第13章 月の静寂(後編)
セラ
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『よし!これで大丈夫!!』
最後に絆創膏を傷口へ優しく貼ってあげるとブラピ君は満足したかの如くスクリと立ち上がり、飛行すべく羽翼を広げる。
「くそッ、覚えてろよ!!」
何処かで聞き覚えのある捨て台詞を吐き出し、彼は勢い良く飛び去って行った。“立つ鳥跡を濁さず”とはまさにこの事かと苦笑いを浮かべながらブラピ君が飛び去ったのを只見つめていた……私の気の性だと思う。立ち去る際ブラピ君の両頬が此見よがしに真っ赤だったのは。
『ピット君。私との約束守ってくれてありがと』
「うん」
「さぁ、幻影の制御コアを壊しなさい」
結局ブラピ君に勝利してしまったがきっとこれで良かったのだと思う。ダメージを与えはしたが浄化せずに事無きを得る……ある意味アロンの魂胆を打ち砕いたのではないだろうか。そんな気がしてならない。行く手を阻む思わぬ人物からの攻撃を撥ね返した私達は、パルテナ様の言う幻影の制御コアを破壊すべく円形に射撃を加えて行く。攻撃を加えるとその分こちら側に見舞われる仕組みとなっているらしい。 正直間一髪の所をぎりぎりで回避する危ない場面であったが何とか破壊するのに成功。
「制御コア、破壊しました!!」
これで幻影に惑わされずに目の前のルート或いは魔物のへ集中出来る。相変わらず予断は許さないが、一先ず安心だ。制御コアが設置されている室内から退室し、進行した先にはエレベーターが待ち構えていた。無論乗り込む。エレベーターは私達を何処の間へ連れて行ってくれるのだろう。エレベーターは天使二人を乗せてゆっくりと上昇して行く。辿り着いた先は夜空が良く見える外、星が瞬き時折星屑が流れては消えている。良く良く見れば、傾斜している道が幾つも繋がっていた。見た所、絶景なだけでトラップが仕掛けられている様子はない。
「なんだ?ここ」
『月の神殿にそぐわないよね』
此の道が果たして正規ルートなのか疑ってしまいそうだが、エレベーターが私達を運び込んでくれたし間違いはなさそう。けれどアロンの事だからどういった形ででもトラップを仕掛け、侵入者を撃退しそうだ。かと言って疑うだけで先に進まない訳にも行かない。もしかしたらこちらが勝手に勘繰っているだけで実際には何も仕掛けられていないやも知れない……なんて考えてみたら安心感が得られた。いつも未知の領域にぐいぐい入り込んではトラップを掻い潜っていたじゃないか。
「おおっ!!」
『?!』
「危険な隕石ですね」
星が綺麗な夜だからアロンが気を遣ってくれたのかもと思ったのも束の間、突如目の前にスレスレに隕石が降って来たのだ。驚きの余り、声を上げるのも忘れてしまう。あと数センチ進行していたら明らかにダメージを受けていただろう。サッと血の気が引く。パルテナ様はまるで他人事みたいにさらりと言っておられ、打って変わって苦笑い。こんなんじゃいつ隕石が降って来たとしても回避しようがない。つまりは直撃してしまえば終わりを意味する。只、回避しようがない隕石をどうすればいい?回避出来ないのならば、降って来そうな位置を予想して避けては通過するしかない。けれどそんな芸当出来るとも思えない。取り敢えず隕石に寄って阻まれてしまった道上を通らず、二番目の無難そうな道を行く。
「は、くしゅん!」
「うわっと!あ、あぶないじゃないですか!!」
『そ、そうですよ!!』
「ええ?まさか。私じゃないですよ」
「あ、失礼。パルテナ様のくしゃみに合わせて戯れてしまいました」
「このイタズラものが……」
『ビックリしちゃったよ、もう』
「なんだかパンドーラに通ずるものがありますね」
困った顔を浮かべているであろうパルテナ様に釣られて困り顔を纏う。自然の原理に従い、隕石迄もトラップに利用してしまうなんて何て大胆な。しかもあろう事かパルテナ様のくしゃみに合わせるだなんてユニークさが際立っている。パンドーラと言う名迄出て来てしまう始末。確かに似た者同士だと思う。この先もトラップを仕掛けられているのは最早必須であると大いに予想出来る。だが進むのを躊躇ってもいられない。隕石が降って来るトラップを何とか掻い潜り、此のエリアにそぐわない建造物から中に入って行く。然すれば、今度は月面の様な世界が視界に広がった。
「おおー。こりゃぁスゴイ。月面のようだ!!」
『いかにもお月様って感じ!』
感動心が思いきり言葉として発せられてしまったが、それはピット君も同じだった。実際の月もたった今この瞬間見つめている風景の様な感じなのだろうか。まさか敵の根城に攻め入っている中で月面の世界を目にするとは思いも寄らなかった。アロンは何を思ったのか、月面の端にビートルが設置されているのを発見する。使用する目的かはたまた別の思惑が存在するのか見当も付かないけれど丁度二機あるのを見た、使用しない手はない。喜んでビートルに乗り込んだ。
「静寂のアロン。この月の神殿はなぜ作られたものなのですか?」
「あ、それは口外を固く禁じられておりまして」
