第13章 月の静寂(後編)
セラ
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実を言うと、それだけではない。敵のホログラムだけとは限らず、何と扉迄もがホログラムとして投影されているのだ。ラビリンスとして道に迷わせる算段なのか、扉に実体がないのは初めてだ。これでは道に迷って先に進めない。
「うっとうしい!なんとかなりませんか?パルテナ様」
「それでは、パルテナスーパーセンサーを発動させて……!」
「『パルテナ様?そんな能力、ありましたっけ?』」
「いえ、言ってみただけですけど」
「『んなッ!』」
「安心なさい。進行ルートは緑の矢印でナビゲーションしますよ」
だがパルテナ様が正規ルートを指し示して下さるらしい。月の神殿と言う名のラビリンスに永遠と迷い込ませる恐怖を簡単に取っ払ってくれた彼女の偉大さに改めて崇敬した所で正規ルートを進行しようと思う。
「ずいぶんと仲がよろしいのでございますね。感服いたします。しかし、確実に制御コアをとらえていらっしゃいますね。やむを得ません。警備を固めて、お待ちしております。あ、ワナなんてありません。ホントですよ?」
「絶対なにかあるだろ……」
『紛れもないよね。(仲が良いって言われたのは素直に嬉しいな)』
良く喋るけれど、仲の良さが評価されたのは嬉しい。様々な出来事や戦闘を経て、自分達の絆が強まったのだと遠回しに言ってもらえている……そんな気がしたからだ。自然に笑みが零れるのが分かる。不謹慎だと言われてしまうかも知れないが、様々な出来事や戦闘を経てこれから更に絆が強まれば良いなと願う。そんな願望に支配されながらも先に進もうと歩き始める。けれど目の前に扉が悠然と聳えていた。でも一向に開く気配がない。まさか此処で行き止まりなのだろうか?引き返そうにも他に道が存在していない。それに、パルテナ様からのナビゲーションは開く気配のない扉を指し示している。どういう解釈で行けば良いのだろう?道に迷った感覚はしないのに妙に行き止まりを強いられている。思わず首を傾げてしまう。
「セラちゃん、大丈夫。先に進めるよ」
ピット君が優しく声を掛け、手を差し伸べてくれた。どうやら私の胸中を悟ってくれたらしい。見る角度に寄っては行き止まりだと勘違いしてしまう道を。にこりと微笑みながら、手を差し伸べてくれた手を握り返し進む。彼の言った通りだった。行き止まりだと勘違いしてしまった道は、先に進める仕様になっており扉自体がホログラムである絡繰だったのだ。他にもこう言うトラップがあるのかと思うと掻い潜るのは骨が折れそうだと苦笑いを浮かべた。扉を掻い潜った先で視界に広がった光景は、さらさらときめ細かい砂が流れ落ちるまるで砂漠地帯と化している領域。さらさらと流れ落ちる砂に呑まれてしまったが最後。蟻地獄の如く何処迄も深い闇の底へと沈んでしまう恐ろしいトラップだ。流れに負けてしまうと足を取られてしまう情況もある。此処は、流れに逆らい素早く移動するのが最適だろう。勿論スタミナは考えなくてはならない。
「セラちゃん、走るよ!」
『うん!』
ピット君もトラップの本質を見抜いたのか、未だ繋がれている手と手はそのままで私達は走り込む。こう言ったトラップを二人で協力し合い突破するのも相棒としての醍醐味なのかななあんて思いを巡らせてみては微かな笑みを浮かべてしまう私である。だが悠長に笑んでいる場合ではなかった。前方を見据えると、流れ落ちる砂上に機雷が設置されているのが見て取れる。明らかに触れてしまえば爆風に巻き込まれてしまい、ダメージを受けてしまうのは必須。只管走り込んだとしても機雷に触れないとも限らない。こうしている間にもスタミナはどんどん消費されてしまう。見た所、機雷は三ケ所に設置されておりいずれも機雷を避けて走り込む充分なスペースがある。その充分なスペースを上手く利用し、只走った。
『はぁ……何とかなったね』
「うん」
『あのね……?ピット君?』
「何?」
『もう離していいよ?』
機雷を回避しつつ、走り込んだ結果成功へと繋がった。三人のチームワークから成せる強みだ。満悦である。この調子でどんどん進もう。と意気込んでいたのだがふ、と手に違和感を感じた。そう、未だピット君の手と繋がれたままなのだ。それだけではない。何故か彼が手を離そうとしないのだ。不思議に思って言葉にしてみたけれど、彼は応じてくれる様子はない。一体どうしたと言うのだろう。
「もう少しだけこうしていない?」
眉尻を下げて、まるで子犬の如く問い掛けてくるピット君。まさかそんな提案をしてくるとは思わなかった性か、驚愕の余り瞳孔が開き口を閉ざす。心情的に驚いてしまったが、以前何処かで“手を繋ぐ”行為は安心感を得る目的と書物に記されていた気がする。もしかしたらピット君は“手を繋ぎ”何かしら安心感を得たいのやも知れない。その考えに至った私は首を縦に頷いた。然すれば、彼の表情がぱあっと明るくなる。相当嬉しかったのだろうなとくすくす笑んでいれば透かさずパルテナ様から手厳しい一言。
