第13章 月の静寂(後編)
セラ
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『あれ?行き止まりなのかな』
「それはない筈なんだけど……ってうわ!」
『あ、蟻地獄?!』
先に進むと更なる道は此処に存在していなかった。不思議に思い、円形の位置に立ち尽くす天使二人。すると円形が砂場になっており、砂がサラサラと流れるかの如く地盤が緩み足元が崩れ去ってしまう。天使二人は足場を取られみるみる下へと吸い込まれる。踠くのも空しく、私とピット君はそのまま下へ下へと落ちて行ってしまった。正直此処で攻略不可能となってしまったのか……と最悪な展開を予想しては悔しい気持ちに支配されていたが、どうやら蟻地獄に落ちて行くのが正規ルートで合っていたらしいのだ。思わず胸を撫で下ろす。もしも上記の様な最悪な展開と成り得ていたら、パルテナ様に顔向け出来なかった。危ない、危ない。条件反射で落下中にピット君の服の裾を掴んでしまったがそれは内緒にしておこう。
「これはエレベーター……なのかな?」
「外が見えるようですね」
『うわあ……やっぱり綺麗!』
「(今日もセラちゃんが可愛くて辛い……)」
今日二度目のエレベーターに乗り込む。先程のエレベーターと相違する点を上げるなら、外の景色が見え星々が瞬いているのが視界に映るシチュエーション。一旦は下に落ちてしまった私達だったが、エレベーターに寄って更に上へ上へ上昇して行く。もしかしてアロンは上の階に居るのやも知れない。エレベーターにて上の階上の階へと上昇した天使二人は、到着した先でまたもや凶暴りんごに変身する可愛らしいりんごがちょこちょこ歩いていた。円形の通路、しかもご丁寧に右方向へと回転している。
「焦って撃たないで、ピット セラ。りんごちゃんを怒らせるとやっかいです。1体ずつ誘導して機雷にぶつけていきましょう」
「りんごちゃん 了解です!」
『あの子、りんごちゃんって言うのね』
「相変わらず的確な指示でございますね。パルテナ様、あざやかでございます」
「えぇ、これもおつとめですから。しかし、すべてはピットとセラが活躍してこそです。頼りにしていますよ、ピット セラ」
機雷にりんごちゃんを誘導しぶつけて浄化する。回転している道をうまく歩行し、りんごちゃんと戦わずして素通りするのもアリなのではないかと淡い期待を抱いたが実際はうまくいかない。アロンに見透かされているのか何なのか分からないが目の前を行かせまいと何体ものりんごちゃんが行く手を塞いでいるのだ。これには溜め息。浄化して先に進むしか方法がないみたいだ。手段を強いられているのならば仕方がない、落ち着いている姿のりんごちゃんをそのまま機雷に誘導してみては浄化に勤しんだ。少々思ったのだけれど、あの子りんごちゃんって呼ばれているのね。余りにも凶暴化するものだから“クレイジーデビルりんご”とかそんな名前だと思っていた。強ち外れてもいないと思う。
それはさておき、りんごちゃんを無事に浄化し終え次のエリアへ進むべく一本廊下を歩く。只の勘ではあるがそろそろアロンが待ち受けている間へと近付いている気がする。だからなのかは知れないが、ずっと感じている嫌な予感が徐々に増しているのだ。魔物を浄化し、先へ進む度に神経が囁く。“引き返せ”と。
『(なんなのだろう。この胸の騒つきは)』
今更引き返せる筈がないと分かっているのに、嫌な予感だけが自身を支配する。人々が助かる、この事実は揺るがないのにアロンを倒してしまえば私達の今の関係が崩れ去ってしまいそうな……そんな恐怖感。有り得ないと言うのに。
『(もうっ!何を考えているんだ!私は!)』
「セラちゃん……?」
只単に自身が臆病風に吹かれただけだ。絶対そうに決まっている。首を大きく左右に振り、脳内にこびりついて離れない嫌な考えを捨て去ろうと行動してみるがなかなか離れてくれない。その様子を隣で見つめていたピット君は首を傾げていた模様。パルテナ様から有り難いアドバイスを頂く。視界は奪われていたとしても、聴覚でアロンの居場所を特定し攻撃を加える。これ以上に最適な攻撃方法はない。今はアロンから次々に攻撃を繰り出されている、正直回避に専念するしかない。遠距離から幾つもの連発弾を見舞って来る。未だ隙もなく攻撃が激しいが、必ずアロンにも気の緩みが訪れる。其処を叩く。