「それは残念ですね」
「ぜひともお教えしたいところですが わたくし律儀ですから」
最後に絆創膏を傷口へ優しく貼ってあげるとブラピ君は満足したかの如くスクリと立ち上がり、飛行すべく羽翼を広げる。
「くそッ、覚えてろよ!!」
何処かで聞き覚えのある捨て台詞を吐き出し、彼は勢い良く飛び去って行った。“立つ鳥跡を濁さず”とはまさにこの事かと苦笑いを浮かべながらブラピ君が飛び去ったのを只見つめていた……私の気の性だと思う。立ち去る際ブラピ君の両頬が此見よがしに真っ赤だったのは。
『ピット君。私との約束守ってくれてありがと』
「うん」
「さぁ、幻影の制御コアを壊しなさい」
結局ブラピ君に勝利してしまったがきっとこれで良かったのだと思う。ダメージを与えはしたが浄化せずに事無きを得る……ある意味アロンの魂胆を打ち砕いたのではないだろうか。そんな気がしてならない。行く手を阻む思わぬ人物からの攻撃を撥ね返した私達は、パルテナ様の言う幻影の制御コアを破壊すべく円形に射撃を加えて行く。攻撃を加えるとその分こちら側に見舞われる仕組みとなっているらしい。 正直間一髪の所をぎりぎりで回避する危ない場面であったが何とか破壊するのに成功。
「制御コア、破壊しました!!」
これで幻影に惑わされずに目の前のルート或いは魔物のへ集中出来る。相変わらず予断は許さないが、一先ず安心だ。制御コアが設置されている室内から退室し、進行した先にはエレベーターが待ち構えていた。無論乗り込む。エレベーターは私達を何処の間へ連れて行ってくれるのだろう。エレベーターは天使二人を乗せてゆっくりと上昇して行く。辿り着いた先は夜空が良く見える外、星が瞬き時折星屑が流れては消えている。良く良く見れば、傾斜している道が幾つも繋がっていた。見た所、絶景なだけでトラップが仕掛けられている様子はない。
「なんだ?ここ」
『月の神殿にそぐわないよね』
此の道が果たして正規ルートなのか疑ってしまいそうだが、エレベーターが私達を運び込んでくれたし間違いはなさそう。けれどアロンの事だからどういった形ででもトラップを仕掛け、侵入者を撃退しそうだ。かと言って疑うだけで先に進まない訳にも行かない。もしかしたらこちらが勝手に勘繰っているだけで実際には何も仕掛けられていないやも知れない……なんて考えてみたら安心感が得られた。いつも未知の領域にぐいぐい入り込んではトラップを掻い潜っていたじゃないか。
「おおっ!!」
『?!』
「危険な隕石ですね」
星が綺麗な夜だからアロンが気を遣ってくれたのかもと思ったのも束の間、突如目の前にスレスレに隕石が降って来たのだ。驚きの余り、声を上げるのも忘れてしまう。あと数センチ進行していたら明らかにダメージを受けていただろう。サッと血の気が引く。パルテナ様はまるで他人事みたいにさらりと言っておられ、打って変わって苦笑い。こんなんじゃいつ隕石が降って来たとしても回避しようがない。つまりは直撃してしまえば終わりを意味する。只、回避しようがない隕石をどうすればいい?回避出来ないのならば、降って来そうな位置を予想して避けては通過するしかない。けれどそんな芸当出来るとも思えない。取り敢えず隕石に寄って阻まれてしまった道上を通らず、二番目の無難そうな道を行く。
「は、くしゅん!」
「うわっと!あ、あぶないじゃないですか!!」
『そ、そうですよ!!』
「ええ?まさか。私じゃないですよ」
「あ、失礼。パルテナ様のくしゃみに合わせて戯れてしまいました」
「このイタズラものが……」
『ビックリしちゃったよ、もう』
「なんだかパンドーラに通ずるものがありますね」
困った顔を浮かべているであろうパルテナ様に釣られて困り顔を纏う。自然の原理に従い、隕石迄もトラップに利用してしまうなんて何て大胆な。しかもあろう事かパルテナ様のくしゃみに合わせるだなんてユニークさが際立っている。パンドーラと言う名迄出て来てしまう始末。確かに似た者同士だと思う。この先もトラップを仕掛けられているのは最早必須であると大いに予想出来る。だが進むのを躊躇ってもいられない。隕石が降って来るトラップを何とか掻い潜り、此のエリアにそぐわない建造物から中に入って行く。然すれば、今度は月面の様な世界が視界に広がった。
「おおー。こりゃぁスゴイ。月面のようだ!!」
『いかにもお月様って感じ!』
感動心が思いきり言葉として発せられてしまったが、それはピット君も同じだった。実際の月もたった今この瞬間見つめている風景の様な感じなのだろうか。まさか敵の根城に攻め入っている中で月面の世界を目にするとは思いも寄らなかった。アロンは何を思ったのか、月面の端にビートルが設置されているのを発見する。使用する目的かはたまた別の思惑が存在するのか見当も付かないけれど丁度二機あるのを見た、使用しない手はない。喜んでビートルに乗り込んだ。
「静寂のアロン。この月の神殿はなぜ作られたものなのですか?」
「あ、それは口外を固く禁じられておりまして」
「それは残念ですね」
「ぜひともお教えしたいところですが わたくし律儀ですから」