「うっとうしい!なんとかなりませんか?パルテナ様」
「それでは、パルテナスーパーセンサーを発動させて……!」
「『パルテナ様?そんな能力、ありましたっけ?』」
「いえ、言ってみただけですけど」
「『んなッ!』」
「安心なさい。進行ルートは緑の矢印でナビゲーションしますよ」
だがパルテナ様が正規ルートを指し示して下さるらしい。月の神殿と言う名のラビリンスに永遠と迷い込ませる恐怖を簡単に取っ払ってくれた彼女の偉大さに改めて崇敬した所で正規ルートを進行しようと思う。
「ずいぶんと仲がよろしいのでございますね。感服いたします。しかし、確実に制御コアをとらえていらっしゃいますね。やむを得ません。警備を固めて、お待ちしております。あ、ワナなんてありません。ホントですよ?」
「絶対なにかあるだろ……」
『紛れもないよね。(仲が良いって言われたのは素直に嬉しいな)』
良く喋るけれど、仲の良さが評価されたのは嬉しい。様々な出来事や戦闘を経て、自分達の絆が強まったのだと遠回しに言ってもらえている……そんな気がしたからだ。自然に笑みが零れるのが分かる。不謹慎だと言われてしまうかも知れないが、様々な出来事や戦闘を経てこれから更に絆が強まれば良いなと願う。そんな願望に支配されながらも先に進もうと歩き始める。けれど目の前に扉が悠然と聳えていた。でも一向に開く気配がない。まさか此処で行き止まりなのだろうか?引き返そうにも他に道が存在していない。それに、パルテナ様からのナビゲーションは開く気配のない扉を指し示している。どういう解釈で行けば良いのだろう?道に迷った感覚はしないのに妙に行き止まりを強いられている。思わず首を傾げてしまう。
「セラちゃん、大丈夫。先に進めるよ」
ピット君が優しく声を掛け、手を差し伸べてくれた。どうやら私の胸中を悟ってくれたらしい。見る角度に寄っては行き止まりだと勘違いしてしまう道を。にこりと微笑みながら、手を差し伸べてくれた手を握り返し進む。彼の言った通りだった。行き止まりだと勘違いしてしまった道は、先に進める仕様になっており扉自体がホログラムである絡繰だったのだ。他にもこう言うトラップがあるのかと思うと掻い潜るのは骨が折れそうだと苦笑いを浮かべた。扉を掻い潜った先で視界に広がった光景は、さらさらときめ細かい砂が流れ落ちるまるで砂漠地帯と化している領域。さらさらと流れ落ちる砂に呑まれてしまったが最後。蟻地獄の如く何処迄も深い闇の底へと沈んでしまう恐ろしいトラップだ。流れに負けてしまうと足を取られてしまう情況もある。此処は、流れに逆らい素早く移動するのが最適だろう。勿論スタミナは考えなくてはならない。
「セラちゃん、走るよ!」
『うん!』
ピット君もトラップの本質を見抜いたのか、未だ繋がれている手と手はそのままで私達は走り込む。こう言ったトラップを二人で協力し合い突破するのも相棒としての醍醐味なのかななあんて思いを巡らせてみては微かな笑みを浮かべてしまう私である。だが悠長に笑んでいる場合ではなかった。前方を見据えると、流れ落ちる砂上に機雷が設置されているのが見て取れる。明らかに触れてしまえば爆風に巻き込まれてしまい、ダメージを受けてしまうのは必須。只管走り込んだとしても機雷に触れないとも限らない。こうしている間にもスタミナはどんどん消費されてしまう。見た所、機雷は三ケ所に設置されておりいずれも機雷を避けて走り込む充分なスペースがある。その充分なスペースを上手く利用し、只走った。
『はぁ……何とかなったね』
「うん」
『あのね……?ピット君?』
「何?」
『もう離していいよ?』
機雷を回避しつつ、走り込んだ結果成功へと繋がった。三人のチームワークから成せる強みだ。満悦である。この調子でどんどん進もう。と意気込んでいたのだがふ、と手に違和感を感じた。そう、未だピット君の手と繋がれたままなのだ。それだけではない。何故か彼が手を離そうとしないのだ。不思議に思って言葉にしてみたけれど、彼は応じてくれる様子はない。一体どうしたと言うのだろう。
「もう少しだけこうしていない?」
眉尻を下げて、まるで子犬の如く問い掛けてくるピット君。まさかそんな提案をしてくるとは思わなかった性か、驚愕の余り瞳孔が開き口を閉ざす。心情的に驚いてしまったが、以前何処かで“手を繋ぐ”行為は安心感を得る目的と書物に記されていた気がする。もしかしたらピット君は“手を繋ぎ”何かしら安心感を得たいのやも知れない。その考えに至った私は首を縦に頷いた。然すれば、彼の表情がぱあっと明るくなる。相当嬉しかったのだろうなとくすくす笑んでいれば透かさずパルテナ様から手厳しい一言。