第13章 月の静寂(後編)
セラ
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ビートルに走行中。パルテナ様がアロンに疑念を投げ掛けているのが聞こえて来た。簡単に教えてくれるかと思いきや、口止めされているらしく情報を流してはくれなかった。敵側に有利な情報をみすみす垂れ流す筈がないと誰もが分かるが、何故かは分からないが違和感を抱いたのだ。理由を敢えて述べるならば、私の胸中が妙に騒ついていたから。何か……得体の知れない存在が差し迫る感覚。……何なのだろう。
「まじめ過ぎるのも考えものですね」
「まさに静寂?その割にはおしゃべりだけど」
「わたくしも齢を重ねましたからね。あゴホゴホと。ただひとつお告げできることがありまして。月の神殿は、わたくしの魔力で運営されています。わたくしがいなければ砂上の楼閣も同然」
「堕ちるということか」
アロンを倒してしまえば、得体の知れない存在を解き放ってしまいそうな……嫌な予感……。決して情が移ってしまった訳ではない。けれど妙な胸の騒つきは静まる所か寧ろ私に投げ掛けるかの如く囂しくなっている気がする。正しい行いを貫いていると信じて疑わないのに何故迷いが生じているのだろう。先程から神経が自身に囁いているのだ。“アロンを討伐してはならない”と。けれどパルテナ様の命に背く行為あってはならない。きっと自分の性だ。神経が勝手にでたらめを言っているだけなのだ。そうだ、きっとそうに違いない。自身にそう言い聞かせ、首を左右に振りつつビートルを動かし月面の上を走行して行く。
「少しひっかかるところはありますが……」
「なにをおっしゃいますやら。あなたがたは戦うしかないのです。ナチュレ様を苦しめる無法者。容赦できませんよ」
「そうでしたね」
「僕達もおまえらを許さない!人類を守るため、戦い抜いてやる!!」
嫌な予感は相も変わらず引きずりながら攻略しようとしている。月面にはトラップ等仕掛けられていないと思いがちだが、アロンの性格上それは有り得ない。うねうねしている道上を進むと真上にレーザーが発射され、行く手を阻まれる。だが突破出来ない道程ではない。ビートルの運転テクニックが多少なりとも必要とされるが今迄何度もビートルに乗り込んで来たのだから心配はなさそう。うまく噴出しているレーザー光線を躱しては先に進む。これだけで仕舞なのか。だが、まだ前方に行く手を阻んで来るレーザー光線が映る。八方塞がりになりそうな勢いだが、見た所行き止まり……と言う訳でもなさそうだ。此処でも運転テクニックを求められる道と成りうる。噴出するレーザー光線を何とか避けて通過するのに成功した。順調にビートルで移動していたが、前方に大きな扉が聳えているのが分かる。次のエリアへ移動出来る手段だ。故にビートル移動も自然な流れで扉の前迄となる。本心を言えば、ずっとビートルに乗りあわよくばアロンの所へ進みたいが物事は簡単に運んでくれない。はあ……と溜め息が出て来てしまったのは仕方がない。素直に郷に従おうと思う。ビートルから軽やかに降り大きく聳えている扉から中に入ると、其処は……未だ月面の世界だった。ビートルに乗っていると気付かなかったが、月面のクレーターがゴツゴツしていて足場は余り良くない。なのにも関わらず魔物等は所構わずワンサカおり、時にこちらへ攻撃を仕掛けて来る。お決まりのパターンと言われればそれ迄だが、例え意思を持たなくとも主君に忠実なのだ。どうか分かってほしい。
『(……んっ?あれは……りんごかな?)』
何処迄も広がっている月面世界をカニ歩きで歩行。魔物等から攻撃を仕掛けられれば反撃して返り討ちの繰り返し。捨て身で向かって来る魔物等に内心拍手を送り、結局神器で素早く浄化。自画自賛だけれど最近より一層強さに磨きがかかって嬉しく思う。ピット君と共に手分けして魔物を浄化していると、りんごの形をした魔物がピョコピョコ動いているのが見える。どこからどう見てもりんごだ。見間違いではない。何だか無性にアップルパイが食べたくなって来た。このミッションが終わったら絶対皆にアップルパイを作ってやるんだから!心中で意気込んでいると、ピット君が何を思ったのか動くりんごに攻撃を加えてしまう。無害だと思われた可愛いりんごは、悍ましい凶暴モンスターに早変わり。無差別に攻撃を仕掛けられてしまう。その凶暴さは冥府軍のデススカルを彷彿する。こちらでも似た者同士だ。隙もなくビンタを浴びせようとして来る。ぎりぎり回避出来ているが、凄まじい勢いだ。可能ならば弱点を見つけ、集中的に攻撃を加えたい。と弱点を探していれば、パルテナ様がこっそり凶暴りんごの弱点を教えてくれた。話を聞くと無敵に思われるりんごの弱点は頭の葉っぱなんだそう。りんごの弱点を耳にした私とピット君は、顔と顔を見合わせ首を縦に頷き葉っぱへ集中攻撃を加える。無論射撃攻撃で。
『やっと浄化出来た……』
「意外に手強かったね」
『うん』
