第14章 電光石火の激突(前編)
セラ
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たった今この瞬間、ゲート前通路を全速力で走っている。助走をつけて勢い良くゲートから飛び立つ為だ。至極当然だと言われそうだけれど毎朝自分で作った朝ご飯を皆でたらふく食べて神器のチェックなんかもしてコンディションはバッチリ。さあ、今日も元気にお仕事お仕事!と気合充分に羽翼を広げ、飛び立とうとした刹那突如動きを遮られる。
「ピット出撃しま……うわッ!!」
『ゲートが?!パルテナ様!!』
「大丈夫です!損害軽微!!」
「『良かった……!!』」
何と犯人は、一筋のビーム光線。攻撃を仕掛けられた訳ではなさそうだから恐らくとばっちりを受けてしまったのだろう。私とピット君は間一髪の所で回避出来たが、ゲートに関してはそうも行かなかった。影響が及んでしまったゲートから火災が発生。私達は慌ててゲートから飛び立ち、竜巻が巻き起こる様を目の当たりにする。余りの光景に思わず息を呑む。異様な光景を前にしてでも私達天使二人をいつも戦地に赴かせてくれるゲートの状態が果てしなく気がかりであったけれどパルテナ様の言葉で胸を撫で下ろした。大丈夫みたい。きっとイカロス達が協力して消火活動に勤しんでくれるだろう。
「すでに戦場のまっただ中です。警戒なさい」
“一難去ってまた一難”とはまさにこの事。竜巻が巻き起こる光景以外に何か情報は得られないものかと飛行しながらキョロキョロ周囲を見渡していれば冥府軍と自然軍が交戦中であると知る。前々回辺りの戦いで二軍が火花を散らしていると理解はしていたがそれは未だ続いている模様。ナチュレちゃんの性質とハデスの思惑から察知すれば仲違いするのは目に見えているし、二軍が同盟を結びパルテナ軍に立ちはだかれても非常にうっとうしいけれど、正直此処迄亀裂が入るとは思わなかった。どちらかと言えばナチュレちゃんがムキになっているのでは?と考えずには居られない。戦闘に集中しなければならないのに、余計な考えが脳裏をちらつく。これでは駄目だと首を左右に振り、蔓延る魔物等を神器で次々に浄化して行く。幾ら仲違いしているとは言え、人々に仇をなしている事実は変わらない。故にこちらも手を抜かない。勿論様々な種族が手と手を取り合って笑顔になってもらいたいと願うばかりだけれど、まだ難しそうである。そうなる未来はいつになることやら……。考えたら苦笑いを浮かべてしまった。
「冥府軍と自然軍が全力でぶつかりあっています。冥府軍の指揮官は死を司る神、タナトス」
「タナトス!生きていたのか!!」
『あの時確かに浄化したのに』
竜巻が巻き起こる中ではあるが決して飛行スピードは緩めず、そのまま暗雲へ深く入り込んで行く。こちらの前方を塞ぎ、今も尚戦い合っている両二軍の魔物等は透かさず浄化しているとパルテナ様から今回の情報を流出してもらえた。聞けば以前の戦いで確かに浄化した筈のタナトスが冥府軍の先陣を切っていた。驚きの余り、言葉に詰まる。浄化した敵が今度は自然軍と戦闘を交えている。もしかして彼は不死身なのだろうか。一応あんな軽い態度ではあるけれど死を司る神様だし。
「そして、自然軍の指揮官は“電光のエレカ”です」
「『電光の?エレカ?』」
……等と考えを巡らせていると、今度は自然軍側の指揮官が勝手に公表された。初めて聞く名だ。こちらと一戦交えた経歴もない。ナチュレちゃんは未だに幹部と言う名の切り札を隠し持っているみたいだ。そうだとするならば妙に恐ろしい。迷っている暇なんてないし、立ちはだかるならば堂々と戦うだけだけれど背筋がヒヤリとしてしまうのは仕方がないと言える。でもどんな人物なんだろう。
竜巻の合間を通過し、更に上へ上へと空を飛ぶ。天気が悪いのは誰でも分かるが暗雲の隙間から綺麗な空が垣間見え、それだけで心が晴れやかになる。二軍が交戦し合っているのを傍観しているからなのか定かではないが、飛行ルートが徐々に上空へ移動している気がする……もしかしてさっきチラリと会話に出た“電光のエレカ”に何か関係があるのかも。
「あら、お呼びかしら?」
「おまえが電光のエレカか?!」
『(やっぱり女の子なんだ!)』
「ゴメンなさい!いま取り込み中デス!」
「『タナトス!』」
「龍のオーラをまとってますね」
そんな思いを胸中に留めていれば、ふと聞き覚えのない声が耳を掠めた。声の主は噂の“電光のエレカ”張本人。名前からしてそうかなと思ったけれどやっぱり女の子であった。不覚にもお友達になりたいと思ってしまった私をどうか許してほしい。パルテナ様とそりゃあもうガールズトークを繰り広げているけれど、本当はナチュレちゃんともお友達になりたいし皆でお泊り会とかしてみたいの!勿論男子禁制!ピット君は入ってきちゃ駄目!!そんな願望は夢のまた夢。叶う筈ないけれど、一度はやってみたいのである。
……それはさておき、今視界に映っているのは指揮官二人がぶつかり合う手に汗握る熾烈なバトル。タナトスが私達の間を通過し、電光のエレカに向かって行っている。どうやらこちらに攻撃して来る様子はないみたいだ。それに、どちらも引けを取らない。思わずモノアイ達がこちらに攻撃を仕掛けるのも忘れ、戦闘に魅入る程。二人が戦い合えば相応の爆発した様な轟音が周辺に響き渡っている。