「それはない筈なんだけど……ってうわ!」
『あ、蟻地獄?!』
先に進むと更なる道は此処に存在していなかった。不思議に思い、円形の位置に立ち尽くす天使二人。すると円形が砂場になっており、砂がサラサラと流れるかの如く地盤が緩み足元が崩れ去ってしまう。天使二人は足場を取られみるみる下へと吸い込まれる。踠くのも空しく、私とピット君はそのまま下へ下へと落ちて行ってしまった。正直此処で攻略不可能となってしまったのか……と最悪な展開を予想しては悔しい気持ちに支配されていたが、どうやら蟻地獄に落ちて行くのが正規ルートで合っていたらしいのだ。思わず胸を撫で下ろす。もしも上記の様な最悪な展開と成り得ていたら、パルテナ様に顔向け出来なかった。危ない、危ない。条件反射で落下中にピット君の服の裾を掴んでしまったがそれは内緒にしておこう。
「これはエレベーター……なのかな?」
「外が見えるようですね」
『うわあ……やっぱり綺麗!』
「(今日もセラちゃんが可愛くて辛い……)」
今日二度目のエレベーターに乗り込む。先程のエレベーターと相違する点を上げるなら、外の景色が見え星々が瞬いているのが視界に映るシチュエーション。一旦は下に落ちてしまった私達だったが、エレベーターに寄って更に上へ上へ上昇して行く。もしかしてアロンは上の階に居るのやも知れない。エレベーターにて上の階上の階へと上昇した天使二人は、到着した先でまたもや凶暴りんごに変身する可愛らしいりんごがちょこちょこ歩いていた。円形の通路、しかもご丁寧に右方向へと回転している。
「焦って撃たないで、ピット セラ。りんごちゃんを怒らせるとやっかいです。1体ずつ誘導して機雷にぶつけていきましょう」
「りんごちゃん 了解です!」
『あの子、りんごちゃんって言うのね』
「相変わらず的確な指示でございますね。パルテナ様、あざやかでございます」
「えぇ、これもおつとめですから。しかし、すべてはピットとセラが活躍してこそです。頼りにしていますよ、ピット セラ」
機雷にりんごちゃんを誘導しぶつけて浄化する。回転している道をうまく歩行し、りんごちゃんと戦わずして素通りするのもアリなのではないかと淡い期待を抱いたが実際はうまくいかない。アロンに見透かされているのか何なのか分からないが目の前を行かせまいと何体ものりんごちゃんが行く手を塞いでいるのだ。これには溜め息。浄化して先に進むしか方法がないみたいだ。手段を強いられているのならば仕方がない、落ち着いている姿のりんごちゃんをそのまま機雷に誘導してみては浄化に勤しんだ。少々思ったのだけれど、あの子りんごちゃんって呼ばれているのね。余りにも凶暴化するものだから“クレイジーデビルりんご”とかそんな名前だと思っていた。強ち外れてもいないと思う。
それはさておき、りんごちゃんを無事に浄化し終え次のエリアへ進むべく一本廊下を歩く。只の勘ではあるがそろそろアロンが待ち受けている間へと近付いている気がする。だからなのかは知れないが、ずっと感じている嫌な予感が徐々に増しているのだ。魔物を浄化し、先へ進む度に神経が囁く。“引き返せ”と。
『(なんなのだろう。この胸の騒つきは)』
今更引き返せる筈がないと分かっているのに、嫌な予感だけが自身を支配する。人々が助かる、この事実は揺るがないのにアロンを倒してしまえば私達の今の関係が崩れ去ってしまいそうな……そんな恐怖感。有り得ないと言うのに。
『(もうっ!何を考えているんだ!私は!)』
「セラちゃん……?」
只単に自身が臆病風に吹かれただけだ。絶対そうに決まっている。首を大きく左右に振り、脳内にこびりついて離れない嫌な考えを捨て去ろうと行動してみるがなかなか離れてくれない。その様子を隣で見つめていたピット君は首を傾げていた模様。パルテナ様から有り難いアドバイスを頂く。視界は奪われていたとしても、聴覚でアロンの居場所を特定し攻撃を加える。これ以上に最適な攻撃方法はない。今はアロンから次々に攻撃を繰り出されている、正直回避に専念するしかない。遠距離から幾つもの連発弾を見舞って来る。未だ隙もなく攻撃が激しいが、必ずアロンにも気の緩みが訪れる。其処を叩く。