接近戦に持ち込まれると明らかにビンタで応戦して来るであろうりんごの裏をかき、とことん遠距離に徹し攻撃を加えていた。現場の適応力とパルテナ様からの的確なアドバイスのお陰で凶暴りんごを無事に浄化出来、尚且つ次なる道へ進む為のジャンプ台も出現する。さて次は何が待ち受けているだろう。
「まじめ過ぎるのも考えものですね」
「まさに静寂?その割にはおしゃべりだけど」
「わたくしも齢を重ねましたからね。あゴホゴホと。ただひとつお告げできることがありまして。月の神殿は、わたくしの魔力で運営されています。わたくしがいなければ砂上の楼閣も同然」
「堕ちるということか」
アロンを倒してしまえば、得体の知れない存在を解き放ってしまいそうな……嫌な予感……。決して情が移ってしまった訳ではない。けれど妙な胸の騒つきは静まる所か寧ろ私に投げ掛けるかの如く囂しくなっている気がする。正しい行いを貫いていると信じて疑わないのに何故迷いが生じているのだろう。先程から神経が自身に囁いているのだ。“アロンを討伐してはならない”と。けれどパルテナ様の命に背く行為あってはならない。きっと自分の性だ。神経が勝手にでたらめを言っているだけなのだ。そうだ、きっとそうに違いない。自身にそう言い聞かせ、首を左右に振りつつビートルを動かし月面の上を走行して行く。
「少しひっかかるところはありますが……」
「なにをおっしゃいますやら。あなたがたは戦うしかないのです。ナチュレ様を苦しめる無法者。容赦できませんよ」
「そうでしたね」
「僕達もおまえらを許さない!人類を守るため、戦い抜いてやる!!」
嫌な予感は相も変わらず引きずりながら攻略しようとしている。月面にはトラップ等仕掛けられていないと思いがちだが、アロンの性格上それは有り得ない。うねうねしている道上を進むと真上にレーザーが発射され、行く手を阻まれる。だが突破出来ない道程ではない。ビートルの運転テクニックが多少なりとも必要とされるが今迄何度もビートルに乗り込んで来たのだから心配はなさそう。うまく噴出しているレーザー光線を躱しては先に進む。これだけで仕舞なのか。だが、まだ前方に行く手を阻んで来るレーザー光線が映る。八方塞がりになりそうな勢いだが、見た所行き止まり……と言う訳でもなさそうだ。此処でも運転テクニックを求められる道と成りうる。噴出するレーザー光線を何とか避けて通過するのに成功した。順調にビートルで移動していたが、前方に大きな扉が聳えているのが分かる。次のエリアへ移動出来る手段だ。故にビートル移動も自然な流れで扉の前迄となる。本心を言えば、ずっとビートルに乗りあわよくばアロンの所へ進みたいが物事は簡単に運んでくれない。はあ……と溜め息が出て来てしまったのは仕方がない。素直に郷に従おうと思う。ビートルから軽やかに降り大きく聳えている扉から中に入ると、其処は……未だ月面の世界だった。ビートルに乗っていると気付かなかったが、月面のクレーターがゴツゴツしていて足場は余り良くない。なのにも関わらず魔物等は所構わずワンサカおり、時にこちらへ攻撃を仕掛けて来る。お決まりのパターンと言われればそれ迄だが、例え意思を持たなくとも主君に忠実なのだ。どうか分かってほしい。
『(……んっ?あれは……りんごかな?)』
何処迄も広がっている月面世界をカニ歩きで歩行。魔物等から攻撃を仕掛けられれば反撃して返り討ちの繰り返し。捨て身で向かって来る魔物等に内心拍手を送り、結局神器で素早く浄化。自画自賛だけれど最近より一層強さに磨きがかかって嬉しく思う。ピット君と共に手分けして魔物を浄化していると、りんごの形をした魔物がピョコピョコ動いているのが見える。どこからどう見てもりんごだ。見間違いではない。何だか無性にアップルパイが食べたくなって来た。このミッションが終わったら絶対皆にアップルパイを作ってやるんだから!心中で意気込んでいると、ピット君が何を思ったのか動くりんごに攻撃を加えてしまう。無害だと思われた可愛いりんごは、悍ましい凶暴モンスターに早変わり。無差別に攻撃を仕掛けられてしまう。その凶暴さは冥府軍のデススカルを彷彿する。こちらでも似た者同士だ。隙もなくビンタを浴びせようとして来る。ぎりぎり回避出来ているが、凄まじい勢いだ。可能ならば弱点を見つけ、集中的に攻撃を加えたい。と弱点を探していれば、パルテナ様がこっそり凶暴りんごの弱点を教えてくれた。話を聞くと無敵に思われるりんごの弱点は頭の葉っぱなんだそう。りんごの弱点を耳にした私とピット君は、顔と顔を見合わせ首を縦に頷き葉っぱへ集中攻撃を加える。無論射撃攻撃で。
『やっと浄化出来た……』
「意外に手強かったね」
『うん』
接近戦に持ち込まれると明らかにビンタで応戦して来るであろうりんごの裏をかき、とことん遠距離に徹し攻撃を加えていた。現場の適応力とパルテナ様からの的確なアドバイスのお陰で凶暴りんごを無事に浄化出来、尚且つ次なる道へ進む為のジャンプ台も出現する。さて次は何が待ち受けているだろう。