「ピット出撃しま……うわッ!!」
『ゲートが?!パルテナ様!!』
「大丈夫です!損害軽微!!」
「『良かった……!!』」
何と犯人は、一筋のビーム光線。攻撃を仕掛けられた訳ではなさそうだから恐らくとばっちりを受けてしまったのだろう。私とピット君は間一髪の所で回避出来たが、ゲートに関してはそうも行かなかった。影響が及んでしまったゲートから火災が発生。私達は慌ててゲートから飛び立ち、竜巻が巻き起こる様を目の当たりにする。余りの光景に思わず息を呑む。異様な光景を前にしてでも私達天使二人をいつも戦地に赴かせてくれるゲートの状態が果てしなく気がかりであったけれどパルテナ様の言葉で胸を撫で下ろした。大丈夫みたい。きっとイカロス達が協力して消火活動に勤しんでくれるだろう。
「すでに戦場のまっただ中です。警戒なさい」
“一難去ってまた一難”とはまさにこの事。竜巻が巻き起こる光景以外に何か情報は得られないものかと飛行しながらキョロキョロ周囲を見渡していれば冥府軍と自然軍が交戦中であると知る。前々回辺りの戦いで二軍が火花を散らしていると理解はしていたがそれは未だ続いている模様。ナチュレちゃんの性質とハデスの思惑から察知すれば仲違いするのは目に見えているし、二軍が同盟を結びパルテナ軍に立ちはだかれても非常にうっとうしいけれど、正直此処迄亀裂が入るとは思わなかった。どちらかと言えばナチュレちゃんがムキになっているのでは?と考えずには居られない。戦闘に集中しなければならないのに、余計な考えが脳裏をちらつく。これでは駄目だと首を左右に振り、蔓延る魔物等を神器で次々に浄化して行く。幾ら仲違いしているとは言え、人々に仇をなしている事実は変わらない。故にこちらも手を抜かない。勿論様々な種族が手と手を取り合って笑顔になってもらいたいと願うばかりだけれど、まだ難しそうである。そうなる未来はいつになることやら……。考えたら苦笑いを浮かべてしまった。
「冥府軍と自然軍が全力でぶつかりあっています。冥府軍の指揮官は死を司る神、タナトス」
「タナトス!生きていたのか!!」
『あの時確かに浄化したのに』
竜巻が巻き起こる中ではあるが決して飛行スピードは緩めず、そのまま暗雲へ深く入り込んで行く。こちらの前方を塞ぎ、今も尚戦い合っている両二軍の魔物等は透かさず浄化しているとパルテナ様から今回の情報を流出してもらえた。聞けば以前の戦いで確かに浄化した筈のタナトスが冥府軍の先陣を切っていた。驚きの余り、言葉に詰まる。浄化した敵が今度は自然軍と戦闘を交えている。もしかして彼は不死身なのだろうか。一応あんな軽い態度ではあるけれど死を司る神様だし。
「そして、自然軍の指揮官は“電光のエレカ”です」
「『電光の?エレカ?』」
……等と考えを巡らせていると、今度は自然軍側の指揮官が勝手に公表された。初めて聞く名だ。こちらと一戦交えた経歴もない。ナチュレちゃんは未だに幹部と言う名の切り札を隠し持っているみたいだ。そうだとするならば妙に恐ろしい。迷っている暇なんてないし、立ちはだかるならば堂々と戦うだけだけれど背筋がヒヤリとしてしまうのは仕方がないと言える。でもどんな人物なんだろう。
竜巻の合間を通過し、更に上へ上へと空を飛ぶ。天気が悪いのは誰でも分かるが暗雲の隙間から綺麗な空が垣間見え、それだけで心が晴れやかになる。二軍が交戦し合っているのを傍観しているからなのか定かではないが、飛行ルートが徐々に上空へ移動している気がする……もしかしてさっきチラリと会話に出た“電光のエレカ”に何か関係があるのかも。
「あら、お呼びかしら?」
「おまえが電光のエレカか?!」
『(やっぱり女の子なんだ!)』
「ゴメンなさい!いま取り込み中デス!」
「『タナトス!』」
「龍のオーラをまとってますね」
そんな思いを胸中に留めていれば、ふと聞き覚えのない声が耳を掠めた。声の主は噂の“電光のエレカ”張本人。名前からしてそうかなと思ったけれどやっぱり女の子であった。不覚にもお友達になりたいと思ってしまった私をどうか許してほしい。パルテナ様とそりゃあもうガールズトークを繰り広げているけれど、本当はナチュレちゃんともお友達になりたいし皆でお泊り会とかしてみたいの!勿論男子禁制!ピット君は入ってきちゃ駄目!!そんな願望は夢のまた夢。叶う筈ないけれど、一度はやってみたいのである。
……それはさておき、今視界に映っているのは指揮官二人がぶつかり合う手に汗握る熾烈なバトル。タナトスが私達の間を通過し、電光のエレカに向かって行っている。どうやらこちらに攻撃して来る様子はないみたいだ。それに、どちらも引けを取らない。思わずモノアイ達がこちらに攻撃を仕掛けるのも忘れ、戦闘に魅入る程。二人が戦い合えば相応の爆発した様な轟音が周辺に響き渡っている。
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