来ないから三つ巴の戦いが始まるのも視野に入れるべきとのご判断。さすがパルテナ様!と感動しているのも束の間ナチュレちゃんが余裕綽々な態度で勝敗がつくと予言して来た。彼女の言葉に首を傾げ、タナトス 電光のエレカが今も尚激戦を繰り広げているであろう様を概観しようとするがその姿は何処にも存在していなかった。大慌てで二人の後を追う。